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ぶっ飛んだのはコレ! 「飛び系アイアン」7モデル比較試打(データ付き)

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本来、飛距離を“打ち分ける”ためのクラブであるアイアン。遠くに飛ばせばいいというものではありません。しかし近年、飛距離性能を高めたアイアンがメーカー各社によって開発され、セールスを伸ばしています。そんな「飛び系アイアン」の技術を解説するとともに、注目7モデルの飛距離をテストした結果をお届けします。

■目次■
「飛び系アイアン」の特徴とは?
試打1:UD+2アイアン(ヤマハ)
試打2:TOUR B JGR HF1アイアン(ブリヂストン)
試打3:EPIC STARアイアン(キャロウェイ)
試打4:M2アイアン2017年モデル(テーラーメイド)
試打5:シャトル エヌエックスワン アイアン(マルマン)
試打6:ゼクシオ テン アイアン(ダンロップ)
試打7:TP766アイアン(フォーティーン)

どうも。オグさんです。今回は「飛び系」といわれるアイアンをご紹介します。「飛距離系アイアン」「ぶっ飛びアイアン」「激飛びアイアン」など、ほかの呼称もいろいろありますが、要は普通より飛ばせるアイアンのこと。

アイアンは本来飛距離を出すためのクラブではなく、狙った距離を正確に打ち分けるためのクラブです。しかし近年、飛距離性能を高めたアイアンが多く発売されています。なぜなら…売れるからです!

普通のアイアンより小さい番手で距離が出るのはうれしいものです

普通のアイアンより小さい番手で距離が出るのはうれしいものです

なぜ売れるのか!? それは多くの一般ゴルファーが、アイアンにも飛距離を求めているからにほかなりません。確かに7番アイアンで打つところをそれより短い8番や9番アイアンで打つことができたら心理的にも余裕が生まれます。やさしい番手でグリーンを狙えると、力みも取れますよね。何より「150ヤードを9番アイアンで狙うなんて飛ばし屋みたいでカッコいい!」と考える方がたくさんいるということなのでしょう。

飛びの理由は「長さ」と「ロフト角」

では飛び系アイアンはコンベンショナルな(従来の)アイアンと比べ何が違うのか、どうして飛ぶのか、を説明していきましょう。まず長さが違います。モデルによっても異なりますが、飛び系アイアンはコンベンショナルなアイアンに比べて1インチ前後長く設定されているのです。長い分、ヘッドスピードが上がるので飛距離を伸ばしやすくなります。1インチはアイアンの番手に当てはめると2番手ぐらいの違いになります。

普通の7番アイアン(左)と飛び系の7番(右)を比べてみると、おおむね長く設計されています

普通の7番アイアン(左)と飛び系の7番(右)を比べてみると、おおむね長く設計されています

飛び系の7番(左)は普通の5番(右)くらいの長さ

飛び系の7番(左)は普通の5番(右)くらいの長さ

次にロフト角です。飛び系アイアンのロフト角はコンベンショナルなアイアンのロフト角と比べると、こちらもモデルによって異なりますが、5度から10度近く立って設定されているのです。これもアイアンの番手に当てはめると2番手程度の差になりますね。

左が通常の7番アイアンで右が飛び系アイアンの7番。比較すると一目瞭然。ロフト角も通常のアイアンと比べるとかなり立った設定になっています。飛び系アイアンの7番のロフト角はコンベンショナルなアイアンだと5番に相当します

飛び系アイアンの飛びの秘訣(ひけつ)は「2番手分の長いクラブ長と立ったロフト角」に隠されています。つまり、飛び系の7番アイアンとコンベンショナルなアイアンの5番の長さとロフトはほぼ同じということなのです。そりゃ飛んで当たりまえですよね。だって5番のスペックのアイアンに7番って書いてあるわけですから。

しかし、飛び系アイアンの飛びの仕掛けがこれだけだったら、こんなに話題になったり売れたりすることはなかったでしょう。通常のアイアンで同じことをしたらパワーのない方であれば、ただ単にボールの上がらない難しいアイアンになっておしまいです。最新の技術を使った長くてロフトの立ったアイアンでも7番だ! といえる理由がちゃんとあるのです。

その1つに「ヘッドの低・深重心化」があります。ポケットキャビティや奥行きのあるデザインを採用することで重心を深く設計したり、ウェイトをソールに埋め込んだりソールを厚くすることで低い重心にしたりすることでロフト以上にボールが上がるように設計されています。ですので、5番アイアンのロフトや長さでも、通常の7番アイアンで打ったようなボールの高さが出るようになっているのです。ちなみに、7番アイアンの長さで、通常の形状の5番アイアンのロフトを持つクラブを作ったとすると、ヘッドスピードが出ないためボールを上げるのが大変難しいクラブになってしまいます。

