レビュー
先代モデルの4割以下の価格で購入できる新モデル

施錠/解錠もスマホで!見た目も機能もスマートでイケてるVanMoofの新型e-Bike「S3」「X3」

バッテリーやモーターを搭載しているようには見えない外観のe-Bike(本格的なスポーツタイプの電動アシスト自転車)は、最近ではそれほどめずらしくはないが、新しいモノやギミックが好きなら、オランダ生まれの「VANMOOF(バンムーフ)」はチェックしておきたいブランド。洗練されたデザインと先進的なテクノロジーを備えたe-Bikeに、所有欲をかき立てるはずだ。そんなVANMOOFから2020年に登場した新モデル「VanMoof S3」と「VanMoof X3」の進化点や乗り心地を紹介しよう。

左が「VanMoof S3」で、右が「VanMoof X3」。両モデルとも「ライト」(左)とダーク(右)の2色がラインアップされている

左が「VanMoof S3」で、右が「VanMoof X3」。両モデルとも「ライト」(左)とダーク(右)の2色がラインアップされている

e-Bikeに見えない車体に先進的なテクノロジーを搭載

2009年にオランダで誕生し、2014年から電動アシスト機能を搭載した自転車を展開しているVANMOOFが日本に上陸したのは2017年のこと。本国で2016年に発売した「Electrified S」の主な特徴を継承し、日本市場向けに設計された小径モデル「Electrified X」をリリースしたのだ。その後もイメージを継承しつつ、細かい部分をブラッシュアップしながら、2018年に「Electrified S2」と「Electrified X2」が登場。2019年には普通の自転車の生産を止め、完全に電動アシスト自転車のみのラインアップに切り替えたことから、それまでの製品に付けられていた「Electrified(電化)」を省き、2020年に発売される新モデルより「VanMoof S3」「VanMoof X3」という名称となった。

そんな「VanMoof S3」と「VanMoof X3」はフレームやタイヤサイズ、装備が若干異なるものの、基本構造や主な機能は同じ。水平基調のフレームにバッテリーやライトを内蔵し、モーターはフロントホイールの軸(ハブ)部分に搭載するなど、シンプルなデザインに仕上げられている。街乗りモデルらしく前後にフェンダーが装備されているので、雨上がりの乗車も安心だ。

29インチサイズの大径ホイール(ロードバイクに用いられる700Cと同径)を採用した「VanMoof S3」。29×2.0インチの太めのタイヤを装備している。重量は約19kgで、適応身長は170cm〜。価格は250,000円(税込)

29インチサイズの大径ホイール(ロードバイクに用いられる700Cと同径)を採用した「VanMoof S3」。29×2.0インチの太めのタイヤを装備している。重量は約19kgで、適応身長は170cm〜。価格は250,000円(税込)

「VanMoof X3」はホイール径24インチの小径タイプ。「X3」にのみ、フロントに荷物を車載できるラックが装備されている。重量は約19kgで、適応身長は155〜200cm。価格は250,000円(税込)

「VanMoof X3」はホイール径24インチの小径タイプ。「X3」にのみ、フロントに荷物を車載できるラックが装備されている。重量は約19kgで、適応身長は155〜200cm。価格は250,000円(税込)

バッテリーはダウンチューブに内蔵されており、取り外しはできない。バッテリー容量は504Whで、アシスト可能な距離は最長150km

バッテリーはダウンチューブに内蔵されており、取り外しはできない。バッテリー容量は504Whで、アシスト可能な距離は最長150km

充電は付属の充電器をトップチューブに接続して行う。バッテリー残量ゼロの状態から満充電まで約4時間かかる

充電は付属の充電器をトップチューブに接続して行う。バッテリー残量ゼロの状態から満充電まで約4時間かかる

フロントライトとテールライトもフレーム内蔵式。テールライトは周囲の暗さを感知して自動で点灯するように設定できる

フロントライトとテールライトもフレーム内蔵式。テールライトは周囲の暗さを感知して自動で点灯するように設定できる

前輪のハブにモーターを搭載。ケーブルはフレーム内を通す構造となっている

前輪のハブにモーターを搭載。ケーブルはフレーム内を通す構造となっている

ハンドルもステム部分まで一体化した独自の形状。高さの調整もできる

ハンドルもステム部分まで一体化した独自の形状。高さの調整もできる

VanMoofらしいクラシックなデザインを踏襲しているため先代モデルとの変化はわかりにくいが、モーターは小型化され、ハンドルバーやサドル、フロントラック(VanMoof X3のみ)がリニューアルされている。さらに、フレームの溶接跡などもスムーズに仕上げられ、精度もアップしているという。そして、なにより、前後のディスクブレーキが油圧式となったほか、“ライダーがカスタマイズできる”変速機能が採用されたのは特出すべきポイント。e-Bikeは普通の自転車よりも車体が重いので、小さい力で大きな制動力を得られるブレーキの装備は街乗りであってもありがたい。変速機能の詳細は試乗のところでお伝えするが、速度に合わせて自動で4段階に切り替えてくれるだけでなく、変速するタイミングを自分の好みに調整することもできる。

