南井正弘の「毎日走って、わかった!」

“ルール破りの極厚ソール”が爆速を生む! ニューバランスの新ランニングシューズ

2020年、「ワールドアスレティックス(世界陸連)」の公式ロードレースでは、極厚ソールを有するシューズの高反発の恩恵をある程度制限すべく、ソールの厚さは40mm以内と規定された。しかし、このルールを超越したスペックのプロダクトは、現在も各ブランドからリリースされており、その比類なき反発弾性により、かつてないレベルのスピードを提供している。

ニューバランスから今シーズンリリースされた「FuelCell SuperComp Trainer(フューエルセル スーパーコンプ トレーナー)」もそのうちの1足。その推進力の高さを実際に体感してみた。

「FuelCell SuperComp Trainer(フューエルセル スーパーコンプ トレーナー)」の「GREEN/BLUE」(品番:MRCXLG2)。公式サイト価格は、24,200円(税込)

「FuelCell SuperComp Trainer(フューエルセル スーパーコンプ トレーナー)」の「GREEN/BLUE」(品番:MRCXLG2)。公式サイト価格は、24,200円(税込)

圧倒的な反発弾性がもたらす、かつてないスピード体験をランナーに提供!

現在発売されているほとんどのランニングシューズは、2年前に「ワールドアスレティックス(世界陸連)」が定めた40mm以内というソールの厚さを遵守しているが、一部例外がある。そのひとつが、アディダスが2021年に発表した「アディゼロ プライム X」だ。

同モデルは、「光速。規格外カーボン。アディダス独自のテクノロジーを搭載し、ルールブックにとらわれない速さを手に入れるためのコンセプトモデル」として開発された1足で、ソールの厚さは50mmほど。2021年9月12日に行われた「ウィーンシティマラソン」では、エチオピアのデララ・フリサ選手が1位でゴールしたものの、このシューズを履いていたために失格となった。これに関しては、アスリートの単なるミスというよりも、プロモーションの一環だったと考える業界関係者は多く、この1件によりシューズの認知度は飛躍的に高まった。これが示すように、「アディゼロ プライム X」はトップレベルのアスリートのために開発された1足で、アディダスは人類がどれだけ速く走れるかということを実証するための1足と位置づけていた。

いっぽうで、今回紹介するニューバランスの「フューエルセル スーパーコンプ トレーナー」は、「Runnerが求める本質“スピード”を身につけるためのルールブレーカー」として開発しており、トップアスリートだけでなく、幅広い層のランナーの「現状よりも速く走りたい!」という要望に応える1足に仕上げている。

「フューエルセル スーパーコンプ トレーナー」は、抜群の反発弾性を誇る「FuelCell」シリーズ史上最も厚い40mmルールを超えた極厚ミッドソールに、カーボンプレートを挟み込んだ 「ENERGY ARC」を搭載。

高い反発弾性を誇るミッドソール素材「フューエルセル」を、「ワールドアスレティックス(世界陸連)」が定めた40mm以内という規定を超えて採用

高い反発弾性を誇るミッドソール素材「フューエルセル」を、「ワールドアスレティックス(世界陸連)」が定めた40mm以内という規定を超えて採用

加重時にさらなるエネルギーの貯蓄をうながし、爆発的なエネルギーリターンを生む「ENERGY ARC」を内蔵

加重時にさらなるエネルギーの貯蓄をうながし、爆発的なエネルギーリターンを生む「ENERGY ARC」を内蔵

「ENERGY ARC」は、加重時にエネルギーの貯蓄をうながし、爆発的なエネルギーリターンを生み出すうえに、踏み込み時に弓形状に湾曲した新カーボンプレートがしなることで、“エネルギーを貯蓄できる遊び”が最大化される仕組みだ。また、高反発な「FuelCell」コンパウンドと、科学的なデータに基づき作られた空洞が組み合わさることで、プレートのしなりはさらに拡大されているという。

以上のように、「フューエルセル スーパーコンプ トレーナー」は、圧倒的な反発弾性がもたらす、かつてないスピード体験を、ランナーに提供してくれるのだ。

アッパーには、通気性と軽量性を考慮したレースニットを採用。伸縮性があり、足に吸い付くようなフィット感を実現している。また、剛性のある糸を加えることで、耐久性も担保

