新型コロナウイルスの感染拡大を抑制すべく発令された「緊急事態宣言」。その際も、ランニングやウォーキングといった屋外における適度な運動は政府から奨励されたことから、ランニング人口は急速に増えました。
今回、コロナ禍をきっかけに走るようになったランナーを3タイプに分け、それぞれにマッチしたシューズを提案。また、意外と知られていないランニングシューズの正しい選び方に関しても改めて紹介します。
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《2022年》「初心者向けランニングシューズ」おすすめ13選! 専門家が選び方も伝授
専門家・南井正弘がセレクトした、注目の11足を紹介!
初心者がランニングシューズを選ぶ際にやりがちなのが、大きめのサイズを買ってしまうこと。
アディダスの「スタンスミス」、ナイキの「ナイキ エア フォース 1」、コンバースの「オールスター」といった普段履きのスニーカーは脱いだり履いたりのことを考えて、少し大きいサイズを選んでいる人は珍しくありません。しかし、ランニングシューズを選ぶ時は、それはNG。かかとをピッタリフィットさせた時に、つま先に少しゆとりがあるくらいのサイズを選びましょう。
あと、足長だけでなく足幅のフィットも重要。最近では「ワイド」や「スリム」のように足幅を選べるモデルもありますので、幅広の人や足が細い人はそれらをトライするのもよいでしょう。
ちなみに、今回紹介するアルトラというブランドは、親指がいちばん長く、小指に向かって足長が短く、足囲にある程度ゆとりある形状の「オブリーク型」というラスト(木型)を使用。この形状は、日本人の足形に最も多いと言われる「エジプト型」の足にも無理なくフィットします。これまで、「どのシューズを履いてもフィットしなかった……」というランナーは、1度試してみるとよいでしょう。
手に持った時に軽く感じるシューズは「速く走れそう!」と思うかもしれませんが、脚力のないビギナーがそういったシューズを履くのはオススメしません。
走行中には、体重の3倍程度の衝撃が足にかかると言われていますが、軽量なランニングシューズは衝撃を吸収するための機能を省略することで軽量化を図り、脚力を効率よく路面に伝達することを重視しているので、衝撃がダイレクトに足に伝わってしまいます。
こういったシューズを初心者が履くと、走り始めはいいかもしれませんが、しばらくしたら足が痛くなって走れなくなってしまいます。ビギナーは、足の保護性の高いシューズを選ぶべきなのです。
着地から蹴り出しまでの一連の動作において、足が内側に倒れ込むことを「プロネーション(廻内)」と言います。
この動きが軽度の場合はさほど問題ありませんが、この動きが過度になると「オーバープロネーション(過廻内)」と言い、ケガの原因になります。こうした傾向のあるランナーは、ミッドソール内側に過度な倒れ込みを制御する機能を有したシューズを選ぶことをオススメします。
これらのシューズは、着地から蹴り出しまでの動きを補助することから、「サポートタイプ」と呼ばれ、正しい足の動きで走れていないランナーからも人気です。今回セレクトしたシューズの中では、ニューバランスの「フューエルセル プリズム」が「オーバープロネーション防止機能」をミッドソールに採用しています。
最近のランニングシューズのトレンドと言えば、何と言っても厚底タイプ。
世界記録を樹立したランナーから市民ランナーまで、幅広い層のランナーが履いており、そのシェアは拡大の一途。今回紹介するモデルの中では、ホカ オネオネの「クリフトン7」とサッカニーの「エンドルフィン スピード」、ナイキの「ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%」がそれに当たりますが、ひと口に厚底シューズと言っても、その機能的な特徴は千差万別です。
「クリフトン7」は、ランニング初心者が履いても問題ないですし、「エンドルフィン スピード」や「ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%」も中級レベル以上なら履きこなすことができると思います。しかし、本特集ではピックアップしていませんが、「ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%」は上級レベルでも足の運びによっては向かないランナーがいるなど、ひと口に厚底シューズと言ってもさまざまなタイプが存在します。購入の際は、ビギナーや中級ランナーでも履きこなせるタイプかどうかをショップスタッフに確認してからにしましょう。
