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打ち損じても大ケガしない! ピン「G430」のFW 2モデルを比較テスト

オグさんです! 今回は、ピン「G430」のフェアウェイウッド(以下、FW)2モデルの試打レポートをお届けします。

「G430 MAX フェアウェイウッド」(左)と、「G430 SFT フェアウェイウッド」(右)

「G430 MAX フェアウェイウッド」(左)と、「G430 SFT フェアウェイウッド」(右)

「G430」のFWは2モデル

「G430」は、ピンのメインブランド。ドライバーからFW、ハイブリッド、アイアンと、フルラインアップで展開しています。ピンの「G」が付くブランドは2004年に登場以来、慣性モーメントを高めたミスに強いクラブとしてモデルチェンジを重ねてきました。最新の「G430」は12代目に当たり、今やミスに強いクラブの代名詞と言っても過言ではないほど、多くのアマチュアに認知され、高い人気を誇っています。

そんな「G430」のFWは、歴代の「G」の流れを汲んだ、ミスへの強さが特徴。深低重心設計で、打点のミスに強く、ボールが上がりやすい仕様です。「G430」のFWには、スタンダードの「G430 MAX」と、つかまり性能を高めた「G430 SFT」の2モデルが用意されており、ともにドライバーのラインアップに合わせた設定です。

ちなみに、前作「G425」では「G425 LST FW」が用意されており、FWもドライバー同様3モデルの展開でしたが、今作では消滅しています。個人的な考察ですが、今作のスタンダードポジションである「MAX」の性能により、前作の「LST FW」の性能をカバーできると判断したのだと思います。「LST」とは、「ロースピンテクノロジー」の略で、スピンを抑え、より強い弾道を打ちやすくしたモデル。低スピン性能に特化したモデルがなくなったということは、「G430 MAX FW」がそれだけ進化したということなのでしょう。

それでは1モデルずつ見ていきましょう!

「G430 MAX フェアウェイウッド」

カーボンクラウンを使い、深低重心設計で打点のミスに強く、高い打ち出し角を実現した安定感のあるモデル。新技術「スピンシステンシーテクノロジー」を搭載し、余分なスピンを抑え、やさしさと安定した飛距離を両立させたFWです。

黒を基調に、ピンが「ライム」と呼ぶ黄色をアクセントにしたカラーリング。ソール後方に搭載されたウェイトが、深く低い重心位置をアピールしています

黒を基調に、ピンが「ライム」と呼ぶ黄色をアクセントにしたカラーリング。ソール後方に搭載されたウェイトが、深く低い重心位置をアピールしています

ヘッドシェイプは、トゥ側後方にボリュームを持たせたいわゆる洋ナシ型。輪郭に沿った装飾はドライバーにも採用されており、ヘッドをシャープに見せる効果があります。カーボンの模様もデザインとして取り入れ、精悍な仕上がりです

ヘッドシェイプは、トゥ側後方にボリュームを持たせたいわゆる洋ナシ型。輪郭に沿った装飾はドライバーにも採用されており、ヘッドをシャープに見せる効果があります。カーボンの模様もデザインとして取り入れ、精悍な仕上がりです

フェース、ボディともに薄く仕上げられており、いかにもボールが上がりそうですね。フェースはボディに回り込むようにU字型に溶接され、反発エリアが広くなる「フェースラップテクノロジー」を採用しています

フェース、ボディともに薄く仕上げられており、いかにもボールが上がりそうですね。フェースはボディに回り込むようにU字型に溶接され、反発エリアが広くなる「フェースラップテクノロジー」を採用しています

純正シャフトだけで3種類

シャフトは、純正だけで3モデル、カスタムも加えれば膨大な種類が用意されており、さすがフィッティングに力を入れているメーカーだけあるな!といったラインアップです。純正の3モデルはしっかり作り込まれており、それぞれが個性ある仕上がりです。

最もスタンダードなモデルが、「ALTA J CB BLACK」。クセがなくつかまりのよい特性ですが、フレックスによって重量やキックポイントを変えており、やわらかいモデルほど軽くつかまりやすくなっています。

「PING TOUR 2.0 CHROME」は、やや張りのあるしっかりした特性のシャフト。こちらもフレックスによって重さを変えてありますが、51gから60gの軽めと62gから67gの重め、2つの重量帯が用意されています。

