オグさんです! 今回はキャロウェイ「ローグST」シリーズのフェアウェイウッド(以下、FW)4モデルをご紹介します!
「ローグST」シリーズには4モデルのFWがラインアップされます
ローグSTは、2022年のキャロウェイの主力ブランド。キャロウェイ独自のテクノロジー、AIでシミュレーションして設計する「FLASHフェース」や、インパクト時のフェースのたわみをコントロールする「JAIL BREAKテクノロジー」をさらに進化させ、搭載しています。
ターゲットゴルファーを4つに分類し、ドライバー、FW、UT、アイアン、それぞれに専用設計の4つのモデルを用意するというぜいたくなラインアップとなっています。
今回ご紹介するFWの基本となるテクノロジーは、ドライバーに準ずるもの。それぞれのターゲットゴルファーの打点データや、飛びの三要素である、ボール初速、スピン量、打ち出し角を最適化するアルゴリズムを用いて、AIが各モデル専用に設計した「FLASH フェースSS22」を搭載しています。
さらに「JAIL BREAKテクノロジー」は、FW用にアップデートされた「AI JAIL BREAK ST」を搭載。ヘッド内部のブレードが三日月状の形状に変化し、ボール初速を最大化させつつ、ミスへの寛容性も向上させているそうです。
また特徴的なのが、ドライバーにも搭載されているウェートシステム「タングステンスピードカードリッジ」。ドライバーではヘッドの後方に装着していましたが、FWでは、フェースすぐ後ろの前方に搭載し、浅重心化しています。これにより、ミート率の向上や、フェース下部でインパクトした時のエネルギーロスを軽減しています。
キャロウェイというメーカーは、過去にFW専用のブランドを展開したり、FWで大ヒットを記録したモデルをいくつも持っていたりと、もともとFWを得意としています。今作もかなり力が入っており、非常に期待が持てますね!
ローグSTのFWは「MAX」「MAX D」「MAX FAST」「LS」というラインアップになっています
FW専用に設計された「AI JAIL BREAK ST」。前作のブレード状の形状から大きく変化した三日月型に変更。さらに搭載位置も両端に移動することでよりボール初速を最大化させつつ、ミスへの寛容性も高めています
それでは、1モデルずつ見ていきましょう!
ローグST FWシリーズの中核をなすモデル。ドライバーのMAXと同じく、幅広いゴルファーを対象とした設計となっています。安定性を高めながら適度なつかまりを持つ、クセのない仕上がりです。
ドライバーではソールの後方に配置されていたタングステンスピードカートリッジが、FWではソール前方に配置されています。オレンジメタリックのカートリッジ部分がデザインのアクセントになっていて、カッコイイですね
奥行きを狭めにしたやや細長いヘッドシェイプを採用。つるんとした丸みのあるフォルムで、キャロウェイらしい仕上がりですね
フェースはもちろん、MAX FW専用に設計された「FLASH フェースSS22」。素材は、3番から5番までは、マレージング鋼、7番はカーペンタースチール、そして9番と11番は、ステンレスと、フェースの作り込みだけでなく、素材を使い分けています
シャフトラインアップは、ローグST純正モデルとして専用設計されたフジクラの「VENTUS 5 for Callaway(R、SR、S)」とフジクラの「Speeder NX50(S)」を用意しています。大きめのしなりでタイミングの取りやすい純正と、シャキッとした振り味のNXといった違いがあります。同じSフレックスでNXのほうが3.5g重くなっていますが、それほど大きな差ではないですね。
VENTUS 5 for Callaway。MAXドライバーにも装着されているモデルです
構えた印象は、キャロウェイのFWらしい丸みを帯びた顔で安心して構えられますね。投影面積は大きすぎず小さすぎずといった感じで、腕前を問わず見ために違和感を覚える方はいないでしょう。
お借りしたスペックは#5で純正シャフトのSフレックス。ヘッドスピード40m/sぐらいで打ってみると、5番ウッドらしい高さでポンと飛び出し、ちょっとスピンが少ないかな?といった印象の弾道が飛んでいきます。
私が気に入ったのが、ミートのしやすさ。浅い重心の効果なのか、自然と芯で打てます。狙ったところにヘッドを落としやすく、コントロールもしやすいので、安心してスイングできますね。
ヘッドスピード43m/sぐらいで打つと、弾道が強くなり、打ち出し角がやや高くなりました。ミートしやすさも変わらず、非常に扱いやすかったです。芯を外しても高さはちゃんと出ますし、ミスの幅も少なめ。シャフト次第でどんなゴルファーにもおすすめできる、完成度の高いモデルですね!
