いいモノ調査隊

ソロキャンプで食べたい“最強の1人飯”はこれだ! 自慢の料理プレゼン大会

これが俺たちの考える最強のソロキャンプ飯だ!

これが俺たちの考える最強のソロキャンプ飯だ!

キャンプといえばアウトドア上級者の遊びというイメージがあったのだが、ここ数年は便利で軽量なグッズや設備が充実したキャンプの登場もあって、初心者がゆるい感じで楽しむ流れもあるようだ。特に1人で気ままにソロキャンプを楽しむ人も多いとか。具体的にはピン芸人のヒロシさんとか、バイきんぐ・西村瑞樹さんとか、ロックバンドの人間椅子・和嶋慎治さんとか。

私はアウトドアの遊びが好きなのだが、魚を釣ったり野草を採ったりに偏っていて、いわゆるキャンプというものをほとんどやらずにここまで来てしまった。これってもったいないことではなかろうか。そこで流行に乗ろうというワケでもないのだが、今年はソロキャンプデビューをしてみたいと思う。

だがその前にまずは練習として、アウトドアでの1人飯を作ってみよう。ごはんがおいしければ、キャンプは8割成功である。テントの設営は後回しだ。でも1人だと寂しいしいろいろなアイデアを見たいから友人を呼びだして、みんなでソロキャンプ飯ごっこはどうだろう。

「なんだよ、みんなでソロって」と、つっこみたいことだろう。私もちょっと思った。でも楽しそうじゃないですか。結果的に「みんなでそろって」みたいな言葉になったが、もちろん作る料理はバラバラである。となると参加メンバーは、いわゆるキャンプのベテランというよりも、ちょっと個性のある料理上手を集めたほうが予想の斜め上をいってくれるのでは。

みんなでソロキャンプ飯という謎の会合に集まってくれた奇特なメンバー。左から田中さん、辻村さん、玉置(私)、鬼頭さん、うさぎさん。10年振りに集まるヒーロー戦隊の敵役同窓会ではない

複数人が集まってアウトドア料理となれば、みんなで作るバーベキューやカレーライス、あるいは芋煮などが定番だが、今回はあくまでソロキャンプ飯の練習。どんな道具を使って、何を作るのかはすべて自由。各自が設定した架空のシチュエーションの中で、自分の食べる分の食事を調理して、そのこだわりをプレゼンし合う遊びなのだ。

はたしてどうなることやらまったく未知数だったのだが、やってみるとそれぞれの個性がしっかりと出て、すごくおもしろかったのだ。


すべてアバウトで大丈夫、適当シーフードリゾット

1人目は鬼頭哲さん。バリトンサックスを渋く吹くミュージシャンであり、自分で小麦粉から作った自家製麺のラーメンをほぼ毎日食べる人でもある。

鬼頭:「『おいしいごはん』を炊くことに命を賭け、繊細な水加減と火加減に気を配り、中には10万円以上もする炊飯器を買う人までいる『日本人の心』が開放される料理、それこそがキャンプ飯!」

こんなこといってますが、主食はラーメンの鬼頭さん。アウトドア経験はあまりないそうですが、バンドの海外ツアーで現地の食材を使った料理をすることも多いとか。どうやら水加減や火加減にこだわらないお米料理を作るようです。

背負っているのはスーツケース並みの容量を誇る完全防水バッグ。たくさん荷物を入れても肩への負荷が軽く、荷物が少ないときはストラップのアレンジでコンパクトにもなる

カセットコンロは風防付きのアウトドアモデル。チーズおろしは削る面積がそこそこ大きく、丈夫な釣鐘型がお気に入り

●適当シーフードリゾットの作り方

・パルメジャーノやペコリーノなど、塩気の強い塊のチーズを削っておく。料理用は粉末に、途中飲みながらのツマミ用にスライスも。とにかくケチらないこと! たっぷりドッサリ!