「PING TOUR 2.0 BLACK」は、アスリートの使用を意識したつかまりを抑えたシャフト。フレックスはSとX、しっかりしたフレックスだけをラインアップしています。こちらも2つの重量帯が用意されています。

パワーにそれほど自信がなく、クラブのやさしさを生かしたいなら「ALTA」、ヘッドのやさしさを生かしつつ、パワーで振り回していきたい方は「CHROME」、左のミスを抑え、なおかつたたいていきたいなら「BLACK」がおすすめです。

純正シャフトのなかで、最も軽量かつつかまりのよい「ALTA J CB BLACK」

純正シャフトのなかで、最も軽量かつつかまりのよい「ALTA J CB BLACK」

シャキッとした振り味で、ミートしやすく強振しても応えてくれる「PING TOUR 2.0 CHROME」

シャキッとした振り味で、ミートしやすく強振しても応えてくれる「PING TOUR 2.0 CHROME」

粘りのある挙動でつかまりを抑えた「PING TOUR 2.0 BLACK」。普通のカスタムシャフトとしても評価されそうな性能です

粘りのある挙動でつかまりを抑えた「PING TOUR 2.0 BLACK」。普通のカスタムシャフトとしても評価されそうな性能です

飛ばすより、“狙う”ためのFW

構えた印象は、曲がらなそうだな〜といった感じ。ヘッドの奥行きに対してフェース長が長く、直進性が高そうな印象を受けます。ヘッド自体はそれほど大きくはないのですが、安心感はあります。

試打したスペックは「ALTA J CB BLACK」のフレックスS、ヘッドは3番15°です。ドライバーでのヘッドスピード40m/sぐらいをイメージして打ってみると、しっかりと高さが出て、適度なスピンをともなった球が飛んでいきます。少々芯を外しても高さが出るのは、さすがピンの「G」!といったところ。安定感のあるショットが期待できますね。

私が特に感じたのは、打感のよさ。前作よりもソフトになった印象で、フェースにのっている感触がより長く感じられるようになりました。ヘッドの操作感は、元々サイズが小さいこともあって十分コントロールはできるのですが、ボールが思ったより曲がりません。直進性の高いボールが打てる仕様です。

ヘッドスピードを高めると、弾道高さ・スピン量はそのままに、ボール初速が高まっていきます。ヘッドスピード43m/sまでなら、「ALTA」シャフトで十分強い球が打てますね。もう少しヘッドスピードを上げるとスピン量が増えそうなので、そういった人はもう少ししっかりした「PING TOUR CHROME」や「同BLACK」にしたほうが飛距離ロスは少ないでしょう。

全体の仕上がりとして、飛ばすモデルというより、ミスへの強さと直進性で“狙う”ためのFW!といった印象を受けました。

多少ミスヒットしてもボールが上がってくれる寛容性は、安定した結果を出すのに非常に有効です

多少ミスヒットしてもボールが上がってくれる寛容性は、安定した結果を出すのに非常に有効です

フェース長が長いため、多少芯を外してもヘッドのブレが少なく、安定した弾道が期待できます

フェース長が長いため、多少芯を外してもヘッドのブレが少なく、安定した弾道が期待できます

やや先寄りの打点でしたが、ちょっとつかまっただけでしっかりと飛んでくれました。距離も十分ですし、曲がりも少ない。安心して打てるFWです

やや先寄りの打点でしたが、ちょっとつかまっただけでしっかりと飛んでくれました。距離も十分ですし、曲がりも少ない。安心して打てるFWです

「G430 SFT フェアウェイウッド」

「G430 MAX FW」をベースに、つかまり性能とボールの上がりやすさを高めたモデル。「SFT」とは「ストレートフライトテクノロジー」を意味し、まっすぐな弾道が打ちやすく設計されています。FWが苦手な人や、右へのミスにお悩みの人向けの性能です。

