レビュー
スタイリッシュなe-Bikeで名高いBESVが手がける新ブランド登場

おしゃれなのに手ごろな価格で役立つ装備満載!VOTANI by BESVの電動アシスト自転車「H3」に試乗


小径タイプの電動アシスト自転車はデザイン性が注視されがちだが、今回紹介する「H3」は実用性にもこだわったモデル。しかも、日本初上陸となる新ブランド「VOTANI by BESV」の第1号車だ。そのこだわりと乗り心地をお伝えしよう。

見た目だけじゃない! 装備と価格にもこだわり満載

「H3」を手がけたのは、本格的なスポーツタイプの電動アシスト自転車「e-Bike」を数多くラインアップしている「BESV(ベスビー)」だが、ブランドは「VOTANI by BESV」となる。実は、オランダの自転車メーカー「VOTANI(ヴォターニ)」が電動アシスト自転車を作る際に技術協力していたBESVが、数年前にVOTANIを買収。すでに、海外ではBESV資本のVOTANIブランドのe-Bikeがいくつもリリースされている。そして、このたび、日本市場に参入するにあたり、新たなブランド「VOTANI by BESV」が立ち上げられた。日本国内においてBESVは、スタイリッシュでプレミアムなブランドという印象が強い。しかし、今回紹介するH3は“実用的な自転車”であることにもこだわったモデルであるため、あえてブランドを分けたのだという。

海外ではVOTANIブランドで展開されるが、日本国内ではVOTANI by BESVブランドとなる

海外ではVOTANIブランドで展開されるが、日本国内ではVOTANI by BESVブランドとなる

手ごろな価格で購入でき、気負わず乗れる実用的な自転車というと、日本国内ではシティサイクル(ママチャリ)が代表的なものとなる。そんな自転車がVOTANIの母国・オランダにも存在するのだが、レトロチックで圧倒的におしゃれ度が高い。クロスバイクに似た車体に、なかにはバスケットなども装備したものもある「ダッチバイク」と呼ばれる自転車だ。オランダ国民の足として利用されており、もともとVOTANIはダッチバイクをメインで販売していた。このような背景もあり、デザイン性と実用性を兼ね備えた電動アシスト自転車を……というコンセプトで開発されたのがH3なのだ。

前後に20×1.75インチのタイヤを装備した「H3」。太めの小径タイヤで、フロントにはサスペンションも備えられている

カラーは「METALLIC GRAY」と「METALLIC BLUE」の2色をラインアップ

カラーは「METALLIC GRAY」と「METALLIC BLUE」の2色をラインアップ

パッと見てわかる実用的な装備は、バスケットと前後に取り付けられたフェンダー、そしてチェーンカバーだろう。これらの装備は見た目を重視した自転車には付いていないことも多いのだが、ちょっとした荷物をバスケットに入れ、濡れた路面でも泥はねを心配せずに走れるのは普段使いに役立つ。このほか、バッテリーから給電されるオートライトや、街乗り自転車には欠かせないサイドスタンドも備えられている。

フレーム中央部にあるバスケットのサイズは約8(幅)×40(長さ)×12(高さ)mm(筆者計測)。パイプを組み合わせたような形状で、おしゃれ度も高い。なお、バスケットは工具を使って取り外すことができ、そのネジ穴に市販のドリンクホルダーを取り付けることも可能だ