タイプ【A】のランナーは、これまではランニングを行っていなかったけれど、自粛期間をきっかけに定期的に走り始め、走ることが生活の一部となった人。また、これからもずっと走り続けたいという意思があり、そのためにもケガや故障は避けたいと思っている人です。
そんなランナーにオススメのシューズは下記の4足です。
「ウエーブライダー24」の「グレー×ブラック×オレンジ」(品番:J1GC2003)。公式サイト価格は、14,190円(税込)
「ウエーブライダー24」は、ミズノランニングを代表するロングセラーシリーズの最新モデル。第24弾となった今作では、ミッドソールのかかと部分の下部に従来素材「U4ic(ユーフォリック)」よりも柔軟性が17%、反発性が15%向上した素材「MIZUNO ENERZY」を採用しています。これにより、スムーズな着地と力強い反発をこれまでの「ウエーブライダー」以上に体感できます。
ミッドソールのヒール部分には、これまでどおりに「ミズノウエーブ」を配したことで、抜群の安定性と反発性能を高次元で融合することにも成功。衝撃吸収性、反発性、安定性といった足の保護性能をしっかりと確保することで、定期的に走り続けたいランナーを応援してくれる1足に仕上がっています。
「ミズノの『ウエーブライダー』シリーズは、第11弾の『ウエーブライダー11』から歴代モデルのほとんどを履いていますが、いずれのモデルも衝撃吸収性、反発性、安定性というランニングシューズが確保すべき基本性能を高いレベルで兼ね備えています。とにかくトータルバランスがいい。
今回新たに『MIZUNO ENERZY』を採用したことによって、そのバランスが崩れてしまうことを心配しましたが、実際に走ってみて、それは杞憂(きゆう)に終わりました。着地から蹴り出しまでの一連の動作は今まで以上にスムーズで、反発性が変に強調されることもなく、安定性もないがしろにされていないことが理解できました。
自分は『標準タイプ』で大丈夫でしたが、足幅の広いランナーのためにメンズの『スーパーワイド』、ウイメンズの『ワイドタイプ』が用意されているのもありがたいですね」
「クラウドフライヤー」の「グレー×オレンジ」。公式サイト価格は、18,480円(税込)
2010年の創業以来、世界中のランニングマーケットで快進撃を続けるOn。ここ日本でも、着実にファンを増やしていることはご存知のとおりです。2020年8月20日にリリースされた「クラウドフライヤー」の第3世代モデルは、これまでどおりにすぐれたクッション性と安定性を高次元で追求した1足で、脚部にやさしい設計は、ビギナーランナーから上級者まで幅広いレベルに対応してくれます。
また、独自開発の「Helionスーパーフォーム」を新たに採用したことに加え、同社の世界特許技術「CloudTec」を用いたソール形状を、従来モデルよりも幅広にすることで、過去最高のクッショニング性能を実現しています。
「Onのランニングシューズの特徴をひと言で言うなら、『自然な着地感と力強い反発性』。これは、ソールに採用された世界特許技術である「CloudTec」というテクノロジーによるところが大きいのですが、この「クラウドフライヤー」にも、その機能的な特徴は継承されています。新たに『Helionスーパーフォーム』という独自開発の発泡素材を用いることで、クッション性にも磨きがかかりました。
そして今回、このシューズを履いて特に感じることができたのは、その比類なき安定性。着地時にぐらつきがあると故障の大きな原因となりますが、このシューズの安定性能は、ここ数年で履いたランニングシューズでトップレベル! 安定性の高いシューズは重くなりがちですが、メンズのサンプルサイズ(27cm)で280gと、このモデルにそれは当てはまりません」
「トーリン4.5プラッシュ」の「ダークレッド」。公式サイト価格は、18,700円(税込)
アルトラの創業者のひとり、K.ゴールデン・ハーパーは、陸上競技の元アメリカ代表、そしてランニングショップのマネージャーという立場から、「故障を少なくするランニングシューズを作りたい」と常々考えていました。幾度ものトライ&エラーの末に、かかととつま先の高低差がないゼロドロップや、足の形を模したフットシェイプデザイン、バランスクッションなどのスペックを結集したシューズが完成。このシューズはランナーを故障しにくい走り方へとうながし、走ることをあきらめていたランナーたちを再び走らせることになりました。
