オグさんです。今回は、スリクソン「ZX5 MkII アイアン」の試打レポートをお届けします。
スリクソン「ZX5 MkII アイアン」
「ZX MkII」シリーズは、松山英樹選手が2021年、マスターズを制したときに使用していた「ZX」の新シリーズ。快挙を成し遂げたブランドのイメージを色濃く残しつつ、さらに進化を遂げて登場しました。
「ZX MkII」シリーズのアイアンラインアップは、3モデル。「4」「5」「7」と、それぞれ数字でネーミングされています。そのなかで、今回は「5」をチェックしていきます!
ポケットキャビティ構造にバッヂを装着したヘッド。色を使わないシンプルな仕上げのデザインは、アスリート然としていてカッコイイ!
ヘッド素材
ボディ:軟鉄 S20C(鍛造製法)
フェース:クロムバナジウム鋼(CNC加工)
ロフト:#5 24°/#6 27°/#7 31°/#8 35°/#9 39°/PW 44°
「ZX5 MkII アイアン」は軟鉄鍛造、いわゆるフォージドボディを採用。そこにクロムバナジウム鋼を使ったフェースを組み合わせることで、フィーリング面とボール初速、そしてミスへの寛容性をバランスよく備えています。ロフト設定は7番で31°と、アスリートモデルとしてはやや立った設定。
シャフトラインアップは3種類。60g台のカーボン「Diamana ZX-II for Iron」、90g台前半のスチール「N.S. PRO 950GH neo DST」、そして90g台後半のスチール「N.S. PRO MODUS3 TOUR105 DST」。2種類のスチールは、市販モデルをベースに独自のチューニングが施されており、市販モデルとは若干異なります。できるだけクラブに助けてもらい、プレーを楽しみたいという人にはカーボンがおすすめです。ある程度振りたいけれど、適度なやさしさを求めるなら「950GH neo」、自身でしっかりと振っていきたいなら「TOUR105」がよいでしょう。
「N.S. PRO MODUS3 TOUR105 DST」。アスリートモデルとしては軽量ながら、高い剛性で強振にも耐える特性の「TOUR105」に、独自のチューニングが施されたシャフトです
ZX5 MkII アイアン・#5
ZX5 MkII アイアン・#7
ZX5 MkII アイアン・#9
ヒール側が低く三角形に近いフェース形状は、スリクソンのアスリート向けアイアンに共通する特徴のひとつ。グースの具合は長い番手から短い番手までほぼ変わらず、構えたときにどの番手も近い見た目になるように設計されています
フェースにはクロムバナジウム鋼を採用。フェース裏の上下及びトゥ側に彫られた「スピードグルーブ」と呼ばれる溝や、中央部分のヒール側を薄く、そしてトゥ側に行くにつれて厚くした偏肉設計によって、高い反発性能を実現しています
トゥ側から見ると、アスリートモデルでありながら深い重心位置に設計されていることがわかりますね
ヒールとトゥを落とし、全体をV字型にした独特のソール形状。ヌケの性能とバンスの効果を両立させるためなのでしょう
構えた感想は、ひと目でわかるスリクソン顔!といったところ。ヒール側の高さが抑えられた独特の形状で、ボールを包み込むような印象を与えてくれます。サイズは標準的で、安心感がありますね。それでいてヒール側がスマートなので、シャープさも感じさせてくれます。
お借りしたスペックは、「MODUS3 105 DST」のSフレックス。ドライバーでのヘッドスピード40m/sぐらいをイメージして試打してみると、7番アイアンらしい高さで飛び出し、直進性の高い弾道がオートマチックに打てます。アスリート然とした顔ですが、打点のミスにもかなり強く、サイドスピンも増えづらい。打感については、フェース素材のはじき感は感じますが、比較的ソフトに仕上げられています。さすがに軟鉄フェースと同等とはいきませんが、十分気持ちよい仕上がりです。
すっきりしたイケメン顔なのに、直進性が高く打点のミスにも強い。よいギャップを持ったアイアンです
ヘッドスピードを高めていくと、ボールの打ち出し角が上がりますが、それ以外は変わらず。直進性の高い弾道を自然と打てますが、インテンショナルに曲げようとしても、あまり受け付けてくれませんね。
飛距離に関しては、アスリートモデルのなかでは、かなり飛ぶほうです。高さを出しやすくスピンが少なめなので、距離につながりやすいのでしょう。気になるグリーンでの止まり具合ですが、高さが出る分降下角度も稼げるため、よほどシビアなコンディションでない限り、止められると思います。
形状と打感はアスリートモデルで、直進性とミスへの強さはアベレージモデル並み。アベレージゴルファーには最強?の性能を持ったクラブかもしれません
高い打ち出し角にやや少なめのスピン。普段なら1番手分は飛距離が落ちそうな当たりでしたが、距離はほとんど落ちず、曲がりもかなり少なかったですね
「ZX5 MkII」アイアンは、見た目に似合わないやさしさを持ったモデルでした。こういったモデルをアイアンの理想と考えているゴルファーは多いと思います。見た目がカッコよく、打つとやさしい。安定感を求めつつ、顔や打感にも妥協できないというなら、絶対に候補に入れるべきアイアンですね。
ライバルとなるモデルは、ミズノ「Mizuno Pro225」、ブリヂストン「222CB+」、キャロウェイ「Xフォージド スター」あたりでしょう。こう見ると、見た目と性能が一致しないモデルが増えてきましたね。ゴルフクラブは、ヘッドが目に入っている状態から、自身で始動するスポーツ。ヘッドの形状は、プレイヤーが思った以上に結果に影響します。自身が見ていてポジティブになれるヘッド形状で、なおかつ求める性能を持っているモデルであれば、よりよい結果へと導いてくれるでしょう。
写真:野村知也
ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。