無謀 or 英断? 36歳から始めるトライアスロン
ゴーグル選びからTIPSまで、OWSのコツを伝授!

骨伝導音声で距離がわかる!? 海で泳ぐ「オープンウォータースイム」専用ギアをテスト!

“鉄人レース”とも呼ばれるトライアスロンは、過酷なスポーツというイメージが強い。そんな競技に今、ひとりの男がチャレンジしようとしている。「価格.comマガジン」編集者、牧野(37歳)だ。トライアスロンを趣味にしているライターの私からその魅力について吹き込まれ、ちょっと興味があるそぶりをしていたら、いつの間にかチャレンジすることに……。準備期間は1年間。果たして、超初心者の牧野は完走し、トライアスロンの魅力と感動をお届けできるのか?

今回は、「オープンウォータースイム」にチャレンジ!

今回は、「オープンウォータースイム」にチャレンジ!

2019年10月に出場予定のレースまで、残り2か月弱――。

本番前に1度体験しておきたいのが、「オープンウォータースイム」(以下、OWS)だ。これは、海や湖など、自然の水域で行われる水泳競技のこと。トライアスロンのスイムパートは「OWS」のことを指し、単独でもオリンピックの種目に採用されている(2020年の「東京オリンピック」では、「マラソンスイミング(10km)」という競技名称で行われる)。

「OWS」は、プールで行われる競泳とは使用するゴーグルやギア、泳ぎのテクニックなどが異なるため、競泳の経験がある牧野でも改めて準備・練習する必要がある。今回は、「OWS」で使用するゴーグルの選び方を指南しつつ、それ以外のギアやレース直前の準備として使えるTIPSを紹介する。

OWS用ゴーグルに必要なのは「クッションと視界の広さ」

ひと口に水泳用ゴーグルといっても、競泳用とOWS用では求められるものが大きく異なる。

競泳はコンマ1秒を争う競技のため、水の抵抗を極力抑えて速く泳ぐことが求められるが、OWSはそれよりもクッションと視界の広さが求められる(もちろん速さも必要なのだが……)。

まず、クッションが必要な理由としては、OWSが集団で泳ぐ種目だから。身体が接触する距離(場合よっては前後左右)に選手がいる状態なので、身体だけではなく自分の顔にほかの選手の腕や脚がぶつかることも珍しくない。その際に目を保護するクッション付きのゴーグルは必須なのだ。競泳用に見られるクッションなしのモデルは、水の抵抗は少ないものの腕がぶつかったとき、目や顔への衝撃は大きい。またクッションがあることで、衝撃を吸収する効果のほか、腕がぶつかってもズレにくく、浸水も抑えられるという効果も期待できる。

特にブイの周囲は、人が密集しやすく接触しやすい

特にブイの周囲は、人が密集しやすく接触しやすい

もうひとつの「視界の広さ」が必要な理由は、海で泳ぐ場合、波やうねりがある中でもブイを見ながら泳ぐ必要があるから。競泳のように床にラインが引かれているわけではなく、頻繁に顔を上げてブイを確認して泳いでいく。またムダな接触を避けるために前だけではなく左右を確認しながら泳ぐ必要もあるため、視界が広いほうが便利なのだ。

「視界」という観点で言えば、レンズカラーも大切な要素。晴天時にはミラーレンズや暗めのカラーを、曇天時には明るめのクリアレンズを使用することでブイは格段に見やすくなる。当日の天候に合わせられるように、2種類以上のレンズカラーのゴーグルを準備しておくと安心だ。

ここからは、OWSのレースやトレーニング時、泳ぎを安全・快適にするゴーグルなどのギアを紹介していこう。

OWSを安全・快適にする有能ギア

指でこするだけでくもり止め効果が復活!
VIEW「DELFINA for TRIATHLON」シリーズ

「DELFINA」は、トップトライアスリートにも愛用者が多いOWS用ゴーグル

「DELFINA」は、トップトライアスリートにも愛用者が多いOWS用ゴーグル

VIEWは、競泳用やOWS用など、さまざまなゴーグルをリリースしている国内ブランド。「DELFINA」は、日本人の顔型に合わせた設計とフィット感へのこだわりが強く、トライアスリートの中で「浸水しにくい」と評価されるモデルだ。「スワイプ アンチフォグ」という機能を採用したレンズは、元々くもりにくいうえに、もしくもった場合は水をつけて指で表面をこするだけでくもり止め効果が復活。視界をいつもクリアに保つことができる。

フェイスパッドはディンプル加工によりやわらかく、顔にフィットして浸水を防止

フェイスパッドはディンプル加工によりやわらかく、顔にフィットして浸水を防止

横方向だけではなく、縦方向にもレンズ幅を広げており、ゆがみの少ない自然な見え方を実現

横方向だけではなく、縦方向にもレンズ幅を広げており、ゆがみの少ない自然な見え方を実現

晴天時のまぶしさを抑えるミラーレンズ仕様モデル「V2000SAM」。見え方の好みやコンディションによって選べるように、「クリアレンズ+ミラー加工」(左/カラー「CBDY」)や「ブラックレンズ+ミラー加工」(右/カラー「BLGB」)などをラインアップしている

