レビュー
これまでのe-MTBに抱いていた不満がまったくないほどの完成度!

最強e-MTBかも! ベテランのマウンテンバイクライダーもトリコになるトレック「Rail 9.7」


数年前から盛り上がりを見せている本格的なスポーツタイプの電動アシスト自転車「e-Bike」には、ロードバイクタイプやクロスバイクタイプなどいくつの種類かあるが、もっとも進化が著しいのはマウンテンバイクタイプの「e-MTB」だ。その中から今回は、現行のe-MTBの最高峰モデルといえるトレック「Rail 9.7」を紹介したい。メーカー希望小売価格は79万円(税別)と高価なものの、事前予約で初期ロット分が完売してしまったほど注目度の高いモデルなだけに、その性能が気になっているマウンテンバイクファンも多いのではないだろうか。そこで、Rail 9.7をトレイルに持ち込み、ベテランライダーと一緒に本気で試乗してみた!

カーボンフレーム&フルサスの全部入り

日本国内で販売されているe-MTBは、1年ほど前まではフロントのみにサスペンションを装備したハードテイルモデルが中心だったが、2019年にパナソニックが国内初となる前後サスペンション付きのフルサスモデル「XM-D2」(メーカー希望小売価格60万円/税別)を発売して以降、各メーカーからも続々とフルサスモデルが登場。現在は、ユーザーが選択できるほどにフルサスモデルのe-MTB(フルサスe-MTB)のラインアップが増えている。もともと海外ではe-MTBといえばフルサスモデルが主流だったので、ようやく日本も追いついてきた格好だ。

2019年3月に100台限定として発売されたパナソニック「XM-D2」が、日本国内におけるフルサスe-MTBの第1号だ

2019年3月に100台限定として発売されたパナソニック「XM-D2」が、日本国内におけるフルサスe-MTBの第1号だ

<関連記事>国内唯一のフルサスe-MTB「XM-D2」をガチのマウンテンバイク乗りが山でガチ検証!

今回紹介するトレック「Rail 9.7」も、もちろんフルサスe-MTB。大手のスポーツ自転車メーカーであるトレックが本気で手がけたモデルだけに、フレームから足回りまで隙のない完成度だ。近年流行りのエンデューロモデルと同じ、フロント160mm、リア150mmのサスペンションのトラベル量を確保。変速も最新のトレンドを取り入れ、リアのみの12段となっている。さらに、フレームだけでなくホイールもカーボン製! その分、価格は79万円(税別)と安くはないが、同社の電動アシスト機能を搭載しないフルサスのマウンテンバイクのトップモデル「Fuel EX 9.9」が106万8,000円(税別)であることを考えると、コンポーネントなどに差はあるもののRail 9.7の価格設定はむしろ割安と言えるかもしれない。

S(身長153〜166.5cm)、M(身長161〜175cm)、L(身長174〜188cm)、XL(身長186〜196cm)の4サイズがラインアップされており、車体サイズは1,970(全長)×800(全幅)mm。重量(Mサイズ)は21.83 kgと、フルサスe-MTBとしてはかなり軽量だ

160mmトラベルのフロントサスペンションはRockShox「Yari RC」を装備。左右の幅がかなり広いことが見て取れる

フロントサスペンションの幅が広い理由は、フロントホイールのハブにブースト規格と呼ばれる110mm幅の剛性が高いタイプを採用しているため。近年の下リ系マウンテンバイクではスタンダードになりつつある規格だ

車体中央に縦に配置されたリアサスペンションは、リンクを介して150mmのトラベル量を確保。リンクにはトレックの特許技術「アクティブ ブレーキング ピボット(ABP)」が採用されており、ブレーキング中もタイヤを路面に押し付け続ける効果を発揮する

リンク上部にある「Minoリンク」機構を調整すれば、ヘッドアングル(フロントフォークの角度)を0.5°ずつ、ボトムブランケット高を10mmずつ、それぞれ2段階(High/Low)に切り替えできる