ソール幅を比べると、飛び系アイアンのほうがが厚く設計されています。これはミスの幅を軽減させる役割もありますが、重心を下げることにもひと役買っているのです

飛び系アイアンのヘッドに多いポケットキャビティ構造。フェースすぐ裏の肉厚を削り、その分をヘッドの後方下側に配置することで重心を低く深くしています。これは立ったロフトでもボールを上げるための工夫。また打点のミスに強くなるという利点もあります

そしてもう1つの理由は軽量に作られているということ。いくらボールが上がるといっても5番のスペックで重さも5番のままですと、結局ハードなアイアンに仕上がってしまいます。軽く作ることで長さを感じさせず、でも実際には長いからヘッドスピードが出やすくなっているのです。

まとめると、飛び系アイアンは、コンベンショナルなアイアンと比べると5番アイアン相当の長さやロフトになっているが、現代の技術により可能となったボールの上がりやすいヘッド構造と長くても振り切れる重さのおかげで高さのある強い球が打てる。だから飛ぶというわけなのです! メーカーやモデルによってほかにもさまざまな仕掛けや工夫があります。それは以降モデルごとに紹介しましょう!

ここからは評価の高い飛び系アイアンの7製品を実際に試打し、飛距離や性能をチェックしたレポートをご紹介しましょう。テストは全モデル7番アイアンで行い、実際の飛距離性能やボールの上がりやすさなどを比べてみました!
ちなみにコンベンショナルな、いわゆる”軟鉄フォージドアイアン”の7番のデータを先にお伝えしておきますね。 

私が普通の7番アイアンを打つとこんな感じになります

私が普通の7番アイアンを打つとこんな感じになります

シャフト:モーダス3 TOUR105 S
長さ:37.0インチ
ロフト角:34度
打ち出し角:22度
飛距離:152.6ヤード

このデータを参考に、下記のインプレッションをどうぞ〜。

スカイトラックという機械を使って飛距離などを計測し、話題の飛び系アイアン7種をいろいろと比べてみました

スカイトラックという機械を使って飛距離などを計測し、話題の飛び系アイアン7種をいろいろと比べてみました

■試打1:UD+2アイアン(ヤマハ)

とにかく飛ぶのはコレ

<データ>
シャフト:純正カーボンSR
長さ:38.0インチ(コンベンショナルなアイアンの5番相当)
ロフト角:26度(コンベンショナルなアイアンの5番相当)
打ち出し角:17度
飛距離:192.3ヤード

1本目は、飛び系アイアンの火付け役といっても過言ではないヤマハのインプレスUD+2。このアイアンは“とにかく”飛距離が出ます。ほかのアイアンと同じように振ったのですが、記録した数値だけ見れば私のユーティリティーの飛距離です…。飛距離の秘密はつかまりのよさ。ボールをつかまえることによって強い弾道を生み、ただでさえ飛ぶ仕様にもうひと伸びの飛距離をプラスしていますね。半面、ボールをある程度つかまえられる人にはつかまりすぎてしまうことがあります。私の弾道もやや強めのフックでした。打ち出し角はコンベンショナルアイアンと比べるとやや低めですが、アベレージゴルファーでも十分高さが出る性能を持っています。スライス系のミスに悩んでいる人には、飛距離が出しやすい仕上がりです。

<評価>
飛距離    ★★★★★
顔のよさ   ★★★★☆
打感のよさ  ★★★☆☆
ミスの許容度 ★★★☆☆

ボールのつかまりが抜群によいUD+2。ミスの許容度が3なのは、ある程度ボールをつかまえられるゴルファーにはつかまり性能が過度になってしまう可能性があるため。そういったゴルファーは少しつかまり性能が控えめの軽量スチールのモデルを選びましょう

■試打2:TOUR B JGR HF1アイアン(ブリヂストンゴルフ)

飛距離性能に加えて直進性も高い

<データ>
シャフト:純正カーボンR
長さ:38.0インチ(コンベンショナルなアイアンの5番相当)
ロフト角:26度(コンベンショナルなアイアンの5番相当)
打ち出し角:17度
飛距離:185.8ヤード