・鍋にバターをドカ! っと入れ、弱火にかけてタマネギ半玉分のみじん切りをしんなりするまで放置。

・だいたい半合(洗わなくていい)の米を透き通るように炒めて、白ワインと水を加えて(米の2倍くらい)中火にする。

・冷凍シーフードミックスを好きなだけ、ターメリックを好みの色合いになるぐらい入れ、たまに「焦げてないかなー?」と様子を見つつ、飲みながら8〜10分ほど煮込む。水気が少ないようなら途中で足しても大丈夫。

・米に少し芯が残るくらいまで煮えたら、カットしたピーマンとトマトを加え、たっぷりの削ったチーズで塩加減と「ぽってり感」を調整して、皿に盛り付けて完成!

「ライブツアーもキャンプみたいなもんで、演奏以外はあまりすることがないから、よく料理を作っています」と、慣れた手つきで野菜を刻む鬼頭さん

チーズはケチらずにたっぷりと使うのがコツ

チーズはケチらずにたっぷりと使うのがコツ

たっぷりのバターでタマネギを炒める。分量はすべて適当でOK

たっぷりのバターでタマネギを炒める。分量はすべて適当でOK

余ったワインはもちろん飲む

余ったワインはもちろん飲む

ツマミが足りなくなったら削る。羊の乳で作られたペコリーノ・ロマーノがうまいんだ

ツマミが足りなくなったら削る。羊の乳で作られたペコリーノ・ロマーノがうまいんだ

現場までの保冷剤代わりにもなる冷凍のシーフードミックス

現場までの保冷剤代わりにもなる冷凍のシーフードミックス

本来はサフランを入れたいところだけど、ちょっと高いのでターメリックで色を付ける。ウコンなので酒との相性もいいはず

仕上げにピーマン、トマト、チーズを加えれば、簡単シーフードリゾットのできあがり!

仕上げにピーマン、トマト、チーズを加えれば、簡単シーフードリゾットのできあがり!

鬼頭:「生米から作る本格的なリゾットだけど、『とにかく適当でOKだから!』ってアピールしたくて、慣れないお酒を飲みながら(大ウソ)作ってみました。今回は撮影ということで、彩りや具材を華やかにしたけど、基本のバター&タマネギ、そして塊から削ったチーズさえ使えば、どんな具材を入れてもおいしいので、ぜひ試してください!」

●みんなの感想

辻村:「チーズたっぷりリゾット、間違いないおいしさです。まだ誰も飲んでいない段階で、流れる動作でワインボトルからタンブラーにワインを注いでいたので後に続きました」

田中:「うまかったです。アウトドアで豪快に削った塊のチーズ、すごくいいですね!」

玉置:「さすが旅慣れしている男の料理。フリーセッションのように気負わず作るスタイルがカッコいい」

うさぎ:「『誰がテキトーに作ってもおいしくできる、それがリゾットのいいところ』と、名言を残した鬼頭さんのリゾットは、チーズのコクと香りが最高! 飲みながらササっと作れてしまうところもまねしたい」


フライパン1つで作る、ラムチョップと焼き野菜&トマトと黒オリーブの手抜きフィデウア

2人目はプロダクトデザイナーの辻村哲也さん。レシピ本を出したり、1日店長イベントなどもこなしたりする料理上手。ただしアウトドアでの料理経験はほとんどなく、屋根のないところで飲む機会も花見くらい。

辻村:「いつも家で作っている『手抜きフィデウア(辻村発案フライパン1つで作るパスタ)』が、アウトドアや災害時に向いているという話をよく聞くので、外で作ってみる実験。想定としては電車移動のソロキャンプ、荷物少なめ設定で!」

フィデウアとはパスタで作るパエリアのこと。詳しくは辻村さんのブログ(こちら)をどうぞ。ちなみに私はフィデウアという単語が覚えられず、フィラデルフィアとかヒダリウチワとか言ってしまう。

