南井正弘の「毎日走って、わかった!」
ニューバランスが誇る最先端スペックを結集!

ニューバランスからの“挑戦状”! 「FuelCell RC Elite」は最速シューズの座を目指す

ニューバランスの「FuelCell RC Elite(フューエルセル アールシー エリート)」は、2017年にアメリカ国内の工場に併設されたイノベーションラボにおいて、契約アスリートとともに開発をスタートした「FuelCell」シリーズの最新モデルである。

本モデルは、フルマラソンのレース本番に最適なスペックを結集したカーボンファイバープレートシューズであり、各ブランドの同種のレース向けシューズが出揃う中、アスリートのパフォーマンスを最大限に引き出すことにより、世界各国における大会で表彰台争いに食い込むことができるか注目されるところ。そんな高機能シューズの走行性能を検証する。

「FuelCell RC Elite」の公式サイト価格は、28,600円(税込)

「FuelCell RC Elite」の公式サイト価格は、28,600円(税込)

ニューバランスが誇る最先端スペックを結集!

ニューバランスを代表するミッドソールテクノロジー「FuelCell(フューエルセル)」は、軽量性と反発性を高次元で融合することで、アスリートに弾むような走行感覚を提供してくれる。ニューバランスが誇るもうひとつのミッドソールテクノロジー「FRESH FOAM(フレッシュフォーム)」が柔軟性と軽量性にすぐれ、スムーズな走行感と快適性を提供してくれるのとは対照的で、よりアグレッシブな走りを求めるランナーに最適な機能と言える。

そんな「FuelCell」を搭載し、フルマラソン向けに開発されたプロダクトが「FuelCell RC Elite」だ。世界レベルで活躍するアスリートがフルマラソンで勝利すべく開発された1足で、2019年12月の「第17回アジアマラソン選手権大会」で優勝した神野大地選手が着用し、アメリカでは2020年春に限定販売された。

ミッドソールは、軽量かつ高反発が特徴の「FuelCell」を採用することで、トップアスリートが大事なレースで結果を残せるように、高いパフォーマンス性を追求。ソールに内蔵されたカーボンファイバープレートが、すぐれた推進力を生み、ランナーの走りをサポートする。

ミッドソールには、軽量性と反発性を高次元で融合した「FuelCell」を採用。着地衝撃を効率よく反発性に変換することで、弾むような走行感覚を提供してくれる

ミッドソールには、軽量性と反発性を高次元で融合した「FuelCell」を採用。着地衝撃を効率よく反発性に変換することで、弾むような走行感覚を提供してくれる

アウトソールの前足部には、「NB HANZO」シリーズにも採用されるグリップ性にすぐれた「DYNARIDE(ダイナライド)」を採用。雨などの天候に左右されやすいロードレースにおいても、濡れて滑りやすい路面をしっかりとつかんで高いグリップを生み出すことに成功している。

アウトソール前足部には、グリップ性にすぐれた「DYNARIDE」を採用。雨天時のレースの濡れて滑りやすい路面においても、すぐれたグリップ性能を発揮する。カーボンプレート内蔵シューズは、転がり重視のアウトソールを採用していることが多いが、本モデルは路面をつかむようなグリップ性を追求している

アウトソール前足部には、グリップ性にすぐれた「DYNARIDE」を採用。雨天時のレースの濡れて滑りやすい路面においても、すぐれたグリップ性能を発揮する。カーボンプレート内蔵シューズは、転がり重視のアウトソールを採用していることが多いが、本モデルは路面をつかむようなグリップ性を追求している

アッパーのメッシュは、レースの間も快適さを犠牲にしないメッシュアッパーを採用。足にフィットし、長時間の走行でもストレスを低減する。

アッパーには、ベーシックなメッシュ素材を使用。部位によって織り方を変えたエンジニアードメッシュやニット素材が全盛の昨今では逆に新鮮だが、フィット性と通気性は高レベルにあった

アッパーには、ベーシックなメッシュ素材を使用。部位によって織り方を変えたエンジニアードメッシュやニット素材が全盛の昨今では逆に新鮮だが、フィット性と通気性は高レベルにあった

以上のように、ニューバランス ランニングが誇る最先端スペックを結集することにより、このプロダクトは完成したのだ。

ボリューミーなミッドソールを備えたシューズでありながら、筆者のサイズUS8(26.0cm)で191gという超軽量性を誇る

ボリューミーなミッドソールを備えたシューズでありながら、筆者のサイズUS8(26.0cm)で191gという超軽量性を誇る

加速力と軽量性に驚いた!

