ドライバーでは、キャロウェイの新商品「ROGUE ST」が本格発売されたことで、テーラーメイドの「STEALTH」に替わって上位にランキングされた。また、フェアウェイウッド(以下、FW)、ユーティリティー(以下、UT)でもキャロウェイの健闘が目立った。ドライバー以外でも、今年発売の新商品がランキング上位をにぎわせており、パターはテーラーメイドの「トラス」が引き続きの人気となっている。
※本記事の価格その他の情報は2022年4月末時点でのもので、現在とは異なる場合があります
2022年4月の、価格.comにおけるドライバー月間人気売れ筋ランキング
4月の売れ筋ランキングベスト10のうち、キャロウェイが6機種、テーラーメイド5機種、ダンロップ1機種がランクインする結果となった(10位タイが3機種)。
1〜3月まではテーラーメイドが1位を死守していたが、4月はキャロウェイの新商品「ROGUE ST MAX」が首位を奪う結果となった。スペックは純正シャフト「VENTUS 5 for Callaway・S・10.5°」。2月25日発売で、価格.com掲載の平均価格は67,855円、メーカーサイトの78,210円に比べて約14%安い価格となっていた。
ROGUE ST MAXは、キャロウェイ独自のAI設計による「FLASHフェースSS22」や「JAILBREAK AI スピードフレーム」、「カーボンクラウン&ソール」を搭載する一体成型のUNIボディ構造を採用。ここに同社の技術力の高さを感じる。今回のモデルROGUE STのSTは「Speed Tuning」を現し、ボールスピードを上げることに注力したという。今回発売された「ST」シリーズ4機種の中で「MAX」はスタンダードモデルの位置づけで、ややドローバイアスの設計となっている。
2位はテーラーメイドの「SIM2 MAX・純正シャフトTENSEI BLUE TM50・S・10.5°」となった。昨年のベストセラーモデルで、平均価格は44,692円と、45,000円を切ってさらに購入しやすくなっている。「フォージドミルドアルミニウムリング」をはじめ、革新的なアイデアとテクノロジーを搭載した「SIM2」は、高初速、高弾道、飛距離、寛容性の共存を実現したアイアンだ。
3位はダンロップの「ゼクシオ 12・純正シャフト MP1200 ネイビー ・R ・10.5°」。昨年12月発売のゼクシオ最新モデルで、メーカー希望小売価格88,000円に対して平均価格は75,046円と、15%ほど安く売られてはいるが、それでも75,000円を超える価格である。しかし、ゼクシオファンからの根強い支持を得ているようだ。ダウンスイング時の空力をコントロールすることでヘッドのブレを抑え、「REBOUND FRAME」構造との相乗効果でボールスピードをアップする設計が特徴。国内メーカー製品では唯一ベスト10にランクインした。
なお10位タイには、テーラーメイドの「STEALTH HD・純正シャフト TENSEI RED TM50・S・10.5°」が入った。平均価格は69,079円で、2月に1位、3月に5位、6位の売れ筋製品であったが、今月はキャロウェイの「ROUGUE ST」が1位、5位、6位に入り、この2強が5月のランキングでどうなるか、注目である。
2022年4月の、価格.comにおけるフェアウェイウッド月間人気売れ筋ランキング
4月のFWで人気となったのは、先月に引き続き、キャロウェイとテーラーメイドである。ベスト10にはキャロウェイ5機種、テーラーメイド4機種、ダンロップ1機種が入った。
売れ筋1位はキャロウェイの「EPIC SPEED #5・純正シャフト Diamana 50 for Callaway・S・18°・154cm3」である。AIが設計した「FLASHフェースSS21」を採用し、薄肉化、軽量化が可能な高強度素材や、C300マレージング鋼を鍛造したフェースカップ構造によって、高い反発性能を実現している。また、ソールの前方に7gのスクリューウェイトを装着するなどして浅重心設計が施されており、低スピン性能となっているのがポイントだ。
2位はテーラーメイドの「SIM2 MAX フェアウェイウッド #5 ・純正シャフトTENSEI BLUE TM50・S・18°・160cm3」。3月から引き続き、1位となっている。平均価格は23,556円。
3位、5位には、今年1月14日発売のキャロウェイの新商品「エイペックス UW・純正シャフトDiamana 55 for Callaway・S」の「19°・126cm3」モデルと「21°・126cm3」モデルが初めてランクインした。これは、ツアーからの要望を受けてキャロウェイが生み出した独自のモデル。 “UW”という名前のとおり、FWとUTをかけ合わせたような性質のクラブとして開発された。FWよりも弾道の高さが抑えられ、スピン量は少なく、かつユーティリティーに近い操作性もあわせ持ち、FWとウッド型UTの中間に位置するクラブで、石川遼選手も使用していることで人気が出てきている。平均価格は34,485円だ。
