南井正弘の「毎日走って、わかった!」
安いからと言ってあなどることなかれ!

ここ数年で屈指の高コスパ! ニューバランスとサッカニーの中価格帯モデルは要注目

近年のランニングシューズマーケットは、30,000円を超えるレーシングシューズが販売されるなど、全般的に希望小売価格の上昇傾向が顕著である。そんな中、今回紹介する2足は、上級機種の特徴を継承しつつ、リーズナブルプライスを実現しており、「その値段でこの走り心地はお得だよなぁ……」と、走行時に思わせてくれる。そんなポジティブな感想を抱かせてくれたニューバランスの「フューエルセル プリズム」とサッカニーの「エンドルフィン シフト」の走り心地をレポートしたい。

ニューバランス「フューエルセル プリズム」の「WHITE/RED」。公式サイト価格は、13,200円(税込)

ニューバランス「フューエルセル プリズム」の「WHITE/RED」。公式サイト価格は、13,200円(税込)

サッカニーの「エンドルフィン シフト」の「BLACK/WHITE」。公式サイト価格は、14,300円(税込)

サッカニーの「エンドルフィン シフト」の「BLACK/WHITE」。公式サイト価格は、14,300円(税込)

「フューエルセル」が弾むような走り心地を提供

ニューバランスの「フューエルセル プリズム」は、アッパー前足部に「NBロゴ」を大胆に配したそのデザインが示すように、同社のミッドソールテクノロジーである「フューエルセル」を採用した上級機種の「フューエルセル5280」、「フューエルセル RC エリート」(日本では今秋発売予定)、「フューエルセル TC」と同じ系譜に連なる1足。

ビギナーランナーからサブ4(フルマラソン4時間切り)を目指すランナー、エリートランナーのジョグにまで活用できるように設計された汎用性にすぐれたプロダクトで、ミッドソールに採用された「フューエルセル」特有の弾むような走り心地と特徴的なソールの巻き上がりが着地時の滑らかな接地感を実現している。

ミッドソールには、独自の弾むような反発性能を提供してくれる「フューエルセル」テクノロジーを採用

ミッドソールには、独自の弾むような反発性能を提供してくれる「フューエルセル」テクノロジーを採用

ミッドソールのかかと部分内側には、硬度を高くした「メディアルポスト」を配置し、アッパーのサドルサポートを加えることで、走行時の安定性の確保や、オーバープロネーション(故障の原因のひとつで、着地時に足が極端に内側に倒れること)の防止にも貢献する。また、アッパーには高い通気性を提供しつつ中足部のフィット性を高めるエンジニアードメッシュを採用することで、長時間のランでも快適さをキープしてくれる。

高い通気性を提供しつつ、中足部のフィット性を高めるタイプのエンジニアードメッシュをアッパーに使用。長時間のランでも快適さを失わない

アスファルトやコンクリートといった舗装路で最高のグリップ性を発揮するアウトソールパターンだが、公園の土の上でも十分なトラクション性能を提供してくれた

ゆりかご状に転がるソールユニットにより高い推進力を実現

いっぽう、サッカニーの「エンドルフィン シフト」は、エリートレーサーの持つ最大限のパフォーマンスを発揮させることを可能にしたレーシングシューズ「エンドルフィン プロ」や、フルマラソンやハーフマラソンを始めとした本番レース前の調整やスピード練習にも最適なスペックを結集した「エンドルフィン スピード」とともに、「エンドルフィン」シリーズを形成する1足。日々のトレーニングに最適な安定性にすぐれたシューズで、厚手のミッドソールは高い衝撃吸収性を追求するとともに、「スピードロール」テクノロジーを採用したソールユニットがゆりかご状に転がるので、高い推進力も期待できる。

アッパーには、部位によって編み方を変えることで通気性とフィット感の両方を追求したエンジニアードメッシュを採用

ミッドソールには、ある程度硬度のある「パワーラン」を採用。外付けヒールカウンターを下方向に伸ばしたデザインや、アウトソールの内側を一部巻き上げた構造とあいまって、高い安定性とオーバープロネーションの抑制を実現している

軽量化のためにラバーの使用は最小限に抑えたアウトソール。前足部の「スピードロール」という弧を描くソール形状が、着地から蹴り出しまでの、スムーズに転がるような走行感を生む

「フューエルセル プリズム」を履いて走ってみた!

