実践主義! 高橋庄太郎の山道具コレクト
ホヤの上げ下げで2つの光り方に切り替え可能

登山での実用性は? ランタンにも懐中電灯にもなる「ハイアックランタン+フラッシュライト」


山中には、持っていかなくても済ませられる。しかし、あれば便利。そんな存在がランタンだ。オートキャンプではガソリンやガスを燃料としたタイプが今も人気だが、人力で荷物を運ばねばならない登山では軽量でコンパクトに持ち運べるLEDタイプの人気が圧倒的である。可燃性の燃料が不要というだけでなく、安全性の高いバッテリーや電池などで点灯できる点も、テント内や小屋内でのトラブルを避けるために有効だ。

2つの使い方ができるランタン

近年のランタンの多くは、細かな工夫を加えて進化を遂げている。ボタンを押せばライトが点き、もう1度ボタンを押すと消灯する……、そんなシンプルなLEDランタンはもはや少数だ。そんな中、今回ピックアップするUCO「ハイアックランタン+フラッシュライト」もおもしろい存在である。なにしろ、名称の後ろ半分は「+フラッシュライト」。つまりフラッシュライト、日本語で言えば懐中電灯としても使えるように設計されているのである。

はじめに基本性能を説明しておこう。単3形アルカリ乾電池4本を使用し、高照度で7時間、中照度で50時間、低照度で115時間点灯する。また、注意をうながす時などに効果的なストロボモードにもでき、その場合の点灯時間は50時間だ。いちばん光を強くした場合でも、それほど遅くまで起きてはいないはずの登山時ならば余裕でひと晩、実際には2〜3日はもつ。中照度にすれば、数回の山行でも十分に使えるだろう。

後述するが、ハイアックランタン+フラッシュライトは上下に伸縮する。ランタンとして使用する際は伸ばし、縮めるとフラッシュライトになるのだ。持ち運ぶ際の大きさは5.7(直径)×14.6(高さ)p。500mlペットボトルの2/3くらいのサイズ感だ

ホヤの部分を取り外した状態。単3形アルカリ乾電池4本が並んで直立するので、使用時の重量バランスがいい

ホヤの部分を取り外した状態。単3形アルカリ乾電池4本が並んで直立するので、使用時の重量バランスがいい

本製品の電池込みの重量は263gである。最近はUSB充電のランタンもあり、バッテリー込みで100gに満たないものもめずらしくはない。そういう意味では、ハイアックランタン+フラッシュライトは、軽さをウリに開発されたものではないことがわかる。これから紹介していくが、このランタンのメリットは、軽量ではないが光が強く、そのわりには長時間使え、悪天候時も安定性が高い……、そんな方向性の製品なのである。特に光の強さはおどろくほどだ。カタログ上のスペックでは180lmとなっているが、実際には数値以上の明るさを感じる。

LEDは本体上部に配置。LEDライトそのものは直径2〜3mmと、超小型だ。それも、たったひとつしか装備されていないのに、暗闇では想像以上の明るさである。近年のLEDの進化はすさまじい

ホヤの上部にはすり鉢状のリフレクターが装備されており、フラッシュライトとして使用する際にLEDの光を効果的に反射。わずかな光もムダにせず、前方にまとめて照射する

真上から見た状態。LEDがリフレクターの中央の位置にきれいに収まっている。構造は後ほど紹介するが、ランタンとして使用する際には、リフレクターに光が当たらない位置までホヤの部分を上げることで、一般的なランタンと同じような光り方となる

防水性は非常に高い。スペックを数値で表せば、「IPX6」の耐水性だ。「IP」とは「International Protection」の略語で、防水性と防塵性に関する機器の保護性能を意味している。そこに「X」が付くと防水性のみを表し、数値が高いほど性能は高く、「6」の目安は「すべての方向からの強い噴流水による有害な影響がない」というものだ。長時間水没させればいずれ浸水は起こるかもしれないが、台風による暴風雨の中でもまったく支障なく使えるわけで、アウトドアではありがたい仕様である。もっとも、この防水性とは電気製品としての機能を維持できる部分に関することであり、このランタンのホヤの部分には水が入る。だが、ライトとして使用する分には影響がない。

電池を入れる部分とホヤの接合部は水が入りにくい構造となっているうえに、パッキンも装備されている。その結果、高度な防水性を実現。他の部分はすべて完全接着されている

山の中で2つの光り方を確認してみる!

