サイクルモードインターナショナル2017/ロードバイク編

ディスクロードや新技術搭載モデルがズラリ! トレンドとともに読み解く最新ロードバイク

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2017年11月3〜5日に開催された「サイクルモードインターナショナル2017」で、圧倒的な展示数を誇ったロードバイク。昨今話題となっているディスクブレーキを装備したモデルや、新技術で衝撃吸収能力を高めたモデルなど、注目のラインアップとなっていた。そんなロードバイクのトレンドを押さえるとともに、2018年に登場する最新モデルからその先を見据えたコンセプトモデルまで厳選して紹介しよう。

今年も注目が続くディスクブレーキ装着モデル

今、各メーカーがもっとも力を入れているのは、制動力にすぐれるディスクブレーキを装備した「ディスクロード」などと呼ばれるジャンルだ。従来のリムを挟み込むタイプのブレーキに比べ、天候に左右されずに安定して高いストッピングパワーを発揮できるのが最大の強みで、UCI(国際自転車競技連盟)がレースでの使用を試験的に解禁したことから急速に普及が進んでいる。ただ、リムブレーキに比べ重量が増えやすいといった課題も指摘されていた。しかし、それもすでに過去のものになりつつある。ベルギーを本拠とするRIDLEY(リドレー)の「FENIX SLX DISC」というモデルは完成車重量で6.85kgを実現。これはUCIの定める競技に参加できる車両の最低重量である6.8kgに迫るもので、重量的なデメリットはほぼないと言えるレベルだ。

サイクルモードで初お披露目された「FENIX SLX DISC」。独自のカーボンファイバーによるフレーム単体での重量は820gで、価格は38万5000円

湾曲したトップチューブとカーボンモノコック製のフロントフォークを採用しており、乗り味も快適。ケーブルはフレーム内を通す構造となっている

ブース内に展示されたモデルのほぼすべてがディスクブレーキを搭載していたのは、「SPECIALIZED(スペシャライズド)」。空気抵抗を考慮したフレーム構造を持つ「エアロロード」と称されるカテゴリーのトップモデルである「S-WORKS VENGE ViAS DISC Di2」にもディスクブレーキが採用された。フロントフォークやシートステーの根本にブレーキキャリパーを装備する必要がなくなり、空力性能や剛性バランスを最適化できるようになったことで、より高い完成度を実現。ディスクブレーキ化は制動力以外にもライダーに大きなメリットを与えてくれるようだ。

108万円というプライスの「S-WORKS VENGE ViAS DISC Di2」。エアロロードは重量が増しがちだが、「S-WORKS VENGE ViAS DISC Di2」はヒルクライムもこなせる7kg台という軽さを実現

この部分にブレーキがなくなったことで剛性を落としても振動吸収性が高くなり、すぐれた空力性能を発揮するという

フロントフォーク周りも、ブレーキがなくなったことでより空力性能を高める形状となった

フロントフォーク周りも、ブレーキがなくなったことでより空力性能を高める形状となった

フレーム製造から組み立て、セットアップまでを自社工場で行う、ドイツの新興ブランド「CANYON(キャニオン)」もディスクロードに積極的だ。なかでも注目したいのは、ツール・ド・フランスなどの大きなレースでも使用される「AEROAD CF SLX DISC」。地をはうように加速すると言われるエアロ性能はそのままに、そのスピードをしっかりとコントロールできるブレーキ性能をプラスしている。

エアロロードに分類される「AEROAD CF SLX DISC」は、ミカエル・モンコフ選手がレースでも使用しているモデル。価格は76万9000円

エアロロードらしく、空力を意識したフレーム形状であることがわかる。この形状もディスクブレーキだからこそ実現できたものだ

イタリアの老舗ブランド「PINARELLO(ピナレロ)」のフラッグシップモデル「DOGMA」シリーズも、すべてのグレードがディスクモデルとなった。「DOGMA」シリーズはツール・ド・フランスで3年連続王者となっているクリス・フルームを擁するチーム・スカイに提供され、その活躍を支えているモデルだ。ディスクブレーキを導入したことにより、たとえば雨の日のダウンヒルなどのシーンでの安心感が格段に向上するだろう。

「DOGMA F10 DISK」はフレームに東レが誇る高弾性カーボンT1100 1Kを採用。軽さと剛性を高次元でバランスさせている。価格はフレームセットで67万8000円(レギュラーカラー)

