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もはや中上級者の理想のアイアンか!? ピン「i230」のスゴい進化

オグさんです! 今回はピン「i230 アイアン」をの試打レポートをお届けします。

ピン「i230 アイアン」

ピン「i230 アイアン」

女子プロ人気が高い「i」のアイアン

ピンの「i」シリーズは、当初、ドライバーやフェアウェイウッドなどのフルラインアップでの展開でしたが、2015年に発売された「iアイアン」以降、アイアンのみのブランドとなりました。ポジショニングとしては「プロが使えるやさしいモデル」といったところ。操作性やスピンコントロールなどにおいてツアープロが求める性能を持ちながら、打点のミスにもまずまず強いです。

「i」シリーズのアイアンは男子プロにも使用されていますが、特に女子プロに人気があります。2019年に海外メジャーを制した渋野日向子選手、2017年の賞金女王を獲得した鈴木愛選手を筆頭に、多くの選手が「i」シリーズのアイアンを手にし、結果を残しています。

特筆すべきモデルは、「i210 アイアン」。今回紹介する「i230 アイアン」の前モデルに当たり、世界中で多くの選手がこのアイアンで勝利をあげています。前述の渋野選手も、この「i210 アイアン」でメジャータイトルを獲得しました。

「i230 アイアン」は、そんな輝かしい戦績を残した「i」シリーズの最新作。どのような進化を果たしたのか、非常に楽しみです。

それでは詳しく見ていきましょう!

キャビティ構造を採用し、バックフェース全面にエラストマーインサートを挟み込んだバッジを装着。装飾をほとんど廃したシンプルな外装です

キャビティ構造を採用し、バックフェース全面にエラストマーインサートを挟み込んだバッジを装着。装飾をほとんど廃したシンプルな外装です

<カタログ記載のスペック>
ヘッド素材:431ステンレススチール
クラブ長:37インチ(#7)
ロフト:#3 19°/#4 22.5°/#5 26°/#6 29.5°/#7 33°/#8 37°/#9 41°/PW 45°

ヘッド素材はステンレス。ロフトは7番で33°と、最近のモデルの中ではかなり寝ている設定です。飛距離よりも、安定性と操作性を重視しているのがここからわかります。

前作は、衝撃を吸収する「CTP」がヘッド下部に集中して搭載されていました。今作はバックフェース全面に張り付けるように搭載することで、芯を外したインパクトでも不快な振動を軽減。どこで打っても気持ちよい打感が得られるように改良されています

前作は、衝撃を吸収する「CTP」がヘッド下部に集中して搭載されていました。今作はバックフェース全面に張り付けるように搭載することで、芯を外したインパクトでも不快な振動を軽減。どこで打っても気持ちよい打感が得られるように改良されています

打感とともにこだわって作られているのが打音です。インパクト時に発生する衝撃音を解析し、従来モデルより心地よく聞こえる打音になるようチューニングされています

打感とともにこだわって作られているのが打音です。インパクト時に発生する衝撃音を解析し、従来モデルより心地よく聞こえる打音になるようチューニングされています

「i230 アイアン」#3

「i230 アイアン」#3

「i230 アイアン」#5

「i230 アイアン」#5

「i230 アイアン」#7

「i230 アイアン」#7

「i230 アイアン」#9<br>長めの番手はややグースを付け、ロフトが多くなるほどグースを減らしています(#3から写真を見比べるとよくわかると思います)。つかまりとインパクトのタイミングをできるだけ揃えようという意図が感じられる設計です。また、長い番手ほどブレードが厚く見えるように設計されており、安心感もうまく演出されています

「i230 アイアン」#9
長めの番手はややグースを付け、ロフトが多くなるほどグースを減らしています(#3から写真を見比べるとよくわかると思います)。つかまりとインパクトのタイミングをできるだけ揃えようという意図が感じられる設計です。また、長い番手ほどブレードが厚く見えるように設計されており、安心感もうまく演出されています

番手ごとに、溝の縁の角度と溝と溝の間隔を変えた「マイクロマックス・グルーヴ」を採用。従来よりも溝の本数が増え、ウェットやラフなどの悪条件からでも安定したスピン性能を実現させています

番手ごとに、溝の縁の角度と溝と溝の間隔を変えた「マイクロマックス・グルーヴ」を採用。従来よりも溝の本数が増え、ウェットやラフなどの悪条件からでも安定したスピン性能を実現させています

トゥ側には高比重のウェイトを搭載。重心位置を低く、フェースのセンター近くに来るようにすることでミスへの寛容性を高めています

トゥ側には高比重のウェイトを搭載。重心位置を低く、フェースのセンター近くに来るようにすることでミスへの寛容性を高めています

充実のシャフトラインアップ

ピンのシャフトラインアップは非常に充実しており、純正だけでも7モデルがあります。フレックス別に設計された50〜70g台のオリジナルカーボン「ALTA J CB BLACK」、軽量でありながらクセがなく、剛性感の高い70g台のオリジナルカーボン「PING TOUR 2.0 CHROME I」。スチール特有の粘り感を持ちながら軽やかに振れる80g台のスチール「N.S. PRO 850GH neo」。適度な重さと安定してミートしやすい90g台のスチール「N.S. PRO 950GH neo」。高い剛性感で、強振してもつぶれすぎない100g台のスチール「N.S. PRO MODUS3 TOUR 105」。やや粘る挙動でタイミングの取りやすい120g台のスチール「N.S. PRO MODUS3 TOUR 115」。そして粘る挙動でボールを上からとらえやすい130g台のスチール「ダイナミックゴールド EX TOUR ISSUE」。