とりあえずビールを飲む辻村さん

とりあえずビールを飲む辻村さん

●家でやっておくこと

・焼いておいしい野菜(今回はフルーツ人参、芽キャベツ、菜の花、甘長唐辛子、マッシュルーム)を適当に切り、塩こしょうとオリーブオイルをまぶし、袋に入れる。

・ラムチョップに塩こしょうをして、オリーブオイルをまぶし、袋に入れる。

・パスタ(1.4ミリの茹で時間5分)を3つに折って、袋に入れる。

・小分け用の袋に、クミンシードと粗挽き唐辛子を入れておく。

用意した食材はこちら。ちなみに左上の音楽フェスに最適だという双眼鏡は辻村さんがデザインしたもの

用意した食材はこちら。ちなみに左上の音楽フェスに最適だという双眼鏡は辻村さんがデザインしたもの

電車移動を想定ということで、超コンパクトなカセットコンロをセレクト

電車移動を想定ということで、超コンパクトなカセットコンロをセレクト

アウトドア用の鍋ではなく愛用のフライパンを持参。鉄製で高温にも強くさびず長く使える優れもの

アウトドア用の鍋ではなく愛用のフライパンを持参。鉄製で高温にも強くさびず長く使える優れもの

●ラムチョップと焼き野菜の作り方

・フライパンに野菜を並べて、蓋をして中火にかける。あまり混ぜず、ときどき返しながら焼き、焼き色がつき火が通ってきたら、いったん取り出す。

・同じフライパンに油を少し加え、ラムチョップの片面にクミンシードと粗挽き唐辛子をまぶして焼く。

・ラムの表面に焼き色がつき、ミディアムレアに焼けたら取り出して(油が多く出ていたら適宜取り除く)、野菜を戻してラムの油で炒め合わせ、肉を戻す。

「炒めるのではなく焼く。焼いた野菜うまい普及協会をやっています」と辻村さん。もちろん冗談ですよ

「炒めるのではなく焼く。焼いた野菜うまい普及協会をやっています」と辻村さん。もちろん冗談ですよ

ラムの焼ける音と匂いがたまらない

ラムの焼ける音と匂いがたまらない

こんなのうまいに決まっている

こんなのうまいに決まっている

「ラムと野菜をつまみに酒を飲みます」と、2缶目を開封

「ラムと野菜をつまみに酒を飲みます」と、2缶目を開封

辻村さんの料理はこれで終わりではない。ここから炭水化物へと移行するコース仕立てなのだ。ソロ飯だからこそ、じっくりと食事の時間を楽しみたいのだろう。

●トマトと黒オリーブの手抜きフィデウアの作り方

・同じフライパンにパスタを入れて広げ、ミニトマト、黒オリーブ、塩、ひたひたの水を注ぎ、蓋をして火にかける。

・沸騰したら火を弱め、パスタの茹で時間+1〜3分で水気がなくなるよう火加減を調整。水がなくなったら仕上げにオリーブオイルを少し回し垂らす。

肉と野菜を焼いた鍋で、そのままフィデウアを作る。アウトドアなので燃料が節約できる細いパスタをセレクト

肉と野菜を焼いた鍋で、そのままフィデウアを作る。アウトドアなので燃料が節約できる細いパスタをセレクト

パスタに火が通り、水分が程よく飛んだらできあがり

パスタに火が通り、水分が程よく飛んだらできあがり

辻村:「普段家で作っている手抜きフィデウアですが、外という慣れない環境と摂取アルコールのせいで水加減や火加減がうまくいきませんでした。それでもそれなりに食べられるものができることがわかったので、やはりこの方法はいいな! と再確認できました」