雨が降る中や雨上がりに自転車に乗るならフェンダーはあるほうがいい

雨が降る中や雨上がりに自転車に乗るならフェンダーはあるほうがいい

チェーンはむき出しではなく、カバーを装備。チェーンに触れて服が汚れるのを防いでくれる

チェーンはむき出しではなく、カバーを装備。チェーンに触れて服が汚れるのを防いでくれる

街乗りする際の必須アイテムであるスタンドも完備されている

街乗りする際の必須アイテムであるスタンドも完備されている

ライトはバッテリーから給電し、照度センサーによって点灯/消灯が自動制御される

ライトはバッテリーから給電し、照度センサーによって点灯/消灯が自動制御される

そして、シンプルで壊れにくい設計となっているのもポイント。シティサイクルに乗る人の多くは、ロードバイクをはじめとするスポーツタイプの自転車ユーザーほどマメにメンテナンスしないと想定し、メンテナンスフリーでも安心して長く乗れるように、あえて複雑な構造にしなかったのだという。この点は、タフで強度が高い、オランダの実用自転車「ダッチバイク」と発想が似ている。また、シティサイクル感覚で乗れる自転車を目指したH3は価格も手ごろ。電動アシスト機能を搭載している分、価格は高くなるものの、シティサイクルタイプの電動アシスト自転車と同等レベルの13万2,000円(税別)となっている。

もちろん、価格を抑えたからといって電動アシスト自転車としての性能は損なわれていない。すぐれた制御に定評があるBESVアシストユニットを搭載し、街中で乗りやすいようにアシスト感を調整した仕上がりとされている。

前輪の車軸と一体化したハブモーターを採用。すっきりとしたデザインにひと役買っている

前輪の車軸と一体化したハブモーターを採用。すっきりとしたデザインにひと役買っている

バッテリーは車体中央部にあるケースに収納する仕様。バッテリーケースが車体デザインの一部になっているのも斬新だ。バッテリー容量は36V/7.0Ahで、最大80kmのアシスト走行が可能

車体に搭載したまま充電は行えないため、バッテリーをケースから取り外す作業が必ず発生する。鍵で解錠したあと、引き出すだけなのでさほど手間ではない。バッテリーの重量は1.45kgなので、持ち運びもラクラク

バッテリーへの充電は付属の充電器を使う。バッテリー残量ゼロの状態から満充電まで約3.5時間かかる

バッテリーへの充電は付属の充電器を使う。バッテリー残量ゼロの状態から満充電まで約3.5時間かかる

H3に乗って街中を走ってみよう!

走り出しが機敏で小回りが利く小径自転車は、そもそも街乗りに適しているもの。各モデルの乗り味の差となるアシスト感や、装備品の使い勝手などに重点を置いて試乗してみる。

実用性を高めるために装備されたバスケットにバッグを入れて試乗する。筆者所有のメッセンジャーバッグは少し大きめだったが、きっちり収納できた。しかし、バスケットが浅いので、バッグの大半はバスケットからはみ出た状態だ。走行中の振動で落ちてしまわないか心配……

高さのあるバッグを入れたとしても、乗車に影響はない。適応身長は149cm〜となっている

高さのあるバッグを入れたとしても、乗車に影響はない。適応身長は149cm〜となっている

H3に用意されているアシストモードは、「エコ」「ノーマル」「パワー」「オートアシスト」の4種類。今回は基本的に、ペダルを踏み込む力に合わせて出力を自動で調整してくれるオートアシストモードで走る。このモードは、BESVの電動アシスト自転車ではおなじみのもの。いちいちモードを切り替える手間がないだけでなく、ムダなバッテリー消費も抑えられるのがメリットだ。

アシストのオン/オフやモードの切り替えは、左手側に装備されたスイッチ一体型ディスプレイで行う。ディスプレイに表示されるのは走行距離やスピード、現時点のバッテリー残量で走行できる距離とシンプルだ

走り出して、まず感じるのはアシストのスムーズさ。シティサイクルタイプの電動アシスト自転車は、漕ぎ出しから強力なアシストが立ち上がって想像以上に自転車が進んでしまい、シーンや人によっては怖さを感じることもある。H3はペダルを踏み込んだところにほどよくアシストが乗ってくる感じで、非常に自然。フロントにモーターを搭載した前輪駆動の自転車の場合、前から引っ張られるようなフィーリングのモデルもあるが、H3にはそういった違和感もほとんどなかった。そして、やはりオートアシストモードは秀逸。登り坂にさしかかり、ペダルを強く踏み込むとすぐにアシストが強くなる。切り替えの感覚もシームレスなので、いきなり強くなって驚くこともない。

