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“本格派”のためのやさしいクラブ! タイトリスト「TSR2 ドライバー」試打

オグさんです。今回は、アスリートゴルファー注目のタイトリスト「TSR」シリーズから、「TSR2 ドライバー」の試打レポートをお届けいたします。

タイトリスト「TSR2 ドライバー」

タイトリスト「TSR2 ドライバー」

スピードと許容性のさらなる向上を目指して

TSRシリーズは、タイトリストがウッド類に使う新ブランド。前作に当たる「TSi」シリーズのよさを引き続きながら、新たなるテクノロジーを上乗せして開発されています。前作「TSi」は、タイトリストのテクノロジーを駆使して「スピード」を追求するというニュアンスの「TS(タイトリスト スピード)」の頭文字に、「innovation(イノベーション/革新)」や「inertia(イナーシャ/慣性)」などの頭文字「i」を組み合わせたものでした。今作は同じ「TS」に、「Refined(リファインド/洗練)」や「Repeatble Speed(リピータブル スピード/スピード再現性)」などの頭文字「R「を組み合わせ、「TSR」とネーミングされました。

タイトリストのクラブ作りには、一貫した思想があります。それは「スコアアップへ導くために最高の製品を開発する」こと。そのため、ツアープロに評価され、使用される製品を目指して開発されています。ゴルファーの最高峰であるツアープロの多くが使用すれば、最高の製品であると評価されたと考えているからです。事実、前作のTSiシリーズのドライバーは、PGAツアー使用率No.1を獲得しており、タイトリストの考える最高の製品に仕上がっていました。

TSRシリーズは、完成度の高いTSiシリーズの性能を受け継ぎつつ、航空宇宙産業で採用される希少なチタン素材をフェースに採用。モデルごとに専用設計された「VFT」と呼ばれるフェース構造など、さらなるスピードアップと許容性を高めながら、プレイヤーのスイングタイプに合わせて各モデルの完成度を追求しています。

TSRシリーズのドライバーには、「TSR2」「TSR3」「TSR4」の3種類のヘッドが用意されており、それぞれが個性ある仕上がりです。今回はそのひとつ、「TSR2ドライバー」を詳しく見ていきましょう。

プロトタイプと見まがうような、シンプルなソールデザイン。機能美を感じさせます

プロトタイプと見まがうような、シンプルなソールデザイン。機能美を感じさせます

<カタログ記載のスペック>
●ヘッド体積:460cc
●クラブ長:45インチ
●クラブ重量:303g(TSP111 50・SR)/305g(TSP111 50・S)/312g(TSP310 60・S)

「TSR2ドライバー」は、ボールスピードと安定性を優先したモデル。エアロダイナミクスの向上により、飛距離と許容性を両立させています。

ヘッドサイズは、ルール最大の460cc。ミスへの許容性を確保するためには、飛距離との両立を考えても、ヘッドが大きいほうが都合がよいのだと思います。アスリート向けモデルらしく、クラブ長は短めの設定。重さは、最も軽い純正シャフトでも300gを超えています。スコアアップにつなげるためのクラブとして考えると、一般男性のパワーならこれくらいのスペックが適正という考えなのでしょう。

前作の「TSi2 ドライバー」と比較すると、トゥ側のボリュームがややアップ。奥行きは広めで、極端ではないですが、いわゆる“洋ナシ型”風な形状に変化しました。トゥ側にボリュームを持たせる形状は、同シリーズの「TSR3ドライバー」などにも見られ、他社のアスリートモデルにも多く存在することから、PGAツアーでは好まれる形なのでしょう

前作の「TSi2 ドライバー」と比較すると、トゥ側のボリュームがややアップ。奥行きは広めで、極端ではないですが、いわゆる“洋ナシ型”風な形状に変化しました。トゥ側にボリュームを持たせる形状は、同シリーズの「TSR3 ドライバー」などにも見られ、他社のアスリートモデルにも多く存在することから、PGAツアーでは好まれる形なのでしょう

こちらが前作の「TSi2 ドライバー」の顔。上の「TSR2」と見比べてみてください。ヘッドのボリュームが、ヒール側からトゥ側に移動したのがわかります

こちらが前作の「TSi2 ドライバー」の顔。上の「TSR2」と見比べてみてください。ヘッドのボリュームが、ヒール側からトゥ側に移動したのがわかります

フェースには、航空宇宙産業で使用される希少なチタンを採用。「マルチプラトーVFTフェースデザイン」なる特性に合わせた構造を採用し、飛距離と許容性の両立を図っています。さらにはエアロダイナミクスを見直し、空気抵抗を軽減する工夫も見られます

フェースには、航空宇宙産業で使用される希少なチタンを採用。「マルチプラトーVFTフェースデザイン」なる特性に合わせた構造を採用し、飛距離と許容性の両立を図っています。さらにはエアロダイナミクスを見直し、空気抵抗を軽減する工夫も見られます

シャフトは、純正モデルで2種を用意。さらに、カスタムモデルを別途用意しています。純正モデルのひとつ「TSP111 50カーボンシャフト」は、50g台で中間から先端寄りにキックポイントを設定。しなりを感じやすく、穏やかな挙動を持つモデルです。もうひとつの「TSP310 60 カーボンシャフト」は、60g台でややしっかりした振り味を持つ、中調子のモデル。