力を使わずに楽に振りたいなら純正のカーボンがおすすめです。それなりに振っていきたいなら「950GH neo」を入り口に、徐々に重いモデルを試すとよいですね。ピンはメーカーとしてフィッティングを行っていますので、どれを選べばいいか迷ってしまう人はフィッティングを受けるのが得策です。

試打クラブや店舗の販売品として装着されることが多いのが「MODUS<sup>3</sup> TOUR 105」。100g台といい頃合いの重量ではありますが、かなりしっかりした振り味で、思った以上に打ち応えのあるシャフトです

試打クラブや店舗の販売品として装着されることが多いのが「MODUS3 TOUR 105」。100g台といい頃合いの重量ではありますが、かなりしっかりした振り味で、思った以上に打ち応えのあるシャフトです

高さは十分で曲がりは少ない

構えた印象は、長い番手は安心感、短い番手は結構シャープ!と、番手によって感じる印象が異なりました。それでも、全体的な見た目の共通感はしっかりあり、なかなか作り込まれていますね。サイズはちょっとだけ小ぶりかな?程度で、プレッシャーは感じません。

お借りしたスペックは、「MODUS3 TOUR 105」のSフレックス。いつものように、最初はヘッドスピードを抑え気味に、ドライバーで38m/sぐらいをイメージしてスタート。何球か打って感じたのは、打感の変化です。前作と比べてインパクト時の衝撃が小さくなりました。ステンレス素材のカチッとした感触はありますが、余計な振動がかなり軽減されています。軟鉄のようなやわらかさはありませんが、クリアで気持ちよい打感です。

ほんの少し小ぶりなサイズでヘッドが動かしやすく、つかまりがニュートラル。狙ったところに打ち出しやすく、それでいてミスに強い。プロに好まれる理由がわかる気がします

ほんの少し小ぶりなサイズでヘッドが動かしやすく、つかまりがニュートラル。狙ったところに打ち出しやすく、それでいてミスに強い。プロに好まれる理由がわかる気がします

ロフト角が多めの設定ということもあり、弾道の高さはこのヘッドスピードでも必要十分。飛距離はそれなりですが、6番アイアンぐらいまでならグリーンでもしっかり止められそうです。操作性は“今風”というか、最近のモデルに多い、ヘッドが動いてくれるのに弾道は意外と曲がらない感じ。意図した方向に曲がってはくれますが、曲がる度合いは少なめです。つかまりはニュートラルで、狙ったところに打ち出しやすい。ミスへの寛容性は、なかなかのもので、芯を左右に外しても高さはしっかり出ますし、意図せぬ曲がりも少なめでした。

バックフェース全面に「CTP」を貼りつつバッジを装着することで、デザイン的にも性能的にもよくなりました

バックフェース全面に「CTP」を貼りつつバッジを装着することで、デザイン的にも性能的にもよくなりました

距離感がつかみやすい

ヘッドスピードを高めていくと、適度な弾道の高さを保ったままスピン量がやや増え、コントロール性能が高まります。もちろん飛距離も伸びるのですが、それは劇的ではなく、ヘッドスピードの高まりに合わせて適正に伸びる感じ。距離感がとてもつかみやすかった印象で、一般的な中上級者が考えるアイアンの理想にかなり近い性能を持っていると思いますよ。

ソリッドですが余計な振動が少なく、クリアで心地よい感触が楽しめます

ソリッドですが余計な振動が少なく、クリアで心地よい感触が楽しめます

7番のデータ。高さ、スピン量、飛距離、どれも適正値でとてもよい弾道です。個人的には、もうちょっとボールが操作できれば、言うことなしです!

7番のデータ。高さ、スピン量、飛距離、どれも適正値でとてもよい弾道です。個人的には、もうちょっとボールが操作できれば、言うことなしです!

「i210」から“現代風”に進化した

「i230 アイアン」は、数多くの成果をアシストしてきた「i210 アイアン」の長所であった、ミスへの強さとニュートラルなつかまり性能を引き継ぎ、打感などフィーリング面を向上させてきました。ミスへの強さは若干高まっているとは思いますが、その分ボールの直進性が高まり、操作性が低下した感じです。現代のゴルファーからすれば、操作性はそれほど求められていませんので、そういった意味では“現代風に進化”したと言えますね。

ライバルモデルは、ブリヂストン「221CB」、スリクソン「ZX7 Mk-II」、タイトリスト「T100S」、テーラーメイド「P790」といったところ。こういった、ちょっと小ぶりでヘッドは機敏に動くけれど、ミスに強くて直進性が高いアイアンが最近増えています。ツアープロが求めているのが、こういう性能なのかもしれませんね。

ピンのアイアンは、ボディやフェース全体がステンレス製ということもあり、耐久性が高く、当たり傷などにも強いのが特徴です。性能的にももちろんおすすめできますが、1度買ったら長く使いたい、できるだけ新品に近い状態で使いたいと考える人にはもってこいのモデルだと思います。

写真:野村知也

小倉勇人

小倉勇人

ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。

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