コンポーネントはSRAM「NX Eagle」の12速。リアのスプロケットのもっとも大きなものは50Tサイズを装備している

フロント側に変速を装備しないのも、近年のマウンテンバイクの主流。激しい凹凸を乗り越えた際のチェーン脱落を防止するガードが装備されている

ホイール径は前後ともに29インチ。昨今、再び、レース向けモデルなどで主流になりつつある装備だ。幅も2.6インチとかなり太い

そして、ホイールも軽量なカーボン製! 近年のトレンドであるチューブレス化にも対応している

そして、ホイールも軽量なカーボン製! 近年のトレンドであるチューブレス化にも対応している

もちろん、ブレーキは前後とも油圧ディスク。激しい下り斜面でも強力なストッピングパワーを発揮するシマノ製4ピストンキャリパーだ

心臓部であるアシストユニットも最新のスペックとなっており、2019年に導入されたボッシュのトップグレードである「Performance Line CX」を採用している。Performance Line CXユニットは内部構造を見直すことで先代から48%の小型化と25%の軽量化を実現するとともに、先代(50Nm)より高い最大75Nmのトルクを発揮。トルク値は大きいほうがよりパワフルなため、Performance Line CXユニットを搭載したRail 9.7は強力なアシスト力が得られる。また、アシスト値の上限は日本国内法規に準拠し、人力の2倍までとなるが、最大トルクが小さいと人間が大きな力でペダルを踏んだ際にモーターの上限値を上回ってしまうことも。たとえば、30Nmの力でペダルを踏んだ場合、トルクの上限値が50Nmだと人力の2倍のアシストは発揮されない。しかし、最大トルクが75NmのPerformance Line CXユニットなら、人力(30Nm)の2倍のアシスト(60Nm)が働く。つまり、急な登り坂などでより強いパワーが欲しい時にもしっかりとパワフルなアシストを得るには最大トルクの大きいほうが有利なのだ。なお、75Nmというトルク値は2020年5月時点で公表されているスペックとしては最高値となっている(日本国内の公道を走れるe-Bikeにおいて)。

「Performance Line CX」ユニットはマグネシウムを多用し、2.9kgと軽量な仕上がりとなっている。コンパクトなのでフレーム設計への影響も少ない

バッテリーはフレーム内部に収まるインフレームタイプ。容量は13.3Ah(36V)で、最大140kmのアシスト走行が可能だ

バッテリーの充電は車体に搭載したままでも行えるが、取り外すことも可能。バッテリー残量ゼロの状態から満充電になるまで、約4.5時間かかる

山道で試乗! パワフルで自然なフィーリングのアシスト感に驚愕

カーボンフレームに下りも攻められるスペックの前後サスペンションを装備し、コンポーネントなども最新のトレンドを取り入れたRail 9.7の性能をしっかり確かめるため、山道(トレイル)を走ってみる。そして、より判断を正確に行えるように経験豊富なマウンテンバイカー、佐藤真吾にも試乗してもらった。20年以上さまざまなタイプのマウンテンバイクに乗っているだけでなく、ヤマハ「YPJ-XC」BESV「TRS1」パナソニック「XM-D2」といったe-MTBにも試乗経験がある人なので、この企画に適任だ。

フルサスのダウンヒルモデルから、フルリジッドのシングルスピードまで幅広くマウンテンバイクを楽しんでいる佐藤真吾さんと一緒にRail 9.7の実力をチェックしていく

乗車する前に、佐藤さんの体格に合わせてサスペンションのサグ出し(乗車した際に適切な沈み込み量になるように調整する作業)をはじめとするセットアップを行う。ヘッドアングルとボトムブランケット高を微調整できる「Minoリンク」は、カーブが曲がりやすさを考慮して「High」にしておいた。「Low」にするとヘッドアングルが寝て、ハイスピードな下りでの安定性を重視したジオメトリーになるが、細かいターンなどが多いトレイルでは「High」のほうが向いている。

「Minoリンク」は六角レンチでネジを回し、内側にある楕円形のパーツを180°回転させるとネジを留める位置が変わり、HighとLowが切り替わる

ペダルは標準装備されていないので、佐藤さんが使用しているビンディングタイプ(ペダルとシューズを固定するタイプ)を装着

サドルの高さは、状況に応じて調整。走りながらでもサドルの高さを変えられるドロッパーポストが装備されているので、登りではペダリングしやすいようにサドルを高く、下りでは腰を引いた際に当たらないように下げて走行する

ドロッパーポストの操作レバーはハンドル左手側にある。同じく左手側にはアシストのモードを切り替えるコントローラー、右手側には変速レバーを装備。なお、ハンドルは780mmと幅広なので、下りで押さえがしっかり効く