2本目は、ブリヂストンゴルフのTOUR B JGR HF1アイアン。こちらも飛び系アイアンの雄として評価の高い1本。特徴としては高い飛距離性能に直進性の高い弾道といったところでしょうか。つかまり性能は程よく、狙ったところに打ち出しやすい印象で、直線的にコースを攻めたい方におすすめできる仕上がり。個人的なイメージとしては、昔バリバリやっていたシニアアスリートと相性がよさそうです。ヘッド自体は長さを感じさせないようにやや大きめ。重心を深くするために設けられたフランジがブレード後方よりのぞきますが、顔自体は通常のアイアンです。このへんもシニアアスリートに受け入れられそうな部分ですね。

<評価>
飛距離    ★★★★★
顔のよさ   ★★★★★
打感のよさ  ★★★☆☆
ミスの許容度 ★★★☆☆

狙ったところに打ち出しやすい適度なつかまり性能と、アスリート受けする顔が好印象。飛距離性能、高さも十分だと思います

■試打3:EPIC STARアイアン(キャロウェイ)

上級者にも好まれそうな”顔”

<データ>
シャフト:純正カーボンR
長さ:37.5インチ(コンベンショナルなアイアンの6番相当)
ロフト角:26度(コンベンショナルなアイアンの5番相当)
打ち出し角:18度
飛距離:182.5ヤード

お次はキャロウェイのEPIC STAR(エピックスター)アイアン。売れすぎて品薄状態が長く続いたヒットモデルです。上記の2本よりやや短いですが、飛距離性能は決して劣っていませんね。このアイアンのいいところは、ヘッドを大きくしていないところ。構えると長い分ちょっと小ぶりに見えるのですが、適度な操作性を持っていて飛び系ながらインテンショナルに球を操れます(曲げようと思っても曲がらないモデルもあるんです…)。ヘッドが小さめでトゥを丸くするなどの工夫があり、ラフからのショットでヌケがよさそう。上級者にも好まれそうな仕上がりです。

<評価>
飛距離    ★★★★☆
顔のよさ   ★★★★★
打感のよさ  ★★★☆☆
ミスの許容度 ★★★☆☆

ヘッドサイズが飛び系にしては小ぶりで、トゥ下側を丸くするなどヌケがよさそうな形。飛距離性能を高めつつ、アイアン本来の”狙う性能”もしっかり持ち合わせているのがこのモデルの特徴です

■試打4:M2アイアン2017年モデル(テーラーメイド)

ミスに強いアイアンが欲しいならコレ

<データ>
シャフト:純正カーボンS
長さ:37.0インチ(コンベンショナルなアイアンの7番相当)
ロフト角:28.5度(コンベンショナルなアイアンの5番と6番の間に相当)
打ち出し角:20度
飛距離:173.2ヤード

4本目はテーラーメイドのM2アイアン。このアイアンは個人的には飛び系のアイアンとは認識していません。ロフトが立っていてクラブ長も通常。飛距離は確かに出ますが、同じジャンルかといえば悩むところです…。とはいえ人気のテーラーメイド製品の中で飛距離性能がひときわ高いため、今回のラインアップに加えました。打ってみると、その性能はすばらしいのひと言です。このモデルの特徴はミスの許容度がとても高いこと。ソールの溝「スピードポケット」、フェース横にある溝「フェーススロット」のおかげで芯を外しても飛距離をロスしづらく、直進性の高い弾道を可能にしています。平均飛距離を集計したら飛び系と比べても間違いなく上位にくるでしょうね。

<評価>
飛距離    ★★★★☆
顔のよさ   ★★★★☆
打感のよさ  ★★★☆☆
ミスの許容度 ★★★★★

埋め込まれた樹脂が芯を外したときのエネルギーロスを抑え、芯を外しても飛距離ロスが少なく済む安定感の高いアイアンです

■試打5:シャトル エヌエックスワン アイアン(マルマン)

シャープな形状だが飛距離が出る

<データ>
シャフト:純正カーボンSR
長さ:38.0インチ(コンベンショナルなアイアンの5番相当)
ロフト角:27度(コンベンショナルなアイアンの5番相当)
打ち出し角:18度
飛距離:183.5ヤード

こちらはマルマンのシャトルNX-1( エヌエックスワン)アイアン。長さ、ロフトともにがっつり飛び系の設計になっています。顔はほかの飛び系と同じように長さを感じさせないようにやや大きめのサイズですが、形状が一番シャープ。トップブレードが薄く、ヘッド後方からのぞくフランジも最小限。クラブの仕上げもやや黒みがかったメッキを採用し、より締まって見えます。打感はやや硬めではありますが”はじき感”が気持ちいい。つかまりも適度で上級者でも違和感なく使えそうです。