そんなアルトラの「トーリン4.5プラッシュ」は、同社のラインアップにおいても特に保護性能にすぐれた1足であり、「故障だけは避けたい!」というランナーに最適な1足です。
「アルトラのシューズというと、真っ先に思い浮かぶのが、かかととつま先の高低差がないゼロドロップの設計。人間が裸足で立っている時と同じ状態を提供することで、故障しにくいフラットな着地を促してくれるので、ランナーのケガの心配を少なくしてくれるでしょう。
これまでに何足もアルトラのシューズを履いてきましたが、『デュオ』を除くと、足裏感覚の伝わりやすい、どちらかと言うとミッドソールが薄めのモデルが多かったのですが、この『トーリン4.5プラッシュ』はミッドソールが厚手で、素材に『Quantic』という新素材を採用することにより、衝撃吸収性と反発性を兼ね備えています。足の保護はもちろんのこと、『ペースを上げたい!』と思った時に、そのすぐれた弾性でペースアップもサポートしてくれました。1足でさまざまな走りに対応してくれそうです」
「ソニック 3 コンフィデンス」の「Fjord Blue/White/Poseidon」。公式サイト価格は、16,500円(税込)
サロモンがオンロード向けに開発した「ソニック 3 コンフィデンス」は、安定した確実な走りをサポートするランニングシューズ。ミッドソールのヒール部に配された素材「Optivibe(オプティヴァイブ)」が着地時の衝撃や微振動を吸収することで筋肉疲労が軽減され、アウトソールに採用された「Geometric Decoupling(ジオメトリック ディカップリング)アクシス」が確実な足運びをサポートします。
また、ロードランニング用に強化されたアッパー部分の機能「SensiFit」が、手袋を着けているようなすぐれたフィット感を実現。これらのスペックにより、走行中の走りやすさと同時に、「走った後の疲れが少ない!」という声が数多く聞かれる1足です。
「サロモン独自のクッショニングテクノロジーである『vibe』を搭載する『ソニックRA』を履き、2017年の『ホノルルマラソン』を走りましたが、着地振動を抑えて疲労を緩和すると同時に、クッション性と反応性の高いライド感を提供してくれたことを覚えています。レース翌日も、足の痛みがほとんどなく、フルマラソンの翌日にここまで疲労感がないのは初めてでした。
『ソニック 3 コンフィデンス』は、『ソニックRA』から2シーズンを経て発表されたモデルだけあって、その機能性も大きく向上。外部からも視認できるようになった『Optivibe』は、これまで以上に着地時の衝撃と微振動を吸収してくれるうえ、走行時の推進力もアップしていると思います。この靴を履き、2019年11月にニュージーランドで行われた『クイーンズタウン国際マラソン』を走りましたが、走行中もゴール後も快適な履き心地をキープしてくれました」
現在も走ることが楽しく感じられているけれど、反発性や推進力などがより高いシューズで、今よりも一層楽しく走りたいと思っているランナーに向けては、以下の4足をオススメします。
「ウルトラブースト 20」の「コアブラック/コアブラック/ソーラーレッド」(品番:EG0691)。公式サイト価格は、24,200円
2015年のデビュー以来、高価格帯ランニングシューズの代名詞となっているのが、アディダスの「ウルトラブースト」。「ブースト」フォームをフルレングスでミッドソール部分に使用することで、抜群の衝撃吸収性と反発性をユーザーに提供しています。
「ブースト」フォームは、耐久性や気温変化にもすぐれていることから、ワールドワイドで高い支持を得ることに成功。また、スタイリッシュなデザインを採用していることから、その活躍の場はランニングシーンに留まらず、ライフスタイルシーンでも。1足であらゆるシチュエーションに対応した点も大ブレークした理由のひとつです。
現行モデルの「ウルトラブースト 20」は、アッパー部分に「テーラードファイバー プレースメント」技術を採用したことが最も大きな特徴。アッパー素材「adidasプライムニット」の成形において、精密な計算のうえで繊維をmm単位で配置し、さらに何重にもレイヤードされた特殊構造に仕上げたことで、足に密着するようなフィット感を実現。着地から蹴り出しまで、適切に足をサポートしてくれます。