パワーにあまり自信がないなら「TSP111」、ある程度振れるのであれば「TSP310」がおすすめです。カスタムシャフトは、自身のスイング特性が明確にわかっているなら積極的に選んでいきたいのですが、あまりピンと来ていないなら、タイトリストの行っているフィッティングを受けて選んでもらうのがベターだと思います。

純正シャフトながら、カスタムモデル並みのしっかりした振り心地を持つ「TSP310」。極端な挙動を持たないので、試打できるならまずこれを打ってからほかのシャフトを吟味するのがよいでしょう

純正シャフトながら、カスタムモデル並みのしっかりした振り心地を持つ「TSP310」。極端な挙動を持たないので、試打できるならまずこれを打ってからほかのシャフトを吟味するのがよいでしょう

“逆球”が出にくいアスリート仕様

構えた第一印象は、かなりヘッド形状が変わったな……というものでした。前作はわりとヒール側にボリュームがあり、「TSi3ドライバー」と明確に差別化されていたのですが、今作は、投影面積や全体のシェイプは異なりますが、どちらも洋ナシ型になりました。ヘッドの座りやフェースアングルなどの見た目は、さすがタイトリストといったところ。上級者が嫌う左への弾道のイメージが出ず、安心してたたいていける形状です。

お借りしたスペックは「TSP310」 Sフレックス装着モデルの9.0°。いつものようにヘッドスピードを40m/s程度に抑えて試打を開始しました。1発打って感じたのは、打感の変化。前作に比べてややソリッドな感触となり、はじき感がアップしています。個人的には前作のソフトな感触が好きでしたが、これはこれで爽快感があって気持ちよいですね。はじき感のある打感から、より曲がらなさそうな印象を受けます。

実際の弾道はと言うと、ライナー性の低スピンで前に飛ぶ感じ。ボールの高さはロフト9.0°ということもあり、これくらいのヘッドスピードでは、ややドロップ気味でした。もう少しロフトを付けると一気に安定性が増すでしょう。

ボールのつかまりは、やや抑え気味ですが、ほぼニュートラル。スライス系のスイングをすればちゃんとスライス、フック系のスイングをすればフックになる素直さがよいですね。持ち球と反対に曲がる“逆球”を嫌うアスリートには使いやすい特性です。

シビアなコンディションからスコアを追求していくゴルファーにとって、やさしいドライバーを具現化したような「TSR2 ドライバー」。スイングに呼応した弾道を、適度に補正をかけながら打たせてくれます

シビアなコンディションからスコアを追求していくゴルファーにとって、やさしいドライバーを具現化したような「TSR2 ドライバー」。スイングに呼応した弾道を、適度に補正をかけながら打たせてくれます

操作性は“気持ち”程度

ヘッドスピードを高めていくと、それに応じて飛距離が伸びていきます。球質はライナー性の中弾道がほぼ一貫します。最終的に43m/s程度まで高めても、弾道の高さが変わることはありませんでした。ヘッドスピードが45m/s以上ある人は9.0°でよいと思いますが、それ以下の人やボールが上がりにくい人は、10°、11°、もしくは弾道調整機能を使ってロフトを増やすと、より効率のよい弾道になるでしょう。

操作性に関しては、それをあまり重要視していないモデルでもあることから、気持ち曲がる程度です。ドローやフェードの持ち球には反応してくれますが、インテンショナルに打とうとするならかなり大げさにアクションしないとボールは曲がってくれない印象です。

ウェイト位置が、ソールからヘッド後方に変更されました。エアロダイナミクスの向上と、より適正な重心位置を追求するための処置でしょう。前作と比較して、スイング中での大きな変化は感じませんが、打点のミスにより強くなったのは、こういった変更の積み重ねによる効果だと思います

ウェイト位置が、ソールからヘッド後方に変更されました。エアロダイナミクスの向上と、より適正な重心位置を追求するための処置でしょう。前作と比較して、スイング中での大きな変化は感じませんが、打点のミスにより強くなったのは、こういった変更の積み重ねによる効果だと思います

軽いドロー系のよい弾道。ややトゥ側でヒットしたデータですが、スピンも増えすぎず、距離もよく出ています。中上級者で、ティーショットの安定感を出したい人にピッタリの性能を持っていますね

軽いドロー系のよい弾道。ややトゥ側でヒットしたデータですが、スピンも増えすぎず、距離もよく出ています。中上級者で、ティーショットの安定感を出したい人にピッタリの性能を持っていますね

「TSi2」からの正常進化を遂げた

「TSR2 ドライバー」はまさに、アスリートや上級者のために作られたやさしいモデルと言える仕上がりでした。打点のズレによる飛距離ロスやサイドスピンを軽減し、安定した弾道を打たせてくれます。そして、必要以上の補正能力を持たず、逆球になりづらい。プロや上級者が求める性能をしっかりと備えたモデルです。前作との最大の違いは、ヘッド形状。「2」の付く製品のコンセプトは変わっていないので、正常進化と言ってよいでしょう。

ライバルモデルは、テーラーメイド「ステルス」やキャロウェイ「ローグST LS」といったところ。ヘッド性能を生かすには、ボールをつかまえる技術とミート率がある程度欲しいところですが、TSRシリーズのなかでは最もミスに強いので、シャフトをしっかり合わせれば中級者にも十分使えるヘッドですよ。

写真:野村知也

小倉勇人

小倉勇人

ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。

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