<評価>
飛距離    ★★★★★
顔のよさ   ★★★★☆
打感のよさ  ★★★★☆
ミスの許容度 ★★★★☆

飛び系の要素を持ちつつ顔をシャープに仕上げてあり、鈍重なイメージが苦手な方にも受け入れてもらえる仕上がり。飛距離も文句なし

■試打6:ゼクシオ テン アイアン(ダンロップ)

ゼクシオは 総合力の高さで勝負する

<データ>
シャフト:純正カーボンS
長さ:37.5インチ(コンベンショナルなアイアンの6番相当)
ロフト角:29度(コンベンショナルなアイアンの6番相当)
打ち出し角:19度
飛距離:174.2ヤード

6本目はXXIO X(ゼクシオ テン)アイアン。改めて打つと本当によくできたアイアンだと感心します。打感、ミスへの許容度の高さ、やや高めのつかまり性能、すっきりした形状とアベレージゴルファーが結果を出すのにちょうどよい性能を実現しています。ですが最近の飛び系アイアン軍団と打ち比べると、さすがに飛距離は一歩及びません。それもそのはず、ロフトも長さもほかのモデルと比べて飛びに振った設定になっていませんから。それでもコンベンショナルなアイアンと比べて、20ヤード近く飛んでいますし、安定感も高い。総合性能で見れば1、2位を争う仕上がりです。

<評価>
飛距離    ★★★★☆
顔のよさ   ★★★★☆
打感のよさ  ★★★★★
ミスの許容度 ★★★★★

ミスに強いのに芯を外しても打感がいい。他の性能も申し分なく、総合的な完成度がすこぶる高い

ミスに強いのに芯を外しても打感がいい。他の性能も申し分なく、総合的な完成度がすこぶる高い

■試打7:TP766アイアン(フォーティーン)

きちんと”狙える”飛び系アイアン

<データ>
シャフト:NSプロ950GH HT(S)
長さ:37.5インチ(コンベンショナルなアイアンの6番相当)
ロフト角:29度(コンベンショナルなアイアンの6番相当)
打ち出し角:19度
飛距離:169.4ヤード

最後はフォーティーンのTP-766。カーボンシャフトの設定もあるのですが、試打クラブがスチールなので若干飛距離は控えめ。カーボンシャフトならもう少し飛距離は伸びたでしょう。ですが、ことさら飛距離を追求したモデルではなく、アイアン本来の「グリーンを狙う」機能を第一に考えながら飛距離性能をプラスした印象です。個人的には試打したスチールシャフトのほうがバランスはよさそうな気がしました。操作性は、今回試打した中では一番高く、ミスヒットにも強いので安定した結果を出せるアイアンに仕上がっていると思います。

<評価>
飛距離    ★★★☆☆
顔のよさ   ★★★★★
打感のよさ  ★★★★☆
ミスの許容度 ★★★★☆

狙ったところに打ち出しやすく、ボールの操作もある程度できる。アイアンの基本性能を高めつつ、飛距離性能を上乗せした欲張りアイアンです

飛び系アイアン・今回のまとめ

飛距離はゴルファー永遠のテーマです。誰だって飛んだほうが楽しい。ですが目標を狙うアイアンとなれば、飛ぶだけでは結果が出しづらくなります。方向性や自分のスイング、イメージと一致する性能を持ったクラブを選ぶ必要があります。

今回試打した印象では、飛び系アイアンの中でもモデルによって最優先の項目が異なっていると感じました。飛距離を第一に考え、ほかの性能を引き上げたモデルと、ほかの性能を引き上げつつそこに飛距離をプラスしたモデルがありました。選び方の1つの目安として「クラブ長」を見るといいですね。長いものほどやっぱり飛距離性能を重視した設計になっています。ぜひ参考にしてみてください。

<とにかく飛ぶのはこの3本>
UD+2アイアン(ヤマハ)
TOUR B JGR HF1アイアン(ブリヂストン)
シャトル エヌエックスワン アイアン(マルマン)

<ミスに強いのはこの4本>
M2アイアン2017年モデル(テーラーメイド)
ゼクシオ テン アイアン(ダンロップ)
TP766アイアン(フォーティーン)
シャトル エヌエックスワン アイアン(マルマン)

<打感がいいのはこの3本>
ゼクシオ テン アイアン(ダンロップ)
TP766アイアン(フォーティーン)
シャトル エヌエックスワン アイアン(マルマン)

小倉勇人

小倉勇人

ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。

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