まず足を入れてみて感じるのは、そのフィット感のよさ。

特に、中足部のフィット感は秀逸で、2020年に履いた新作ランニングシューズの中ではトップレベルにあり、立った状態でも「FuelCell」のクッション性の高さが足裏に伝わる。ある程度沈み込んだ後に力強く押し返すタイプのミッドソール素材なので、多少揺れる感覚はある。しかしながら、2020年3月に本連載で紹介した同じニューバランスの「FuelCell TC」が同様の履き心地だったものの、ペースを上げるにつれて気にならなくなったので、このシューズに関してもあまり心配はしなかった。

そしてもうひとつ特筆すべきは、その軽さ。ある程度ボリューミーなミッドソールを採用したシューズでありながら、191g(サイズ26.0cm)という超軽量性を実現しており、これは他ブランドのカーボンプレート搭載シューズと比較して遜色ないどころか、最も軽い部類となる。

実際に履いて走ってみた

実際に履いて走ってみた

実際に走り始めると、ミッドソールの「FuelCell」がしっかりと沈み込んで、そのエネルギーを推進力へと変換することがまず感じられ、内蔵されたカーボンプレートの存在はあまり感じられない。

5分30秒/kmくらいまでのペースだと、着地時の揺れと「廻内」、すなわち着地時の脚の内側への倒れ込みがある程度あることに気づくが、ペースを上げていくと、揺れも廻内も気にならなくなる。そして、少し脚部に力を込めるだけでペースがグイグイ上がる。その加速度はほとんどのランニングシューズを凌駕するほどで、あっという間にペースが4分40秒/kmまで上がった。体感では5分/kmくらいで走っているつもりでも、手元のスントのGPSウォッチで確認したら、それよりも20秒ほど速いペースで走っていたのだ! それは、3度の6kmランのいずれも同様であり、このシューズの推進力の高さを確認することができた。

硬質素材をちりばめたアウトソール前足部の「DYNARIDE」は、アスファルトの路面をしっかりとつかむようなグリップ性を発揮し、昨今の転がるタイプのアウトソールとはまったく異なる走り心地だった。これは、「卵が先か鶏が先か」の論争と同様で、「DYNARIDE」のような高いグリップ性のアウトソール素材が採用されているから、転がるような走り心地ではなく路面をつかむような走行感が実現されたのか、あるいは、ブランド側が路面をつかむような走行感を目指したから、硬質素材のアウトソールを採用したのか、そのどちらなのかは気になるところである。それほど本モデルの走り心地は、ナイキやアディダス、サッカニーなどのカーボンプレート内蔵シューズと異なるのだ。

最終的に、4分10秒/kmほどまでペースを上げてみてひとつ気になったのが、走り方によっては反発力のベクトルが前方よりも、若干上方向に飛び跳ねる感じに反応してしまう傾向があったこと。この点さえ注意して走れば、加速力はライバルブランドに決して劣っていないし、普段よりも速めのペースで走った割に翌日の脚の張りは少なかった。これは、本モデルが脚力をセーブしつつ、効率よくペースを上げることを可能にしていることの証明だろう。

【まとめ】現行モデルの中で最も加速力のあるシューズだった!

以上のように、「FuelCell RC Elite」は、現在市場で発売されているレーシングシューズで最も加速力のあるシューズのひとつであり、脚部への負担も少ないことが理解できた。3度履いてみて、「カーボンプレートはあまり主張しないなぁ……」と思ったが、効率よくスピードに乗って走ることができたので、そのことはまったく問題にはならないだろう。税込で28,600円という価格設定も、このシューズのパフォーマンス性能の高さを考慮すれば十分に納得できる。

ひとつだけ注意したいのは、低速時には多少内側へ倒れこむ傾向はあるので、着地時に脚が内側に過度に倒れこむオーバープロネーションのランナーで、かつペースを上げられない人には向いていないということ。このシューズの特性上、ゆっくりペースで走るランナーのことはあまり考慮しなくてもよいから、大きな問題ではないが……。あと個人的には、アメリカで先行販売されたホワイトベースのカラーリングを気に入っていたので、「そちらの日本展開があれば……」という希望はある。

南井正弘

南井正弘

ランニングギアの雑誌・ウェブメディア「Runners Pulse」の編集長。「Running Style」などの他媒体にも寄稿する。「楽しく走る!」をモットーにほぼ毎日走るファンランナー。フルマラソンのベストタイムは3時間52分00秒。

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