デザインは「MAX」と共通。主な相違点は、ソールトゥ側に記載されたモデル名です

デザインは「MAX」と共通。主な相違点は、ソールトゥ側に記載されたモデル名です

ヘッドシェイプは「MAX」と比べて丸く、投影面積も大きくなっています

ヘッドシェイプは「MAX」と比べて丸く、投影面積も大きくなっています

フェースは、薄く四角くなっており、フェース長も若干ですが短め。ボディは「MAX」よりさらに薄く仕上げられています

フェースは、薄く四角くなっており、フェース長も若干ですが短め。ボディは「MAX」よりさらに薄く仕上げられています

シャフトラインアップは「MAX」と共通。選び方にも特に違いはありません。

しなりを感じるシャフトを選びたい

構えた印象は、いかにもつかまりそう!といった感じ。ややフックフェースになっており、投影面積が大きく、ヒールにボリュームがある形状と相まってオートマチックにつかまりそうな雰囲気がヘッドから感じられます。

お借りしたスペックは、「MAX」と同じシャフト「ALTA J CB BLACK」のフレックスS、ヘッドは3番の16°。

「MAX」と同じように、ドライバーでのヘッドスピード40m/sを意識して打ってみると、「MAX」より高い打ち出し角でやや左に飛び出します。つかまり具合はかなり大きめと言ってよいと思います。つかまると、弾道は前に飛ぶため上がりにくくなるのですが、ロフトが「MAX」より1°多い16°ということもあり、「MAX」以上の高さが出ます。ミスへの強さは「MAX」とほぼ同等。少々芯を外しても、安定してつかまった弾道を打たせてくれます。

ヘッドスピードを高めていくと、よりつかまり具合が高まる感じ。これはシャフトによるところもあると思いますが、とにかく右へのミスを抑えたいなら、あまりハードなスペックではなく、少ししなりを感じるシャフトを選ぶと「SFT」の効果がしっかり発揮されそうです。

 私が打つと、安定して目標よりも左方向に着弾する感じでした。ミスを一方向に絞れれば、スコアアップに大きく寄与します

私が打つと、安定して目標よりも左方向に着弾する感じでした。ミスを一方向に絞れれば、スコアアップに大きく寄与します

「MAX」と比べてヘッドの奥行きがあり、これだけでも安心感が増します。こういう視覚的な効果は、皆さんが思っている以上に結果につながるんですよ

「MAX」と比べてヘッドの奥行きがあり、これだけでも安心感が増します。こういう視覚的な効果は、皆さんが思っている以上に結果につながるんですよ

やや振り遅れて右に打ち出したにもかかわらず、しっかりと戻ってきてくれたショットのデータです。結構な球数を打ちましたが、目標より右方向には1球も飛びませんでした。それくらい安定してつかまるモデルです

やや振り遅れて右に打ち出したにもかかわらず、しっかりと戻ってきてくれたショットのデータです。結構な球数を打ちましたが、目標より右方向には1球も飛びませんでした。それくらい安定してつかまるモデルです

幅広いゴルファーが使えるFW!

「G430 FW」の2モデルは、歴代モデルのミスへの強さをさらに磨いた“狙えるFW”に仕上がっていました。飛距離性能も追求していますが、極端に低スピン化を図って飛距離一辺倒にするのではなく、あくまで狙うための性能を低下させないなかでの飛距離追求といった感じで、個人的にとても好感が持てました。

「MAX」はシャフト次第で、ツアープロから初中級者までの幅広いゴルファーにおすすめできるモデル。「SFT」は、そこにつかまりと上がりやすさを追加し、パワーのない人や右へのミスにお悩みの人におすすめです。

前作「G425」のFWは、ミスにはとても強かったのですが、スピンがやや多めでタテ距離のバラつきが少しあったのですが、今作ではそれも解消されています。適正スピン量の球が安定して打てるクラブになったので、「LST」のFWがなくなったのかもしれませんね。

ライバルモデルは、キャロウェイの「ローグST」シリーズのFWでしょう。つかまりのよい「MAX D」がラインアップされているところも共通しており、コンセプト的にも近いシリーズです。

試打の後、改めて、ピンは信念を曲げないメーカーだなと感じました。一貫したコンセプトのもと、縛られたルールのなかで道具を進化させるのはとても難しいことだと思います。ミスに強いFWをお探しなら、ぜひ「G430」を試してみてください。

写真:富士渓和春

小倉勇人

小倉勇人

ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。

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