準備を終え、いよいよ出発! 舗装路を登ってトレイルの入り口を目指す。ちなみに、今回は佐藤さんと筆者の2人で行動するため、もう1台、別のe-MTBも用意。基本的に佐藤さんがRail 9.7に乗り、性能を試せるようなポイントでは筆者と交互にレビューする流れとなる。

筆者は、ミヤタ「RIDGE-RUNNER」(2018年モデル)で走行。ハードテイルモデルなので、あくまでも移動手段として用意したe-MTBだ

走り出してすぐに気付いたのが、アシストフィーリングのよさ。e-Bikeのアシスト力は規定により発揮できるパワーに限界があり、その部分で差はつけにくいため、いかに自然なフィーリングに仕上げるかをメーカー各社が注力している。Rail 9.7はペダルを踏む力のセンシングとアシストの制御が実にうまくできているようで、人の力に違和感なくアシスト力が重なってくる印象だ。特に、4つ用意されているアシストモード(Eco/ TOUR/eMTB/TURBO)の「eMTB」が秀逸。ペダルを踏み込む力に合わせて最適に調整してくれるモードなのだが、軽くペダルを踏んだ時のアシスト力は「TOUR」モードと同等、強く踏み込めば「TURBO」モードと同じ最大出力を瞬時に発揮してくれる。

アシストモードの切り替えは「+/−」ボタンで直感的に行えるが、状況が変わりやすいオフロードでは「eMTB」モードにしておいたほうがラクだろう

トレイル入り口までの道は、標準的な「TOUR」モードで走行。普通のマウンテンバイクなら途中で息が上がるほどの斜度の坂道が続いたが、e-MTBなので会話しながら余裕で走行できた

トレイルを走る前に、アシストモードは「eMTB」に変更しておく。舗装路での走行ですでに電動アシスト機能の恩恵を受けているが、トレイルに入り、手前にある倒木を避けながら斜面をS字に切り返して登って行くシチュエーションで「eMTB」モードの本領を実感。このような状況の場合、登り坂ではアシストが必要だが、左へ右へと切り返すシーンでアシスト力が残っているとカーブの外に押し出すような力が働くため、アシストは抜けてほしい。「eMTB」モードにしておけば、切り返すシーンでペダルを踏む力を弱めるだけでアシストもすぐに抜けてくれる。そのシーンが下の動画だ。想像以上にスムーズにクリアすることができた。

佐藤さんがあまりにもキレイに走破したので、「eMTB」モードのようなアシストモードが搭載されていないミヤタ「RIDGE-RUNNER」(2018年モデル)に乗り換え、同じ場所を走行してもらった(下の動画参照)。同じ人が同じシーンを走ったにもかかわらず、今回は切り返しのシーンで押し出され、やや大回りになっている。

些細な違いに見えるかもしれないが、もっと坂が急角度だったり、道が狭かったりすると、少しの違いでコースアウトしてしまうこともある。e-MTBで山を走る際には必要な場面でアシストが抜ける素早さが重要なのだ。

1本目の倒木を避けてすぐ右(画面向かって左)へ切り返さなければならないシーンも「eMTB」モードで進めばいい

ペダルを踏む強さだけでアシスト力を思いどおりにコントロールできるので、コンパクトに曲がるのも余裕。普通のマウンテンバイクで味わえる“操る楽しさ”を「eMTB」モードなら同じように堪能できる

続いて、登り坂へ。電動アシスト機能が搭載されているので普通のマウンテンバイクよりラクに登れるのは当然だが、Rail 9.7はフルサスであることも走破性を高めてくれる。サスペンションが路面の凹凸を吸収し、斜面の途中に木の根などのギャップがあってもタイヤが跳ねられることなく、すんなり通過できた。

それなりに斜度があり、かつ、路面には木の根が露出しているシーンでもタイヤが暴れず、スムーズに登れる。この特性は山道を走るのに慣れていない初心者にもありがたいはずだ

最大トルクが大きく、サスペンションの性能も高いRail 9.7にとって、先ほど試した登り坂は楽勝すぎたので、さらに角度のある登りに挑戦してみる。普通のマウンテンバイクで挑んだ場合、かなり手前から助走をつけても登れるかどうか怪しいほどの急坂だ。しかし残念なことに、この登り坂には助走をつけられるスペースはない! 勢いをつけずに登らなければならない酷な状況だが、無事、クリアできるのだろうか。

心配をよそに、助走なしで急勾配の坂も走破!

心配をよそに、助走なしで急勾配の坂も走破!

