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「ボーケイ・SM8」6つのグラインドの違いを芝の上から確かめた

オグさんです。
今回はタイトリストのウェッジ、「ボーケイ・SM8」の試打レビューをお送りします。

ボーケイ「SM8」ウェッジ

ボーケイ「SM8」ウェッジ

スピン・ミルドの8代目

「ボーケイ」とは、米国のゴルフギアメーカーであるアクシネット社の持つブランド「タイトリスト」に属するウェッジのブランドです。

名前は同社のマスタークラフトマンである、ボブ・ボーケイ氏からとられたもの。プロツアーでの実績を積み重ねた高い性能が評価され、トッププロからアマまで、深い信頼と高い人気を獲得しています。

今回試打させてもらったモデルは「SM8」というモデル。SM「はスピン・ミルド」の名前のイニシャル、「8」はシリーズの8代目ということを指しています。ゴルフブランドで8代も続くというのは非常に珍しいこと。時代にごとのゴルファーのニーズに、性能で応え続けていた証と言えます。

前作「SM7」よりもインパクトが安定

先代の「SM7」も非常に評価の高かったモデルですが、SM8では重心を前方に持ってくることでインパクト時の安定性を高めているのだとか。またロフト角ごとに溝の幅を変えるグルーブ設計、溝と溝の間に精密ミーリング加工を施すなど、スピンコントロール性能も高めています。

重心を打点に合わせ、弾道や飛距離のコントロール性能を高めるプログレッシブCGデザイン、重心を浅くすることでインパクト時の安定性を高めるなど、使いやすさと性能を磨いたスピン・ミルドシリーズの8代目

やや面長のシェイプ。トップブレードにわずかな丸みを持たせ、プレッシャーを感じさせないやわらかい顔をしています

ロフト角ごとに溝の幅を変えるなど、番手に求められる性能を追求した妥協のない設計。溝と溝との間に精密加工されたミーリングを施すなど、手の込んだ作りになっています

6種類のソールタイプを用意

スピン・ミルドシリーズの大きな特徴のひとつといえるのが豊富なグラインド(ソールの形状)バリエーションです。SM8でももちろん健在で、6種類のグラインドが用意されています。

グラインドは、ウェッジの性能を決める非常に重要な部分です。ソール部分の出っ張り、つまりバンスを、打ち方によって強く効かせるのか、それとも効果を抑えるのか、そういう効き具合を調整するのがグラインドの役目です。

ウェッジの打ち方、使い方はたくさんあります。フェースを目標に向けて打つ、フェースを開いて打つ、ハンドファーストに構えてロフトを抑えて打つなど、どんな弾道を打ち、寄せたいかによってさまざまなテクニックがあります。そしてそのテクニック、ヘッドの入射角やバンスの使い方はゴルファーそれぞれでみな異なります。だからボーケイウェッジは、ロフト角、バンス角だけでなく、グラインドも多くのバリエーションを用意しているのです。

開かないときはソールの中央付近のバンスが効果を発揮します。ボールだけをクリーンに打ちたいならこの部分の張り出しが少ないソール形状のモデルを、ソールを使って打ちたい方は張り出しが大きいモデルを選ぶ必要があります。ソールの形状でかなり使い勝手は変わります。だから多くのバリエーションが用意されているのです

開いたときはヒール側の後方のソールが強く張り出します。開いたときに強くバンスを効かせたい方はこの部分が出たままのグラインド形状のモデルを、スパッとヘッドを抜くように打ちたいならこのヒール部分を削ったモデルが打ち方にマッチします。どんなにテクニックがあっても、打ち方とウェッジの形状が合っていなければ思ったとおりの弾道は打てません