まず、ニューバランスの「フューエルセル プリズム」から足を入れてみた。

足長と足囲のバランスがよく、足にピッタリとフィット。かかと部分の吸い付くような感覚も上級機種である「フューエルセル TC」ゆずりだ。ミッドソールは、ある程度硬度があるタイプで、立っている状態では沈み込みは感じられず、安定感のよさが認められた。この点は、立っている状態でもミッドソールのやわらかさを感じた「フューエルセル TC」とは対照的だった。

実際に走り始めると、「フューエルセル」のミッドソールは、着地時に潰れて衝撃を吸収し、蹴り出し時に反発性を供給するが、このリアクションは一般的なランニングシューズよりもクイックであることがわかる。どちらかと言うと反発性を重視したセッティングであり、足の保護性を重視したプロダクトの印象が強かったニューバランスのラインアップの中では、その攻めの走りが目立つ。強く踏み込めばその分効率よくペースを上げられる印象だ。

筆者の場合、着地時に極端に足が内側に倒れこむ傾向にはないが、長距離を走ったり、疲労で足の動きが本来の調子でなかったりすると若干オーバープロネーション気味となる。安定性とオーバープロネーション抑制のために設けられた「メディアルポスト」は、通常の走行時にはあまり自己主張せず、必要な時にしっかりと機能してくれる印象で好感が持てた。

今回は、いつもより長めの12.5km、10.5kmの2度のランでテストしたが、自然とペースが上がる感覚と、すぐれた着地安定性は特筆すべきものがあると思った。

「エンドルフィン シフト」を履いて走ってみた!

次にサッカニーの「エンドルフィン シフト」に足を入れた。

シュータンの両サイドをアッパーに固定した構造は、すぐれたフィッティングを提供してくれるが窮屈感はない。立っている状態では、「エンドルフィン プロ」と「エンドルフィン スピード」の上位2モデルのミッドソールがフワフワした感覚なのに対し、こちらは沈み込みがほとんど感じられず、カチッとした安定感を覚える。これはミッドソール自体の硬度も理由にあげられるが、外付けヒールカウンターを下方向に伸ばしたデザインと、アウトソールの内側を一部巻き上げた構造が大きく寄与している。

実際に走り始めると、ミッドソールに柔軟な「パワーラン PB」を使用した「エンドルフィン プロ」の「弾む感覚」+「転がる感覚」や、「エンドルフィン スピード」の弾む感覚とは異なる走行感であることがわかる。着地時の安定感が特に感じられ、過度に衝撃を吸収しようとするミッドソール素材ではなく、使用している「パワーラン」にある程度の硬度があるのがその理由だろう。ホカ オネオネの「メタロッカー構造」ほど強調されていないが、前足部の「スピードロール」という弧を描くソール形状ともあいまって、着地から蹴り出しまでスムーズに転がるような走行感を楽しむことができた。

このシューズでは、日課としている6kmランを3度走ったが、先述の転がる感覚もあり、走り終わった際に普段よりもエネルギー消費が少なかった気がした。今度機会があれば、より長い走行距離で、このシューズならではの効率のよい走りを体感したいと思う。

【まとめ】ここ数シーズンで屈指のコストパフォーマンスの高さを実感

以上のように、今回テストした2足とも、その価格からすると高いパフォーマンス性能を有していることが理解できた。特にニューバランスの「フューエルセル プリズム」は、ここ数シーズンでも屈指のコストパフォーマンスの高さだと思う。

先にも述べたように、昨今のランニングシューズマーケットにおいては価格の高騰が指摘されており、一定以上の機能性を求めるにはそれなりの出費を覚悟しなければならないのは確かだ。ひと昔前なら、そこそこの機能性を有したシューズが購入できた12,000円だと、現在ではベーシックモデルしか購入できなくなった。しかしながら、同じ価格帯でも客観的に見て「このシューズとあのシューズは同じ価格だけど、走行性能には大きな差があるなぁ……」というケースは少なくない。

今回紹介した2モデルは、税別で12,000円と13,000円という価格帯において、個人的に最もコストパフォーマンスの高いシューズのひとつであると自信を持って言える。ちなみに、アメリカにおける価格は、ニューバランスの「フューエルセル プリズム」が120ドル、サッカニーの「エンドルフィン シフト」が140ドルと、他ブランドの日米価格と比較してもお買い得な価格設定となっていることも付け加えておく。

南井正弘

南井正弘

ランニングギアの雑誌・ウェブメディア「Runners Pulse」の編集長。「Running Style」などの他媒体にも寄稿する。「楽しく走る!」をモットーにほぼ毎日走るファンランナー。フルマラソンのベストタイムは3時間52分00秒。

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