●みんなの感想

鬼頭:「野菜の彩りやスパイスの繊細さとラム塊肉の豪快さ。これはモテる料理だなぁ」

田中: 「ラムチョップ、スパイスが効いてうまいです。パスタのトマトもホクホクでした」

玉置: 「1つのフライパンでコース仕立てになっているのが、コンパクトですてき」

うさぎ:「シャレオツー! パスタは具材から出る旨みたっぷりの汁を吸い上げてデリシャス!」


餃子の皮で作る、インスタントなほうとう風汁

3人目はイラストレーターの田中としひささん。手打ちうどんなどを作って食べて同人誌にするサークル「うどん会」の麺打ち番長で、サイクリスト(自転車乗り)でもある。

田中:「設定は自転車ツーリングでの1人飯。できるだけ装備は軽く、材料はどこでも手に入るもので作ります。でも本当にソロキャン1人飯で一番好きなのは、家から持ってきた握り飯とカップ麺。それだと記事的につまんないかなと思って己の心を捏造しました。本来なら生肉も酒も持っていかない!」

外で食べる冷えたおにぎりと熱いラーメンの組み合わせ、最高ですよね。でも今日は張り切って料理してください。うどん会だけにうどんを作ると思ったら、なぜか餃子の皮が……。

自転車旅行中の食事ということで、あえて用意されたテーブルではなく、地べたで作り始めた

自転車旅行中の食事ということで、あえて用意されたテーブルではなく、地べたで作り始めた

●インスタントなほうとう風汁の作り方

・家で切ってきた大根、にんじん、ねぎ、油揚げ等を、水と酒で煮る。

・根菜が柔らかくなったら豚肉を入れ、インスタント味噌汁で味をつける。

・肉に火が通ったら餃子の皮をしゃぶしゃぶの要領で1、2枚ずつ入れて食べる。

・餃子の皮は水分を吸うので、適宜水か酒を足す。肉はベーコンやソーセージでも可。餃子の皮は家でやる鍋でも、軽めのうどん代わりに使えておすすめ。

どんな料理を作ろうとしているのか、まったくピンとこない食材だ

どんな料理を作ろうとしているのか、まったくピンとこない食材だ

鍋がセットになった小型のガスバーナーを使い、水と酒でカットした野菜などを煮込む

鍋がセットになった小型のガスバーナーを使い、水と酒でカットした野菜などを煮込む

味付けはダシの入ったインスタントの味噌汁におまかせ

味付けはダシの入ったインスタントの味噌(みそ)汁におまかせ

ほうとう(山梨名物の煮込みうどん)の代わりに入れるのが餃子の皮。乾麺のうどんだと塩分があるので、しょっぱくなりやすいそうだ。それにしてもワンカップがよく似合う

折りたたみ式の風防があると風の日も安心

折りたたみ式の風防があると風の日も安心

餃子の皮ならすぐに火が通るし、食べる分だけ入れれば煮崩れもしない。さすが放蕩親父

餃子の皮ならすぐに火が通るし、食べる分だけ入れれば煮崩れもしない。さすが放蕩親父

「おまえも食べたいのか? でも野良猫にエサをあげるのは……」

「おまえも食べたいのか? でも野良猫にエサをあげるのは……」

「そんな顔をされても、ダメなものはダメなんだよ」

「そんな顔をされても、ダメなものはダメなんだよ」

「そんな鳴くなって……」

「そんな鳴くなって……」

「ごめんな、お前が人間だったら一緒に食べられたんだけど」

「ごめんな、お前が人間だったら一緒に食べられたんだけど」

「じゃあ人間だったらいいんですね」とでも言いたげな表情で去っていく猫

「じゃあ人間だったらいいんですね」とでも言いたげな表情で去っていく猫

しばらくすると、いつのまにかやって来た猫舌の女性が、黙って田中さんの料理を食べていたのだった。

「……人間だからいいか」と田中さん

「……人間だからいいか」と田中さん

田中:「自分があまりにもここに住んでいる人っぽいので、せめて自転車に乗ってくればよかった。 それにしても、あの女性はいったい誰だったんですかね」

●みんなの感想

鬼頭:「餃子の皮とは! 手軽な代用品を見つけるのもキャンプ料理の醍醐味だと思い知らされた、目からうろこの簡単美味レシピ。あと、地面に座って料理すると『ホーム感』がスゴいってのも思い知った」

