南井正弘の「毎日走って、わかった!」
「ナイキ ズーム フライ3」を走行テスト!

ナイキの「厚底」が第3世代でフルモデルチェンジ! まったく異なる走行感に

「ナイキ ズーム フライ 3」(AT8240-300)。公式サイト価格は17,280円(税込)

「ナイキ ズーム フライ 3」(AT8240-300)。公式サイト価格は17,280円(税込)

ナイキは、2017年以降、レーシングシューズにおける厚底トレンドをリードしてきた。

メジャーな大会の表彰台を「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ4%」、「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ4% フライニット」、「ナイキ ズームヴェイパー エリート」を履いたアスリートが独占することも、さほどめずらしくなくなった。そんなナイキの厚底シューズから2019年、第3世代が誕生した。それが「ナイキ ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%」だ。それと同時に、テイクダウンモデルとなる「ナイキ ズーム フライ3」も発表。今回は、この「ナイキ ズーム フライ3」をテストした。

従来モデルとの違いをチェック

「ナイキ ズーム フライ3」は、トップアスリートのレースデイ向けシューズが「ナイキ ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%」だとしたら、トップアスリートのトレーニング用、もしくは一般ランナーのレース用およびトレーニング用に対応するプロダクト。これまでの「ナイキ ズーム フライ」および「ナイキ ズーム フライ フライニット」は、フルマラソンにおいて、サブ3.5レベルのランナーにも十分対応するポテンシャルの高さを発揮していた。筆者もこれまでの「ズーム フライ」シリーズを何足も着用。2018年の「ゴールドコーストマラソン」を3時間52分00秒で走り、7年半ぶりに自己記録を更新した際に履いていたのも、「ナイキ ズーム フライ」であった。

フルレングスの「ナイキ リアクト」ミッドソールと、軽量で耐久性にすぐれたフォームが、クッション性と反発力を両立。その中に内蔵されたカーボンファイバー製プレートが推進力をサポートする

第3弾モデルである「ナイキ ズーム フライ 3」は、まったくのフルモデルチェンジが施されており、アッパーやソールユニットは前作の「ナイキ ズーム フライ フライニット」とは共通点がほとんどない。

まずシューズを持ってみると、第1&第2世代モデルよりも重く感じた。全米屈指のランニングスペシャリティチェーンの「ロードランナースポーツ」のデータによると、「ナイキ ズーム フライ」が約241g(8.5オンス)だったのに対し、「ナイキ ズーム フライ 3」は、サイズによって異なるが260gほどあるので、20gほど重くなっている。実際に足を入れてみても、従来の2足よりも重さを感じた。

そして、立っている状態でミッドソールの沈み込みを体感。ミッドソールに使用された「ナイキ リアクト」の硬度がやわらかめにセッティングされているのは明らかだった。さらに、第1&第2世代モデルでは真っ先に感じられた前方への推進力もあまり感じられない。クッション性のほうがより強く感じられたのだ。

ここで、足を入れて立った状態や歩いてみての印象をモデルごとに簡単にまとめてみた。

第1世代「ナイキ ズーム フライ」……ナイロンメッシュのアッパーは、前足部とヒール部分にピッタリとフィット。素材「ナイキ ルナロン」のミッドソールにカーボンナイロンプレートという硬めのプレートが内蔵されることにより、前方へ転がるような推進力が感じられた。

第2世代「ナイキ ズーム フライ フライニット」……アッパーは「ナイキ フライニット」。履き心地は、伸縮性のあるアッパーマテリアルがやさしく足を包み込む感じだ。素材「ナイキ リアクト」のミッドソールにカーボンファイバープレートを内蔵。しなりのあるプレートが内蔵されることにより、前方へ跳ねるような推進力が感じられた。

第3世代「ナイキ ズーム フライ 3」……アッパーは2層構造。前足部は、どちらかと言うとゆるめのフィットで足長が長め。中足部からヒール部分に伸縮性のある素材を使用したことで、こちらもゆるめのフィット感だ。ミッドソールがより厚く、やわらかくなったことで、クッション性は従来よりも感じられるスペック。歩いている状態では、第1&第2世代よりも推進力は感じられない。