アッパーには、通気性と軽量性を考慮したレースニットを採用。伸縮性があり、足に吸い付くようなフィット感を実現している。また、剛性のある糸を加えることで、耐久性も担保

アウトソールには、軽量かつ耐摩耗性にすぐれた「ライトウェイトソリッドラバー」を靴底全体に採用。長時間のトレーニングにも対応する

アウトソールには、軽量かつ耐摩耗性にすぐれた「ライトウェイトソリッドラバー」を靴底全体に採用。長時間のトレーニングにも対応する

そのボリューミーなシルエットからすると、26.0cm(US8)で285gという重量は、決して重くない

そのボリューミーなシルエットからすると、26.0cm(US8)で285gという重量は、決して重くない

【試走レビュー】ランナーの意志でペースをコントロールしやすい点がありがたい!

「フューエルセル スーパーコンプ トレーナー」を実際に履いて走ってみた!

「フューエルセル スーパーコンプ トレーナー」を実際に履いて走ってみた!

まず、極厚ミッドソールを触ってみると、これまでのランニングシューズにはないやわらかさを感じる。やわらかい極厚ソールと言えば、ホカのシューズが真っ先に思い出されるが、「それよりもやわらかいかも!?」と思いながら硬度計で計測してみると、ホカの「ボンダイ8」のミッドソールよりも2割ほど柔軟だということが判明した。

足を入れてみると、履き口部分が狭く、一般的なランニングシューズよりも履くのに時間がかかったが、足を入れてしまえば変な窮屈感はない。また、インソールボード部分にシュータンの両端を縫い付けたガゼットタンの構造が作用し、中足部のフィット感も高レベルだ。

先述のミッドソールのやわらかさから、安定性に不安がよぎったが、立った状態でグラつくことはなかった。

実際に走り始めてみると、フワフワした感覚はあるものの、それは決してネガティブな印象ではなく、「楽しく走れそう!」と思えるもの。つまり、走っている状態でも安定性から不安を感じなかった。

そして、このシューズの大きな特徴と言えそうなのが、楽にペースアップできることだ。26cm(US8)で実測値285gと、そのボリューミーなシルエットからすると決して重くないものの、昨今の厚底レーシングと比較すると、軽量とは言い難い重量ながら、軽快にペースを上げられた。自分のような「サブ4」レベルのランナーでも、4分30秒/kmほどのペースでしばらくの間巡行できた。一部の厚底レーシングシューズでは、速く走らされている感覚を覚えることもあるが、この「フューエルセル スーパーコンプ トレーナー」では、ランナーの意志でペースをコントロールしやすい点がありがたかった。さらに、極厚ソールが着地衝撃を的確に吸収してくれており、脚部への負担は最小限。翌日の疲労感が少なかったのもうれしいポイントだ。

【まとめ】フルマラソンのレースでも履いてみようと思うほど気に入った!

以上のように、ニューバランスの「フューエルセル スーパーコンプ トレーナー」は、ニューバランスの最新技術を結集することで、バランスの取れたランニングシューズに仕上がっていた。

上級ランナーのトレーニングシューズとして最適な1足だと思うが、中級ランナーでも十分に履きこなせる点がありがたいし、その点がアディダス「アディゼロ プライムX」との大きな違いだ。また、メーカー希望小売価格も、「フューエルセル スーパーコンプ トレーナー」のほうが12,100円安い。

初見では、そのルックスは奇抜に見えたが、最近ではひんぱんに履く1足となり、日々のランニング時はもちろんのこと、フルマラソンのレースでも履いてみようと思うほど気に入っている。

なお、筆者は足囲「D」のモデルで問題なかったが、2色展開されるうちの「グリーン」のほうは「D(やや細め)」以外に「2E(日本における標準)」も用意されている点は、日本市場で歓迎されるはずだ。

ひとつ気をつけたいのが、先述のとおり、ソールの厚さが「ワールドアスレティックス(世界陸連)」が定めた40mmを超えているので、一般ランナーは問題ないが、陸連登録のランナーは公式レースでは着用できないこと。もちろん練習時であれば、履くぶんにはまったく問題ないので、エリートランナーもその恩恵を享受できるだろう。

南井正弘

南井正弘

ランニングギアの雑誌・ウェブメディア「Runners Pulse」の編集長。「Running Style」などの他媒体にも寄稿する。「楽しく走る!」をモットーにほぼ毎日走るファンランナー。フルマラソンのベストタイムは3時間52分00秒。

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