発進時に強く踏み込まなくてはならないが、そのタイミングで急激にアシストが立ち上がってしまうとタイヤがすべってしまう。出だしのトルクからきちんとコントロールされており、急にパワーが出すぎない特性となっているようだ。この坂を見事クリアした佐藤さんによると、ペダルを漕ぐ力をほとんど使わなくていいので、車体の中央に乗ることに意識を集中できたとのこと。上の写真を見ると、確かに、前後のタイヤに均等に荷重がかかるポジションに乗れている。

前述の倒木のある細かい切り替えが必要なシーンでは足を付いてでないとクリアできなかった筆者には、佐藤さんほどのテクニックはない。そんな筆者でも、同じ急坂を登り切ることができた

そして、登ってきた坂を振り返り、驚いたことがある。路面にタイヤの跡がほとんど残っていないのだ。急坂ではペダルを強く踏み込むため、タイヤが少しずつ空転して路面を掘ってしまうことも少なくない。そういった現象がRail 9.7で起こらなかったのは、電動アシスト機能によりムダな踏み込みが防げたほか、タイヤが太く、縦の接地も多い29インチであったこと、リアサスペンションが路面を押し付けてくれたことによる効果だと思われる。山道では路面を傷つけないよう気をつけるマウンテンバイカーが増えている近年、フルサスe-MTBはその点でも有効と言えるだろう。

何度か登り降りをした路面だが、掘られた形跡がない以前にタイヤの跡も見つけられないほどだ

何度か登り降りをした路面だが、掘られた形跡がない以前にタイヤの跡も見つけられないほどだ

ここまですぐれたトラクション(路面に駆動力を伝える力)を見せつけられると、もっと難易度の高いシーンに挑んでみたくなる。探してみると、これまで以上に急角度の登り坂を発見。しかも、途中にできたくぼみに落ち葉が吹き溜まってフカフカになっているので、ペダルを強く踏み込むと後輪が空転してしまうはず。成功続きの佐藤さん、今回も難なくクリアとなるか!?

難関をものともせず、上の動画のとおり、ここも余裕でクリア! 楽勝だったようで笑みまでもれている(笑)。ただ、誰もが成功できるわけではない。筆者もRail 9.7で同じセクションに挑戦してみたものの、登り切れなかった。つまり、Rail 9.7に乗ればラクに斜面を登ることはできるが、ライダーの技術によって差が出るということ。「eMTB」モードのトラクション性能は間違いなく高いが、エンジンを搭載したバイクにあるトランクションコントロール機能のようにタイヤがすべった際に駆動力を抜き、すべらないようにするものではない。あくまでも、乗り手のペダリングスキルで駆動力をコントロールしなければならないのだ。だが、これはマウンテンバイク好きにとっては朗報。少ない労力で登れ、かつ、技術を高めていける余地があるのは魅力でしかない。

下りで実感! Rail 9.7の圧倒的な軽さと安心感

登りの性能が高いことは十分感じられたが、登りであれば、多少重いアルミフレームのe-MTBでもフルサスならRail 9.7と同等レベルの性能を発揮することはできるだろう。カーボンフレームにカーボンホイールを装備したRail 9.7だからこそのアドバンテージは、まだ体験できていない。そう思いながら進んでいくと、山道をふせぐように倒れた丸太が現れた。それを見て佐藤さんが「飛べるかも」とつぶやき、丸太へと突進!

わずかなギャップを利用し、フワッと浮くようなジャンプ! バッテリーやアシストユニットを積んでいるとは思えない軽やかさは、カーボン製のフレームとホイールの恩恵だ

その後、下りが多くなってくると“軽さ”のメリットをより感じられるように。普通のマウンテンバイクと比べると車重21.85kgのRail 9.7は軽くはないものの、バッテリーとアシストユニットが車体中央の下部に搭載されているため、左右に寝かせる操作が実に軽い。下りながら左右に切り返すような場面では、e-MTBであることを忘れてしまいそうになるほどだ。

