実践主義! 高橋庄太郎の山道具コレクト
バッテリーと乾電池を併用できる利便性のよさも高評価

装着感や点灯時の視認性の高さは上々! 独創的なギミックがおもしろいヘッドランプ「IKO」

ヘッドランプというものは、いかなるスタイルの登山でも必携の装備だ。テント泊や山小屋泊などの山中で「夜」の時間を過ごす場合はもちろんのこと、日帰り登山でもなにかのトラブルで明るいうちに下山できないこともあり、ヘッドランプを持っていないと危険な状態に陥る可能性は高まる。

LEDを使った現代のヘッドランプは、従来の光源を使ったタイプよりも消費電力を抑えながら明るさを増している。しかも軽量で、使い勝手がよい工夫を加えられているものが多い。そんなヘッドランプの最新型が、今回ピックアップしたペツル「IKO(アイコ)」である。見た目だけでも、一般的なヘッドランプとはひと味違うことがわかるだろう。重量はたった90gだ。

バンドはかなり弾力性があり、頭に装着しないと形が決まりにくい

バンドはかなり弾力性があり、頭に装着しないと形が決まりにくい

見た目も構造も装着感も独創的

多くのヘッドランプは、ライトの部分を頭に固定するために伸縮性のある幅が広いバンドが付属している。だが、IKOは、それ自体には伸縮性がないライン状の樹脂製バンドだ。これは人間工学に基づくデザインで、「AIRFITヘッドバンド」と名付けられている。特許も取得しているという。

LEDが7灯ついているライトの部分は、角度がつけられる。これは、どんなヘッドランプでも同様の仕組みとも言えるが、IKOは無段階で調節できるので、状況に応じてますます自分好みに使うことができる。

左の状態からライト部分を下げると、右のような状態に。ほぼ180°角度が変えられる

左の状態からライト部分を下げると、右のような状態に。ほぼ180°角度が変えられる

ライト部分は「AIRFITヘッドバンド」を通じ、着用時には後頭部に位置するバッテリーボックスにつながっている。以下の写真が、そのバッテリーボックスだ。

オレンジのボタンを押すとカバーが開き、バッテリーを交換することができる

オレンジのボタンを押すとカバーが開き、バッテリーを交換することができる

カバーの裏側には小さな凹凸が付けられており、頭からズレにくいように工夫されている

カバーの裏側には小さな凹凸が付けられており、頭からズレにくいように工夫されている

バッテリーボックスは防水機能を備えており、耐水性能は全天候型のIPX4である。さすがに水中では使うことはできないが、猛烈な豪雨でも浸水を恐れずに使えるスペックだ。

では、バッテリーボックスの中を見てみよう。IKOはアルカリ電池、リチウム電池、ニッケル水素電池に対応している。また、別売りされている専用のリチャージャブルバッテリー「CORE」も使用可能だ。

使用するのは単3型乾電池3本。パッキンが付いたカバーで完全防水される

使用するのは単3型乾電池3本。パッキンが付いたカバーで完全防水される

別売の専用バッテリー「CORE」(価格は3,520円/税込)を使用した時の状態

別売の専用バッテリー「CORE」(価格は3,520円/税込)を使用した時の状態

専用バッテリー「CORE」は、付属のUSBケーブルを使って充電する。モバイルバッテリーを持っていけば、山中でも充電可能だ

専用バッテリー「CORE」は、付属のUSBケーブルを使って充電する。モバイルバッテリーを持っていけば、山中でも充電可能だ

この1,250mAhのリチャージャブルバッテリー「CORE」があらかじめ付属しているモデルもあり、「IKO CORE(アイコ コア)」(価格は11,550円/税込)という名称でラインアップされている。

実際にIKOを頭に装着すると、その収まりのよさを実感できる。ヘッドバンドが頭の形状に沿うようにデザインされているため、頭にバンドで留めているような圧迫感がなく、まるで頭の上に載せているというか、被っているような感覚なのである。また、今回は帽子の上に装着しているが、バンドが細いため、じかに頭部に付けた際も通気性がよく、汗でベタつかないのがいい。