ディスクロードの最後を飾るのは、「DE ROSA(デローザ)」。レース向けのトップモデル「PROTOS」や、カーデザインで定評のあるピニンファリーナ社がデザインを手がけたエアロロード「SK」にディスクブレーキ装着モデルが用意された。ブレーキのディスク化は、単にブレーキ関連のパーツを取り付ける位置を変えるだけでなく、フレーム全体の剛性バランスやホイールのマウント仕様なども変更しなければならない。イタリアの老舗メーカーであり、新技術の導入に対してはやや保守的な印象のある同社が手間をかけてまでトップモデルにディスク仕様を用意したことは、いよいよディスクブレーキがロードバイクのスタンダードになろうとしていることを感じさせる。

「PROTOS DISK」は、4種類のカーボン素材を組み合わせることで軽さと剛性バランスのよさを両立している。近年のカーボンフレームにはめずらしい水平基調のデザインも人気だ。価格はフレームセットで69万円

「SK DISC」はエアロ性能を向上させるため、自動車のデザインや空力のノウハウを採り入れているのが特徴。フレーム価格は38万8000円

水平基調のデザインと、空力を意識した細部の仕上げが美しい

水平基調のデザインと、空力を意識した細部の仕上げが美しい

振動吸収を高める新技術搭載モデルは快適さが違う!

カーボンの積層方式やフレームの剛性バランスなどの進化によって、ロードバイクの乗り心地は毎年めまぐるしく向上しているが、近年はサスペンション構造を採り入れたり、特殊な素材をフレームなどに装備することで、路面からの振動をより積極的に吸収するモデルが増えている。今回のサイクルモードでは、そういったモデルの出展は少なかったが、こうした技術は、トップグレードのモデルだけでなく買いやすい価格のグレードにも展開されてきており、新技術を採用したモデルがスタンダードになろうとしていることは間違いないだろう。

新技術で走行の快適さを高めた最先端にあると言えるのが、SPECIALIZED「S-WORKS ROUBAIX(ルーベ) DISC Di2」。「パリ・ルーベ」という、石畳の区間を含む歴史あるレースの名前を冠したこのモデルは、凹凸の激しい石畳を少しでも快適に走れるように作られている。シートの直下には衝撃を吸収するエラストマーを装備し、ハンドルの下にも「フューチャーショック」と名付けられた20mmの可動部分を持つショックアブソーバーを搭載。さらにフレームの構造でも衝撃を吸収する設計となっており、自転車の上で体が浮いているかのような走行感を得られるという。展示されていたのは100万円オーバーのトップグレードのみだったが、前後にショックを吸収する機構を搭載したグレードの最安モデルは34万5600円。この価格でこれまでにない乗り心地が味わえるのなら、食指が動く人も多いはずだ。

「S-WORKS ROUBAIX DISC Di2」はフレームのペダル周辺部分にストレージを装備し、油圧式のブレーキディスクを採用している。価格は108万円

シートポストの鋭角に曲がった部分に、衝撃を吸収するエラストマーが内蔵されている

シートポストの鋭角に曲がった部分に、衝撃を吸収するエラストマーが内蔵されている

ハンドルを支えるステムの付け根部分には、20mmストロークのショックアブソーバーを装備

ハンドルを支えるステムの付け根部分には、20mmストロークのショックアブソーバーを装備

シートステーをフレームのトップチューブより下に集合させ、シートポストを長く取る構造にすることで、振動吸収性を高めている

振動吸収には関係のないことだが、ストレージの内部に交換用のチューブや工具を収められるのは便利

振動吸収には関係のないことだが、ストレージの内部に交換用のチューブや工具を収められるのは便利

SPECIALIZED同様に衝撃吸収性の高そうなショックアブソーバーを装備するPINARELLO「DOGMA K10S DISC」は、フレーム後部とシートの間に電子制御のアクティブサスペンションを搭載し、路面から人体に伝わる衝撃を効果的に吸収する。しかも、電子制御なので、フレームに設けられたボタンで動きを制御することが可能。

どんな路面状況にも対応するように開発された「DOGMA K10S DISK」は、電子制御サスペンション込みのフレームセットで92万円

シートステーとメインフレームの間にショートストロークのショックアブソーバーを搭載することで、路面からのショックを吸収

電子制御のショックアブソーバーをコントロールするボタンはフレームの中央部にある。ボタンの下にあるのは電動シフトのコントローラーだ

異業種のノウハウを生かしたカーボンフレームモデルも押さえておきたい!

