南井正弘の「毎日走って、わかった!」

爆発的推進力! 「アシックス史上最速モデルの改良版」で自己記録を更新

アシックスの最速レーシングシューズとして、トップアスリート向けランニングシューズ「METASPEED(メタスピード)」が発表されたのは、2021年3月のこと。ストライド型とピッチ型の走法それぞれに対応した「メタスピード スカイ」と「メタスピード エッジ」がラインアップされ、2022年1月2〜3日に行われた「箱根駅伝」でも、20人以上のランナーが同シリーズを着用するなど、レース界におけるアシックスの復権に大きく貢献した。

そんな高機能シリーズが、今夏モデルチェンジ。走行性能を大きくアップさせることに成功した「METASPEED SKY+(メタスピード スカイ+)」のパフォーマンスを検証した。

「メタスピード スカイ+」(品番:1013A115)。公式サイト価格は27,500円(税込)

「メタスピード スカイ+」(品番:1013A115)。公式サイト価格は27,500円(税込)

軽量フォーム「FF BLAST TURBO」を4%増量!

2021年春にリリースされた「METASPEED(メタスピード)」は、「勝ち方はひとつだけか。」というキャッチコピーを採用したように、ストライド型とピッチ型の2つの走法の違いに着目し、ランナーが日頃のトレーニングで身につけた走り方を維持しながら、パフォーマンスを向上させるように設計されていた。すなわち、ランナーがシューズの特性に合わせて極端に走り方を変えるという必要がなくなったのだ。

個人的に気に入ったのは、「メタスピード スカイ」のほう。コロナ禍の影響もあり、実際のレースでは履けなかったが、その推進力の高さはこれまでに着用したランニングシューズにおいてトップ3に入るレベルにあったと思う。それには、同社素材の中で最もすぐれた反発性能を発揮する新開発の軽量フォーム「FF BLAST TURBO(エフエフ ブラスト ターボ)」や、ミッドソールに内蔵された、足の動きを安定させ、効率よく身体を前方へと進めるカーボンプレート、そして走行時のエネルギー消費につながると言われる、足首の過度な屈曲を抑制し、少ないエネルギーで足を前方へと運べるようにするため、ソールユニット前部にカーブをつけたことなどが、大きく貢献していたと思う。

今回リリースされた「メタスピード スカイ+」の基本設計は、「メタスピード スカイ」を継承しつつ、あらゆるタイプのランナーからのフィードバックを採用することで、走行性能の向上を目指したもの。主な変更点をあげると、ミッドソールの軽量フォーム「FF BLAST TURBO」を4%増量したほか、カーボンプレートを前作よりもミッドソールの上部に配し、その形状を地面に対してよりフラットにした。後足部33mm、前足部28mmというミッドソールの厚みは変更されていない。

中足部から前足部にかけて搭載された軽量フォーム「FF BLAST TURBO」を、4%増量。衝撃吸収性と反発性を向上させるとともに、視覚的に大きなインパクトを与えるルックスに仕上がった

中足部から前足部にかけて搭載された軽量フォーム「FF BLAST TURBO」を、4%増量。衝撃吸収性と反発性を向上させるとともに、視覚的に大きなインパクトを与えるルックスに仕上がった

写真上の前モデル「メタスピード スカイ」を並べると、写真下の「メタスピード スカイ+」のミッドソール中足部から前足部にかけてのボリュームアップが際立っている

写真上の前モデル「メタスピード スカイ」を並べると、写真下の「メタスピード スカイ+」のミッドソール中足部から前足部にかけてのボリュームアップが際立っている

ミッドソールがボリュームアップされたのにもかかわらず、重量の増加は最小限に抑えられている

ミッドソールがボリュームアップされたのにもかかわらず、重量の増加は最小限に抑えられている

アッパーには、軽量なモーションラップアッパーを採用し、つま先の適度な遊びを持たせながら中足部のホールド性を追求。シューレースには、解けにくい特殊なギザギザ形状のタイプを新たに採用している。また、アウトソールにはさまざまな路面状況でも、すぐれたグリップ性を発揮する「ASICS GRIP」を採用している。

軽量なモーションラップアッパーを採用し、つま先の適度な遊びを持たせながら中足部のホールド性を追求

軽量なモーションラップアッパーを採用し、つま先の適度な遊びを持たせながら中足部のホールド性を追求

前作は伝統的なコットンのシューレースを使用していたのに対し、今作では両端がギザギザ形状のシューレースを採用。走行中にヒモが解ける心配がなくなった

前作は伝統的なコットンのシューレースを使用していたのに対し、今作では両端がギザギザ形状のシューレースを採用。走行中にヒモが解ける心配がなくなった

「ASICS GRIP」のアウトソールは、アスファルトやコンクリートといった舗装路で最高のグリップ性を発揮。人工大理石のような路面では、「キュッキュッ」と大きな音が出るほど、路面をしっかりとつかんでいたのも印象的だった

「ASICS GRIP」のアウトソールは、アスファルトやコンクリートといった舗装路で最高のグリップ性を発揮。人工大理石のような路面では、「キュッキュッ」と大きな音が出るほど、路面をしっかりとつかんでいたのも印象的だった

新モデル(写真左)は、ヒール部分の構造を変更するなど、前作(写真右)からさまざまな改良を施している

新モデル(写真左)は、ヒール部分の構造を変更するなど、前作(写真右)からさまざまな改良を施している

いい意味で豪快! アシックスとしては珍しく、優等生的な走りではない

「メタスピード スカイ+」を履いて、実際に走ってみた!