ミラー加工なしのクリアタイプ「V2000SA」。早朝や曇天時など、周囲が薄暗い中でも、ブイをはっきりと確認できる。左は「ブラックレンズ」(「BLBK」)、右は「クリアレンズ」(「CBK」)を採用

紫外線の強さでレンズの色が変わる全天候対応モデル
スワンズ「ASCENDER SR-81PH PAF BL (004)」

調光レンズを採用。日光がレンズに当たると、クリアからスモークへとカラーが変化する

調光レンズを採用。日光がレンズに当たると、クリアからスモークへとカラーが変化する

ランニングをはじめ、自転車、ゴルフ、スキーなど、あらゆるスポーツのアイウエアをリリースするスワンズの「ASCENDER」は、紫外線量によりカラーが変化する調光レンズを採用したモデル。あらゆる天候/明るさに対応するので、早朝の暗い時間にスタートして、段々明るくなっていくレースでも視界を確保しながら泳ぐことができる。

ゴーグルは持ち物としては小さいものだが、ただでさえ荷物が多いトライアスロンのレース時に、ひとつで全天候に対応してくれるのは意外とありがたい。

色の変化はスムーズ。太陽光を当てると可視光線透過率は55%(上)から9%(下)へと変化していく

色の変化はスムーズ。太陽光を当てると可視光線透過率は55%(上)から9%(下)へと変化していく

本製品の調光レンズは、カラーが変わるだけではなく、水の抵抗を低減した「カーブレンズ」仕様。ほぼ180°視界の左右の端まで見渡すことができる。また、レンズが顔の形状に沿うようなカーブを描いており、フィット感も高い。

スワンズ独自設計によるカーブレンズは、ゆがみがなく左右に広い視界を確保。また、レンズからクッションまで、日本人の顔型に合わせて設計しており、高いフィット感を実現している

顔を上げたときにブイが見やすくなるように、レンズを上部まで広げて上下の視界も確保

顔を上げたときにブイが見やすくなるように、レンズを上部まで広げて上下の視界も確保

顔の筋肉を動かしても、それに追従してフィットする「3Dクッション」は、浸水を防止するうえ、長時間の装着でも痛みが少ない

着心地抜群! コスパにすぐれたウェットスーツ
ZONE3「MEN'S SLEEVELESS VISION」

気温が高い夏は、体温調節がしやすいロングジョン(袖なし)タイプが最適

気温が高い夏は、体温調節がしやすいロングジョン(袖なし)タイプが最適

ZONE3は、元トライアスロン選手がイギリスで設立したブランド。入念なテストを繰り返して生まれたウェットスーツは、海外のトライアスリートの間でも評価が高い。

今回テストした「MEN'S SLEEVELESS VISION」は、47,000円(税別)という、初心者でも手に入れやすい価格でありながら、素材のやわらかさや使い勝手のよさが体感できる1着。一般的な低価格帯のウェットスーツは、伸縮性が少なく、素材が硬いことが多い。しかし同モデルは、スイム時の動きを妨げることなく伸縮し、しかも素材がやわらかく着脱しやすい。スイムからバイクに移るトランジション(種目切り替え)の時間も競技時間に含まれるのがトライアスロンなので、ウェットスーツの着脱のしやすさは重要なポイントになる。

水中で身体を浮きやすくするため、胸から腹に当たる部分は少し厚手の素材を使用。これにより、スムーズに泳げるだけではなく、顔を上げて遠くのブイも見やすくなる

背中側は、少し薄手の素材を使用しており、肩周りが動かしやすくなっている。背面ジップ仕様ではあるが、ジッパーの動きがスムーズで着脱しやすい

※「トライアスロン」のウェットスーツの詳しい選び方はこちら

泳いだ距離を記録・報告する水泳用GPSデバイス
Platysens「MARLIN」

「MARLIN」は、後頭部に当てるGPSセンサーと加速度センサー、そして側頭部に当てる骨伝導スピーカーのセットで使用するスイム用デバイス

スイムのトレーニング中に意外と困るのが、泳いだ距離を把握しておくこと。100mなどの短い距離を繰り返すなら把握しやすいが、1000mなどの長い距離を泳ぎ続ける場合、途中で「あれ、今何m泳いだっけ?」と思うこともある。

Platysensの 「MARLIN」は、骨伝導スピーカーを通じて、泳いだペースや距離などの情報をスイマーへ伝えるトレーニングデバイス。プールで使用する場合は、加速度センサーがクロールや平泳ぎなどの泳法を検知するだけではなく、ターンの回数によって泳いだ距離を測定。OWSの場合は、GPSセンサーによって距離を測定し、スイマーに伝えてくれる。

