今回紹介するテクニックは、ギル型ワームの大フィーバーを引き起こした「ブルフラット」の活用術。実践編では、神奈川県・相模湖で1日に2本の50アップが釣れた!
恥ずかしくて今さら人に聞けないテクニックや、人気ルアーのポテンシャルを最大限に引き出すテクニック、そしてこれから流行りそうなテクニック――。
本連載では、そんなバス釣りのテクニックと人気ルアーの魅力を、ライター・横沢鉄平がその道のエキスパートから教えてもらい、現場で実践レポートする。
今回の講師は、日本を代表するデカバスハンター、デプス代表の奥村和正さん。
「デプス」代表・奥村和正さん
【PROFILE】
日本を代表するデカバスハンター。そして、デカバスに特化したルアーやタックルを世に出し続け、多くのアングラーに信頼されるブランド「デプス」の代表にしてメインデザイナーでもある。全国のデカバスハンターたちに対し、最も影響力を持っているアングラーだ。●写真:望月俊典
ここ数年、バスルアーの市場は、ギル型ワームが花盛り。その火付け役となったのが、デプスの「ブルフラット」だ。
ところが、その使い方に確信が持てず、まだ二の足を踏んでいる釣り人も少なくない。今回は、そんな迷えるアングラーが光明を見出せるよう、「ブルフラット」のベーシックテクニックを奥村さんに教わった。
デプス「ブルフラット」は、ギル型ワームの代表格。さまざまなリグに対応し、たとえギルが存在しない水域でも結果を出している。2〜5.8インチまで5サイズラインアップされるが、多用されるサイズは、3.8インチと4.8インチだ
「ギル型ワームと呼ばれているけれど、別にブルーギルに限りません。フナになったり、カニになったり、カメになったり……。ブルーギルがいる、いないは関係なく、このワームは謎の食わせ能力を持っています。ぶっちゃけ、投げて沈めてるだけで釣れてしまうと言っても過言ではありません」(奥村さん)
こうして見ると、確かにカメに見えないことはない。ホンモノのカメも「ブルフラット」には違和感を覚えないのか、あまり逃げない
「その使い方は無限大」と奥村さんに言わしめるほど、「ブルフラット」はどんなリグにも対応する。「ノーシンカー」や「ネイルリグ」、「ラバージグ」にセットしてジグストするのも流行しているが、何と言ってもメインは「テキサスリグ」なのだ。
オフセットフックのフックサイズは、3.8インチなら3/0〜4/0。4.8インチなら5/0。5.8インチなら6/0か7/0が適している。シンカーはだいたい3.5〜5g
「使い方を全部紹介すると混乱してしまうので、代表格の『テキサスリグ』について紹介しましょう。岸際のカバー、沖のストラクチャー、地形変化、ハードボトムなど、どこでもいいので教科書通りの場所、バスが好むと言われているところにキャストして、ラインを張らずにフリーフォールさせてください」(奥村さん)
はい。
「これだけでもう釣れます(笑)」(奥村さん)
言っちゃった(笑)。
「でも、ほぼそんな感じですよ」(奥村さん)
確かにそうかも(笑)。いわゆる「フリーリグ」っぽい感じなのだろうか?
「『フリーリグ』と『テキサスリグ』は、フォール中にシンカーとワームが離れてくれるので、ワームだけが急にスローな動きになる。『ノーシンカー』状態になるわけです。そのためにも、糸をしっかりとたるませた状態で沈ませること。あとはワームが勝手に演出してくれます」(奥村さん)
ワームがボトムに落ちてからのアクションは、「ズル引き」でも「リフト&フォール」でもいいし、「スイミング」でもいい。その3つの中に正解があるのだという。
「ブルフラット」には、今シーズンから「ノンソルト」タイプが加わった。
「『ノンソルト』は、フックを付けていない単体だと水に浮きます。塩が入っていないから、そのくらいの浮力が確保されているんです。細軸のなるべく軽いフックで、表面張力を生かして使えば、浮かせて誘うこともできるんですけど、本当の目的は『フリーリグ』です!」(奥村さん)
デプス「ブルフラット 5.8インチ ノンソルト」は、人気の「ブルフラット」に高浮力素材を使用した新モデル。「フリーリグ」や「テキサスリグ」なら、シンカー着底後のノーシンカー状態がよりスローになるし、スプリットやキャロならズル引きした際にスプーンのようにユラユラとしたアクションが出る。レギュラーの「ブルフラット」とはひと味違う存在だ
正直言って、人気が出る前から「ブルフラット」を愛用していた俺にとって、このワームはすでに得意ルアーのひとつ。当然50アップも釣ったことがあるし、雑誌の取材中にいいサイズを出すこともしばしばあった。