ミートしやすさがMAX FWの最大の美点! 軽いはじき感のある爽快な打感も文句なし!!
ミートしやすさは、この浅い位置に搭載されたタングステンスピードカートリッジによるものだと思います! フェアウェイウッドが苦手な方には試してもらいたいですね
ティーアップせずに打ったデータです。5番ウッドとしては距離も出ていますし、高さも十分でしょう。適度なつかまりもあり、やさしいFWと言えます
スライスをはじめとする右へのミスが多いゴルファーを対象に、つかまり性能を高めたモデル。MAXと比べて、同じ番手でもロフトを1°寝かせた設定になっており、ボールも上がりやすくなっています。
デザインはシリーズで共通ですが、ヒール側が鉛を貼ったような仕上げに変更されています
MAXよりも若干投影面積が大きくなり、ヒールにボリュームを持たせた形状に変更になっています
MAX D FW専用に設計されたFLASH フェースを採用
シャフトはMAXと同じフジクラのVENTUS 5 for Callaway(R、SR、S)です。
アフターマーケット用のVENTUSよりも、マイルドで扱いやすくなっています
構えてみると、ヒール側にボリュームを持たせた形状により、当たり負けしなそうなイメージを持たせてくれます。右へのミスが多いゴルファーはヒール側でのインパクトが多くなるので、視覚的にやさしく見えるでしょう。
ヘッドスピード40m/sぐらいでの印象は、MAXよりも少し上がり、少しつかまるといった感じ。極端ではないのですが、目標よりも右に飛び出す感じがなく、とても自然なつかまりに好感が持てますね。見た目だけでなく、ちゃんとヒール側のミスヒットにも強くなっているので、スライス気味に悩むゴルファーの強い味方になってくれそうです。
ヘッドスピード43m/sだとさらに一段弾道が高くなります。高さが出ないゴルファーにもMAX D FWはおすすめですね。
ヒール寄りでインパクトしがちな右へのミスが多いゴルファーのために設計されたMAX D。見た目と性能がリンクするのは、とても重要な事だと思います
MAXと比べるとやや弾道が高くなり、ほんの少しだけつかまり性能が高まったといった感じ。扱いやすさに差は感じませんでした
ローグST FWシリーズの中で、最もコンパクトで操作性にすぐれたモデル。キャロウェイセレクテッドストア限定となるこのLSは、スクリューウェートをソール前方に搭載しており、より低スピンで強い弾道が打てるように設計されています。
ソール中央に見えるスクリューウェートがLSの特徴。それ以外のデザインは、MAXと共通です
MAXよりもひと回り小ぶりになっています。奥行きも狭めです
ほかのモデルと違い、フェース全面に溝が切られています。ラフなどから使用した時に必要以上に低スピンにならないようにするためでしょう。もちろんLS専用に設計されたFLASHフェースを採用しています
シャフトは、ターゲットであるヘッドスピードの速いゴルファーに合わせて、三菱ケミカルの「TENSEI 55 for Callaway(SR、S)」を用意しています。MAXやMAX Dに装着されるVENTUSと比べ、やや粘りがあり、ゆったりとしなる印象があります。
LSのヘッド特性やターゲットゴルファーに合わせ、少ししっかりした味付けになっている専用のTENSEI
アスリートやプロ向けのモデルだけに、構えると小さいな!と感じますね。ある程度ミートできるゴルファーでないと、構えただけでプレッシャーを感じてしまうかもしれません。
ヘッドスピード40m/sで打ってみるとボールが上がりきらず、ほかのモデルと比べてキャリーが出ませんでした。43m/s程度までヘッドスピードを上げて、ようやく適正かな?といった弾道になります。それでもライナー性の低スピン弾道といった感じで、性能をある程度引き出すには、最低でも42m/sは欲しいところですね。
アスリート向けらしく、つかまり性能はニュートラル。操作性もよく、テクニックさえあれば、左右どちらにでも曲げられます。パワーのあるゴルファーのための飛ばせるFWといった印象です。