実際に使用してみると、練習にしっかりと貢献するデバイスであることがわかった。機械的な合成音声なので情報を聞き取るのに最初は手間取ったが、慣れてくれば25mごとに必要な情報を教えてくれるので便利。特に1000mを超える長距離を泳いだ時にペース感がつかみやすく、最適な速度で泳ぐことができた。

90分のフル充電で、バッテリーは「GPSを使用する屋外モード」で5時間、「プールモード」で10時間持続するので、トレーニングやトライアスロンのスイムパートの長さであれば十分に対応する。

重さは、27gと軽量でコンパクト。ゴーグルに着用してもジャマにならなかった

重さは、27gと軽量でコンパクト。ゴーグルに着用してもジャマにならなかった

なお、集めたデータは、スマホの専用アプリで確認できる。

残念ながら今回テストできなかったが、スマホのアプリ上でルートを引いて、それをデバイスにダウンロードしておくことで、コースのナビゲーションも行ってくれる機能も搭載する。コースの幅を、たとえば「5m」と設定しておくことで、その幅から外れたときは音声案内で「右」「左」と正しい方向を指示してくれる。

音声案内によるナビゲーション機能も搭載

音声案内によるナビゲーション機能も搭載

すぐに使えるOWSの実践的TIPS

時々前を見てブイを確認しながら泳ぐ「ヘッドアップ」は、OWSに絶対必要なテクニック

時々前を見てブイを確認しながら泳ぐ「ヘッドアップ」は、OWSに絶対必要なテクニック

OWSに役立つアイテムを紹介したところで、ここからは本番直前に忘れがちな「OWSの準備」にフォーカスして紹介しよう。

ちなみに、前を見ながら泳ぐ「ヘッドアップ」はOWSでは必須テクニックなので、レース前にしっかりと練習しておこう。

1. 試泳・ウォーミングアップは必ず行う

レースのスタート前には、試泳の時間が設けられているので、必ず泳いでおく。その際に大切なのが、心拍数を高めておくこと。徐々に心拍数を高めていく必要があるが、一度最大心拍数付近(かなり心臓がドキドキするほど)まで上げておいて身体を慣らしておこう。スイムスタート直後は集団に巻き込まれることもあり、急に心拍数が上がりやすい。1度心臓をしっかり動かしておくことで、急激な心拍数の変化に対応しやすくなるのだ。

試泳しておくと身体も温まるほか、緊張感がほぐれて精神的にも落ち着く効果が期待できる

試泳しておくと身体も温まるほか、緊張感がほぐれて精神的にも落ち着く効果が期待できる

2. コースを把握する

試泳の際には心拍数を上げるついでに、ブイの位置や周回の方向も確認しておくこと。レースは三角形に置かれたブイに沿って周回することが多いが、大会によっては形が異なる場合もある。コースマップを見て1度頭の中にルートを描いておき、実際に海を見て擦り合わせておこう。

ブイの設置場所や周回方向を事前に確認しておく

ブイの設置場所や周回方向を事前に確認しておく

試泳の際に沖から陸側を見て、目印になるものを見つけておく

試泳の際に沖から陸側を見て、目印になるものを見つけておく

また、沖に向かって泳ぐときにはブイが目印になるが、波やうねりがあると見にくくなる。しかし、陸側に戻ってくるときブイと同じ位置に建物があれば「ブイ+建物」を目印に泳ぐことができる。陸地にあるモノのほうがブイよりも見やすい場合が多いので、試泳の際に見つけておこう。

3. 潮の流れを見ておく

ブイの位置を確認したら、当日の潮の流れも見ておこう。まっすぐに泳いでいるつもりでも、潮の流れによってかなり流されてしまうこともある。OWSはアウトドアスポーツなので、自然要因によって競技の流れが変わってくることを意識しておくこと。海を見ても自分では流れが把握できない場合は、ライフセーバーに聞いてみてもよい。潮の流れが予想できれば、まっすぐに泳ぎやすくなる。

写真のスイマーたちは、沖のブイからまっすぐ陸地に向かって泳ぎたいのに、潮の流れによって左に流されてしまっている……。蛇行して泳ぐと、体力や時間をムダに消耗・浪費してしまう

【まとめ】

国内で開催されるトライアスロン大会は、ほぼウェットスーツの着用が義務付けられているので、レース前には必ず準備すること。もちろん事前に試着して、フィット感や肩まわりの動きやすさを確認しておこう。

ゴーグルは競泳用でも構わないが、やはりOWS用を選ぶとフィット感や視界の広さの部分でかなり快適に泳ぐことができるのでオススメだ。

なお、ウェットスーツやゴーグルは最終的には自分の好みや使いやすさで選んでいいが、必ず練習で何度か使ってみてから実戦に投入することを心がけてほしい。

今 雄飛

今 雄飛

ミラソル デポルテ代表。自転車、トライアスロン、アウトドア関連のライターとしても活動中。趣味はロングディスタンスのトライアスロン。

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