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大人の夜遊び

こんな簡単にカニが釣れるとは! 投げるだけの「カニ網」釣りが楽しすぎた

竿で網を投げてカニを釣ろう!

釣り好きの友人から、竿(さお)で網を投げてカニを釣る遊びにいかないかと誘われた。PUFFY風にいうところの「カニ釣りいこう〜、カニ網でいこう〜〜」ってやつである。

普通の釣りでは網なんて投げないし、カニを釣るというのもあまり聞かない話だと思う。だが世の中にはカニを釣るためのカニ網というものが市販されており、実際においしいカニが簡単に釣れるのだ。

これがカニ網という道具

これがカニ網という道具

カニ網には、今回使うような投げるタイプ(投げカニ網)と、カゴ型の沈めておくタイプ(カニカゴ)があるのだが、カゴ型は地域ごとに定められている遊漁のルールで違反となる場合があるのでパス。また投げるカニ網も、カニ捕りが禁止されているエリアや、立ち入り禁止、釣り禁止のエリアでは当然使えないのでご注意を。

ではその投げるカニ網とはどんな道具なのかというと、これがなかなか説明しづらいアイテムなのだが、三角形に束ねられた網の頂点に、沈めるためのオモリと、ミカンが入っているネットみたいなエサ袋がついており、このエサ袋にイカやサンマを内臓ごとぶつ切りにしたものを入れて海に投げ込んでおくと、その匂いに誘われてやってきたカニが網に絡みつくという仕組みである。エサで寄せる待ち伏せ型の投網といったところだろうか。

そんなうまくいくわけないでしょうと思うようなこの仕掛けで、本当にカニが釣れるのである。……うまくいけば。

これがカニ網の全体像。赤いエサ袋にイカやサンマのぶつ切りを入れる

これがカニ網の全体像。赤いエサ袋にイカやサンマのぶつ切りを入れる

狙うべき場所は防波堤や漁港の岸壁などで、海底が砂地であることが大切な条件となる。岩などの障害物がある場所では、網がすぐに根掛かりしてしまうのだ。時間帯は昼間でも潮が濁っていれば釣れるという話もあるが、夜にやるのが一般的。

そういう釣りとか面倒だしカニくらい買いますよという人は、後半の料理編だけでも読んでいってください。すてきなカニソースのパスタが登場しますよ。

簡単にカニが釣れた!

そんなわけで、友人にとっては毎年の恒例行事であり、私は数年振りとなるカニ釣りへとやってきた。カニ網を丈夫な投げ竿にセットしたら、真っ暗な海に向かってポーンと投げる。遠くに投げる必要はあまりないので、リール竿がなくても丈夫なひもさえつけておけば一応投げられるのだが、竿を使うことで巻き上げのときに岸壁の障害物を避けることができる。

私は釣りの中でも、この夜釣りというやつが特に好き。ヘッドライトを頭につけて、我々以外は誰もいない真っ暗な波打ち際に忍び込んで(別に立ち入り禁止というわけではないのだが、そういう気分になるんですよ)、仕掛けを投げ込んでじっくりと待つというワクワクする時間。これぞ大人になってよかったなと思う瞬間の1つである。そして狙うのが大物の魚とかではなく、あえてのカニっていうのが最高じゃないですか。

カニ網を竿先にぶら下げた様子。これをポーンと海に投げる。網をしっかり開いておくのがポイント

カニ網を竿先にぶら下げた様子。これをポーンと海に投げる。網をしっかり開いておくのがポイント

カニ釣りに誘ってくれた友達。この健全な夜遊びっていう感じがいいんですよ

カニ釣りに誘ってくれた友達。この健全な夜遊びっていう感じがいいんですよ

カニ網の仕掛けを入れる数は、広い場所であれば1人あたり3セットくらい用意できるといいかな。日暮れからやる釣りなので、サンセット(日没)ということで。

なんてくだらないことを考えつつ、仕掛けを入れたら流れ星に願い事をしたりしつつ5〜10分間隔で巻き上げ、たまにエサを変えてやるというサイクルを繰り返す。すると網に絡まったカニが釣れるのである。

竿先にアタリが出たり、強い引きが味わえたりするわけではないので、釣りの醍醐味(だいごみ)としては微妙かもしれない。それでも真っ暗な水中から網に絡まったカニが上がってくるという、この日常生活からとても遠い様子に興奮しないわけがない。

こんな感じでカニ網に引っかかったカニが釣れるのだ。このオール型の足で海を渡る(泳ぐ)ので、ワタリガニと呼ばれるのだろう

カニに挟まれないかとビビっているため表情が硬い

カニに挟まれないかとビビっているため表情が硬い

釣れるカニは地域によって多少異なるが、通称ワタリガニと呼ばれるタイワンガザミがメインとなる。この日はイシガニやモクズガニ、さらにはサザエの殻を背負ったオニヤドカリなども混ざった。またエリアによってはタイワンがつかないガザミという高級なカニが釣れることもある。当たり前の話だが、釣れるのは全部生きたカニだ。