左から右へ切り返す下りのS字コーナーも、ある程度のスピードで軽快に駆け抜けられた。重心を中央に集める設定が功を奏している

そのまま、さらに斜度のある下り坂に突入。ブレーキをかけながら走行するのだが、リンク機構「アクティブ ブレーキング ピボット(ABP)」のおかげで感動するほどの安心感が得られた。リアサスペンションはショックを吸収しながら後輪を路面に押し付ける役割を果たすが、通常のリンク機構の場合、メーカーによって違いはあるものの、一般的にリアブレーキをかけるとサスペンションの動きを制限してしまい、後輪が跳ねられ路面から離れやすい。そうなると、着地した際にロックしてしまいブレーキの効力が落ちてしまう。スピードが乗って途中にギャップがある下り坂では、特にブレーキを効かせたくなるが、一般的なマウンテンバイク(e-MTBも含む)では思うようにコントロールできなかった。いっぽう、アクティブ ブレーキング ピボットを採用したRail 9.7のならリアブレーキをかけてもサスペンションの動きを妨げないので、路面にタイヤを押し付け続けてくれる。これまで当たり前だと思っていた挙動がRail 9.7ではほぼ起きず、安心して下ることができた。車重があり、下りで勢いがつきやすいe-MTBにとっては、非常にありがたい特性だ。

腰を後ろに引いて後輪に荷重をしていることもあるが、タイヤが全く路面から離れていない

腰を後ろに引いて後輪に荷重をしていることもあるが、タイヤが全く路面から離れていない

同じセクションを筆者も走ってみた。腕の差はあるが後輪はしっかり接地している。ちなみに、後輪がロックしないということは、路面への攻撃性も低い

リンク機構「アクティブ ブレーキング ピボット(ABP)」による特性がさらに生きてくるのが、木の根などのギャップが多い路面だ。ブレーキをかけながらギャップを通過すると着地時に後輪がロックするような挙動になることも少なくなく、急坂の途中だと結構怖かったりするのだが、Rail 9.7なら下の動画のように安心してブレーキングしながら下っていける。

前後輪にブレーキをかけながら木の根を通過すると、荷重が抜けやすい後輪は滑ることが多いのだが……

前後輪にブレーキをかけながら木の根を通過すると、荷重が抜けやすい後輪は滑ることが多いのだが……

ギャップを乗り越えたあともタイヤはしっかりとグリップしてくれている

ギャップを乗り越えたあともタイヤはしっかりとグリップしてくれている

ギャップのある林間の下りも臆さずスピードに乗せて走行できるので、とにかく下りが楽しい! 一般的なe-MTBでは重さを感じるようなシーンでも、Rail 9.7はまったく気にならないのも感心した

そして、普通のマウンテンバイクではなかなかやる気にならない“下ってきたところを引き返す”こともe-MTBなら気軽に行える。Rail 9.7はトラクションも高いので、ギャップの多い急坂でも問題ない(下の動画参照)。「もう1度、走りたい」と思ったら何度でもトライできるのはe-MTBだからこそ味わえる魅力だ。

まとめ

普通のマウンテンバイクより登りが圧倒的にラクで、同じセクションで登り下りを繰り返すといった新しい楽しみ方もできるなどe-MTBには大きな魅力があるが、取り回しの重さや重量バランスには不満が残る部分もあった。というより、重たいバッテリーやアシストユニットを搭載しているのだから仕方ないとあきらめていた感じだ。ところが、Rail 9.7にはそういった不満点がほぼない。登りが快適なだけでなく、下りもコーナーリングも積極的に楽しめる。そのうえ、バッテリーの持続性も長く、今回、山道で5時間以上乗り回してもバッテリーは5目盛りのうち2つしか減っていなかった。正直なところ、79万円(税別)という価格以外には選ばない理由を探すのが難しいくらいの完成度だ。

マウンテンバイクとしての楽しさが損なわれていないので、普通のマウンテンバイクに乗っている人もかなり満足できる乗り味だろう

最後に、一緒に試乗してくれた佐藤さんにも感想を聞いてみた。これまで佐藤さんは価格.comマガジンの企画で3台のe-MTBに乗っており、アシストのフィーリングはヤマハ「YPJ-XC」が、軽さはBESV「TRS1」が、サスペンションはパナソニック「XM-D2」がよかったと感じていたという。そして、今回試乗したRail 9.7は、それらのよいところをすべて会わせたようなe-MTBであると高評価。80万円持っていたら買ってしまいそうだ……と、かなり気に入ったようだ。ガチなマウンテンバイク乗りをトリコにするRail 9.7は、e-MTBの新たなステージを体感できる名車といえる。

佐藤さん的には、特にライディングポジションが気に入っているという。トップ長(フレーム上辺の長さ)やハンドル幅、サドルの配置は、最新のマウンテンバイクに乗っている人がRail 9.7に乗り換えても違和感なく、扱いすいだろうとのこと

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

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