オグさんです! 今回は、今秋発売予定のブリヂストンのニュードライバー3モデルをひと足お先にお借りすることができましたので、比較試打した模様をレポートしたいと思います。
ブリヂストン「B1ドライバー」(左)、「B2ドライバー」(右)
ブリヂストンゴルフには、アスリート指向の強いゴルファーを主な対象にした「TOUR B」と、エンジョイゴルファーやミスに強いクラブを好むゴルファーを対象にした「JGR」という2つのブランドが存在していました。
どちらのブランドにも固定ファンがおり、一定の人気を博していたのですが、さらなるシェア拡大を狙って今回ブランドを統一。大きなイメージチェンジを図ってきました。
新しいブランドはその名も「Bシリーズ」。ブリヂストンらしさを追求し、よりわかりやすい商品展開で、ゴルフを楽しんでもらおうという思いが込められています。
新たな「Bシリーズ」のウッド系は、シンプルに「B1」と「B2」という2つのラインになります。以前の商品展開に当てはめるとTOUR BがB1、JGRがB2にあたります。アマチュアの打点や弾道、クラブに求めることなど、データを元にじっくりと作り込まれているようです!
それではモデルごとにじっくり見ていきましょう!!
可変式ウェートを搭載し、アジャスト能力を高めた操作性重視のモデル。弾道に明確なイメージを持ち、思い通りの弾道を打ちたいと考えるゴルファーにピッタリの特性を持っています。
黒を基調としたシンプルなデザインを採用。メカニカルな部分を見えるように配置することで、ハイテク感を演出しています
ヘッドシェイプは、ほぼ均等ないわゆる丸型。クラウンには、昨今のドライバーの流行であるカーボンを使用し、低重心を追求しています
フェース面には、前作でも使われていた独自の技術「パワーミーリング」をさらに進化させて搭載しています(上)。パワーミーリングは、インパクト時のボールの滑りを抑制し、スピン量を安定させる技術。今作ではフェースセンターに比べ、トゥ、ヒール側のミーリングを2倍の粗さにすることで、オフセンターヒット時のスピン増を軽減させています。ヘッド後方を低い位置に収めたシャローヘッドですが(下)、ヘッド自体は操作性を重視しているだけあって、適度なサイズに収められています
シャフトはB1専用に設計されたグラファイトデザイン「TOUR AD BS-6」を装着
このB1ドライバーの前作にあたるTOUR B Xドライバーは、昨今の大型ドライバーに引けを取らないミスへの強さを持ちながら、ヘッドローテーションのしやすい仕様で、個人的にとても評価の高いモデルでした。その後継というだけあり、ローテーションしやすそうな丸型のヘッドシェイプ、適度な投影面積と明確な弾道イメージを持つゴルファーには好まれる形状をしています。弾道調整が可能な可変式ウェート、ロフト角、ライ角が調整できる機構も搭載されているので、さまざまな弾道に合わせた微調整ができます。
いつものように最初はややヘッドスピードを抑え40m/s程度でテスト。適度なスピンをともなった中弾道が、構えた方向に正確に飛んでいきます。次に、ヘッドスピードを変えずに操作性をチェックしてみました。ドロー、フェードともにスムーズに打てますね。まったくストレスはありません。ボールのつかまりはニュートラルなので、スイング通りの弾道が出やすく、予想外のミスが出にくい仕上がりになっています。
ヘッドローテーションがスムーズで、ヘッドスピードに関係なくプレーヤーの操作を受け付けてくれるのがB1のいいところ!