ここからは6種類のグラインドの形状と私が打った感想をご説明していきます

■Fグラインド

ソール全面でバンスを効かせてくれる形状。多少のミスでもボールを拾ってくれるやさしさがあります

ソール全面でバンスを効かせてくれる形状。多少のミスでもボールを拾ってくれるやさしさがあります

少しだけヒール後方を落としているのは開いた時にバンスが効き過ぎないようにするため。それでもかなり強く効く印象。ボールの下を抜けてしまうようなミスが多い方におすすめのグラインドです

大きく削られているところがなく、バンスの効果を強く発揮するグラインドです。フルショットを基本とする、ロフトの立った番手と相性がよかったですね。また、特にテクニックを使うことなく、シンプルに打つにはバンスが効いて、ミスをかなり助けてくれる印象があります。

シリーズ通して、シャフトはいくつか用意されています。基本的には、お使いのアイアンのシャフトに合わせて選ぶのがいいでしょう。

アイアンよりも軽いシャフトをウェッジに選ぶのはNGです。なぜなら、フルスイングしないクラブなので、軽いシャフトだとタイミングが取りにくくなってしまうから。それだけでなく、アイアンよりもウェッジのシャフトが軽いと、アイアンのスイングにも悪影響を及ぼしかねないのです。

NS PRO 950GH neo」が90g、「NS PRO MODUS3 TOUR 105」が100g、「ダイナミックゴールド S200」が約130gですので、アイアンのシャフトを下回らない重さのシャフトを選ぶのがいいと思います。

■Kグラインド

こちらもソール全体でバンスを効かすグラインドですが、より幅が広くなっていて、その分“滑り性能”が高くなっています

丸みを帯びた幅広のソールが、少々手前から入っても滑ってくれるので、ダフリのミスに強い印象。フェースを開かなくてもバンスを使いやすいので、開いて打つのが苦手な方におすすめしたいグラインドです

Fグラインド同様、ソール全体でバンスを効かす形状ですが、ソール幅を広げて、刺さりにくさや滑りやすさを追求したモデルと言えます。滑りやすいソールのため、少々のダフリは緩和してくれますし、やや鋭角にヘッドが入っても刺さりづらいので、極端なザックリにはなりにくいですね。アベレージプレイヤーにはミスに強いやさしモデル、テクニックのあるゴルファーには、バンスを使いやすいモデルと言えます。

■Sグラインド

ソールの後方とヒール側を少し削り、まっすぐ構えたときにはしっかりとバンスを、開いたときに適度なバンスの効き具合を残した、言うならば“両立タイプ”といった感じです

この角度で見ると、ヒール側とソール後方が削られているのがわかりますね。ソール後方を削るとヌケがよくなるぶん、バンスの効果が抑制されます

ヒール側とソール後方を軽く削ったグラインドです。打ってみると、ヘッドのヌケがよく、フワッとした球が打ちやすい印象でした。それでもバンスは適度に効くので、操作性抜群といった感じではありません。テクニックを使いたいけど、大きなミスはしたくないといった感じの方にいいと思います。

■Dグラインド

トゥ側、ソール後方、ヒール側を削ってあります。ソールの接地面が小さい形状ですが、ソール自体は適度に幅があり、打ち方によって当たる面積が大きく変わる印象です

削られている面積は広範囲ですがソール自体が幅広く、いろいろな面を使えるように考えられています。構えや打ち方によって、かなり幅広い性能を発揮してくれそうです

トゥ、ソール後方、ヒールと削られている面積は広いのですが、ソール中央のバンスがしっかり付いているグラインド。ヌケはいいが、フェースを開かずに打つとちゃんとバンスがはたらき、開くと途端にヌケがよくなり、テクニックが使いやすい印象でした。オートマチックにも打てて、テクニシャンが技術を思う存分使える、幅懐の広いモデルって感じで、なかなか使いやすいと思います。

■Mグラインド

こちらもトゥ、ソール後方、ヒールを削ったタイプですが、面積がより多く削られており、全体的にヌケのよいモデルといった印象です

見え方はDグラインドと似ており、トゥ、ソール後方、ヒールが削られています。Dグラインドと比べると、こちらはソール全体で接地するようにできているため、バンスの効果がマイルドになっている感じがします

