キャンプなどで布団代わりの存在となる「寝袋」。「シュラフ」や「スリーピングバッグ」と呼ばれることもありますが、その名のとおり、袋のような形状となっており、その中に入って寝ます。この特集では、初めての寝袋を選ぶ際に知っておくべきポイントをアウトドアライターが紹介します!
寝袋を選ぶ際にもっとも気をつけてほしいのは、使用に適した温度であるかどうか。寝袋のスペックには「快適睡眠温度域」や「下限温度」など、メーカーにより表記は異なるものの、「外気温何℃までなら快適に使用できる」ということが記されています。使用する場所の最低気温から-5℃を目安に快適温度を選ぶと安心です。ただし、一部のモデルには、目安温度が示されていなかったり、「夏用」「3シーズン用」「オールシーズン用」という表記になっていることも。外気温がシビアに影響する際には、きちんと目安温度が記されたモデルを選ぶほうがいいでしょう。
快適に使用できる温度は収納袋上に書かれていたり、カタログ上のみの記載だったりとモデルによりさまざま。写真の寝袋の場合、外気温20℃から-5℃まで使用でき、快適に寝られる温度「COMFORT」は5℃に設定されています。使用する場所の最低気温から-5℃を目安に快適温度を選ぶといいということなので、この寝袋なら、最低気温が10℃を下回らないところで使うのがベストでしょう
使用する場所の気温に対応する寝袋を選ぶことは大前提として、次に決めるのは形。基本的なタイプは「封筒型」と「マミー型」ですが、そこから派生したモデルもラインアップされています。使い方を考慮して、自分に合うタイプを見つけましょう。
「封筒型」は、上がけ布団を半分に折ったような形をしており、サイドに装備されたファスナーを開けて中に入ります。ファスナーを全開にして寝ることもできるので、暑い時は足を外に出すことも可能。家の布団のような感覚に近いため、初めてでも違和感なく眠れます。ただし、肩口が広く開いており、気温の低い場所で使用する場合には、寒く感じることも。一般的にマミー型よりも保温性は低めで、収納サイズも大きくなります。春から秋のオートキャンプに向いているタイプといえるでしょう。
コールマン「コージーU/C5(オレンジ)」
幅が84cmあるので、ゆったりと寝られるでしょう。内側にはポケットが装備されており、スマートフォンなどを入れておくことも可能。抗菌機能付きで清潔さも保てます。快適温度は5℃以上で、収納サイズは約26(直径)×42(長さ)cm
マミー(ミイラ)のような形をした「マミー型」は、顔を出す部分にフードが付いており、開口部をヒモで締める仕様。外気が寝袋内に入りにくく、中の熱も外に逃げにくいのが特徴です。もともと体にフィットするように作られているため、寝袋内に無駄な空間が少なく、保温性は高め。寒い場所でも快適に寝られる機能を備えているモデルも多く、収納サイズも小さいので、登山、バイク・自転車ツーリングキャンプ、フェスキャンプなど、荷物をコンパクトにしたい人に選ばれています。ただし、寝袋初心者の中には、マミー型のフィット感をきゅうくつに感じてしまう人も。サイドにファスナーは付いているものの足元までは装備されていないので、封筒型のようにファスナーを全開にして手足を出し、布団のように使うのは難しいでしょう。
イカス「パトロ−ル 600」
最低使用温度が2℃なので、春や秋の少し涼しい季節のキャンプにも使えます。冷えやすい足元に多めの中綿が封入されているのもポイント。収納サイズは20(直径)×33(長さ)cm
四角いフォルムにフードを装備した「フード付き封筒型シュラフ」は、封筒型とマミー型のいいとこ取りをしたようなタイプです。封筒型のようにゆったりと寝られて、マミー型のように肩口の開口部が絞れるので保温性も上々。コンパクトに収納できるモデルも多いので、オートキャンプはもちろん、ツーリングキャンプ、フェスキャンプにも最適です。
キャプテンスタッグ「エッグシュラフGH」