私は海のない埼玉県に育ったためか、海の生き物に対する憧れがとても強い。生きているカニを見る機会というのもなかなかないので、釣れたカニをじっくりと観察しているだけでも静かに気持ちが高ぶってくる。たまに挟まれて泣きそうになるけれど。

この青いのはタイワンガザミのオス。子供の頃にザリガニをつかんだこの手で、大人になってタイワンガザミをつかんでいるのだ

これはタイワンガザミのメス。同じ種類だが性別で色がまったく違う

これはタイワンガザミのメス。同じ種類だが性別で色がまったく違う

イシガニの大、中、小、極小の4匹セット。小さいのはリリース

イシガニの大、中、小、極小の4匹セット。小さいのはリリース

右がモクズガニで、サザエの殻に入っているのがオニヤドカリ。意外といろんな生物が釣れるのである

右がモクズガニで、サザエの殻に入っているのがオニヤドカリ。意外といろんな生物が釣れるのである

網からカニを外すのがちょっと大変だけれど、これはこれでパズルみたいで個人的には好きな作業だ

網からカニを外すのがちょっと大変だけれど、これはこれでパズルみたいで個人的には好きな作業だ

こうして釣れたカニは、輪ゴムでハサミを縛っておくと危なくないしカニ同士が喧嘩(けんか)をしないそうだ。一見すると職人技の難しい技術っぽいが、適当にやってもカニの突起に輪ゴムが引っかかってくれるので、意外とどうにかなってくれる。

これを海水をくんだバケツに入れて、酸欠防止に携帯式エア−ポンプでブクブクと空気を送ってやれば、生きたままキープすることができる。そして持ち帰るときは、寒い時期であれば水なしでも1時間程度なら意外と平気。水ありのブクブクなしだと、逆に酸欠で死んじゃうのでご注意を。

こんな感じでハサミと足を輪ゴムで縛っておく

こんな感じでハサミと足を輪ゴムで縛っておく

そんなこんなで4時間ほどカニ釣りをした結果、食べるのには十分な量の確保に成功。カニ釣りなんて久しぶりにやったけれど、やっぱりこれは楽しい夜遊びだ。

残念ながら大物は少なかったけど、十分な釣果である

残念ながら大物は少なかったけど、十分な釣果である

釣ってきたカニをさばく

カニの味は鮮度が命。せっかく生きているカニが手に入ったのだから、家に帰ったら眠いのを我慢してさっさと調理を始めてしまおう。冷蔵庫に入れておけば一晩くらいは生きているけど、やっぱり捕れたてが一番だ。

カニのさばき方は同行いただいた友人にバッチリと習ってきた。まずは輪ゴムで縛ったまま、フンドシと呼ばれる部分をパカッと起こし、砂を軽く洗い流したら、詰まっている砂を絞り出す。面倒だったらフンドシごと切り取ってしまってもOKかな。

フンドシ周辺の砂を取り払う

フンドシ周辺の砂を取り払う

そして縛っている輪ゴムを足側にずらして、フンドシ側からパカッと甲羅を外したら、この甲羅の内側にある砂袋と口をつまんでていねいに取り外す

これがカニの砂袋

これがカニの砂袋

続いて甲羅を外された側からガニと呼ばれるエラをむしり取って、砂袋をとった甲羅をかぶせなおせば、カニの下処理は完了。

慣れればあっという間で、カニをさばくというよりも、なんだか機械整備をしているような気分の作業だ。

ワシャワシャした部分がエラ(ガニ)。どのカニでもこの部分は食べない

ワシャワシャした部分がエラ(ガニ)。どのカニでもこの部分は食べない

友人いわく、一番うまい食べ方は紹興酒蒸しとのこと。その作り方は簡単で、下処理したカニに紹興酒を振りかけて、フワッとラップをかけて、加熱して沸騰してから10〜15分ほど蒸すだけだ。

蒸し器があれば一番だけれど、置き場所の関係で我が家にはないため、深めのフライパンとフタと皿で代用。そして紹興酒も近所に売ってなかったので、なんとなく芋焼酎で代用した。蒸し器と紹興酒、次のカニ釣りまでには買っておこう。

深めのフライパンに水を入れて、その中央にカニを積んだ皿を置いてラップをフワッとかけ、フタをして蒸す

深めのフライパンに水を入れて、その中央にカニを積んだ皿を置いてラップをフワッとかけ、フタをして蒸す

この皿に残った汁は捨てずにとっておきましょう

この皿に残った汁は捨てずにとっておきましょう

こうして蒸し上がったカニなのだが、これがびっくりするくらいうまかった。

カニ味噌(みそ)は濃厚なのに臭みはまったくなく、特にメスの内子(卵巣)は高級珍味のカラスミにも負けない深い味わい。そして身はワタリガニ(タイワンガザミ)に対する印象がガラッと変わるほど甘い。ワタリガニってこんなにうまかったっけ。