油圧式ディスクブレーキのディスクも車体デザインに合わせ、シンプルな形状

油圧式ディスクブレーキのディスクも車体デザインに合わせ、シンプルな形状

自動化された変速は内装式なので、外部からは確認できない。フルカバーされたチェーンは、見た目のシンプルさとメンテナンス頻度の低減に貢献

自動化された変速は内装式なので、外部からは確認できない。フルカバーされたチェーンは、見た目のシンプルさとメンテナンス頻度の低減に貢献

そして、VanMoofのe-Bikeの特徴であるスマートフォンとの連携機能や盗難防止機能は、もちろん新モデルにも完備されている。最近のe-Bikeは自転車と連携させたスマートフォンのGPS機能を使って走行距離や速度などを記録できるものも増えているが、VanMoofのe-Bikeはそれだけに留まらない。アシストモードの切り替えやライトのオン/オフ、車体の施錠/解錠もアプリ上で行える。また、盗難防止機能もレベルが違う。ロックされている車体を無理矢理動かそうとすると警告音が鳴るだけでなく、車体を持って行かれた場合には追跡でき、さらに「バイクハンター」と呼ばれるスタッフが盗まれた車体を探し出すサービスも展開しているのだ。ヨーロッパでは実際にパリで盗まれた車体をカサブランカで発見し、回収した事例もあるという。

専用アプリをダウンロードしたスマートフォンをVanMoof S3/X3とBluetooth接続して使用。アプリ上でアシストモードを切り替えるなど、設定が行える

専用アプリをダウンロードしたスマートフォンをVanMoof S3/X3とBluetooth接続して使用。アプリ上でアシストモードを切り替えるなど、設定が行える

もちろん、車体に装備されたボタンでアシストモードを切り替えることも可能。長押しでアシストモードを0〜4に切り替えるという操作方法なので、設定したいモードが決まっている時はアプリ上で設定したほうが早いかもしれない

もちろん、車体に装備されたボタンでアシストモードを切り替えることも可能。長押しでアシストモードを0〜4に切り替えるという操作方法なので、設定したいモードが決まっている時はアプリ上で設定したほうが早いかもしれない

なお、選択中のアシストモードなどはトップチューブにドット表示される

なお、選択中のアシストモードなどはトップチューブにドット表示される

車体を施錠するロックボタンは、後輪に付け根部分に装備。ハブに記された白い線(黄緑の矢印部分)をフレーム側にある規定の位置に合わせてからロックボタンを押すと、電動で施錠される。そして、ロックされている状態で無理に動かそうとすると警告音が鳴り響く(下の動画参照)

車体を施錠するロックボタンは、後輪に付け根部分に装備。ハブに記された白い線(黄緑の矢印部分)をフレーム側にある規定の位置に合わせてからロックボタンを押すと、電動で施錠される。そして、ロックされている状態で無理に動かそうとすると警告音が鳴り響く(下の動画参照)


解錠は2パターン用意。ロックボタンを押して、事前に設定しておいたコードをアプリ上で入力するか、アプリ上のロックボタンを押した後、5秒経過する前に車体を少し動かすか、使いやすい方法を選べる

解錠は2パターン用意。ロックボタンを押して、事前に設定しておいたコードをアプリ上で入力するか、アプリ上のロックボタンを押した後、5秒経過する前に車体を少し動かすか、使いやすい方法を選べる

なお、施錠もアプリ上で行うことが可能。ただし、事前に後輪のハブにある白い線を規定の位置に合わせておかねばならない。

走行性能はどれほど?

次は、e-Bikeにおいてもっとも重要な走行性能を確かめてみよう。今回は、日本国内では特に人気が高いという小径タイプの「VanMoof X3」に試乗してみた。また、前述の“ライダーがカスタマイズできる”変速機能も体験してみる。

街中だけでなく、郊外にも足を伸ばし、走行性能をたっぷりチェック!

街中だけでなく、郊外にも足を伸ばし、走行性能をたっぷりチェック!

