ゴルフの楽しさ伝道師、オグさんこと小倉です! 今回は近年注目を集めている「ぶっ飛び系アイアン」のおすすめモデルをご紹介したいと思います!
「ぶっ飛び系アイアン」とは、ほかに「飛び系」「飛距離系」などと呼ばれるカテゴリーのアイアンで、2014年に発売されたヤマハの「インプレスUD+2」と言うモデルが嚆矢(こうし)となりました。簡潔に言うなら、とにかく飛距離に特化したアイアンと言えばよいでしょうか。
飛距離系アイアンの先駆者となった、ヤマハの「インプレス UD+2」
それまでにも飛距離を重視したアイアンは数多くありましたが、「プラス2番手」の飛びと言う衝撃的なキャッチフレーズどおり、長いホールでも短い番手が持てると、アベレージゴルファーやエンジョイゴルファーの間で火が付き大ヒットを記録。その後さまざまなメーカーがこのジャンルに参戦し、今ではアベレージゴルファーにとって人気のカテゴリーのひとつになっています。
ぶっ飛び系アイアン最大の特徴は、やはりその飛距離にあります。モデルによって多少異なりますが、通常のアイアンに比べて1.5〜2番手ぐらい飛ぶモデルが多いですね。逆に言えば、それぐらいの飛距離がないとこのカテゴリーの仲間入りができません。
最近になってこのカテゴリーが確立されたのには理由があります。そもそもアイアンは、複数の番手を使い分けて飛距離を打ち分けるクラブです。飛距離が欲しいなら、長くロフトの立った大きい番手を使えばよいだけですが、クラブが長くなるとボールに当てにくくなり、ロフトが立つとボールが上がりにくくなるため、正確に飛ばすのが難しくなるという特性があります。
たとえば、7番で150ヤード、6番で160ヤード、5番で170ヤード飛ぶアイアンがあったとします。このアイアンの5番アイアンに7番と表記すれば、7番で170ヤード飛ぶのですから、立派なぶっ飛び系アイアンになりますよね。しかしそれでは5番アイアンと変わらないので、扱いが非常に難しいぶっ飛び系アイアンとなってしまいます……。
ところが、最近確立されたぶっ飛び系アイアンのすごいところは、5番アイアンの飛距離を、7番アイアン相当のやさしさで打たせてくれるところにあるのです。
飛んでも打ちにくくては意味がありません。ぶっ飛び系アイアンは、扱いやすく飛距離が出るよう進化しているのです
ぶっ飛び系アイアンの中でも、とにかく飛距離を追求したモデルでは、7番の長さが通常モデルの5番相当に伸ばされ、ロフト角も5番相当になっているモデルがあります。そのほうがヘッドスピードも上げやすいですし、飛距離も得やすいからです。それでも、打ってみると通常の7番と変わらないくらいのやさしさで打つことができます。
その秘密が隠されているのが、ヘッド。最新の技術により、重心位置を深く低く設計することで、ボールをロフト角以上に上がりやすく、少々の芯のズレは許容してくれる、ミスに非常に強いモデルになっているのです。そのため、ヘッドスピードを稼ぐためにクラブを少々長くしてミート率が下がっても、安定して飛距離を出せるようになっているわけです。ミート率を考えてクラブの長さは変えず、ヘッドの性能だけで飛距離を追求したモデルもあります。
それだけ飛距離を追求しているわけですから、デメリットももちろんあります。それは、スピン量が通常のモデルより少なくなりやすいので、グリーンで止まりにくいこと。とはいえミドル〜ショートアイアンであればそれなりに止まってくれるので、通常のプライベートラウンドくらいのコンディションでは大きなデメリットに感じないと思います。だからこそ、アベレージゴルファーにとって人気のカテゴリーとなっているのでしょう。
T400アイアン…7番・37インチ/26°
クラブ長を長くせず、中空構造でミスに強く仕上げたモデル。アスリートが好むタイトリストらしく、ヘッドサイズは大きいですが、端正なアイアンの形状を維持しています。
シャフトバリエーションは、40g台、50g台のカーボンと70g台と90g台のスチールを用意。女性やシニアの方はカーボンシャフトがおすすめです。飛距離が欲しいからといってあまり軽すぎるモデルを選んでしまうとトップなどのミスが増えてしまいますから、普通に振れる方であれば、90g台のスチールから試すとよいでしょう。
ロフトが立っているにもかかわらず、高さがしっかり出ていてスピン量も比較的入っています。これならグリーンでも止まってくれるでしょう。飛距離は十分すぎるほど。ただクラブの長さは通常モデルと同じなので、ヘッドスピードが高くない人はスピン量や打ち出し角がこれよりも減ると思います
飛距離★★★★★
