ファミリーキャンプの調理器具と言えば「2バーナー」が一般的ですが、キャンプ場に持っていったものの、意外と2口同時に使っていない人も多いのではないでしょうか。
たとえば、夕食がBBQだった場合。バーナーではスープを作ったり、食後のコーヒーを淹れるためにお湯を沸かしたりする程度なので、ひと口で十分だったりします。だからといって、登山などでよく使われるような小型のシングルバーナーでいいかというと、ゴトクが小さいため、スープを作るにしても、家族分を1度に作れる大きな鍋を扱うのは不向き。そこで、ファミリーキャンプのニュースタンダードとして「大型シングルバーナー」を提案します!
大型シングルバーナーは、小型のシングルバーナーと同じくひと口ですが、ゴトクが大きいため、大きな鍋を安定した状態で載せられます。また、重めの鍋に対応する耐荷重を備えているモデルも多いので、卓上で鍋料理を楽しむことも可能(耐荷重の高さによってはダッチオーブンに対応するモデルもあり)。そして、当然ながら、口の数が少ないので2バーナーよりもコンパクトで、持ち運びや収納においてかさばらないのがメリットです。
オーソドックスなCB缶仕様の2バーナー(写真左)と、同じくCB缶を使用するカセットコンロタイプの大型シングルバーナー(写真右)。右のタイプは、大型シングルバーナーの中でも比較的サイズが大きいタイプですが、それでも2バーナーよりコンパクトです
収納時のサイズも、大型シングルバーナーはコンパクト。これなら、ラゲッジが狭い自動車にも問題なく積めるでしょう
前述のカセットコンロタイプより小さい大型シングルバーナー(写真右)と、登山などでよく使われる小型シングルバーナー(写真左)を比べてみると、小型シングルバーナーのほうが圧倒的にコンパクト
当然、本体サイズとゴトクの大きさは比例します
ゴトクの大きさは、大きめのクッカーを載せたときにその利便性がわかります。試しに、小型シングルバーナーに直径20cmのスキレットを載せてみました。載せることはできましたが、調理するには不安なバランスです
いっぽう、直径20cmのスキレットを大型シングルバーナーに載せてみると、安定感が違います。これなら安心して調理できますね
前出の2種類の大型シングルバーナーを見てお気づきかもしれませんが、ひと口に大型シングルバーナーと言っても、形状や機能などでいくつかのタイプに分けられます。そのひとつが、燃料の種類による違い。アウトドア用ガスカートリッジを使う「OD缶仕様」とカセットボンベを使う「CB缶仕様」が主流です。そして、その燃料を接続する方法も、燃料に直接バーナーを接続する「一体型」と、バーナーと燃料をホースで接続する「分離型」があり、さらに形状や収納機能によっては「カセットコンロ型」や「スリム収納型」と称されるモデルも。また、重さのある鍋などを載せられるモデルは「高耐荷重型」と呼ばれます。
OD缶仕様のモデル。CB缶より高火力なため、気温が低くても火力が安定します。写真は、キャプテンスタッグ「大型五徳ガスバーナーコンロ(収納バッグ付)」
CB缶は、OD缶に比べると燃料が安く、コスパがいいのが魅力。写真のイワタニ「カセットフー マーベラス」のように、屋内でも使えるタイプを選ぶとキャンプ以外でも使えて便利でしょう
OD缶仕様のキャプテンスタッグ「大型五徳ガスバーナーコンロ(収納バッグ付)」は、燃料の接続方法は一体型です。本体の真下に燃料を配置するため、意外と省スペース。いっぽう、分離型はホースの先端に燃料を接続するので、テーブルで鍋料理を楽しむ際に、ホースや燃料部分がじゃまになる場合もあります
半面、分離型はゴトクの位置が低いため、大きめの鍋を載せた際の安定性が高いのがメリット。分離型のSOTO「レギュレーターストーブ FUSION」(写真左)のゴトクの高さは9cm(実測値)なのに対し、一体型のキャプテンスタッグ「大型五徳ガスバーナーコンロ(収納バッグ付)」(写真右)は23.2cm(実測値)でした
カセットコンロ型の使用感はそのままに、コンパクトに収納できる機構を採用したのがスリム収納型。写真のFORE WINDS「フォールディングキャンプストーブ」は、カセットコンロのような大きなゴトクを備えながら、収納すると1.5Lのペットボトルサイズまで小さくなります
分離型で紹介したSOTO「レギュレーターストーブ FUSION」は、ダッチオーブンが載せられるほどの耐荷重(数値は非公表)を備えています
最近、ソロキャンパーやペアキャンパーのあいだでも注目されているCB缶仕様のカセットコンロ型を中心に、カセットコンロ型ながらコンパクトに収納できるスリム収納型、気温が低い場所でも安定した火力が得られるOD缶仕様、そして、ゴトクが低く卓上調理がしやすい分離型の注目製品を厳選しました。
●イワタニ「カセットフー タフまる」
バーナーをぐるりと囲むように配置された円形の「内風防」と、その外側に4面装備された「外風防」が、炎に影響をおよぼす風をブロックする「ダブル風防ユニット」を搭載。しっかりと風を防ぎながら燃焼に必要な空気はきちんと通る設計を採用しているため、安定した燃焼が期待できます。また、耐荷重が20kgなので、ダッチオーブン(鍋底の直径24pまで)での調理も可能。
使用サイズは約341(幅)×283(奥行)×129(高さ)mmで、付属のキャリングケースに入れた収納サイズは約376(幅)×341(奥行)×136(高さ)mm。重量は約2.4kgです