新たに採用された半透明で軽量な素材から構成される2層構造のアッパー。ナイロンメッシュや「ナイキ フライニット」よりも外部から水が浸入しづらいので、雨の日のレースにも対応してくれそうだ

中足部からかかと部にかけて伸縮性にすぐれた素材によるブーティ構造を採用。最初はゆるく感じるかもしれないが、履いているうちに慣れてきて、速めのペースで走ってもかかとが抜けるようなことはなかった

従来モデルのものよりも厚くボリューミーになったミッドソールには、「ナイキ リアクト」を使用。柔軟でクッション性にすぐれたミッドソールにカーボンファイバープレートを内蔵することで、ランナーに比類なき推進力を与えてくれる

アウトソールもフルモデルチェンジした。大きな変更点は、かかと部のラバーパーツのデザインが変わったことと、アウトソール前足部の刻みが深くなったこと。これらにより、土のサーフェスでも、ある程度グリップしてくれるようになった

実際に走ってみた!

実際に走ってみても、第1&第2世代モデルとの違いは明らかだった。

「ナイキ ズーム フライ」や「ナイキ ズーム フライ フライニット」の場合、前足部や中足部で着地しないと、蹴り出しまでの動きがスムーズではなく、本来の性能を発揮できなかった。しかし、「ナイキ ズーム フライ 3」の場合、かかと寄りで着地しても蹴り出しまでの動きは滑らか。もちろん中足部や前足部から着地した場合のほうが蹴り出しまでに要する時間は短くなり、そのほうがより効率的な走りができる。

そしてしばらく走ったが、「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ4%」や「ナイキ ズーム フライ」が登場したころに言われていた「空き缶を踏みつぶすような着地」を心がけると、徐々に推進力を感じられるようになった。特に下りでは若干重くなったことで「振り子の原理」が加わり、より力強く身体が前方に運ばれる感覚。これは第1&第2世代モデルでは感じられなかった走行感であり、下りは着地時の衝撃が大きくなるが、厚くなったミッドソールが衝撃をしっかりと吸収してくれているのを足裏で感じることもできた。

最初の6kmランでは後半に「ナイキ ズーム フライ3」本来のポテンシャルを体感できたが、2回目、3回目と慣れるうちに「ちょっとゆるいかも……」と思っていた前足部とヒール部分のフィットも気にならなくなり、4回目に10kmを走った際には途中5分/kmを切るスピードで楽しく走ることができた。これならフルマラソンやハーフマラソンで自己記録にチャレンジする際に着用する候補になり得ると思った。

第1&第2世代モデルを履いていたランナーは、最初の数回こそ、そのサイズ感、フィット感、走行感にとまどうかもしれないが、慣れてしまえば従来モデル以上にスピードに乗った走りをサポートしてくれそうな気がする。サイズに関しても、最初は「ハーフサイズ下げてサイズ7.5(25.5cm)にすればよかったかも……」と思ったが、履き慣れていくうちに「足が膨張したときのことを考えたらサイズ8でよかった!」と思うようになった。どんなランニングシューズも試し履きは必須だが、このシューズのように特徴のあるフィット感のモデルは、特に1度履くことを推奨する。

【まとめ】大きく変わった走行感をポジティブにとらえるかネガティブにとらえるかは人それぞれ

以上から、「ナイキ ズーム フライ 3」は、ズームフライの名を冠しているものの前2作とはまったくの別物だということがわかった。その大きく変わった走行感をポジティブにとらえるかネガティブにとらえるかは人それぞれだが、筆者はポジティブにとらえた。厚さを増してクッション性が強化されたミッドソールは、フルマラソンの後半でも脚部を守り、ダメージの少ないままランナーをゴールへと導いてくれるだろう。今からフルマラソンで着用することが楽しみだ。

メンズのカラバリは全4色で展開

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南井正弘

南井正弘

ランニングギアの雑誌・ウェブメディア「Runners Pulse」の編集長。「Running Style」などの他媒体にも寄稿する。「楽しく走る!」をモットーにほぼ毎日走るファンランナー。フルマラソンのベストタイムは3時間52分00秒。

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