オグさんです! 今回はコブラ「LTDx ドライバー」の3モデルを比較しながらご紹介したいと思います。
コブラ「LTDx ドライバー」の3モデル
コブラの歴史は長く、創設は1973年。若かりしタイガー・ウッズがドライバーを使用したり、オーストラリアの英雄と呼ばれるグレッグ・ノーマンが同社のクラブで活躍したりして、世界的に認知されるようになりました。その後、アクシネットに買収されるなど紆余曲折を経て、2010年からスポーツ総合メーカー、プーマのゴルフブランドとして展開しています。
現在のコブラは、「ゴルフの科学者」の異名を持つブライソン・デシャンボーや、世界的に高い人気を誇るリッキー・ファウラー、ジュニア時代から活躍するレキシー・トンプソンなど、個性豊かな選手をサポートしながら、高性能かつ、個性のあるクラブを世に送り出しています。
近年のコブラのクラブは、ミスへの寛容性を高めながら直進性を高めた、現代のニーズに忠実な作りになっています。その基本設計に独自の思想を盛り込み、ほかとはちょっと違う作りになっているのが最大の魅力です。「基本はやさしいけれど、個性もある」、それが現代のコブラのクラブだと思います。
今回の「LTDx」シリーズは、そんなコンセプトを具現化したようなクラブです。ドライバーは3モデルを用意し、どれも投影面積の大きいヘッドデザインを採用。ウェートを効果的に使うことで、モデルによって味付けをかえ、やさしさと飛距離を両立した仕様になっています。
それではモデルごとに見ていきましょう!
3モデルあるLTDxドライバーの、スタンダードポジションに位置するモデル。フェース寄りのヘッド内部に固定式ウェートを装着し、重心を浅く設計。ボール初速と低スピンを追求しつつ、ソール後方にもウェートを装着することで慣性モーメントを高め、ミスへの寛容性を高めています。バランスのよい仕上がりで最も幅広いゴルファーに対応する仕様になっており、ほかの2モデルのベースにもなっています。
ソールにもカーボン素材を使用。これは最近のドライバーのトレンドでもあり、コブラはなかなかメカメカしいデザインに仕上げてきましたね。テクノロジー感もあり、ちょっとテンションの上がる見た目です
構えた見た目は、やわらかな角を持たせた三角形のシェイプ。クラウンのほとんどをカーボンが占めており、徹底した低重心化を図っています
フェース面を15分割し、それぞれのエリアで最適な反発になるように厚さをAIが設計。高い慣性モーメントと合わせ、ミスに強い仕上がりになっています
シャフトのラインアップは、純正シャフトを日本向けに2モデル用意しています。50g台のフジクラ製「SPEEDER NX for cobra」、そして60g台のグラファイトデザイン製「TOUR AD DESIGNED for cobra」の2つ。動きが大きくつかまりがよいSPEEDRERと、しっかり振っていけるTOUR ADといった違いがあります。
アフターマーケット用のSPEEDER NXよりも、やや大きく動くSPEEDER NX for cobra
TOUR AD DESIGN for cobraは、やや手元寄りにしなるポイントがある、クセのなさが特徴です
近年のコブラのドライバーはすべからく投影面積が大きく、いわゆるデカヘッド!といった感じなのですが、今作もその流れを踏襲しています。構えたときの安心感が非常に大きく、フェースのどこに当たっても何とかしてくれそうな雰囲気を湛えています。
形状は、丸みを帯びた三角形といった感じで、きれいな顔!というわけではないのですが、とても構えやすいです。
お借りしたスペックは、純正SPEEDER NXのSフレックスで、ロフト角は9°。ヘッドスピード40m/sぐらいから、ヘッドスピードを徐々に高めながら打っていくと、中弾道でライナー性の強い弾道が飛び出します。ロフト角が立っているのもありますが、ヘッドの見た目よりも弾道が強い! 今回のモデルはフェースすぐ裏にウェートを搭載しており、やや浅重心に設計されています。その効果が弾道に表れているのでしょう。
反対に、ミスへの強さは見た目通りです。かなりヒールやトゥ寄りでヒットしても極端に曲がる弾道にはならず、飛距離のロスも少なめ。この強弾道とミスへの強さの両立には、結構驚かされました。
フェースすぐ裏のヘッド内部に搭載されている複数の素材で構成されたウェート「マルチマテリアルウェイトシステム」