この黄色い内子がうまい

この黄色い内子がうまい

ただし、お察しのとおりで甲羅はトゲトゲしてとても硬く、苦労の割に可食部分がとても少ない。すごくうまいけれど、すごく食べづらいのである。食べることで得られるカロリーよりも、食べるために使うカロリーのほうが多いタイプの食材だ。

気が付けば指先には細かい傷。それに塩分のあるカニの汁が染みるんだ。でもそこがまたいとおしいのよ。

しっかりと詰まった甘い身

しっかりと詰まった甘い身

カニを丸ごと使って作る絶品パスタソース

蒸した新鮮なカニを大きなものから順番に堪能し、満足したところで次の料理へ。残った小さめのカニを使って、ニュータイプのパスタソースを作ってみることにした。

ワタリガニのパスタというと、ぶつ切りにしたカニが煮込まれたトマトソースが多いけれど、あれほど食べにくい料理はない。そこでカニをカニ肉として食べることは一切諦めて、100%ソースに使ってみることにした。

そのために使うのが丈夫なブレンダーだ。我が家にあるのは4年前に購入したブレンドテックというメーカーのもので、これがあればカニでも野菜でも鶏ガラでも、だいたいのものはペースト状にすることができる便利アイテム。まあまあ高いんだけど、買ってよかったと思える一台だ。という割に使う頻度は低いけど。

蒸したカニとトマトジュースをガーっとやります

蒸したカニとトマトジュースをガーっとやります

スイッチオン

スイッチオン

ガーー。ちょっとした電動ノコギリくらいはうるさいよ

ガーー。ちょっとした電動ノコギリくらいはうるさいよ

はい、ほんの数十秒でトマト味のカニスープが完成。ただし、このままだとさすがに砕かれた殻だらけなので、これを自作ラーメンマニアの友人に教わった「だしとりサンエース」という不織布の袋に入れて、しっかりと力を込めて絞る。

この袋はラーメンなどのスープを作るときに、食材を入れておくだし袋なのだが、ものすごく丈夫なのでこういう作業にも最適なのだ。

殻ごと砕いたカニをだしとりサンエースに入れる

殻ごと砕いたカニをだしとりサンエースに入れる

ギューっと絞れば、カニトマトジュースのできあがり

ギューっと絞れば、カニトマトジュースのできあがり

左がブレンダーで作ったカニトマトジュース、右が蒸したときに出てきた汁

左がブレンダーで作ったカニトマトジュース、右が蒸したときに出てきた汁

この絞りたてジュースを炒めたタマネギと一緒に煮詰め、塩で味を調整したらカニトマトソースのできあがり。

そして蒸したときに出た汁ももったいないので(カニとカニ味噌のエキスが溶けまくっている)、同じように炒めたタマネギと一緒に煮詰める。こっちには少し牛乳を加えてクリームソースにした。

オリーブオイルでタマネギのみじん切りを炒める

オリーブオイルでタマネギのみじん切りを炒める

炒めたタマネギにカニトマトジュースを加えて、じっくりと煮詰める

炒めたタマネギにカニトマトジュースを加えて、じっくりと煮詰める

こちらは蒸し汁のクリームソース。フライパンを洗わなかったので少しトマトの色が混ざった

こちらは蒸し汁のクリームソース。フライパンを洗わなかったので少しトマトの色が混ざった

そしてこのソースに合わせるパスタは、せっかくなので自分で製麺をしてみた。

趣味が製麺なのです

趣味が製麺なのです

こうしてできあがったのが、カニの姿は見えないけれど、ものすごくカニ感があふれるWソースのパスタである。

赤いカニトマトソースはカニよりもカニ味が濃く、そして山吹色の蒸し汁クリームソースはカニ味噌よりもカニ味噌の味だ。

ここにほぐしたカニの身を入れるとさらにうまいんだろうが、全部ガーってやっちゃったよ

ここにほぐしたカニの身を入れるとさらにうまいんだろうが、全部ガーってやっちゃったよ

茹でたパスタを中心に左右にそれぞれのソースを掛けて、まずは単独の味を楽しみ、続いて少しずつ混ぜながら食べるという贅沢(ぜいたく)。この食べ方は、子供の頃に母親がカレーとホワイトシチューを同時に作ったときに編み出した攻略法だ。

ソースを混ぜる比率によってひと口ごとに味が違うのが楽しい。味付けは塩のみだがこれで十分。生きたカニを使っているため、嫌な臭みはまったくない。

すっごくカニ感が強い!

すっごくカニ感が強い!

こうしてできあがったひと皿のパスタは、夜中に友人とカニを釣ったり、眠い目をこすりながらカニをさばいたり、やったことのない調理法に挑戦してみたり、そんな思い出による加点も含めて、最高においしく感じられた。

玉置標本(たまおきひょうほん)

玉置標本(たまおきひょうほん)

食材採取と製麺が趣味のフリーライター。身近な動植物を捕って食べたり、家庭用製麺機でラーメンを作る日々。 著書「捕まえて、食べる」、同人誌「趣味の製麺」が発売中。
私的標本:http://blog.hyouhon.com 趣味の製麺:http://www.seimen.club

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