漕ぎ出しのアシストは控えめだが、少し漕げば即座にスピードが乗ってスイスイ走れる。スムーズなアシスト感が気持ちいい

ただ、激坂ではオートアシストパワーでなく、最大出力でアシストされるパワーモードに切り替えておくほうがラク。というのも、登り坂を走行時、力一杯ペダルを漕いでいても人間がペダルを漕ぐ力は一定ではないので、オートアシストモードはそういった強弱を感知し、出力も合わせて調整されてしまう。そのため、勾配のきつい坂ではあらかじめパワーモードにしておくほうが、安定したアシストを得られ、軽い力で登れる。特に、小径自転車ならなおさらだ。下の動画は、最大傾斜13°の坂を登った様子。前輪駆動の電動アシスト自転車は登り坂で荷重が抜けやすいため登り切れるか若干不安だったのだが、もっとも軽いギアに入れておいたところ、あっさり走破できた。

今回登った坂はオートアシストモードでも登り切ることはできるが、せっかく電動アシスト自転車に乗っているのだからラクに乗れるよう、パワーモードで走行。ちなみに、路面が荒れているところでは前輪駆動の特性で前輪がすべりそうになる場面があったものの、怖さを感じるほどではなかった

変速ギアは3段の内装式。停止している際にも変速できるので、街乗りで使いやすい

街中では、階段にも遭遇する。H3はコンパクトで、車重も19.5kgとシティサイクルタイプの自転車と比べると軽量だが、持ち上げることを前提とした設計ではないため、力に自信がない人は階段は迂回したほうがいいだろう。

持ち上げやすい形状ではないので、正直なところ、筆者も階段は避けたい

持ち上げやすい形状ではないので、正直なところ、筆者も階段は避けたい

実用的な装備のひとつであるバスケットの使い勝手は、なかなか良好。バスケットがセンターに備えられているため、ある程度重量のある荷物を入れたとしてもハンドリングに影響が少ない。また、段差のある路面を走ったりもしたが、バッグが落ちることもなかった。

足の間にバッグがあるのは少し違和感があるが、ペダルを漕いでいる時にバッグが足に当たることもなかった

足の間にバッグがあるのは少し違和感があるが、ペダルを漕いでいる時にバッグが足に当たることもなかった

勢いをつけて段差を乗り越えてみたが、バスケットからバッグが飛び出すこともなくひと安心。また、フロントに装備されているサスペンションのおかげで、段差を乗り越えた際の衝撃が緩和され、ハンドルが取られなかったのも評価したい

ただ、バスケットはそれほど大きくないのでたくさんの荷物は入れられない。買い物した荷物を入れたい場合は、リュックやワンショルダーバッグなどを使うといいだろう

まとめ

小径自転車は発進はしやすいものの、段差を乗り越える際の安定性や速度の維持は苦手だったりするのだが、H3は太めのタイヤやフロントにサスペンションを装備していることもあり、ギャップの走破性も問題なし。スポーツタイプのe-Bikeのようなハイスピードでの巡航には向いていないものの、アシストが効く24km/hまではスムーズに加速できた。それでいて、こだわったという実用性の高い装備がかなり便利。デザイン性を優先したモデルの場合、省かれてしまう装備が多いが、日常の足として使う自転車としての役割をしっかり果たしつつ、おしゃれさも担保されているのは非常に魅力的だ。加えて、BESVが誇るアシスト技術が搭載されている点も推せるポイント。数多くのe-Bikeを手がけているメーカーだけに、アシスト感の制御が絶妙で、ただラクに乗れるだけでなく、気持ちよく走ることができる。そういったところを含め、シティサイクルタイプの自転車と変わらない価格設定のH3はかなり狙い目のモデルと言えるだろう。

常にオートアシストモードで走行したいほど便利なモードなのだが、電源を切るとリセットされてしまう。再び起動すると、アシストオフの状態から「1(エコ)」→「2(ノーマル)」→「3(パワー)」→「A(オートアシスト)」とアシストモードを順に切り替えていかねばならない。最後に使用していた設定が記憶されるようになるとありがたいのだが……

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

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