前作と比べて最も変わったと感じた点は打感です。前作はインパクトで吸い付くような、ソフトな打感が印象的でしたが、今作ははじき感のあるソリッドな打感になりました。
この変化は、メインテクノロジーである「SP-COR(サスペンションコア)」の進化が影響しているのでしょう。「SP-COR」はフェース裏をビスで直接支えるように設置することで、フェースの反発エリアを広げています。前作はこのビスの先端が樹脂だったのですが、今作では金属に変更され、さらに反発エリアの範囲を広げることに成功しているそうです。今回のソリッドな打感も爽快感があり、気持ちよいものになっています。
ミスに強いフェースを実現する「SP-COR」がさらに進化。フェース裏を支えるビスの先端が、樹脂製から金属製になり、さらに反発エリアが広くなりました ※写真のヘッドはB2
フェースの戻り具合を調整できる可変式ウェートのポジションは5つ用意されていて、標準ポジションは真ん中です。好みに合わせて調整することができます
次に、ヘッドスピードを43m/s程度にアップして打ってみました。球質の印象はほぼ変わらず。適度なスピンの中弾道で、操作性も左右どちらも気持ちよく曲げることができました。
操作性を重視したモデルというと、比較的パワーヒッター向けといった印象を持たれがちですが、このB1はそこまでパワーがなくても気持ちよくボールを操ることができますね。
前作と操作性を比べるとB1のほうがやや直進性が高くなった印象。個人的にはもうちょっと操作性が高くてもよいかなと感じましたが、全体のバランスとしてはとてもよいところで仕上がっている印象を受けました。
弾道を操作したいと考えるゴルファーには、イメージに合わせてその通りに動いてくれるドライバーはとても扱いやすいと感じるはず。特に、フェードのイメージを持つゴルファーにおすすめしたいモデルです。高い直進性を持ちながら、強いフェードボールが打ちやすかったです
ヒール寄りにウェートを搭載し、適度なつかまりで高弾道を打てる設計のモデル。B1よりもさらに直進性を重視した設計で、ドライバーに安定性を求めるゴルファーに向けたモデルになっています。また、ブリヂストンによれば、およそ60%のゴルファーは3モデルの中で、このB2を使うと一番飛ばせる計算になるのだとか。
基本デザインはB1と共通ですが、ソールの白いラインに違いがあります。B2には可変式ウェートが搭載されていないので、そこが見分けるポイントです
ヘッドシェイプはB1と比べてややヒール寄りにボリュームがある形状になっています。よりつかまりそうな印象がありますね
パワーミーリングはB2にも搭載されています。フェースの形状を比べるとB2のほうがややヒール寄りにボリュームがありますね。投影面積はB2のほうが若干大きく、そのぶんシャロー具合も大きめになっています
シャフトはB2専用に開発された三菱ケミカル「Diamana BS50」。同シリーズでありながらB1、B2それぞれシャフトまでしっかりこだわって作られていますね
B2ドライバーは、JGRドライバーのポジションを埋めるモデル。JGRは、つかまりがよくボールが楽に上がるということで、やさしいアスリート向けクラブという評価で人気を誇ったモデルでした。
このB2のクラブの開発コンセプトはまさにJGRの評価通り。ヘッドのヒール側後方に搭載された固定ウェートによる大きな重心アングルにより、高いつかまり性能と高弾道を実現させています。大きめの投影面積と、ややヒール側にボリュームを持たせたヘッド形状は、そのコンセプトと一致します。
こちらもヘッドスピード40m/sから試打スタート。B1よりは明らかに高い打ち出し角で、直進性の高い弾道が楽に打てますね。セールスポイントであるつかまりのよさですが、前作のJGRよりは少しつかまりを抑えてきた印象があります。JGRは強振した時につかまり過ぎることがあったのですが、その問題点をしっかり分析してきたのでしょう。右に飛び出させず、左につかまり過ぎない、絶妙のつかまり感を実現させています。
少々の打点のミスは許容し、高弾道で直進性の高い球を打たせてくれるのがB2のよいところ
打感はB1同様、ソリッドではじき感のある気持ちよい感触。もちろんB2にも「SP-COR」が搭載され、広い反発エリアを実現しています。B2はJGRの後継モデルという位置付けではありますが、客観的に評価するなら、現代の主流である“直進性の高さとミスへの強さを重視したクラブ”に仕上がっています。
続いて、ヘッドスピードを43m/sに上げてテスト。こちらもヘッドスピードを高めても、評価はほとんど変わりませんでした。球が少し高くなったかな、といった程度。高く打ち出し、打ち出した方向に強く直進していく弾道が打てます。
ストレートの弾道を意識してスイングすると、微妙にドローするぐらいのつかまり具合。それでいて、よほどのことがない限り右へのミスは出ませんでした。さすがに細かなヘッドコントロールを受け付けてはくれませんが、ある程度のドロー、フェードといった弾道はインテンショナルに打てますね。
