南井正弘の「毎日走って、わかった!」
アシックスの流儀でチューンされていた!

アシックス初のカーボン内蔵レースシューズ「メタレーサー」を72kmランでテスト!

2020年6月12日より、アシックスのカーボンプレート内蔵レーシングシューズ「メタレーサー」が、一部店舗とアシックスオンラインストアで先行発売された。

本モデルは、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できるように設計された、アシックス史上最も先進的なランニングシューズで、アシックスとして初めて使用する軽量のカーボンプレートを、弓状のガイドソールテクノロジー内に搭載。重心の移動をスムーズにうながすことで蹴り出しのスピードを高め、高速走行をサポートするという。

アシックス「メタレーサー」(品番:1011B075.700)。公式サイト価格は22,000円(税込)

アシックス「メタレーサー」(品番:1011B075.700)。公式サイト価格は22,000円(税込)

今まで、ナイキ、ホカ オネオネ、ニューバランス、サッカニーなどのスポーツシューズブランドが、上級ランナー向けにカーボンプレート内蔵モデルをリリースしてきた。プレートを搭載する意図は各ブランドで若干異なるが、共通しているのは走行性の効率を向上させることであった。

そして2020年6月12日、アシックスが満を持して、初のカーボンプレート内蔵ランニングシューズ「メタレーサー」を先行リリース。アシックスファンのランナーの一部からは「アシックスからもカーボンプレート入りシューズを出してほしい!」という声が多く聞かれていたので、今回の「メタレーサー」の登場はファンにとっても朗報だ。

そんな「メタレーサー」のパフォーマンス性能を検証すべく、トータル72kmをテストランした。

各パーツをチェック!

まずデザインをチェック。アッパーのサイド部分に大きめのブランドストライプを配した点は、従来モデルのデザインテイストを継承しているが、別素材の貼り付けではなく、プリントで表現しているところは新しさを感じる。これにより、多少の軽量化に成功しているはずだ。

次にミッドソールをチェック。「カーボンプレート内蔵シューズ」は、「厚底」という図式で理解されている傾向にあるが、「メタレーサー」のミッドソールは従来の上級ランナー向けレーシングシューズである「ソーティ」や中級ランナーが好んで履く「ターサー」といったプロダクトと比較すると厚いが、ナイキやホカ オネオネといった競合ブランドのカーボンプレート内蔵シューズよりは薄い。

ミッドソールには、軽量でありながら弾性もあわせ持つ素材「フライトフォーム」を採用。従来のレーシングモデルよりも同素材を増量することで、足に伝わる衝撃を緩衝しつつ、すぐれた反発性を発揮する

アウトソールは、フラットで刻みの浅いタイプ。アスファルトやコンクリートといった舗装路で最高のグリップを発揮してくれそうだ。

アウトソールの「アシックスグリップ」と「ウェットグリップラバースポンジ」が、雨で濡れた路面でもすぐれたグリップ力を発揮。アウトソールパターンは刻みが浅いので、アスファルトやコンクリートといった舗装路で最高のグリップ性能が得られる

足を入れてみると、200gを切るというウェイトはもちろん、足なじみのよいエンジニアードメッシュを採用したこともあり、本当に軽さを感じる。

アッパーには、部位によって織り方を変えることでフィット性や通気性を向上させた軽量のエンジニアードメッシュを採用

インソールは、固定式で硬度が高めなこともあって安定性にすぐれる。立っている状態ではクッション性のよさはさほど感じない。いっぽうで体重を前後させると、アウトソールがアーチ状に弧を描くガイドソールとなっていることや、カーボンプレートを内蔵していることから、前方への推進力が一般的なランニングシューズよりも高いレベルにあることが理解できた。

弓状のガイドソールテクノロジーと、軽量のカーボンプレートをミックス。ソール形状を維持しながら重心の移動を促すので、蹴り出しスピードが高まる

つま先中央の穴は、通気性の向上と雨天時の水抜き促進のために設けられている

つま先中央の穴は、通気性の向上と雨天時の水抜き促進のために設けられている

「メタレーサー」にはアシックスらしい走り心地が残されていた!

トータル72kmの試走を実施!

トータル72kmの試走を実施!

実際に走ってみると、正直言って、他ブランドのカーボンプレート内蔵シューズで初めて走った時のような衝撃というか驚きはなかった。いい意味で、アシックスらしさが残されているのだ。アシックスの従来モデルとはデザインや構造こそまるで異なるが、「ソーティ」や「ターサー」を思わせるアシックスらしい走り心地は多少感じられた。

これは、他ブランドのカーボンプレート内蔵シューズが、それまでの同じレベルのランナー向けシューズとまったく違う走行感に仕上げていたのとは異なる。例をあげると、2017年にナイキは初のカーボンプレート内蔵レーシングモデルとなる「ナイキ ヴェイパーフライ 4%」をリリースしたが、その走行感にはそれまでのレーシングモデル「ズームストリーク」シリーズを想起させる点がまったく存在しなかった。

試走初回と2回目は4分30秒〜6分/kmのペースで走り、3回目は4分15秒〜5分40秒/kmで走ったが、センセーショナルな走行感は体感できなかった。走りやすいシューズではあるが、まだまだ本来のポテンシャルを出し切っているようには思えなかった。そこで4回目は東京・中野の「平和の森公園」の全天候トラックで走った際、ストップウォッチを持って練習していた中学生たちにも協力してもらい、100mを18秒ペースで2本、15秒ペースで1本走ってみた。すると、それまでは感じられなかったスムーズな重心移動と、身体を押し返してくれるような感覚を得ることができた。

【まとめ】走行感は変えずに、より効率的に走りたい上級ランナーに最適

このことからもわかるとおり、「メタレーサー」は、4分/kmを切るペースで走る上級ランナーにこそふさわしいランニングシューズであると思った。これより遅いペースでも走りにくいことはないが、そのパフォーマンスを100%発揮しているとは言い難い。同じカーボンプレート内蔵シューズでも、アメリカで先行発売されたサッカニーの「エンドルフィン プロ」は、「すべてのランナーを速くしたい」というコンセプトで開発され、着用したランナーの多くが「幅広いレベルのランナーに対応するかも!?」という感想を持ったのとは対照的だ。

逆に言えば、これまでアシックスのレーシングモデルを履いてきていて、「走行感はそれほど変えずに、より効率的な走りを違和感なくプラスしてほしい」と要望するランナーにはピッタリな1足だと思う。この「違和感なく」というのは意外と重要で、上級レベルのランナーの中で「ギアに関する冒険はあまりしたくない!」という人の割合は少なくないのである。

「メタレーサー」は、2020年6月26日から取り扱い店舗を拡大して一般販売もスタートするので、アシックスらしい走行感をキープしつつレベルアップを図りたいというランナーにはぜひともトライしてほしい1足だ。

南井正弘

南井正弘

ランニングギアの雑誌・ウェブメディア「Runners Pulse」の編集長。「Running Style」などの他媒体にも寄稿する。「楽しく走る!」をモットーにほぼ毎日走るファンランナー。フルマラソンのベストタイムは3時間52分00秒。

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