そこで、今回は新製品の「ノンソルト」も忍ばせて、夏真っ盛りの時期に神奈川県・相模湖へと足を運んだ。
俺が普段メインで使う「ブルフラット」は、4.8インチ。でも、この相模湖においては、5.8インチをメインに使用している。これはもともと知り合いの若手アングラーから教わったものだが、実際5.8インチを使うとアタリの数が増えることが多いのだ。
奥村さんのおすすめは「フリーリグ」だけど、カバーへのキャストを考えると、俺的にはやっぱり「テキサスリグ」を使いたい。そこで、今回はストッパーなしの5gの「テキサスリグ」を選択。これなら、シンカーが自由に離れるので「フリーリグ」と大差はないだろう。
序盤は、インレットを中心にレギュラーの「ブルフラット5.8インチ」 を投げていた。しかし、アタリはあるものの、アワセるとブルフラットの尻尾だけが切れてくるという悲しい現象が続いた。
日が上がってからは、メインレイクのオーバーハングを撃っていった
そこで、日が上がってからは、岩盤エリアのオーバーハング撃ちに切り替えた。スキッピングでオーバーハングの奥へと「テキサスリグ」を送り込む。たまにオーバーハングの影に魚影を見かけるので、バスはいるはずだ。しかし、なかなかアタリが出ない……。
そこで試しに、ワームを「ノンソルト」に切り替えた。すると信じられないことに、アタリがポツポツ出始めたのだ!
これは一体何だ? そういえば、なんだかシンカーがボトムに着底するまでの時間が長いし、ワームもより深い場所まで到達しているような……気がする。
そうこうしていると、強烈なバイトが襲ってきた! まるで「琵琶湖……?」と思うほどの暴力的なファイトの末、キャッチしたのは51cm!
ひとりで撮影したので、ピントが俺の顔に合ってしまっているのはご愛敬……
そのあとも、しばらくオーバーハングを撃っていくと、ある事実に気がついた。何と、スキッピングでオーバーハングに入れると、最初のスキップ地点でシンカーがワームから離れ、そこから先はワームだけがスキップしていたのだ!
つまり、シンカーはオーバーハングの入り口で沈み始め、ワームだけは最奥に到達。ワームは、そこからノーシンカー状態を保ちつつ、シンカーを目指して底をはうように泳ぐというわけ。これで釣れないわけがない。
オーバーハングの入り口でスキップさせると、シンカーは止まって、ワームだけが奥に入る。そのあとラインをたるませると、沖のディープにシンカーが沈み、高い浮力のワームはシャローにとどまる。シンカーが着底してからワームをズル引きすると、ノーシンカー状態を保ちながら、底をなめるように泳ぐ
そのあとも何度かアタリがあったものの、フッキングにはなかなか至らなかった。でも、尻尾だけ食い千切られる現象もなくなった。ひょっとして、「ノンソルト」のほうが丈夫なのかも。針持ちもいいし。
コンデジでの撮影がうまくいかなかったので、後半はWi-Fi付きのミラーレス一眼を三脚にセット。スマホでシャッターが切れるので、だいぶ楽になった
そして夕方、秋山川という支流のバックウォーターで、ガツンという明確なアタリが伝わってきた。サンドバーに上がるブレイクを、アップヒルで引いてたときのことだ。
これが何と50cmジャスト! 相模湖で1日に2本も50アップを釣ったのは、さすがに初めてだった。今度はしっかりと撮影システムを整えたので、撮影も成功! 「ブルフラット5.8インチ」の「ノンソルト」はマジでスゴい。本当はこのテクについて書きたくなかったなぁ(笑)。
単日で50アップ2本を達成! 「ブルフラット5.8インチ」の「ノンソルト」、恐るべし
ちなみに撮影時のタックルは以下の通り。
・ロッド:デプス「サイドワインダー フリッピングエディションHGC-77XR ザ・ドムドライバーFE」
・リール:アブガルシア「レボ ビッグシューター コンパクト」
・ライン:YGK「ナスリー N-WAKER 20ポンド」
「ドムドライバー」なら、巨大な「ブルフラット5.8インチ」も軽々と投げられるし、デカいバスが来ても、絶対的な安心感がある
撮影協力/「日相園」
相模湖の上流部に位置する人気のボート店。ボートも豊富で、エレキなどのレンタル品も充実している。秋山川や吉野ワンドなどの有名ポイントへのアクセスもいい。コテージに宿泊したり、バーベキューも楽しめる
バス歴40年、ライター歴22年のベテランライターにしてプロアングラー。雑誌「ルアーマガジン」で連載企画「ドラマチックハンター」などに出演中。その割に腕は普通なので、それを逆手に取った“素人目線”のレビューに定評がある。