オグさんです。今回はミズノのドライバー2モデル「ST-X 220」「ST-Z 220」の試打インプレッションをお送りします。
ミズノ「ST-X 220」(右)、「ST-Z 220」(左)
ミズノが作る鍛造アイアンは、全世界にファンがいると言っても過言ではないほど高い評価を受けています。そんなミズノがウッド類のシェアも獲得すべく開発されたのが、2020年に発売された「ST200」シリーズ。STブランドはそれまで主に海外で展開されていたのですが、ST200シリーズから日本でも販売されるようになりました。
今回ご紹介するST-X 220、ST-Z 220は、STシリーズの2022年モデル。一般的なチタン素材よりも硬く、たわみやすい「フォージドβチタン合金」を採用。さらに反発性能を高めるために、独自の構造「コアテックフェース」で仕上げることで、飛距離を追求しています。
同社契約である西郷真央選手がST-X 220を使用し、2022年ツアーで3勝をあげるなど(2022年4月末日現在)、すでに結果を出している注目のクラブです!
ソール後方のややヒール側に寄った位置にウェートを搭載。重心距離を短めに設定することでヘッドを返しやすく、ボールのつかまりを高めた仕様になっています。
ヘッド全体をブラックで仕上げたシックなデザイン。カーボンを使用したソールは模様をあえて残し、デザインとして利用しています
ヘッドシェイプは、輪郭にやや角を持たせた形状。ヒール側にボリュームを持たせてあり、ヘッドの返しやすいヘッド性能とリンクした形状になっています
フェースはミズノ独自の「フォージドβチタン」を採用。高いボール初速が期待できそうです。トゥ側から見るとシャローバックですが、最後方は少しだけ高くなっています
シャフトは標準で5種類用意されていますが、すべて専用に設計されたオリジナルモデル。グラファイトデザイン製で50g台のカーボン「TOUR AD GM D」、三菱ケミカル製の60g台のカーボン「Diamana MM D」、フジクラ製の40g台のカーボン「Air Speeder FM D」、オリジナルの30g台のカーボン「22 MFUSION D」、そしてオリジナルの30g台のカーボン「PLATINUM MFUSION D」となります。
このように幅広い重量帯を用意することで、さまざまなゴルファーに対応できるようになっています。40g台以下のシャフトはクラブとして軽量に仕上がりますので、楽に振り切りたいなら40g台以下を、それなりに振れる方なら50g台以上のシャフトから選ぶとよいでしょう。
軽量でありながら全体的にしなやかな特性を持つ、オリジナルのMFUSIONシャフト。振り切りやすい仕上がりです
構えた印象は、いかにもつかまりそうな顔で安心感があります。まずはヘッドスピード40m/s程度で何発か打ってみると、適度なスピン量と中高弾道でなかなかの好印象。ヘッドの追従性がよくターンがしやすいのは、ヘッドの形状からくるイメージとピッタリ! 構えやすく、狙ったところに打ち出せるクラブに仕上がっています。つかまると言っても、つかまり過ぎることがないのも気に入りました!
ヘッドスピードを高めていくと、適度なスピン量を保ちつつ、そのまま飛距離につながっていく印象。お借りしたクラブにはやや軽いシャフトが装着されていたので、リシャフトすればもう少しスピンを抑えられるかもしれませんね。
左がST-X 220。ソール後方のウェート位置がそのままヘッドの特性を表しています。こういうわかりやすさは、個人的にとてもよいと思っています
採用されているフォージドβチタンは、はじき感を演出しつつ、余計な振動が少ない独特の感触をもたらします。芯で打ったときの気持ちよさは、打感にこだわるミズノらしい部分です
気持ちよいストレート弾道。滞空時間が長く、安心して見ていられる球でした。弾道を操る類いのクラブではありませんが、ドロー、フェードといったコントロールはしやすかったです
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ソール後方と中央にウェートを搭載。重心深度を深く、慣性モーメントを高めた設定になっており、ミスへの強さ、直進性を高めた設計になっています
デザインはST-Xと共通。見分け方は、ウェートの位置とヒール側のモデル名です
基本的なヘッドシェイプはST-Xと似ていますが、ボリュームがヒールからややセンター寄りになっています
フェース形状はST-Xと比べて、ややトゥ側にボリュームがありますね。お尻の上がったシャローバック形状は同じです
シャフトラインアップは、ST-Xと同じです。グラファイトデザイン製で50g台のカーボン「TOUR AD GM D」。三菱ケミカル製の60g台のカーボン「Diamana MM D」。フジクラ製の40g台のカーボン「Air Speeder FM D」。オリジナルの30g台のカーボン「22 MFUSION D」。そしてオリジナルの30g台のカーボン「PLATINUM MFUSION D」。しっかりたたけるゴルファーならDiamanaがおすすめです。
グラファイトデザイン製の50g台のカーボン「TOUR AD GM D」。フレックスが3タイプ用意されています
ポンとヘッドを置いたときに、フェースがちょっとだけ右を向きます。おそらくフェース角がオープンに設定されているのでしょう。左のミスを嫌がるゴルファーには非常に好まれる設定ですね。
ST-Xと同じように、ヘッドスピード40m/s程度で打ってみると、狙ったところには飛び出すのですが、最後にちょっとだけ逃げていく感じ。ハードヒッター向けにつかまりを抑えたクラブのように、右に飛び出す感じがなく、これはうまく作ったなぁといった印象です。
ヘッドスピードを高めても印象は変わらず。ヘッドの追従性はST-Xよりは抑えてありますが、極端ではなく十分ターンできます。それでいてつかまりを抑えてあるのは、誤解を恐れずに表現すると、昔のアスリートモデルっぽい感じ。これ、好きな人はめちゃめちゃ好きだと思いますよ。
ヘッドがターンさせやすいので、振り抜きやすい。それでいて左のミスになりにくい。最近のドライバーの中では、ありそうでなかった性能と言えます
スピン量はちょっと多めですが、気持ちよいフェードボールが打てました。最近の大型ヘッドが苦手で、かつ左のミスを避けたいって方は、試す価値があるモデルです
ST-X 220、ST-Z 220は、ヘッドローテーションを大きく使うゴルファーの多い日本マーケットにマッチしたモデルに仕上がっていました。つかまりやすいモデルとつかまりを抑えたモデルとを作り分け、わかりやすさを演出しつつ、形状と性能が一致した作りこみには、非常に好感が持てましたね。
現況、これに近いコンセプトのクラブはあまり存在しません。しいて言えばST-Xが、ブリヂストン「B2」、ST-Zが、ダンロップの「ゼクシオX」、旧モデルになりますが、キャロウェイの「EPIC SPEED」と言ったところでしょうか。
個人的には、ST-Xを気に入りました。自分に合ったシャフトを装着し、弾道調整機能でロフトを立て、つかまりを抑えた仕様で打ってみたいです!
写真:野村知也
ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。