「メタスピード スカイ+」を履いて、実際に走ってみた!

新モデル「メタスピード スカイ+」は、前モデル「メタスピード スカイ」と比較すると、その外観は明らかにボリュームアップしており、特にミッドソール中足部から前足部にかけてのボリューミーな曲線は、機能美とも言うべき美しさで、とても印象的。スポーツカーのフェンダーデザインに相通じるものすら感じたほどだ。

そして、ミッドソールのボリュームを4%アップしたにも関わらず、重量は実測値で185gから189gと、たった4gしか増えていない。手に持ってみると、その外観からは想像できないレベルの軽さで、実際に足を入れると、その感覚はさらに高まる。フィット感のよさもあり、その重量の数値よりも軽く感じるのだ。

走り始めると、個人的に前作の最も特徴的な走行感である「それほど力を入れなくてもスイスイとペースアップできる」という点は継承しているが、そのレベルは段違い。着地から蹴り出しまでの推進力は、「爆発的」という形容がピッタリで、最も推進力のあるシューズにあげられるライバルブランドのいくつかのモデルに限りなく近づいた印象だ。

カーボンプレートを内蔵したことによる着地から蹴り出しまでのガイド効果も高レベルで、前作同様に無理なくペースアップでき、あっという間に4分30秒/kmほどのペースに到達したが、前作との違いをひと言で表現するなら、こちらのほうがワイルドな走り心地ということ。もちろんアシックスが開発したシューズなので、細部にまでこだわりが見られるが、いい意味で豪快な印象で、アシックスのシューズには珍しく、優等生的な走りではないと思った。

足長は若干長めで、ペースを上げたときに気になるかと思ったが、履き口から中足部にかけてのフィット感がよいので、前方にズレることもなく、許容範囲内の捨て寸で、脚力のロスを意識しなくてもよい。日課としている6kmランを、いつもより速めのペースで3度終えたが、自分のようなサブ4ランナーでも、このシューズの実力の一端を十分に垣間見られたと思う。

【まとめ】潜在能力を引き出してくれる! 実際、4年ぶりに自己記録更新!!

以上のように、「メタスピード スカイ+」は、前作の「メタスピード スカイ」をベースにしているが、走り心地は大きく変更されており、前述のようにワイルドで爆発力のあるもの。筆者の周囲でも、他ブランドから「メタスピード スカイ」へと履き替えたランナーが増えているが、その理由の多くは、すぐれた推進力とコントロールのしやすさを兼ね備えているからだ。

その視点から考えると、「メタスピード スカイ+」は、若干“じゃじゃ馬”的な面が垣間見え、個人的にはコントロールのしやすさは、前作「メタスピード スカイ」のほうが上だと思う。いっぽうで、「メタスピード スカイ+」は、自分自身の潜在能力を引き出してくれるような気がして、走っているうちに自分自身のランに新たな発見が見つけられた気がした。

しかし、ランナーの中には前モデルから走り心地が大きく変わってしまったと感じるランナーも少なくないはずで、そういった理由もあり、前モデルの「メタスピード スカイ」も現行ラインアップに残しているのではないだろうか。

今回はテストしていないが、同じく新作の「メタスピード エッジ+」も「メタスピード エッジ」から大きく走り心地が変更されており、ポジティブなフィードバックを数多く得ているというので、アシックスの「メタスピード」コレクションは、これまで以上にさまざまなタイプのランナーに、ベストなパフォーマンスを提供できるようになったと思う。

ちなみに筆者は、2022年7月3日に開催された「2022GOLD COAST MARATHON」に「メタスピード スカイ+」を履いて参加し、3時間50分51秒で完走。これまで失速しがちだった35km以降も極端にペースが落ちることがなく、実に4年ぶりに、自己記録更新に成功した。つまり、このシューズのすぐれた推進力や、着地から蹴り出しまでのグラつきのなさを、本番レースで体感できたのである。

南井正弘

南井正弘

ランニングギアの雑誌・ウェブメディア「Runners Pulse」の編集長。「Running Style」などの他媒体にも寄稿する。「楽しく走る!」をモットーにほぼ毎日走るファンランナー。フルマラソンのベストタイムは3時間52分00秒。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
SPECIAL
スポーツシューズのその他のカテゴリー
ページトップへ戻る