ヘッドスピードを高めていくと、前に飛ぶライナー性の弾道は変わらず。正直9°は私にはオーバースペックでしたね。スピンがとても少なく、10.5°ぐらいがちょうどよいでしょう。
つかまりはニュートラルで、デカヘッドにありがちなヘッドの追従性の低さを感じることはありません。振り心地はデカヘッドっぽくなく、ミスへの強さはまさにデカヘッドといった感じ。デカヘッドの欠点をうまく消してきたな!というのが率直な感想です。
これだけ振り抜きがいいデカヘッドはそうそうないでしょう! 気持ちよく振り切れました
低スピンの強弾道が自然と打てます。いい意味で、デカヘッドっぽくない弾道です
もう少し高さが出ていれば、もっと飛んでいたと思います。非常に低スピンなので、もうちょっとヘッドスピードが欲しいところです
スタンダードのLTDxをベースに、より高弾道に、そしてつかまり性能を高めたモデルです。ヒールにウェートを追加することで重心距離を短くし、ヘッドの追従性を高めています。このウェートはソール後方のウェートと同規格なので、交換することでつかまり具合を調整することも可能です。
基本のデザインは、LTDxと共通。ヒール側に追加されたウェートと、ネームロゴに「MAX」の黄色い文字が追加されているのが相違点
ヘッド形状も基本的には LTDxと同じです。コブラはヘッドのロフト設定によってライ角を変えているので、ロフト角が多いほどつかまる仕様になっています
搭載されているテクノロジーもLTDxと同じです。形状にも差は見られません
LTDxではソール後方にひとつだけだったウェートが、MAXではヒール側にも追加されています。2つを入れ替えることで、つかまり具合いを調整することができるようになっています
ヒールのウェートの効果でヘッドが返しやすくなり、右へのミスを低減させるようになっています
試打スペックは、純正SPEEDER NXのSフレックスの10.5°モデル。LTDxと比べてロフト角が寝ているのを差し引いても、しっかりと高さが出るようになっています。右には打ち出していますが、しっかりつかまったハイドロー。それでいてスピンが増えていないのがすごい! つかまりを高めながらも、徹底した低スピン性能を見せてくれました
スタンダードのLTDxをベースに、より低スピンで強い弾道を追求したモデルです。脱着式ウェートをフェースのすぐ裏に2つ装着することで、シリーズ中最も浅重心の仕様になっています。
デザインは共通ですが、ウェートの位置がほかの2モデルとは明らかに違うため、だいぶ違って見えますね
形状はほかの2モデルと大きな差はありませんが、投影面積が若干ですが小さく見えるようになっています
最も違いが現れるのが、トゥ側から見たカット(写真下)。ヘッド後方がやや高くなっています。これは重心が浅いため、後方を低くしなくても低重心を追求できるからでしょう。後方を高くしたほうが、空力などの面で有利になります
2つの脱着式ウェートを交換することでヘッドの追従性、つまり、つかまりを調整することができます
試打クラブのスペックは、純正TOUR ADのSフレックスでロフト角は9°。私には完全なオーバースペックでした(笑)。つかまりはやや抑えてありますが、ヘッドの追従性がよく、つかまえようと思えばつかまえることはできますね。ただ、ビックリするぐらいの低スピンなので、よほどスピン過多でお悩みか、パワーに自信がある方でないと9°は厳しいと思います……
LTDxシリーズのドライバーは、大型ヘッドのデメリットをうまく軽減させた高性能モデルでした。打点のミスに強く、低スピンで強弾道という基本性能を備え、味付けの異なる3つのヘッドを用意することで、幅広いゴルファーに対応させています。
ライバルは、テーラーメイドの「ステルス」シリーズや、キャロウェイの「ローグST」シリーズでしょう。個人的な意見ですが、ステルスの強弾道とローグSTのミスへの強さを合わせたのがLTDxといった印象を受けました。
気を付けたいのが、見た目よりも球は上がらず、低く強い弾道になることですね。弾道調整機能でロフト角を増やすことはできますが、どのモデルも9°はなかなかボールが上がりませんでした。個人的に買うならLSの10.5°です。ロフト角をさらに増やして使ったら……と、想像が大きくふくらみ、欲しい1本です!
写真:野村知也
ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。