封筒型の寝心地とマミー型の保温性をより高めるため、卵型のシルエットを採用。フードの開口部は閉められるので、肩口からの冷気もシャットアウトできます。使用温度目安は約10℃以上で、収納サイズは24(直径)×45(長さ)cm
基本的な構造は封筒型と同じですが、家族2〜3人で一緒に寝られるダブルサイズになっています。ほとんどのモデルが、上下を分割してシングルサイズ2個にできるようになっており、子どもが成長して添い寝が不要になっても使用可能。シートをフルフラットにしたミニバンにピッタリと敷けるサイズなので、車中泊をする人にも人気です。
コールマン「アドベンチャースリーピングバッグ/C5」
使用時のサイズは約150(幅)×190(長さ)cmと広く、ゆったりと就寝可能。それでいて、収納ケースの開口部は大きいので、出し入れにも苦労しません。快適温度は5℃以上で、収納サイズは約27(直径)×38(長さ)cm。洗濯機で丸洗いできます
その名称のとおり、人の形になっており、手や足を入れるスペースが備えられています。一般的なタイプに比べると保温性は低めですが、手足を自由に動かせるだけでなく歩くこともできるので、就寝時に着用するだけでなく、外で過ごす際や天体観測など、アクティビティを楽しむ時に使うのもいいでしょう。
キャプテンスタッグ「洗える人型シュラフ(寝袋)180(パープルxグレー)」
手先と足先にもファスナーが装備されているため、シュラフを着たまま本を読んだり、靴を履くことも可能。中綿には速乾素材を採用しているので洗濯もできます。使用温度目安は約10℃以上で、収納サイズは25(直径)×42(長さ)cm
暖かい時期であれば、子どもに大人用の寝袋を使わせても問題ありませんが、外気温が低いと寝袋内にムダなスペースができ、寒さを感じてしまうことも。より快適に眠れるようにしてあげたいなら、子どもサイズに作られた「キッズシュラフ」を用意してあげましょう。長さも短いので、収納もコンパクトです。
コールマン「キッズマミー アジャスタブル/C4」
足元のファスナーより下の部分を内側に折り込めば、長さが170cmから140cmに短くなります。子どもの成長に合わせてサイズを調節できるので、長く快適に使えるでしょう。収納は、ワイドな横型ケースに丸めて入れるだけなので、子どもひとりで片付けしやすくて◎。もちろん、洗濯できます。快適温度は4℃以上で、収納サイズは約24(直径)×37(長さ)cm
寝袋は形状だけでなく、使用されている中綿の種類も製品によって異なります。大きく分けると、「ダウン(羽毛)」と「化繊」。ダウンは軽くて保温性が高く、コンパクトに収納できるのがメリットですが、濡れると保温性能が極端に下がるため、キャンプ中には注意は必要です。なかには、洗濯できる「ウォッシャブルダウン」を使ったモデルもあるので、こまめに洗いたいならウォッシャブルダウンを選ぶほうがいいでしょう。いっぽう、化繊は価格が安めで、取り扱いに気を使わずに済むのが大きな魅力。しかし、保温性を高めようとすると中綿量が多くなり、収納サイズや重量がアップしてしまいます。持ち運びやお手入れのことを考えて、適した中綿を選びましょう。
左は中綿が化繊の封筒型シュラフで、右はダウン(羽毛)のマミー型シュラフ。収納サイズにも大きな差が出るので、購入前に確かめておきましょう
寝袋を使う時は、マットをセットで使用するのが基本です。マットがないと地面の凸凹が背中に伝わってくるだけでなく、地面からの冷気や湿気が伝わり、快適に眠ることができません。マットにもさまざまな種類があるので、くわしくはキャンプで快眠するためのこちらの記事後半で確認してください!
サイズ、クッション性など、特徴はさまざま。用途に合わせて、最適なマットを選びましょう
アウトドア雑誌の副編集長職を経てフリーランスとして独立。以降、アウトドアをはじめ、グッズ、クルマ、旅行などレジャー関連を中心に執筆している。