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すべてがプロ・上級者向け仕様! 「ステルス2 プラス」FW&レスキュー試打

オグさんです! 今回は、テーラーメイド「ステルス2 プラス」のフェアウェイウッド(以下、FW)と「レスキュー」(いわゆるユーティリティー)の試打レポートをお届けします。

「ステルス2 プラス レスキュー」(左)と「ステルス2 プラス FW」(右)

「ステルス2 プラス レスキュー」(左)と「ステルス2 プラス FW」(右)

「ステルス2」の最上級者向けライン

「ステルス2」は、ドライバーにカーボンフェースを採用して一世を風靡した「ステルス」の後継シリーズ。前作で非常に高い評価を得た飛距離性能を引き継ぎながら、ミスへの寛容性を高めたシリーズとして中級者からツアープロまで高い人気を誇っています。

「ステルス2」シリーズには、3つのラインがあります。

ステルス2
シリーズのスタンダードなポジションに位置し、低スピン性能とミスへの寛容性を両立。中級者からツアープロまで幅広いゴルファーに対応しています

ステルス2 HD
低スピン性能とミスへの寛容性に加え、つかまり性能を追加。右へのミスが多いゴルファーに合わせたラインです

ステルス2 プラス
シリーズ中、最も低スピンでつかまりを抑えたライン。上級者やツアープロが好む仕様に仕上げながら、ミスへの寛容性も追求されています。「ステルス2 プラス」はテーラーメイドセレクトフィットストア限定です。

今回は、「ステルス2 プラス」ラインのFWとレスキューをピックアップ。いわゆる上級者やツアープロ向けモデルはどのような性能なのか、一般のアマチュアには難しいのか、などをチェックしていきます!

「ステルス2 プラス フェアウェイウッド」

長い距離を狙う必要が出てくる上級者に向けて、アジャスト能力を高めた高性能FW。高価な素材を使用することで、飛距離性能を高めつつ、より使い手に合った調整ができるように工夫が施されています。

FWでは珍しい可変ウェイトをソールに搭載。デザインのアクセントにもなっていて、いかにも“ただものではない感”を醸し出しています

FWでは珍しい可変ウェイトをソールに搭載。デザインのアクセントにもなっていて、いかにも“ただものではない感”を醸し出しています

●ヘッド素材
チタン [6-4 ti] + カーボンクラウン + スライディングウェイト(50g)
●フェース素材
チタン [6-4 ti]
●ロフト角(度)
#3:15
#5:18

クラウンにはカーボンを使用し、フェース、ボディにはチタンを採用。ほぼドライバーと同じような作りです。理想の重心位置を追求するためにやれることは全部やる、という開発陣の思いを感じます。ソールには50gもの可変ウェイトを搭載。重心位置が下がることで低スピン性能が高まりつつ、上がりやすさやスピン性能の調整も可能です。

番手のラインアップは3番と5番だけと少なめ。ターゲットとしているゴルファー層にショートウッドのニーズはないという判断なのでしょう。

アスリートモデルらしい、奥行きの狭いシャープな形状。FWとしてはややディープフェースに仕上げてあり、打点の上下のミスに強そうです

アスリートモデルらしい、奥行きの狭いシャープな形状。FWとしてはややディープフェースに仕上げてあり、打点の上下のミスに強そうです

いわゆる純正シャフトには、三菱ケミカル製の「ディアマナ TM50」を用意。50g台後半の中元調子で、純正モデルの中では比較的高い剛性があります。強く振っても潰れすぎないので、まずはこのシャフトで試打をしてみて、物足りないようであればカスタムシャフトを検討されるとよいでしょう

いわゆる純正シャフトには、三菱ケミカル製の「ディアマナ TM50」を用意。50g台後半の中元調子で、純正モデルの中では比較的高い剛性があります。強く振っても潰れすぎないので、まずはこのシャフトで試打をしてみて、物足りないようであればカスタムシャフトを検討されるとよいでしょう

ヘッドスピード42m/sは欲しいところ

構えた印象は、たたける小顔といった感じ。小ぶりでシャープな形状に加え、地面にポンと置いても決して左を向かない据わりのよさが特徴で、アスリートのためのモデルであることを認識させてくれます。