最大火力は約2,800kcal/h。定番カラーのブラックのほか、オリーブも追加されました
●イワタニ「カセットフー タフまるJr.」
前述の「カセットフー タフまる」を約60%のサイズに小型化したモデルで、本製品にも「ダブル風防ユニット」を搭載。耐荷重は10kgですが、ダッチオーブン(鍋底直径20pまでのモデル)を載せられます。本体に収まるサイズの「イワタニカセットガスジュニア」と、一般的なサイズの「イワタニカセットガス」の両方を使用できるのもポイント。
使用サイズは約286(幅)×193(奥行)×122(高さ)mmで、付属のキャリングケースに入れた収納サイズは約320(幅)×252(奥行)×135(高さ)mmです。重量は約1.6kg
最大火力は約2,000kcal/h。オリーブとブラックの2色を用意しています
●FORE WINDS「ラックスキャンプストーブ」
風防になるトップカバーと風防リング、282個の炎口を採用したバーナーヘッドにより、風に強いのが特徴。トップカバーは取り外せるので、家でも普通のカセットコンロと同じように使えます。カラーは、ブラックとシルバーの2色展開。
使用サイズは約380(幅)×329(奥行)×324(高さ)mmで、収納サイズは約380(幅)×329(奥行)×110(高さ)mm。重量は約2.8kg。最大火力は約3,000kcal/hです
●Sengoku Aladdin「ポータブル ガス カセットコンロ kama-do」
かまどをイメージしたデザインに、レッド、イエロー、クリーン、サンドベージュ(公式ダイレクトショップ限定色)というポップなカラーバリエーションを用意した、遊び心が刺激されるモデルです。かわいい見た目に惹かれますが、耐荷重は20kgとタフな設計。風よけになるトップカバーとバーナーを本体に潜り込ませる構造で、アウトドアでの風の影響をしっかりガードします。
使用サイズは約300(幅)×412(奥行)×350(高さ)mmで、収納サイズは約300(幅)×314(奥行)×166(高さ)mm。重量は約3.3kg。最大火力は約2,500kcal/hです
●FORE WINDS「フォールディングキャンプストーブ」
最大の特徴は、直径24cmまでの鍋を載せられるゴトクを備えながら、1.5Lのペットボトルサイズに折りたためる機構を採用したこと。折りたたみや組み立ての方法は簡単なので、使うのがわずらわしくなることもないでしょう。また、重量は約1.6kgと軽く、ハンドルも付いているのでラクに持ち運べます。カラーは、ブラックとシルバーの2色展開。
使用サイズは約317(幅)×288(奥行)×120(高さ)mmで、収納サイズは約111(幅)×285(奥行)×114(高さ)mm。重量は約1.6kg。最大火力は約1,900kcal/hです
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●コールマン「シングルガスストーブ120A」
折りたたみ式の脚を備え、高さを23cmと15cmの2段階で調節可能。脚を折りたたんだロースタイルでは230g缶しか使えませんが、ハイスタイル時は230g缶と470g缶の両方を使用できます。耐荷重は約10kgで、直径20cmまでのダッチオーブンにも対応。一般的なフライパンや鍋は直径27cmまで使えます。カラーは、レッドのみ。
使用サイズは約370(幅)×230(奥行)×230/150(高さ)mmで、収納サイズは約315(幅)×125(奥行)×250(高さ)mm。重量は約2.9kg。最大火力は約2,150kcal/hです
●キャプテンスタッグ「大型五徳ガスバーナーコンロ(収納バッグ付)」
大きな鍋も載せられる大型ゴトクを装備しながら、シンプルなデザインなので非常にコンパクトに収納できます。重量が940gと軽いので携帯性もバツグン。最大火力が3,000kcal/hとパワフルで、ガスボンベに装着することで気温が低くても安定した火力が得られるようにする「イグニス パワーインクリーザー(M-8797)」(メーカー希望小売価格3,850円/税込)もオプションで用意されています。
使用サイズは約380(幅)×207(奥行)×232(高さ)mmで、収納サイズは約240(幅)×207(奥行)×85(高さ)mm。重量は約940kgです
●ユニフレーム「テーブルトップバーナーUS-DU」
耐荷重15kgの安定感がある大型ゴトクを装備しており、ダッチオーブンでの調理も可能。汁受けも大型なので、調理中に吹きこぼれてもテーブルが汚れにくく、さらに、輻射熱からテーブルも守ってくれます。
使用サイズは約200(幅)×200(奥行)×90(高さ)mm(ホースの長さは約350mm)で、重量は約880kg。最大火力は約3,900kcal/hです
●SOTO「レギュレーターストーブ FUSION」
ガスの出力を一定に保つシステム「マイクロレギュレーター」を搭載し、連続使用時や低温時でも安定した火力を実現。すり鉢状のバーナーヘッドと約300個の炎口を採用しているので、耐風性もバツグンです。また、軽量・コンパクトながら、ダッチオーブンを載せられる耐荷重も確保。
使用サイズは約350(幅)×120(奥行)×90(高さ)mmで、収納サイズは約150(幅)×75(奥行)×90(高さ)mm。重量は約250g。最大火力は約2,200kcal/hです
アウトドア雑誌の副編集長職を経てフリーランスとして独立。以降、アウトドアをはじめ、グッズ、クルマ、旅行などレジャー関連を中心に執筆している。