球の高さ★★★★★
スピン量★★★★☆
└カーボンシャフト
└スチールシャフト
インプレス UD+2アイアン…7番・38インチ/25°
元祖ぶっ飛び系アイアン。クラブ長は長めの設定ですが、ミスへの強さとつかまりのよさでアベレージゴルファーから多くの支持を集めているモデルです。
パワーがなくても長さがある分、ヘッドスピードを稼ぎやすく、安定した飛距離が期待できるのがいいところですね。
シャフトバリエーションはカスタムオーダーが豊富に用意されており、40g台のフジクラ製純正カーボンをはじめ、90g台までの各重量帯のスチール、カーボンが揃っています。軽すぎるとミート率が下がってしまう可能性が高いので、ちょっと重いかなと感じるぐらいの重さのモデルを選ぶのがよいでしょう。
中弾道でやや低スピンの、いわゆる飛ぶ弾道が出ています。ヘッドスピードをやや落としているので飛距離は控えめですが、飛距離のポテンシャルは今回の中で1〜2を争うモデルです。つかまりはいいので、クラブが長くても右へのミスはしにくくなっています
飛距離★★★★★
球の高さ★★★★☆
スピン量★★★☆☆
└カーボンシャフト
└スチールシャフト
eggアイアン…7番・38.25インチ/25°
こちらもクラブ長を長く設定し、少ないパワーで最大限の飛距離を追求したモデル。中弾道ではありますが、前に飛ぶ非常に強い弾道が打ちやすく、ユーティリティーに近い性能を持ったアイアンです。スピンが比較的少なめで、直進性が高いのも人気の秘密です。
シャフトは専用に設計されたオリジナルのカーボンを用意。ヘッドスピードに合わせたオリジナルのフレックス表記を用いているので、自身のドライバーのヘッドスピードに合わせて選ぶといいでしょう(たとえばM-40はドライバーのヘッドスピードが40m/sの方向けの設定)。
中弾道で、スピンは7番としては少なめ。ボール初速が速く、かなりの飛距離が出ています。ただこの飛距離だと、グリーンに直接落として止めるのはグリーンコンディションによっては厳しいかもしれません。ヤマハと双璧をなす、飛距離重視のモデルと言えます
飛距離★★★★★
球の高さ★★★★☆
スピン量★★★★☆
SIM MAX OSアイアン…7番・37.25インチ/26°
標準的なアイアンから長さをほとんど変えず、ヘッド性能で飛距離を追求したタイプ。大きめのアイアンといった仕上がりで、非常にボールが上がりやすくミスに強いのが特徴です。極端な飛距離性能は持っていませんが、ミスへの強さはかなりのものです。
シャフトバリエーションは50g台のカーボンと90g台のスチールが用意されています。カーボンは確かに楽に振れますが、パワーのある人だとかえってミート率が下がってしまうかも。ドライバーで290g以上のモデルを振っているなら90gのスチールを試すとよいでしょう。
しっかりとした高さが出て、ちょっとスピンの少ない7番アイアンといった感じの弾道。つかまりもよく、これならグリーンでもギリギリ止まってくれそう。オートマチックなやさしいアイアンといった仕上がりです
└カーボンシャフト
└スチールシャフト
ゼクシオ クロス アイアン…7番・37.75インチ/25°
アベレージゴルファーに人気の高い「ゼクシオ」のアイアンをベース、にミスへの強さを維持しながら飛距離性能を高めたモデルです。打感などの感触もゼクシオ譲りの気持ちいいもの。
アイアンというよりはユーティリティーのような、前に飛ぶ直進性の強い弾道が打てます。
シャフトは50台の純正カーボンと、80g台の純正スチールをラインアップ。飛距離だけを求めるならカーボンですが、ある程度自分でヘッドスピードを出せる方は、スチールでも十分満足できる飛距離を得られると思います。
155.2m≒169.7y。このデータはヘッドスピードをあえて落として打ったデータです。ドライバーで言うと38m/sぐらい。それでもきっちり7番で170ヤード近く飛ばしてくれます。どちらかと言えば、パワーのない方のほうが飛距離アップを実感しやすいモデルだと思います
飛距離★★★★★
球の高さ★★★★★
スピン量★★★★☆
SIM グローレ アイアン…7番・37.25インチ/27°
長さをあまり長くせず、ヘッドの性能で飛ばすタイプ。ミスに非常に強いヘッドで、安定した飛距離が期待できます。それでいて形状が“普通のアイアン”であると言う点がこのアイアンの美点でしょう。
ちょっとだけつかまる感じで、使いやすさもあります。