お借りしたスペックは、3番15度の純正シャフトSフレックス。ドライバーでのヘッドスピード38m/s程度を意識して打ってみると、まるでドライバーで打ったかのようなライナー性の低スピン弾道が飛び出します。ですが、高さが足りず……。ランは期待できますが、飛距離を求めるならもう少し高さが出るモデルを選ぶとよいでしょう。

もう少しヘッドスピードを高めて、42m/sぐらいで打ってみると、高さは出て、より安定した飛距離が打てるようになります。ボール初速が高く、非常に飛ばしやすかったです。ミスへの寛容性は、FWとしては上々で、もともとの低スピンの特性上、芯を外しても余計なスピンが増えすぎず、常に前に飛ぶような弾道が出ます。それだけにヘッドスピードが足りないとドロップ気味になりやすく、ヘッドの性能を生かすにはヘッドスピード42m/s以上は欲しいですね。

つかまり性能は、アスリートモデルらしくニュートラルといったところ。ヘッドが小ぶりなので操作性はよいのですが直進性が高いため、かなり極端に操作しないとボールの曲がり幅は稼げませんでした。

気持ちよく振り切れたときは、ティーアップしたドライバーのような強い弾道が地面から打てました。打感はフェースにのるようなやわらかさとはじき感が同居する、とても気持ちよい感触です

気持ちよく振り切れたときは、ティーアップしたドライバーのような強い弾道が地面から打てました。打感はフェースにのるようなやわらかさとはじき感が同居する、とても気持ちよい感触です

可変ウェイトを動かして打ってみた

このモデルの特徴のひとつである可変ウェイトを調整して打ってみました。このウェイトは、スタンダードなポジションに対して、ウェイトをヘッド後方側に動かすと「HIGHERポジション」、反対にヘッド前方に動かすと「LOWERポジション」になります。

最初は「HIGHERポジション」から。ウェイトがヘッド後方に位置すると重心が深くなるため、理論上はボールの打ち出し角が高くなり、スピン量が増えやすくなります。実際に打ってみると、その違いはしっかり現れました。目に見えて弾道は高くなり、キャリーが出しやすくなりましたね。その半面、ランディングアングルが鈍化し、スピンが増えるため、ランが減少する印象。一定のエリアを狙うときや、スピンが少なすぎてキャリーが出ない場合によさそうなポジションです。

次に「LOWERポジション」。こちらは重心深度が浅くなるため打ち出しが低くなり、スピン量が減りやすいポジションです。こちらの特性も実際の弾道にしっかりと現れ、スタンダードポジションよりも前に鋭く飛び出す低いライナー性の弾道が打てます。私のヘッドスピードでは、3Wだと高さとスピン量ともに減りすぎてしまい、スタンダードポジションに比べて飛距離は落ちてしまいました。もう少しヘッドスピードが高くスピンが多めの人にはよいですね。

ウェイトを後方にセットした「HIGHERポジション」。ウェイトのスライド量は少なめですが、50gの重量があるため、思った以上に効果が出ます

ウェイトを後方にセットした「HIGHERポジション」。ウェイトのスライド量は少なめですが、50gの重量があるため、思った以上に効果が出ます

ウェイトを前方にセットした「LOWERポジション」。ヘッドの内部にウェイトが入っていく感じです。正直私には3Wでは扱いづらかったです。スタンダードポジションで何とか打てているといった感じですので、違いははっきりと体感できます

ウェイトを前方にセットした「LOWERポジション」。ヘッドの内部にウェイトが入っていく感じです。正直私には3Wでは扱いづらかったです。スタンダードポジションで何とか打てているといった感じですので、違いははっきりと体感できます

3Wのスタンダードポジションで地面から打ったデータです。低スピンの強弾道を適正な高さで打ち出せたよいデータだと思います。しっかりドローをかけたつもりだったのですが、直進性の高さによって戻り切りませんでした

3Wのスタンダードポジションで地面から打ったデータです。低スピンの強弾道を適正な高さで打ち出せたよいデータだと思います。しっかりドローをかけたつもりだったのですが、直進性の高さによって戻り切りませんでした