額に当たる部分にクッション性の素材などは使っていないが、違和感なくフィットする

額に当たる部分にクッション性の素材などは使っていないが、違和感なくフィットする

バッテリーボックスが後頭部に位置するため、額のライトとの重量バランスがよく、装着時にはあまり重さを感じない

バッテリーボックスが後頭部に位置するため、額のライトとの重量バランスがよく、装着時にはあまり重さを感じない

黒いヒモのようなパーツは、伸縮性のコード。これを引き絞れば、ますますフィット感が高まる

黒いヒモのようなパーツは、伸縮性のコード。これを引き絞れば、ますますフィット感が高まる

場合によっては、頭に取り付けるのではなく、首から下げて使用することもできる

場合によっては、頭に取り付けるのではなく、首から下げて使用することもできる

これだけ立体的にデザインされたヘッドランプはなかなかないが、その代わり一般的なヘッドランプに比べると小さくまとめて収納しにくいのは否めない。しかし、IKOはいくらかでもコンパクトに収納できるように、独自のクリップ式でまとめられる工夫を加えている。さらに、おもしろい収納袋まで付属しているのだ(くわしくは後述)。

バッテリーボックスの突起をライト部分のくぼみに押し込むと簡単に固定でき、両者が一体化してコンパクトになる

バッテリーボックスの突起をライト部分のくぼみに押し込むと簡単に固定でき、両者が一体化してコンパクトになる

ひとつにまとまった状態。それでも手の平サイズで少々大きく感じられるかもしれないが、厚みは2cm程度だ

ひとつにまとまった状態。それでも手の平サイズで少々大きく感じられるかもしれないが、厚みは2cm程度だ

山中で「IKO」をテスト

ここからは、実際の能力を確認していきたい。

IKOは使用するバッテリーによって、最大光量が異なる。具体的に言うと、専用リチャージャブルバッテリー「CORE」を使用した時は「最大光量(強)」500lm(ルーメン)で、100m先まで照射可能。照射時間は2時間30分となっている。「標準光量(中)」は100lmで照射距離は45m、9時間使用可能だ。「最小光量(弱)」の6lmに落とした場合は照射距離10m。その代わり、100時間も照射できる。いっぽう、アルカリ乾電池を使用した時は最大光量が350lmで、80m先まで照射可能といくらかスペックが低くなる。照射時間は2時間。最低光量は同様に6lmで照射距離10mとなり、照射時間も100時間だ。

7灯すべてを照射した状態。光量を最低に下げた状態だと、上部の3灯のみが点灯する

7灯すべてを照射した状態。光量を最低に下げた状態だと、上部の3灯のみが点灯する

これからお見せしていく写真は、すべて専用リチャージャブルバッテリー「CORE」を使用した時のもの。つまり、最大光量は500lmの状態である。ちなみに、ライト部分のオレンジのボタンを押すと点灯するが、最初が最低光量(かつ最大照射時間)で、2回押すと次の段階の標準光量(100lm)に切り替わり、3回押すと最大光量(かつ最少照射時間)で、もっとも広範囲も照らせるように設計されている。そして、もう1度押すと、消灯する。また、長押しするとロック機能が働き、間違ってボタンを押した場合でも簡単には点灯しないようになっている。


頭部にIKOを装着し、山中を歩いた際に印象的だったのは、わざわざコードを強く引いてフィット感を高めておいたわけでもないのに、頭からズレにくいことだった。小走りをしてもほとんど揺れ動かないのは、人体工学に基づいたバンドの機能に加え、90gと軽量なことが大きい。トレイルランニング愛好家たちからの評価が高いという話にもうなずける。

後部には光を反射するリフレクターが付けられ、後部にいる人に居場所を伝える。また、ベルト後方の白い部分も視認性を高めている

後部には光を反射するリフレクターが付けられ、後部にいる人に居場所を伝える。また、ベルト後方の白い部分も視認性を高めている

光量を変えた時の、肉眼で見える範囲を比較した際の画像は以下のとおり。上から順に「最小光量」「標準光量」「最大光量」で、前方7〜8mの樹木を照らした時の様子だ。

薄暗くて、前方にある木の幹の模様がわかりにくい

薄暗くて、前方にある木の幹の模様がわかりにくい

木の幹の模様がほどよく見える

木の幹の模様がほどよく見える

光が強すぎて、むしろ木の幹の細かな模様がわかりにくい

光が強すぎて、むしろ木の幹の細かな模様がわかりにくい

先ほど書いたように、この3枚の写真は7〜8m先の木を照らした時の状態である。道標や地形のポイントを見逃さないように、より遠くを照らして歩きたい場合は、やはり「最大光量」がよい。反対にテントや小屋周りで使う分には「最小光量」でも十分で、かえってまぶしくなくて便利だろう。