とはいえ、やっぱりこのB2は、弾道を操作するというよりも、一定のエリアに安定して飛ばすイメージで、アバウトな狙い方をするのに適したドライバーだと思います。
ヘッド後方、ややヒール寄りに搭載されたウェート。これにより深い重心アングルを実現し、高い弾道と絶妙なつかまり具合を生み出しています
ストレートを意識して振った弾道です。微妙な、ホントに微妙なドローで、このクラブの特性をうまく表した弾道だと思います。両サイドどちらにも曲げられない怖いホールでも、安心して振っていけそうな絶妙なつかまり具合です
B1ドライバーをベースに、より操作性を重視して設計されたモデル。ある意味敏感と言えるほど、小さな力でスムーズにヘッドがローテーションする仕様です。小さなヘッドでゴルフを覚えたゴルファー、アイアンが得意なゴルファーほど、手になじむクラブと言えます。
B1と比べてコスメや外装に違いはほぼなく、見分ける点はネックに記されたlimitedの文字のみ
B1と比べるとヒール側のボリュームが増えた印象。よりローテーションしやすそうな形状になっています
B1と比べてヒール側のボリュームがありますね。フェードを好むゴルファーに好まれる形状です。もちろんパワーミーリングも搭載しています。トゥ側から見た形状にはさほど違いは感じられません
どちらかといえば、現代のドライバーの進化の流れに逆行している感があるのが、このB1リミテッド。操作性を高め、最も距離が欲しいクラブでも弾道を操作し、緻密にコントロールしていきたいというゴルファーのために、B1の操作性をさらに高めた、まさに限定仕様といえるモデルです。
ミスに強く、直進性が高い昨今のドライバーは、ヘッドの重心が深く長い位置にあり、フェアウェイウッドやアイアンなどとは振り心地がかけ離れています。そのため、やさしいはずの大型ヘッドをうまく使いこなせないゴルファーも一定数いるのです。そういったゴルファーは、ヘッドのローテーションを強めに行っているケースが多く、深く長い重心のクラブが気持ちよく振れません。そういったゴルファーはB1のような、操作性が高く、ヘッドのローテーションがしやすいクラブを振りやすいと感じるのですが、その振りやすさをさらに追求したのがこのB1リミテッドと言えるでしょう。
現にツアープロには、小さなヘッドでゴルフを覚え、ヘッドローテーション大きく使う方がまだまだたくさんいます。また、アイアンなどでボールをコントロールするのが得意な方にもピッタリの仕上がりになっています。
ヘッドローテーションを大きく使うゴルファーに合いやすいB1 リミテッド。私もそのひとりなので、とてもミートしやすかったです!
かくいう私も、小さなヘッドでゴルフを覚えたひとり。このB1リミテッドの振り心地は抜群でした! 狙ったところに打ち出しやすく、弾道コントロールもとてもしやすかったです。
球質は、B1よりもさらに低スピンの重いライナー。それだけにヘッドスピード40m/s程度だとドロップしてしまいました。最低42m/sぐらいは欲しいですね。
つかまりはニュートラルですが、ヘッドがスムーズにターンしてくれるので、技術がある方が使えば、つかまえる・逃がすが、コントローラブルにできますよ!
B1との外観上の違いはがネックのロゴのみ。しかし打ってみると全くのベツモノでした!
ライナー性の強い弾道を狙ったところに打ち出しやすく、ボールコントロールがしやすい。まさに操作したいゴルファーのためのクラブといった仕上がりです。時代にそぐわないかもしれませんが、私はとても気に入りました。
ブリヂストンの新星、「Bシリーズ」のドライバーは、同社独自の技術を使い、3モデルを用意することで幅広いゴルファーのニーズにしっかりと応えた仕上がりになっています。
最新の流行に沿ったミスに強いB2、操作性とミスへの強さを両立させたB1、一定数いるヘッドローテーションの大きいゴルファーに対応したB1リミテッド。どれも基本性能が高く、それでいて明確な個性があるよいドライバーでした。
このような体制になった背景には、今後ブリヂストンはフィッティングにも力を入れていくという点があるようです。統一ブランドの中で個性のあるモデルを用意し、ゴルファーによりフィットするモデルをシンプルに提案できますからね。
各モデルのライバルですが、B2はテーラーメイド「SIM2 MAX」やスリクソン「ZX5」、ピン「G425 MAX」もライバルになると思います。B1はキャロウェイ「EPIC SPEED」といったところ。B1リミテッドに関しては、キャロウェイ「EPIC SPEED」 、そのツアーバージョンであるトリプルダイヤモンド、プロギア「RSF PRTOTYPE」でしょうか。
Bシリーズの発売は2021年9月17日の予定。B1、B2両方を打ち比べてみてその違いを感じてもらいたいですね! B1リミテッドは、昨今のデカヘッドがいまいち合わないなんて方なら、試す価値大いにありですよ!
写真:野村知也
ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。