「これまで10足以上の『ウルトラブースト』を履いてきましたが、ミッドソール全体に『ブースト』フォームを採用したことで、衝撃吸収性と反発性の高さは業界トップレベルでした。前作の『ウルトラブースト 19』は、従来よりもパフォーマンス志向のスペックを採用し、ランニングシューズらしさを強調したデザインでしたが、この『ウルトラブースト 20』もソールユニットは共通です。
さらに、アッパー部分に『テーラードファイバー プレースメント』を採用したことにより、フィット感が大きく向上しており、そのフィット感の高さは特に下り坂で感じられました。速いスピードで坂を下っても、足がシューズ内部のあるべき位置に固定されたままなので、脚力をロスすることも爪を傷めることもありませんでした。
アッパーデザインは、前作よりもカジュアルテイストに仕上がっており、以前の『ウルトラブースト』同様に街履きでも活躍してくれそうですが、そのランニングパフォーマンスは大幅にアップしています」
「クリフトン 7」の2021年春夏カラー「ワイルドドーブ/ダークシャドー」。公式サイト価格は、17,600円(税込)
「クリフトン」は、ホカ オネオネが誇るベストセラー。「マシュマロのようなクッショニング」と形容されるボリューミーなミッドソールで知られる同ブランドのラインアップの中では、ほどほどのミッドソールの厚さであり、他ブランドの一般的なランニングシューズから履き替えても違和感のないシリーズです。
最新作「クリフトン 7」は、前作「クリフトン 6」のミッドソールとアウトソールを継承しつつ、アッパーを大きく改良。これまでも見た目からは想像できないくらい軽量でしたが、メンズの27cmで247gと前作からマイナス8gを実現しつつ、足とのフィット感がアップしたことにより、これまで以上に快適な走行感を与えてくれる1足に仕上がっています。
「ここ数年、ホカ オネオネの『クリフトン』シリーズは、自分にとって最もヘビーローテーションで履くランニングシューズでしたが、今回の『クリフトン 7』もこれまでと同様に頻繁に履く1足に。2020年8月に『TKパック』のカラー(シーズナルカラー)を入手しましたが、『クリフトン 6』と比較して、アッパーのフィット感が格段によくなっていることが理解でき、履き口に一体型のプルタブを採用したことで、着脱が本当に楽になりました。
ミッドソールとアウトソールは前作から継承していますが、相変わらず路面のグリップ性が高く、第5弾以前のモデルではソールの耐久性が指摘されていましたが、今作のアウトソールは耐摩耗性にもすぐれています。どちらかと言うと、着地個所を限定しないシューズですが、個人的にはヒール寄りの着地で、ゆりかご状のソール形状をフルに利用して走ると、このモデルの快適な走り心地をフルに体感できると思います」
「レビテイト4」の「グレー」。公式サイト価格は、18,700円(税込)
ブルックスは、アメリカのある程度の規模の街なら1軒はあるランニング専門店ルートにおいて、シューズの売り上げシェアNo.1を誇るブランド。そのラインアップの中で、「レビテイト」は2017年に初代モデルがリリースされた高機能モデルで、ブルックス史上最高の反発力を有するミッドソール素材「DNA AMP」を採用しています。ミッドソール表面を「TPU(熱可塑性ウレタン)」で包むことで、接地、蹴り出しの反発力、地面反力のエネルギーロスを少なくして推進力へと変換し、ランナーはこれまでにないレベルの推進力を体感できました。
第4弾モデルは、抜群の推進力を継承するとともに、ソールユニットの約20%の軽量化にも成功したので、一般的な体格の日本人ランナーが履いても気にならない程度のシューズ重量となったこともうれしいポイントです。
「ブルックスの歴代モデルで最も高い反発性能を誇るシューズとして知られる『レビテイト』。2017年の『シカゴマラソン』のエキスポで初代モデルを初めて見て、『シルバーのミッドソールがカッコいいなぁ……』と思いました。
2017年の年末に1足目を手に入れてから歴代モデルのすべてを履いてきましたが、『レビテイト4』に足を入れて感じたのが、『今までのレビテイトってこんなに軽かった?』ということ。ソールユニットの約20%の軽量化に成功したらしいのですが、数少ない欠点だった『ちょっぴり重い……』という点が解消されたことは、『レビテイト』ファンには朗報だと思います。