小ぶりなヘッドで振り抜きは抜群! 球筋の操作もできて打っていて楽しいモデルではありますが、それなりのヘッドスピードを要求される仕様です
搭載される交換式のスクリューウェートは、リシャフト時などの重量調整に重宝しそうです。交換ウェートは別売りになります
軽いドローボールを意識して打ったデータです。イメージ通りの弾道にはなっていますが、ヘッドの性能を完全に引き出すには、もう少しヘッドスピードが欲しいなと感じました。私ぐらいのヘッドスピードだと、3番ではドロップする状況も出てきそうです……
MAX Dをベースに、クラブ全体を軽量化したモデル。軽いだけでなく、シリーズ中最も高弾道の仕様になっており、パワーのないゴルファーでも最大の飛距離を得られるように設計されています。
デザインは共通ですが、メッキ部分をミラー仕上げに変更。印象はかなり違って見えますね
ヘッド形状はMAX Dに準ずるもの。フェースの仕上げが変更になっていて、フェース面がより見やすくなっています
MAX FAST専用のFLASHフェースを採用。ヘッドスピードが低めのゴルファーが最大の飛距離を得られるような設計になっています
軽量モデルに合わせ、シャフトも専用設計の軽量モデルを用意しています。フジクラの「Speeder NX for Callaway(R、SR、S)」は40gの設定。シャキッとした振り味で、ミートしやすい仕上がりです。
純正シャフトを、ひとつのシリーズで3モデルも用意するぜいたくぶり。MAX FAST専用のNXは、軽さとミートしやすさが特徴です
MAXやMAX Dと比べて30g近く軽いため、持った瞬間から軽さを感じます。構えた印象は、MAX Dと近いのですが、MAX FASTはフェースが白く光る仕上げになっており、より目標に構えやすくなっていますね。
ヘッドスピード35m/sぐらいで打ってみると、ポンとボールが上がってくれ、とても楽に打てます。MAX Dよりつかまる感じで雑に打っても、ちゃんとボールをつかまえてくれ、オートマチックなやさしさを感じさせてくれる仕上がりです。
ヘッドスピードを高めていくと、40m/sを超えた当たりでややスピンが増え、飛距離ロスが大きくなる印象。ミスには強い印象ですが、それなりに振れるゴルファーはMAXやMAX Dのほうが安定して飛ばせるでしょう。
当たりが多少薄くても、しっかりボールを上げてくれます
“軽さ”がMAX FASTの一番の特徴。ヘッドスピードの低いゴルファーが飛距離を追求するのにピッタリの仕様になっています
軽量化を達成するために、グリップも軽量モデルを採用しています。徹底していますね
43m/s程度を意識して振ったデータです。4つの中で最も高弾道ですが、スピンがやや多く飛距離を少しロスしています。これぐらいのヘッドスピードが安定して出せるなら、MAX Dのほうがよいかもしれません
ローグST FWシリーズは、4つのモデルの作り込みによってほとんどのゴルファーをカバーできる高性能FWでした。性能はもちろん、番手構成も下記の通り、非常に豊富です。
MAX:3W(15°)4W(16.5°)5W(18°)7W(21°)9W(23°)11W(25°)
MAX D:3W(16°)5W(19°)7W(22°)
LS:3+W(13.5°)3W(15°)4W(16.5°)5W(18°)
MAX FAST:3W(16°)5W(19°)7W(22°)9W(25°)
かゆいところに手が届くラインアップとなっています。
個人的に気になっているのは、MAXの9W、11W。ミスに強いショートウッドは、アマチュアにとって魔法の杖になるかもしれません。
飛距離重視の方も、やさしさ重視の方も、ローグSTのFWはぜひチェックしてみてください。個人的にはヒット間違いなしのFWだと思っています!
写真:野村知也
ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。