シャフトバリエーションも幅広く、40g台の純正カーボンから90g台のスチールまで用意し、シニア層から飛距離を求める中年層までを視野に入れたラインアップになっています。まずは中間の70g台のスチールを試し、しっくりこないようでしたら軽いカーボン、重いスチールをそれぞれ試してみるとよいでしょう。
打ち出しが高く低スピンの、飛ぶ弾道が打てていますね。つかまりもほどよく、楽に飛距離が出せる仕上がりです
飛距離★★★★★
球の高さ★★★★☆
スピン量★★★☆☆
└カーボンシャフト
└スチールシャフト
価格.comで詳細をチェック
ビッグバーサ アイアン…7番・37インチ/29°
飛距離よりもやさしさを優先したモデルだとは思いますが、十分飛ぶのでピックアップしました。ミスに対して非常に強く直進性が高いので、一定のエリアに安定してボールを運びやすい性能を持っています。弾道のバラつきが少ないのも美点のひとつですね。
シャフトラインアップは50g台の純正カーボン、70g台のスチール、90g台のスチールです。ドライバーで300g前後のモデルを振っているなら、まずは90g台のスチールを試してみてください。クラブに適度な重さがあったほうが、ミスに強いアイアンの性能は生かしやすくなります。
極端な飛距離は出ていませんが、高弾道で適度なスピン量があるので、グリーンをしっかりキャッチできる弾道になっています。つかまりもいいので、初中級者にとってかなりやさしく感じる仕上がりになっていると思います
飛距離★★★☆☆
球の高さ★★★★★
スピン量★★★★☆
G425 アイアン…7番・37インチ/30°
こちらも、飛距離狙いというよりは、クラブとしてのバランスを考えられて作られたモデルですが、十分飛ぶのでピックアップ。打点のブレに強く、直進性の高い弾道が打てる仕様で、安定して高い飛距離性能を発揮してくれます。
シャフトバリエーションは膨大のひと言……。40g台のカーボンから130g台のスチールまで、おそらく市販されているアイアンとしては一番の品揃えと言えるでしょう。
飛距離を求めるなら純正のカーボン、安定感を高めたいなら自分のパワーに合わせた重量のスチールを選ぶとよいでしょう。
スピン量がエラーで取れていませんでした……。でも飛んでいった弾道は本当にまっすぐでしたよ。打ち出し角がしっかりあって安定して飛ばせるので、トータルバランスを考えたうえで飛距離性能をプラスしたいならこのモデルはいいと思います
飛距離★★★☆☆
球の高さ★★★★★
スピン量★★★★☆
└カーボンシャフト
└スチールシャフト
G710 アイアン…7番・37.5インチ(カーボン)、37インチ(スチール)/28°
大きめのヘッドサイズを黒い塗装でシャープに見せ、中空構造でやさしく飛ばせるアイアンです。上記「G425」と比べると、飛距離が出る分、オートマチック感が増している感じですね。直進性はこちらに軍配が上がります。
シャフトバリエーションは、こちらも膨大な数。純正カーボンは40g台とかなり軽めなので、70g台のスチールぐらいから試してみるといいでしょう。
7番カーボン
7番スチール
軽い純正カーボンのほうが単純に飛びますね。速く振りやすいので当然の結果です。ただ、安定感が出るのはやはりスチール。どちらも直進性が高く、打ち出し角も高い球は打てています。ショットに精度を求めるならスチールがいいでしょう
飛距離★★★★☆
球の高さ★★★★☆
スピン量★★★★☆
└カーボンシャフト
└スチールシャフト
今回のデータをまとめたもの
ぶっ飛び系アイアンは、飛距離を最優先したモデルと、“狙う性能”を残しながらも飛距離を重視したモデルに分けられます。
分ける目安はシャフトの長さ。7番で37.5インチ以上のモデルは飛距離を重視したモデルになります。ロフト角は少ないほうがボール初速は上がりやすくなり、スピンが減りやすくなるので飛距離を得やすくはなります。ですがグリーンでボールを止めにくくなるので、狙うという性能を考えると、できるだけ重心を下げてボールの高さを出せるかが、アイアンとしてのトータル性能を高めるカギになります。
簡単にまとめると、とにかく飛距離が欲しいなら長くロフトの立ったモデルを選べばよいでしょう。ただし、それだけグリーンをピンポイントに狙うのが難しくなることは覚えておいてください。
個人的おすすめとして、飛距離に特化したいなら「UD+2」ですかね。このジャンルのパイオニアだけあって、飛ばすという点では間違いないでしょう。トータルバランスを考えると「T400」か「G425」ですね。この2つは、十分直接グリーンを狙っていけると思います。
ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。