とは言え、足裏を力強く押し上げるような推進力は健在で、着地安定性も高い。18,700円というプライスは決して安くないですが、その価値は十分にあると思います」
「ノヴァブラスト」の「ブラック/ブラック」。公式サイト価格は、17,600円(税込)
トランポリンから着想を得た履き心地と、現代的なカラーリング、そしてエッジの効いたフォルムを組み合わせることで、一躍人気モデルとなったアシックスの「ノヴァブラスト」。「いつもの道をはずませよう。」のキャッチコピーとタレントの渡辺直美を起用したプロモーションも話題となりました。
アシックスのフォーム素材で最も反発性を発揮する独自開発の「フライトフォーム ブラスト」を、ミッドソール全面に使用。さらに、アウトソール前足部の中央のくぼみが、トランポリンのように弾む感覚を提供してくれます。これらのスペックを結集することで、従来のアシックスのランニングシューズでは体感できなかった、弾むような走行感を提供することに成功しています。
「アシックスのランニングシューズと言えば、『ゲルカヤノ』や『ゲルニンバス』といったオーセンティックなタイプを思い浮かべるかもしれませんが、最近では『メタライド』、『グライドライド』、『エボライド』といったランの効率を高めるコレクションも発表するなど、新たな取り組みにもチャレンジしているのはご存知のとおり。
この『ノヴァブラスト』は、トランポリンから発想されたアウトソール構造と、反発性にすぐれたミッドソール素材の『フライトフォーム ブラスト』を組み合わせることで、抜群の推進力を提供してくれます。
『ライド』のコレクションが転がるような走行感だとしたら、こちらは弾むような走り心地ですが、かかと寄りで着地すると若干の転がりも感じられます。いずれにしろ、楽しく走りたいランナーにはピッタリな1足で、予算的に『ノヴァブラスト』の購入が難しい場合には、若干跳ねる感覚は落ちますが、『ダイナブラスト』、『ロードブラスト』といった選択肢も用意されています」
タイプ【C】は、定期的に走るようになったことで、ランニングの魅力に気づき、走力の向上を目指しており、近い将来にハーフマラソンやフルマラソンといったロードレースに参加したいと思っているランナー向け。また、それもただ単に完走するのではなく、ハーフマラソンは1時間45分以内、フルマラソンなら4時間以内というように、そこそこのタイムでゴールしたい人にオススメしたい3足を以下で紹介します。
「ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%」の「ブライトマンゴー/シトロンパルス/ブラック」(品番:CI9923-800)。公式サイト価格は、24,200円(税込)
非公認ながら、エリウド・キプチョゲ選手が人類で初めて42.195kmを2時間切りで走った際に着用していたことから、「世界最速のシューズ」と呼ばれる「ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%」。このシューズと同様の走行感で日々の練習を行えるように開発されたのが、「ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%」です。
着地時の衝撃を効率よくエネルギーに変換する「ナイキ ズームX」フォームと、軽量で耐久性にすぐれた「リアクト」フォームをミッドソールに採用し、前足部には高反発性に定評のある「ビジブルズームエア」ユニットを配することで、ランナーに弾むようなストライドを提供してくれます。これにより、“世界最速のトレーニングシューズ”が完成したのです。
「足を入れるとまず感じられるのがフィット感の高さ。筆者の足にはオーダーしたかのようにピッタリとフィットし、脚力をロスなく路面に伝えてくれてそう。いっぽうで、足幅のあるランナーは、普段履いているシューズからサイズの変更があるかもしれません。
走り始めると、他ブランドの推進力のあるレーシングシューズと比べてもそん色ない推進力を発揮してくれるので、自然とペースが上がります。GPSウォッチに目をやると、想像していたよりも(km当たりのペースで)15〜20秒ほど速く走っていることがわかりました。しかも、脚部への負荷も最小限で。これならトレーニングだけでなく、サブ4やサブ3.5レベルなら本番のレースに履いてもよさそうです。