点灯した様子を見てみよう。先に述べたように、ハイアックランタン+フラッシュライトはホヤを上げ下げすることで伸縮する。以下はそれら2つの状態を比較した写真だ。フラッシュライトとして使用する際の14.6pという低さに対し、ホヤを上げると20.3pの高さとなり、中空になったホヤの部分がいかにもランタンらしい存在感を放っている。

フラッシュライト(左)とランタン(右)の高さの差は5.7cm。もっとも長い状態でも、500mlのペットボトルをわずかに細身にしたくらいである

地面に横倒しにして点灯すると、光が拡散する方向がよくわかる。左は短くしたフラッシュライトとして使用する際の光り方で、光はほぼすべて前方へ向かっている。いっぽう、伸ばしてランタンとして使用する時(右)はスリガラス状のホヤの効果で、周囲に光が展開する

キャンプ地の木に取り付けてみると、実際に使用する際の状況がもっとわかりやすいかもしれない。ハイアックランタン+フラッシュライトには下部に伸縮性のコードが装備されている。このコードを使えば、何かに引っかけたり、木の枝に巻き付けて固定したりすることも容易だ。ちょっとしたことだが、ほかのランタンには見られない工夫である。

直径3cmほどの伸縮性のコードが装備されている。これくらいの大きさがあれば、いろいろな場所にかけることができるだろう

テントの天井などにあるループにコードを通して吊り下げた様子。風でテントが激しくゆらいでも落ちることはなく、安心して使用できる

コードをいったん外し、木の枝を巻きこむようにして再固定。底面のくぼみに木の枝の丸みがぴったりとハマり、位置が安定する。今回は、この方法で光り方を比べてみた

主にフラッシュライトとして使用する時の状態ではあるが、ピンポイントでどこかを明るくしたい際には、スポットライト的ランタンとしても使える

通常のランタンとして使う状態では、下方への光は少ないが、周囲の枝にも光が届いている

通常のランタンとして使う状態では、下方への光は少ないが、周囲の枝にも光が届いている

ランタンとして使う状態で垂直気味に吊してみると、円形に光が拡散していることがよくわかる。だが、この吊るし方だと真下が暗い。少し斜めに固定したほうが屋外では使いやすいだろう

ホヤを下げ、短い状態にしてフラッシュライトとして使ってみた。ランタンとして使用する場合に暗くなってしまう方向こそ、明るく照らせる

もちろん、通常のランタンのようにテーブルや床、地面に置いて使うこともできる。その際の安定感もなかなかのものだ。縦方向に長いランタンの多くは重心が高く、少しだけ触っただけで転がってしまったり、強い風で倒されたりしがちだが、ハイアックランタン+フラッシュライトは同サイズの他モデルに比べれば、あまり転倒を心配する必要がない。

無人小屋で使った時の状態。床の一部には凹凸もあったが、バッテリーボックスが下の位置にあって重心が低いために、少々の振動ではゆれることすらない

本体底面には、スリットが入った弾力性がある樹脂パーツ(黄色い部分)が装備されている。このスリットの働きで左右のブレを防ぎ、安定感をさらにアップさせているのだ

山行を終えて

2つのスタイルで使用できるのが、ハイアックランタン+フラッシュライトの強みだ。キャンプ地や小屋の中で、食事の際はランタンとして使用し、トイレに行く時にはフラッシュライトとして手持ちで使うなど、これひとつあればとても便利である。個人的には、重心バランスのよさが高ポイントではないかと思う。直立させた時に安定するだけではなく、フラッシュライトとして手に持った時も、ホヤの曲線が手になじむこともあって、263gという重さを感じないのがすばらしい。

とはいえ、263gという重量自体は軽いとは言えない。ソロ山行時にひとりで使う際には広範囲を照らす必要もなく、このランタンは無用に重いばかりでオーバースペックだ。ひとり用にわざわざ持っていく必要はない。だが、グループ山行には適している。2人で使うものとしてひとつ持って行くのであれば、ひとり当たり約132g。4人なら、ひとり当たり約66gだ。そう考えれば、広範囲を照らせるハイアックランタン+フラッシュライトはちょうどよい。そして、悪天候時に強く、フラッシュライトとしても活躍するのである。ひとつ手元に置いておくと便利そうだ。

高橋庄太郎

高橋庄太郎

テント泊での登山を中心に1年の半分近くは野外で過ごす、山岳/アウトドアライター。好きな山域は北アルプス。「山道具 選び方、使い方」など、著書も多数。

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