車体にまたがって、まず感じたのがサドルのフィーリングのよさ。シティサイクルタイプの自転車などに装備されているような形状ではあるものの、クッションにコシがあり、骨盤をしっかりと支えてくれる。後方が幅広くてもペダリングのじゃまになることもなく、長時間乗っていても疲れは少なそう。手前に少し曲がったハンドルも手首への負担を軽減してくれる印象だ。

サドルも独自デザイン。スポーツタイプとシティサイクルタイプのちょうど中間的な座り心地だ

サドルも独自デザイン。スポーツタイプとシティサイクルタイプのちょうど中間的な座り心地だ

走り出しのフィーリングも独特。出だしからガツンとアシストが立ち上がらないのは、他メーカーのe-Bikeと同様だが、走行し始めるのと同時に右手側に配置されたアシストモードを切り替えるボタンを長押しすると、モーターが最強モードと同じトルクを発揮し、前から引っ張られるような加速を味わえる。速度が上がれば自動で変速してくれるので、走り出したらシフトタイミングなどは気にせずにただ走行すればいい。

走行中はギアもアシストモードも切り替えできないので、何も考えずにペダルを回して進もう

走行中はギアもアシストモードも切り替えできないので、何も考えずにペダルを回して進もう

走りはじめるとトップチューブに速度が表示されるのもユニークだが、下に視線を落とさないと確認できなので、走行中に見るのはちょっとキケンかも

走りはじめるとトップチューブに速度が表示されるのもユニークだが、下に視線を落とさないと確認できなので、走行中に見るのはちょっとキケンかも

ただ、自動変速のタイミングについては、自分に合うように調整しておくほうがより快適な走行が望めるように感じた。これは、VanMoof S3/X3に搭載された世界初となる機能。事前に、時速○kmのタイミングでシフトアップ/シフトダウンするというように設定しておけば、ライダー好みの自動変速にできるのだ。自分の脚力とよく使うアシストモードよって最適なタイミングは異なるため、何度か走って調整しなければならないが、一度決まれば、断然、気持ちよく走れる。

自動変速のタイミングはスマートフォンのアプリ上で行う。シフトアップとシフトダウン、それぞれで細かく設定できる

自動変速のタイミングはスマートフォンのアプリ上で行う。シフトアップとシフトダウン、それぞれで細かく設定できる

あまり早いタイミングでシフトアップしてしまうとペダルが重くなり、遅すぎるとペダルをやたら速く回さなければならなくなるが、自動変速のタイミングを調整しておくと、そうした状況になりにくく、まさに自分にぴったりのe-Bikeになる

あまり早いタイミングでシフトアップしてしまうとペダルが重くなり、遅すぎるとペダルをやたら速く回さなければならなくなるが、自動変速のタイミングを調整しておくと、そうした状況になりにくく、まさに自分にぴったりのe-Bikeになる

路面が荒れ、傾斜もかなりある登り坂でもテストしてみたが、パワー不足はまったく感じない(下の動画参照)。前輪駆動のe-Bikeの中には登り坂で荷重が抜けやすいモデルもあるが、そうした不安感もまったくなかった。

最後は、VanMoof X3のみの装備であるフロントラックの使い勝手もチェックしておこう。ラックといっても、一般的なかごのような形状とは異なり、伸縮性のあるロープで固定する仕様。固定させた荷物が走行中に落下しないのかも気になるところだ。

台座が狭いので、正直、たいした荷物は載せられないだろうと思っていたのだが……

台座が狭いので、正直、たいした荷物は載せられないだろうと思っていたのだが……

幅広のメッセンジャーバッグは、かなり収まりよく固定できた。縦長のバックより、横長のほうが相性はよさそうだ

幅広のメッセンジャーバッグは、かなり収まりよく固定できた。縦長のバックより、横長のほうが相性はよさそうだ

すべりやすいビニール袋でも試してみた。複数本のペットボトルと食料が入っており、台座よりも幅がある。さすがに落下するかと思ったが、意外にも固定できた

すべりやすいビニール袋でも試してみた。複数本のペットボトルと食料が入っており、台座よりも幅がある。さすがに落下するかと思ったが、意外にも固定できた

停車時には固定されていたとしても走行中の振動には耐えられないはず……と試すも、まったく落下する気配はない。見た目以上に機能性は高いようだ

停車時には固定されていたとしても走行中の振動には耐えられないはず……と試すも、まったく落下する気配はない。見た目以上に機能性は高いようだ

まとめ

スタイルと先進性で注目を集めるモデルだが、実際に乗ってみると思った以上に使い勝手がいい。車重は重めで、自動変速システムも速く走るためのものではないので、クロスバイクやロードバイクに乗りなれた人からすると物足りない部分はあるかもしれないが、街乗り向けの自転車としてはよく考えられている。スポーツタイプの自転車にはスタンドやライト、ロック機構が装備されていないモデルも多いが、VanMoof S3/X3はしっかり完備。しかも、フレームに組み込んだり、スマートフォンと連携するなどしてデザイン性も損なわないようにしている。使い勝手を犠牲にしない設計は、生活の足として自転車が定着しているオランダ生まれだからこそだろう。

そして、新モデルはなんと言っても価格設定が魅力的。430,000円(税込)だった先代モデルより4割以上プライスダウンとなる250,000円(税込)で購入できるのだ。これは、製造工場をはじめとする生産過程を見直したことによるもので、性能はむしろ向上しているという。前後のディスクブレーキも油圧式となったので、VanMoofのe-Bikeの中でも新モデルはかなりお買い得だと言える。

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

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