アウトソールには耐摩耗性にすぐれたラバーをかなり厚めに使っているので、長い付き合いができそうなところもうれしいですね」
「エンドルフィン スピード」の「WHITE MUTANT」。公式サイト価格は、19,800円(税込)
サッカニーは、日本ではランニングシューズのイメージがあまりないかもしれませんが、アメリカのランニング市場では確固たるポジションを築いていて、レース日の着用率はベスト5に入ることも多いブランドです。
2020年にリリースされた「エンドルフィン」シリーズは、同ブランドの機能性の高さを一躍世に広めることになったコレクション。「エンドルフィン プロ」、「エンドルフィン スピード」、「エンドルフィン シフト」の3モデルがラインアップされ、なかでも「エンドルフィン スピード」は、その非凡な推進力と足の保護性を高次元で組み合わせることにより、中級レベル以上の幅広い層のランナーが、そのすぐれた機能性を堪能できます。日本では、このシューズをきっかけに、サッカニーというブランドの優秀さに気づいたランナーも少なくありません。
「このシューズを試す前に、上級モデルの『エンドルフィン プロ』をトライしていたので、その走行感覚はある程度想像していましたが、結果として『エンドルフィン スピード』の走りやすさは、想像をはるかに超えていました。ミッドソール素材『PWR RUN PB』は、衝撃吸収性と反発性を兼ね備えているだけでなく、安定性もハイレベルで、着地時の揺れが少ないのが特徴です。
『エンドルフィン プロ』がカーボンプレート内蔵なのに対して、『エンドルフィン スピード』はTPU(熱可塑性ウレタン)プレートを内蔵していますが、こちらのほうがやわらかさがあって、幅広いレベルのランナーにフィットすると思います。元来はトップアスリートのトレーニングシューズとして開発されたようですが、一般ランナーはレースで履くのにもピッタリ。再びレースが開催されるようになったら、真っ先に履いて走りたい1足のひとつです」
「フューエルセル プリズム」の「ホワイト」。公式サイト価格は、13,200円(税込)
「フューエルセル プリズム」は、ランニング初心者から、「サブ4(フルマラソン4時間切り)」を目指すランナー、上級ランナーのジョグまで対応すべく設計された汎用性にすぐれたプロダクト。ミッドソールに採用された素材「フューエルセル」特有の弾むような走り心地と、特徴的なソールの巻き上がりが、着地時の滑らかな接地感を実現しています。
また、ミッドソールのヒール内側には、硬度を高くした「メディアルポスト」を配置しており、アッパーのサドルサポートを加えることで、走行時の安定性の確保や、オーバープロネーション(故障の原因のひとつで、着地時に足が極端に内側に倒れること)の防止にも貢献してくれる1足です。
「『フューエルセル』搭載モデルは、これまでに10足以上履いていて、従来のニューバランスのランニングシューズとは対極にある、反発性や推進力を重視したアグレッシブな設計が、個人的にかなり気に入っていました。なかでも『フューエルセル プロペル』はヘビーローテーションで履いていました。
最近では、『フューエルセルTC』や『フューエルセルRC エリート』といった上級モデルも試す機会がありましたが、いずれも反発性や推進力は他ブランドのシューズと比較しても高いレベルにあります。
今回紹介した『フューエルセル プリズム』は、先述のような高い機能性を有しつつ、13,200円という買いやすい価格設定なのもうれしいところ。30,000円を超えるランニングシューズが登場するなど、ここ数年のランニングシューズ市場は高価格化の傾向にありますが、そのような状況で『フューエルセル プリズム』の高いコストパフォーマンスは貴重だと思います」
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《2022年》「初心者向けランニングシューズ」おすすめ13選! 専門家が選び方も伝授
ランニングギアの雑誌・ウェブメディア「Runners Pulse」の編集長。「Running Style」などの他媒体にも寄稿する。「楽しく走る!」をモットーにほぼ毎日走るファンランナー。フルマラソンのベストタイムは3時間50分50秒。