全体的にバンスの効果をマイルドにし、ヌケがよく、テクニックが使いやすいモデルといった印象です。とはいえスパスパ抜けるといった感じではなく、マイルドながらバンスが仕事をしてくれますので、難しい!といった感じはありません。テクニックの使える方なら使いやすいと感じるでしょう。初心者が使うと、微妙に助けてくれない感じを受けるかもしれませんが、これで練習したらうまくなりそうですね。

■Lグラインド

トゥ、後方、ヒールを削り、ソール幅も狭く、テクニック重視型って感じです

トゥ、後方、ヒールを削り、ソール幅も狭く、テクニック重視型って感じです

ソール幅はまずまず広いですが、削られた面積が大きいため、実際に接地する面はかなり小さいです。スパスパ抜けそう!

6つのグラインドの中で、バンスの効果を最も下げたモデルと言えます。フェースを閉じても開いても、ボールだけを拾ったり、下を抜くようなショットがとてもやりやすくできています。それもそのはず、このLグラインドは60°専用。技術があるゴルファーが、特殊なショットを狙うために作られたモデルと言えますね。

大きなミスや弾道のバラつきが少ない

シチュエーションを変えて、6種のグラインドを打たせてもらいました。感想としては、安定してスピンがかかるな、という印象。強烈なバックスピン!というのは、グリーン周りが中心の試打ということもあり、できませんでしたが、どんな状況からでも安定してスピンがかかっていました。球の上がり方にバラつきが少なく、大きなミスや弾道のバラつきが減ったな、というのがSM8全体に感じたことです。

SMシリーズはツアープロからのフィードバックをもとに開発されているため、ツアープロのためのモデル、つまり難しいモデルと思われている方がいらっしゃいますが、そんなことはありません。ツアープロが使いやすいように設計されているのは間違いないですが、それがアマチュアにとって難しいウェッジとは限りません。特に今回のSM8は安定感が非常に高く、FグラインドやKグラインドはミスにも強いので、安定したアプローチがしやすいモデルに仕上がっていると思いますね。

刈られた花道などの薄い芝からでもボールが拾いやすかったのはLグラインドやMグラインド

刈られた花道などの薄い芝からでもボールが拾いやすかったのはLグラインドやMグラインド

グリーン周りのラフなど、やや沈んだ状態で安定感が高かったのはFグラインドとKグラインド

グリーン周りのラフなど、やや沈んだ状態で安定感が高かったのはFグラインドとKグラインド

バンカーは結構好みが分かれると思いますが、個人的に、狙ったように打てたのはDグラインド

バンカーは結構好みが分かれると思いますが、個人的に、狙ったように打てたのはDグラインド

つま先上がりなど、しっかり構えにくいところでは、Kグラインドがよかったですね

つま先上がりなど、しっかり構えにくいところでは、Kグラインドがよかったですね

どんな環境でもしっかりとスピンがかかる、というのが今回の試打の印象。ロフトの多いウェッジで転がそうとした場合は、かなり意識して芯を外さないと、スピンで止まっちゃいそうです

ウェッジが苦手なら「F」や「D」

SM8はしっかりと進化をさせつつ、安定感が高まったことで、より安心して使えるウェッジになったと言えます。個人的にはスピン性能がしっかりしたせいなのか、フルショットは少し飛ばなくなった印象があったので、アイアンのすぐ下のウェッジは購入前にしっかりフルショットの距離を確かめてから購入することをお勧めします。

ウェッジが苦手な方は、FグラインドやDグラインドで、56°を基本にして選ぶとよいと思います。またタイトリストは、自社のHPでウェッジセレクターを用意していますので、自分がどんなウェッジを使ったらいいかわからない!という方は一度試してみるとよいでしょう。

取材協力:鶴カントリークラブ
写真:野村知也

小倉勇人

小倉勇人

ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。

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