4位はキャロウェイの3月発売の新商品、「ROGUE ST MAX #5・純正シャフトVENTUS 5 for Callaway・S・18°・148cm3」モデル。ヘッド内のトゥとヒール部に設置されたAI JAILBREAK STにより、フェースのたわみやすい範囲が広がり、かつ慣性モーメントも向上している。タングステン・スピードカートリッジの搭載や、AI設計による最適化されたFLASHフェースSS22などが加わったことで、ボール初速アップを狙った設計になっている。メーカー希望小売価格は44,550円で、価格.com掲載の平均価格は39,600円となっていた。
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2022年4月の、価格.comにおけるアイアンセット月間人気売れ筋ランキング
4月のアイアンセットのベスト10には、ブリヂストン2機種、ダンロップ4機種、テーラーメイド4機種がランクインした。先月のダンロップとテーラーメイドの2強に、ブリヂストンが割って入ってきた格好だ。
1位はブリヂストンの「TOUR B 201CB 6本セット・NS PRO MODUS3 TOUR 105・S」である。軟鉄鍛造のキャビティアイアンで、ロングアイアンは安定性・寛容性を、ショートアイアンは操作性とキレを重視した設計となっている。ヒール〜センターはヘッドを入れやすく、センター〜トゥは当たりと抜けのよいソール形状を採用。また、低重心高慣性モーメント設計としながら、打点部では、厚肉部を台形状に残して打感を損なわないよう設計。フェース面の溝のピッチを、全番手3.60mmの一律設計から、番手ごとに変更するという手の込みようで、#4〜6は3.50mmへ、#7〜9とPWは、3.48mmへとフローしている。低ヘッドスピード領域で効果が出る新溝形状へ変更し、スピンの安定性を高めているのも特徴だ。2020年9月発売で、平均価格は59,400円と、メーカー希望小売価格132,000円の半額以下になり、購入しやすくなったこともあって人気が出ていると見る。
2位は同じくブリヂストンの「TOUR B 202CBP 6本セット・カーボンシャフト MCI B65・S」である。形状と性能のバランスを追求した高機能ポケットキャビティアイアンで、ミスへの許容性と反発性能を高める360°スリットポケットキャビティ構造を全番手に採用してスイートエリアが拡大したことで、飛距離性能と許容性を向上させている。2020年9月発売で、平均価格は74,800円。メーカー希望小売価格132,000円なので、このモデルも、価格が下がったことで人気が出ている。
3位にはダンロップ「スリクソン ZX5 6本セット・NS PRO 950GH DST・S」が入った。平均価格は94,289円、人気継続中のダンロップ鍛造アスリートモデルだ。ちなみに上位3製品は、すべて軟鉄鍛造モデルとなっている。
2022年4月の、価格.comにおけるユーティリティー月間人気売れ筋ランキング
4月のUTランキングには、テーラーメイド7機種、キャロウェイ4機種、ダンロップ2機種(10位タイが4機種)が入っている。「レスキュー」という名でUTを広めたテーラーメイドのクラブが、このジャンルで人気を継続中だ。
1位はテーラーメイドの「SIM MAX・TENSEI BLUE TM60・S・25°」。SIM MAXのUTはソールの接地面積を減らし、抜けのよさを実現するVスチールソールを採用。高い寛容性で飛ばして狙える設計となっている。2020年2月発売で平均価格が19,250円と、買いやすい価格も人気の理由か。
2位は、1位の後継モデル「SIM2 MAX・TENSEI BLUE TM60・S・22°」。2021年2月発売で平均価格19,800円と、21年モデルであるが価格が下がり、人気となっている。
3位には、2022年1月発売のキャロウェイの新商品「EPIC SUPER HYBRID・純正シャフト Diamana 55 for Callaway・SR・24°」がランクインした。フルチタンのラージヘッドで、最新技術を最適に配置し、飛びとやさしさを両立させた。最大の特徴は、ヘッドサイズ。チタンボディの採用により、同じ3Hと比較すれば、APEX UTの123cm3に対して150cm3の大きさとなっている。また、チタンボディにすることで生まれる設計の自由度を生かして、内部には最大約90gのタングステンウェイトを設置。キャロウェイの根幹テクノロジーである「FLASHフェースSS21」や「JAILBREAK AI」 を採用し、飛びとやさしさを両立させている。新商品で平均価格は35,307円となっているが、メーカー希望小売価格44,550円に対して20%ほど安い。7位、9位にも同じモデルの「純正シャフト Diamana 55 for Callaway・SR・21°」、「純正シャフト Diamana 55 for Callaway・R・21°」が入ってきた。フルチタンUTの大きさとやさしさが人気となって、3機種がベスト10に入った結果となった。