軽快さが求められるロードバイクは、フレームにカーボンを採用したモデルが一般的となっている。そんな流れに乗り、数年前からカーボン成形技術を持つ異業種メーカーがロードバイクのフレーム製造に続々と参入。新興企業から別ジャンルで名をはせる企業までさまざまあり、自転車メーカーを圧倒する軽量なフレームや新機軸のフレーム形状を誕生させるなど、評価はかなり高い。近年のトレンドというわけではないが、意外と知らない人もいるので紹介しておこう。

3年前にロードバイクブランド「WIAWIS(ウィアウィス)」を立ち上げた韓国のWIN&WIN社は、もともとはアーチェリー用具の製造を手がける企業。その分野の競技用製品においてはシェア率が世界で約60%を誇るほど、確かな技術を有している。そんなWIAWISが作るロードバイクのフレームは軽量さと強度バランスにすぐれ、かつ、見た目の美しさも目を引く。絶妙な薄さや強度の調整が必要なアーチェリー用具の製造でつちかった技術が存分に発揮されていることを垣間見ることができる。なかでも、細身のカーボンパイプをカーボン製のラグを使って組んだ「Liberty」は、クロモリフレームのようなルックスで見事としか言えない仕上がりとなっていた。

クラシカルなクロモリフレームに似たシルエットを持つ「Liberty」。その文脈にそって、レザー製のサドルやバーテープ、金属感のあるパーツで組まれている。価格は未発表

エアロデザインにディスクブレーキを装備した「WAWS-G DISC」(参考出品車)のメインチューブは剛性の高そうな太さだが、トップチューブやシートステーは振動吸収性を高めるために細くされている

すでに自転車ブランドとして名が通っている「BOMA(ボーマ)」も、もとはカーボン繊維の商社が母体。自社で設計を手がけ、自転車製造の経験豊富な工場で製造するスタイルで、高いコストパフォーマンスを実現したモデルを展開している。特にカーボン製のホイールやパーツなどに定評があり、フレーム単体での重量が745g、完成車重量で6.3kgという軽さの「CIEL CT-CL」は注目したいモデルだ。

大きな軽量化を実現しながら、剛性を落としていないのが最大のメリット。価格はフレームで28万円

大きな軽量化を実現しながら、剛性を落としていないのが最大のメリット。価格はフレームで28万円

BOMAと同じカーボンパーツメーカーだった「3T」も、カーボン製のハンドルなど軽量パーツで有名。これまではパーツの製造に限られていたが、2017年からはカーボン製造技術を生かしてフレームも手掛けるようになり、現在、ディスクブレーキを採用したモデルを展開している。ユニークなラインアップが多く、個人的にはマウンテンバイクのような太いタイヤを履かせられる「EXPLORO LTD」に興味津々。太めのタイヤを生かして未舗装路を走れるモデルは近年の流行ではあるが、マウンテンバイクのタイヤまで入る太さに対応したカーボンフレームはなかなかない。マウンテンバイクの走破性とカーボンロードの軽さをあわせ持った走りはかなり楽しそう。

左の「EXPLORO LTD」(41万円)はマウンテンバイク用のタイヤも履ける形状で、中央の「EXPLORO TEAM」(30万円)もやや太めのタイヤでダートも走れる。右のモデルはフレームの形状を見せたいので、下の写真を見てほしい

右に展示されていた「STRADA」はエアロ形状のフレームがユニーク。価格は44万円

右に展示されていた「STRADA」はエアロ形状のフレームがユニーク。価格は44万円

最後に紹介するのは、テニスのラケットなどの製造で有名な「ヨネックス」。ヨネックスが自転車市場に参入してすでに3年経つが、ヨネックス製のロードバイクがあることをご存知だろうか? 国内の自社工場で製造されているメイド・イン・ジャパンであり、信頼性の高さは一目置かれるほどのものだ。そんなヨネックス製モデルで注目すべきは、フレーム単体で650gの軽さを実現した「CARBONEX」と、「CARBONEX」よりも剛性を高めた「CARBONEXHR」。特に「高剛性」の意味を持つ「HR(HighRigidity)」が製品名に入った「CARBONEXHR」は、ペダルを踏み込んだ瞬間にダイレクトに反応が得られるスペシャルな仕上がりとなっている。

「CARBONEX」は、フレームがストレートなタイプとベンドしたタイプから選ぶことができる。価格は45万円

「CARBONEX」は、フレームがストレートなタイプとベンドしたタイプから選ぶことができる。価格は45万円

より剛性を高め、踏み出しの加速などを向上させた「CARBONEXHR」のフレーム価格は47万円

より剛性を高め、踏み出しの加速などを向上させた「CARBONEXHR」のフレーム価格は47万円

「CARBONEX」のフレームを採用した、ディスクブレーキ搭載モデルも展示されていた。情報は一切記されていなかったが、フレーム重量650gという軽さと、ディスクブレーキならではの制動力やホイール周りの剛性感が得られるのであれば、気になる人も多いのでは!?

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

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2017.11.21 更新
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