辻村:「ほかのメンバーがテーブルを使う中、地面に座ってのワンカップ姿に感銘を受けました。『あのとき助けていただいた猫です』とか勝手にアフレコしてすいません」

玉置:「これぞ男の1人飯。餃子の皮は茹で時間も短いし、シャブシャブみたいな作業も楽しいですね。最後のシーンは、どん兵衛のCMかと思いました。ほらメガネだし」

うさぎ:「まさに『チャリで来た!』と言わんばかりの軽装備で、いったいどこに食材や機材があるのかな? と思いきや、サッと作り上げてしまった。持ち運べる量に制限のある自転車ならではのキャンプ飯!」


固形燃料で炊ける釜飯セットが超便利、白米と干物と味噌汁

4人目は私である。自分でこの企画を発案しておいて、ギリギリまでなにを作るか決まらなかった。だって遠足のお菓子を考えるよりも楽しいんだよ、キャンプにおけるソロ飯を考えるのって。

玉置:「釣りをしながら車中泊で旅をしている男の1人飯。ごはんを飯盒で炊くのは難しそうなのでパスして、旅館でおなじみの1人用釜飯セットを購入。昨日は夜釣りでアジが釣れたから、それを昼食にしようかなっていう設定で作ります」

アウトドアでは荷物を少なくするのがセオリーだが、車移動ということでそこは無視して、どれだけごはんを簡単に炊くことができるかにこだわってみた。おいしいごはんさえあれば、あとはなんでもいいじゃない。

味噌汁が田中さんと種類までかぶった。アジは私が釣ったものだと思ってください

味噌汁が田中さんと種類までかぶった。アジは私が釣ったものだと思ってください

●白米と干物と味噌汁の作り方

・釣った(という設定の)アジは背開きにして、塩分濃度10%の塩水に30分ほどつけて、よく拭いてから1〜3時間ほど天日で干す。

・米1合を研いで水切りをして、釜の中で160ccの水に30分浸してから30gの固形燃料で炊き、火が消えてから10分蒸らす。

・保温力の高いタンブラーでインスタントの味噌汁を作る。

・干物をこんがりと焼く。それぞれができあがるタイミングをそろえるのがコツ。

アジは背開きにして、内臓を出しておく

アジは背開きにして、内臓を出しておく

ジップ付きの袋に10%の塩水を200cc入れ、そこにアジを30分ほど漬けこむ

ジップ付きの袋に10%の塩水を200cc入れ、そこにアジを30分ほど漬けこむ

干す前にしっかりと水分を拭き取ることが、短時間で干物を仕上げるポイントだ

干す前にしっかりと水分を拭き取ることが、短時間で干物を仕上げるポイントだ

試供品でもらったコレ、厚みがあってすごくよかったです

試供品でもらったコレ、厚みがあってすごくよかったです

トンビやカラスから守る意味でも干し網がベターだが、虫のいない冬なら洗濯用のピンチハンガーでも大丈夫

トンビやカラスから守る意味でも干し網がベターだが、虫のいない冬なら洗濯用のピンチハンガーでも大丈夫

アウトドアで干物、なんだかいいじゃないですか

アウトドアで干物、なんだかいいじゃないですか

干物を干している間にごはんを炊く。アウトドアでこそ固形燃料を使う1合炊きの釜飯セットが便利だろうと、日本製のプロ仕様を購入した

火が自然と消えてから10分ほど蒸らす。釜の内側に目盛りがないので、計量カップは必須

火が自然と消えてから10分ほど蒸らす。釜の内側に目盛りがないので、計量カップは必須

アジを焼いたら干物定食のできあがり。道の駅で漬物でも買ってくればよかった。サーモスの真空タンブラーなら、冬でも味噌汁が冷めにくい

玉置:「固形燃料で炊くごはん、目を離しても焦げないのですごく簡単。気温(水温)が低いとダメかと思ったけど、ちゃんと炊けてる。1食で1合が多ければ、残ったごはんに味噌汁でもかけて再加熱すれば雑炊になるかな。もちろん家でも旅館気分が味わえるし、買ってよかった。ただし収納に難あり」