2022年4月の、価格.comにおけるウェッジ月間人気売れ筋ランキング
ウェッジベスト10の内訳は、クリーブランド5機種、タイトリスト4機種、キャロウェイ1機種、ピン1機種(10位タイ2機種)で、クリーブランドとタイトリストの2大メーカーが引き続いての人気を得ている。
1位は、3月と同様クリーブランドの「RTX ZIPCORE ウェッジ ツアーサテン・NS PRO 950GH・S・ロフト48°・バンス10°」モデルである。4月も「RTX ZIPCORE」の「52°」が4位、「50°」が5位、「56°」が7位とランクインしており、安定した人気を得ていることがわかる。ネック部に軽比重のセラミックピンをインサートし、余剰重量をトゥ側へ配置することで重心位置を打点位置に近づけ、ボール初速、スピン量を安定させ、打感も向上し、思い通りのコントロールショットを可能にする。バンス10°のモデルが、アプローチのコントロールショット用に使い勝手がよく人気となっている。20年9月発売で平均価格は13,200円。
2位は、タイトリストから2020年3月に発売された「ボーケイデザイン SM8 ウェッジ ツアークローム・NS PRO 950GH neo・S・58°・8°M」モデル。「SM」はスピン・ミルドの略で、バンスだけでなく、ソール形状も6種類から選択可能。たとえば「フェースを開いて使いたい」など、ゴルファーのさまざまなショットのニーズに応えているため人気がある。3位も「ボーケイデザイン SM8 ウェッジ ツアークローム・ダイナミックゴールド S200・56°・8°M」。平均価格は新しい「SM9」の発売を受けて18,069円と値下がりしている。
10位タイには、この3月発売の「ボーケイデザイン SM9 ウェッジ ツアークローム・BV105 ・50°・8°F」モデル、「ボーケイデザイン SM9 ウェッジ ツアークローム・NS PRO 950GH neo・S・48°・10F」モデルがランクインした。「SM9」は最先端のテクノロジーとこだわりのクラフトマンシップから生み出されたウェッジ。弾道の高さを イメージ通りにコントロールし、精度の高いドロップ&ストップを実現できる。プレーヤーに自信を与えるプロファイルと豊富なグラインドバリエーションが用意される。新商品でメーカー希望小売価格が27,500円、平均価格が22,576円となっている。
2022年4月の、価格.comにおけるパター月間人気売れ筋ランキング
4月はテーラーメイド3機種、スコッティ・キャメロン2機種、オデッセイ5機種の3強がベスト10を占めた。
テーラーメイドの「TP COLLECTION HYDRO BLAST JUNO TB2」33インチ、34インチがワンツーフィニッシュ。TB2の「TB」はトラスブレードの頭文字。ブレードタイプのすっきりした見た目と、曲げ剛性に強いトラスデザインのネックを採用している。21年6月発売で平均価格は49,410円。稲見萌寧選手が使用して認知が広がり、人気となっている。8位は同じモデルの左打ち仕様で、3月に引き続き左打ちがベスト10に入ることでも、このパターの人気が続いていることがわかる。
3位はスコッティ・キャメロンの「スペシャルセレクト ニューポート 2」の34インチ仕様、7位には同モデルの33インチ仕様が入っている。平均価格は51,425円で、2020年4月発売であるが価格は下がっていない。タイガー・ウッズ使用パターの近似モデルで人気となっている。
ドライバー、FW、アイアン、UT、ウェッジの新商品が、価格が安くなっている過年度モデルに対抗して、どこまでベスト10入りするか注目だ。また、ドライバーではキャロウェイの「ROGUE ST」とテーラーメイドの「STEALTH」の上位争いの行方は、クラブの部品不足の影響があり、どこまで商品を供給できるかも影響するだろう。
しまさき ひらと。スポーツ用品メーカー、クラブ・ボールの商品開発、広報・宣伝、プロトーナメント運営等を担当。クラブ特許を20件以上出願。退職後、ゴルフライターとしてメディアで執筆活動中。また多方面からゴルフ活性化活動を推進。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。