今度は、足元を照らした時の様子である。進行方向の斜め前方を照らしているので、地面との距離は2〜3mくらいだ。

夜間行動時に転倒を防ぐためには、これくらいの距離(2〜3m)での視認性の高さがどれくらいなのかが、非常に重要だ

夜間行動時に転倒を防ぐためには、これくらいの距離(2〜3m)での視認性の高さがどれくらいなのかが、非常に重要だ

地面に石や異物があった場合、それがわかるのはせいぜい直径50〜60cm程度の範囲内だ

地面に石や異物があった場合、それがわかるのはせいぜい直径50〜60cm程度の範囲内だ

直径1.5mほどの範囲が明るく照らされ、安心して歩ける

直径1.5mほどの範囲が明るく照らされ、安心して歩ける

直径2.5m程度の範囲が明るくて歩きやすいが、中心部は明るすぎて、バッテリーの消費がもったいないとも感じる

直径2.5m程度の範囲が明るくて歩きやすいが、中心部は明るすぎて、バッテリーの消費がもったいないとも感じる

前方7〜8mを照らした時と足元2〜3mを照らした時、どちらの場合も「標準光量」がちょうどよかった。行動中は「最大光量」でもよいが、バッテリーの消費を考えれば、ルートを確認する時や危険個所を探す際などにワンポイントで使うほうがよい。それに対し、「最小光量」ではさすがに歩きにくく、宿泊時に身の回りを照らす時に使うのが現実的だと思われた。

最後に、本記事前半で触れた「収納」にもかかわる、おもしろい付属品について触れておきたい。それは、半ば透けるような薄手の素材でできた真っ白なポーチだ。これがヘッドランプの収納に使えるだけでなく、なんとヘッドランプをランタンのように使用する際のカバーになるのである。

付属するポーチは、開口部がドローコードで締められ、下部に行くほど細くなるデザイン

付属するポーチは、開口部がドローコードで締められ、下部に行くほど細くなるデザイン

ランタンとして使用する際は、ライト部分のみをこのポーチの中に入れて点灯させる

ランタンとして使用する際は、ライト部分のみをこのポーチの中に入れて点灯させる

テント内で使用した時の様子。白い生地がライトの光を拡散し、周囲をほのかに照らし出す

テント内で使用した時の様子。白い生地がライトの光を拡散し、周囲をほのかに照らし出す

ランタンとして使用する場合、光が必要な場所へ届くように置くのはなかなか難しい。だが、ヘッドバンドをボトルなど何かに巻き付けるというように工夫をすれば、思いのほか便利に使える。バッテリーの消費は多くなるとはいえ、ちょっとうれしいギミックなのであった。

山行を終えて

IKOは、いかにも現代的な強力かつ軽量なヘッドランプであった。最近のヘッドランプはバッテリー式で、現地でバッテリーが切れた時に再充電しなければならず、少々めんどうに感じるタイプも多い。それでも晴れている時ならば、モバイルバッテリーから充電しながら使うこともできるが、雨の中でバッテリーが切れてしまうと大事である。その点、IKOは乾電池と専用リチャージャブルバッテリー「CORE」を使用できるのがいい。どんな時も安心して使えるのは、とてもありがたいことである。

ただし、本製品で乾電池を使用する際の最大光量は、専用リチャージャブルバッテリーを使う時より低い350lmとなる。しかし、今回のテストでもわかるように、専用リチャージャブルバッテリー使用時の標準光量である100lmでも夜間行動はおおむね可能。もちろん、遠くを照らす能力は落ちるので、より注意して行動する必要はあるだろう。

機能的には申し分ないIKOだが、あとは8,580円(税込)という価格が問題かもしれない。機能が低いものならば、現在は数百円程度でもヘッドランプは手に入るのである。しかし、ヘッドランプはトラブル発生時に危険を回避するための重要装備のひとつ。IKOのような高機能品を手に入れておくことは、山中での安全性を高めることに直結するのではないだろうか。

高橋庄太郎

高橋庄太郎

テント泊での登山を中心に1年の半分近くは野外で過ごす、山岳/アウトドアライター。好きな山域は北アルプス。「山道具 選び方、使い方」など、著書も多数。

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