「ステルス2 プラス レスキュー」

「レスキュー」とは、テーラーメイドにおけるUTの呼称。「ステルス2 プラス レスキュー」は、上級者が好むコントロール性とミスへの寛容性を考えて設計されています。分類上は、いわゆるウッド型UTですが、アイアン型UTの特性も併せ持ったモデルです。

ほかのシリーズのレスキューと比べると小ぶりなヘッドサイズ。弾道調整機能も有しており、自分好みの弾道に調整できるように設計されています

ほかのシリーズのレスキューと比べると小ぶりなヘッドサイズ。弾道調整機能も有しており、自分好みの弾道に調整できるように設計されています

●ロフト角(度)
#2 17
#3 19.5
#4 22

フェースにはマレージング鋼を採用し、飛距離を追求。番手ラインアップは2番から4番と、比較的立ったロフトのみの構成です。ロングアイアンとつながりがよく、距離のあるパー3や狭いホールのティーショットなどで活躍しそうですね。

小ぶりなヘッドにバルジ(横方向の丸み)を適度に持たせたフェースを持つのが特徴

小ぶりなヘッドにバルジ(横方向の丸み)を適度に持たせたフェースを持つのが特徴

シャフトは、FWに特性を合わせつつ、重量を持たせた三菱ケミカル製の「ディアマナTM 70」を採用。しっかりした振り心地で、ある程度のハードヒッターでも受け止められる仕様です

シャフトは、FWに特性を合わせつつ、重量を持たせた三菱ケミカル製の「ディアマナTM 70」を採用。しっかりした振り心地で、ある程度のハードヒッターでも受け止められる仕様です

使い手の技術やパワーがあればこそ

構えた印象は、色々と使い勝手がよさそうな感じです。小ぶりなヘッドサイズで操作しやすそうな印象もありますし、打ち込んでも払い打っても対応できそうな独特の形状に仕上げられています。

お借りしたスペックは、4番22度の純正Sフレックス。こちらも38m/s程度から試打をスタートしましたが、上記FW同様「ステルス2 プラス」ラインにふさわしい仕上がりで、このぐらいのヘッドスピードだと性能が生かしきれない印象です。すごくスピンが少ない感じではありませんが、直進性の高いライナー性の弾道が自然と打てます。ロフトの多い番手がないだけに、グリーンを狙うという使い方をするならば、高さや止めるためのスピン量を確保するためにもヘッドスピード42m/sは欲しいですね。

ヘッドスピードを42m/sぐらいに高めて打つと、高さもそれなりに出るようになり、グリーンに直接落としても止められそうなスピンは入ります。個人的に気に入った点はヘッドの扱いやすさ。小ぶりなこともあり、ダウンブローに打ったり払ったりと、さまざまな打ち方がしやすかったです。つかまり性能は控えめなので、UTにありがちな”つかまりすぎ”がないのもこのモデルのよいところ。ボールをコントロールできる技術を持っていれば、色々な場面で重宝しそうです。

さまざまな操作を受け入れてくれる「ステルス2 プラス レスキュー」。高い補正能力を持つ”お助けクラブ”的なUTが多いなか、貴重な存在と言えるかもしれません

さまざまな操作を受け入れてくれる「ステルス2 プラス レスキュー」。高い補正能力を持つ”お助けクラブ”的なUTが多いなか、貴重な存在と言えるかもしれません

クラブに助けてほしいならスタンダードの「ステルス2」

「ステルス2 プラス」ラインのFWとレスキューは、上級者にしっかりと照準を合わせて開発された高性能クラブでした。自分のイメージする弾道が明確で、その弾道を打てる技術のあるゴルファーが使うと非常に扱いやすいと感じられるクラブに仕上がっています。

FWのライバルモデルは、キャロウェイ「パラダイムトリプルダイヤ」、ピンの「G430 LST」。レスキューのライバルモデルは、タイトリスト「TSR3」です。どのモデルも、ある程度打ち手の技術を要求してきます。見方を変えると、そういったゴルファーが求める性能に合わせて作られていると言えますね。クラブに助けてもらいたいと考える人には、スタンダードの「ステルス2」がおすすめです。

写真:野村知也

小倉勇人

小倉勇人

ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。

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