●みんなの感想

鬼頭:「言い出しっぺはどんなヒネリを見せてくれるのかなーと思っていたら、意外や直球勝負。あっという間に干物ができたのはさすが。 しかしこの飯は『ソロキャンプ』って横文字の献立じゃないよなー、『孤独の野営』だな」

辻村:「塩水につけて干すだけで、ふんわりしながらもちゃんと生とは違う味と食感で、なるほど干物。固形燃料でごはん炊くのも手軽でいいですね。道具かさばるけど」

田中:「アジの1時間干しはまねしたい。米もあれで炊けるもんなんだ! 簡単でいいですね」

うさぎ:「釣ったアジをサッとさばけばたちまちキャンプのヒーロー。その勇姿に公園の猫もメロメロでしたね。ミニ羽釜で炊かれた米もポイント高い!」


電気があればなんでもできる! 彩り野菜の焼きサラダとジャーマンピザ

最後に紹介するのはゆーきうさぎさん。ウサギのブリーダーだったり、元パティシエだったり、初対面のときは大勝軒の山岸一雄さんのコスプレでラーメンを作っていたりと、やたらと情報量の多い彼の持参した道具は、ちょっとした引っ越しみたいな量だった。前世は弁慶なのかもしれない。

うさぎ:「車にモトコンポ積んで、子供のように遊びまわって、ゆっくりピザでも食べながらあったかいコーヒー飲んでひと休み。テントとかランタンとか、今日はデイキャンプなのでいっさい使わないですけど、雰囲気づくりに持ってきています」

本日は1人分の食事を作る会であり、ソロキャンプをイメージしてくださいという話はしっかりと伝えた結果がこの荷物である。はたしてアウトドアという環境下で、ピザをどうやって焼くのだろうか。これからレンガを積んで釜戸を作るといっても彼の場合は驚かないぞ。

相撲部屋のちゃんこ番ではない

相撲部屋のちゃんこ番ではない

●彩り野菜の焼きサラダの作り方

・材料を切って、スキレットにオリーブオイルを引き、ズッキーニから焼いていく。

・こしょう、塩、バルサミコで味をつけて、削りチーズをかけて、真ん中に持参した半熟卵を割って完成。

「1人前だとこれくらいですかね、野菜はたっぷり食べないと」と、冷静に語るうさぎさん

「1人前だとこれくらいですかね、野菜はたっぷり食べないと」と、冷静に語るうさぎさん

しっかりと焼き色をつけるには、鍋側と蓋側の両方で焼けるコンボクッカーが便利。鋳物の重たい鉄鍋でじんわり焼くからこその味になるとか

焼いた野菜ってうまいよねと、辻村さんが隣で頷いていた

焼いた野菜ってうまいよねと、辻村さんが隣で頷いていた

この焼きサラダを食べ終えたところで、「ちょっとコーヒーでも飲もうかな〜」と取り出したのは、あっという間にすぐに沸くティファールだ。

それって電気がないと使えないでしょと思ったら、なんと発電機を持参していたのである。この魔法の箱さえあれば、家庭にあるすべての家電がアウトドアで使えるようになると気づかされた瞬間だ。

ちなみにここの管理者の方に発電機の利用を確認したところ(駆動音がするため禁止されている場所もある)、今日は利用者も少ないので、大きなボリュームで音楽を流したり、川に電気を流して魚を取ったりしなければ(本当に言われた)、問題ないとのことだった。

「発電機があればなんでもできますよ! 携帯の充電は大丈夫ですか?」とスイッチオン。業者の方ですか。あるいは四次元ポケットのないドラえもん

アウトドアでティファールという新提案

アウトドアでティファールという新提案

温かいコーヒーを飲み干したところで、テーブルにラップを広げて、本日のメインであるピサを作り始めた。ピザを焼くのは電気式のピザ窯だ。フォークソングのイベントに電子ドラムとシンセサイザーを持参して、「何か問題でも?」と言い切れるような心の強さを感じる。

●ジャーマンポテトピザの作り方(参考になりませんが)

・生地をニーダー(水と粉を混ぜる機械)でこねて、タッパーで持って出かけよう。

・キャンプ場に着く頃には発酵が終わっているので、そのまま伸ばして好きな具材(今回はベーコン、タマネギ、ジャガイモ、アスパラ、チーズ、マヨネーズ)を適当にのせたら、ピザマシンに投入。簡単だね!

これだけ道具を持ってきておいて麺棒を忘れた。鬼頭さんのワインボトルで生地を伸ばす姿がかわいい

これだけ道具を持ってきておいて麺棒を忘れた。鬼頭さんのワインボトルで生地を伸ばす姿がかわいい

具をこれでもかとのせて、全力でマヨネーズを絞り出す

具をこれでもかとのせて、全力でマヨネーズを絞り出す

最大410度まで上がり、石釜風のサクサクしたピザが焼けるピザメーカー

最大410度まで上がり、石釜風のサクサクしたピザが焼けるピザメーカー

「これで1食分ですかね、ちょっと具とマヨネーズが少なかったかな」だそうです

「これで1食分ですかね、ちょっと具とマヨネーズが少なかったかな」だそうです

ピザは流動食

ピザは流動食

「はい、ピザざんまい!」 我々にも配ったら食べ足りなかったようで、すぐに2枚目のピザを焼いた

「はい、ピザざんまい!」 我々にも配ったら食べ足りなかったようで、すぐに2枚目のピザを焼いた

うさぎ:「焼きサラダはさっぱり、ピザは重めでバランスがいいかな。焼きサラダはもう少し工夫してもよかったと反省。ピザはとてもボリューミーで個人的にはヨシ! と思いました」

●みんなの感想

鬼頭:「『ソロキャンプ』っていうか完璧に『ワンオペのお店』ですやん……。みんなに振舞ってたけどホントはあれぐらい1人で食えるのか?」

辻村:「こちらが事前にどうしようかとかと考えていたことを、全部吹っ飛ばす装備と物量!! まいりました。アウトドアAC100V万歳!」

田中:「ひとりフル装備キャンプ飯すげえ! ピザが熱くて厚くてうまい!」

玉置:「ソロキャンプだから道具を減らさなきゃいけないという常識を覆すコロンブス的発想はさすが。キャンプ初心者女子とかが困っていたら(携帯の充電が切れたりで)、現地で頼られそうだ。 発電機、欲しいなー」


ソロキャンプ飯は自由で楽しい

ということで、ひと口にソロキャンプ飯といってもその楽しみ方はさまざまなんだなということがよくわかりました。これぞ大人の自由、そして異文化コミュニケーション。友人たちのいつもとちょっと違う一面が見えたところも興味深かった。

もう少し暖かい季節になったら、次は泊りがけのキャンプに挑戦してみたいと思います。これに味をしめて、また「みんなでソロキャンプ」になるかもしれませんが。

実際はこんな距離感で、5人と1匹がそれぞれが好き勝手にやっている空間は最高に居心地がよかったです

実際はこんな距離感で、5人と1匹がそれぞれ好き勝手にやっている空間は最高に居心地がよかったです

謎の女性は撮影係で来ていた担当編集のしえるさんでした

謎の女性は撮影係で来ていた担当編集のしえるさんでした

玉置標本(たまおきひょうほん)

玉置標本(たまおきひょうほん)

食材採取と製麺が趣味のフリーライター。身近な動植物を捕って食べたり、家庭用製麺機でラーメンを作る日々。 著書「捕まえて、食べる」、同人誌「趣味の製麺」が発売中。
私的標本:https://blog.hyouhon.com 趣味の製麺:https://www.seimen.club

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