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“中空”らしからぬルックス&打感! 中・上級者も使える「Mizuno Pro 245」を試打

オグさんです。今回は、ミズノのアイアン「Mizuno Pro 245」の試打レビューをお届けします。

「Mizuno Pro 245」

「Mizuno Pro 245」

「Mizuno Pro」の2024年モデル

ミズノのアイアンには、「Mizuno Pro」と「JPX」という2つのブランドがあり、前者は日本を中心に、後者はワールドワイドに展開されています。「Mizuno Pro」はその名のとおり、ツアープロやアスリートに向けた仕様を3モデル、「JPX」はエンジョイゴルファーからツアープロまで幅広いゴルファーに向けた仕様を5モデルラインアップしています。

「Mizuno Pro」の前作は「Mizuno Pro 22」シリーズで、「221」「223」「225」がラインアップされていました。今作も同様に3モデル用意されます。マッスルバックの「241」、キャビティバックの「243」、そして中空の「245」。これらのヘッド構造は前作と変わっておらず、熟成および正常進化のモデルチェンジと言えます。

ミズノは鍛造技術に独自のノウハウを持っており、鍛造アイアンの打感について大きなこだわりと自信をアピールしてきました。昔から、その打感はプロアマ問わず非常に高い評価を得ています。そんなミズノのアイアンを象徴する技術が「グレインフローフォージド」製法。1本の丸棒をフェースからネックまで一体成型することで、打感に影響する鍛流線(たんりゅうせん)を途切れさせず、クリアな打感を得るための技術です。

鉄の丸棒。これがアイアンになります

鉄の丸棒。これがアイアンになります

丸棒を鍛造してアイアンの形に成型。フェースからネックまでひとつの素材から作るので、素材の繊維が途切れずクリアな打感が得られるとミズノは胸を張ります

丸棒を鍛造してアイアンの形に成型。フェースからネックまでひとつの素材から作るので、素材の繊維が途切れずクリアな打感が得られるとミズノは胸を張ります

また「ハーモニックインパクトテクノロジー」という技術も打感に関する技術のひとつ。打感に影響する打音を数十ヘルツの単位でチューニングすることで、さらに心地よい打感を追求しています。

今回ご紹介するのは「Mizuno Pro 24」シリーズの「245」。中空構造を採用したモデルで、前作はアスリートが考えるミスに強いモデルとして高い評価を得ていました。今作ではどのように進化したのか非常に楽しみです。

ちなみに「Mizuno Pro 24」シリーズ、ほかの2種類の特徴は以下のとおりです。

●Mizuno Pro 241
「241」は、いわゆる軟鉄鍛造1枚もののマッスルバックモデル。軟鉄だけを使用し、「グレインフローフォージド」製法で仕上げた本格派のアイアンです。前作と比較すると、ヘッドがコンパクトになり、バックフェースの肉厚を見直すことで操作性を高め、さらにソリッドな打感を追求しています。

●Mizuno Pro 243
「243」は、適度な飛距離とフィーリング、そしてミスへの強さをバランスよく配合したキャビティバックモデル。4番から7番は高い初速を得やすいクロムモリブデン鋼を、8番からPWまでを軟鉄で、それぞれ鍛造製法で仕上げています。番手ごとのつながりもよく、素材による打感の違いは言われないとわからないレベルです。

どう見てもマッスルバックにしか見えないスマートで美しい外観は、「245」の特徴のひとつです

どう見てもマッスルバックにしか見えないスマートで美しい外観は、「245」の特徴のひとつです

Mizuno Pro 245・#5

Mizuno Pro 245・#5

Mizuno Pro 245・#7

Mizuno Pro 245・#7

Mizuno Pro 245・#9

Mizuno Pro 245・#9

シャープな形状はいかにもアスリートモデル然としていますが、適度なサイズ感によってプレッシャーをあまり感じさせません。7番まではブレードがやや厚めに見えるようになっており、安心感を与えてくれます。反対に9番などのショートアイアンはブレードが薄く見えるようになっていて、コントロール性が高そうです。

ロフト設定は7番で30度と、アスリートモデルの中では立てた設定。中空モデルですので、ロフト以上の高さは出せるとはいえ、これ以上ロフトを立ててしまうとグリーンをキャッチする能力を確保できないのでしょう。

5〜8番までは、フェース素材に強度の高いクロムモリブデン鋼を採用。9番、PWは軟鉄鍛造です。フェース裏には肉厚を変化させる「新コアテックフェース」を採用し、ミズノの鍛造アイアンとして史上最高反発を達成しています

5〜8番までは、フェース素材に強度の高いクロムモリブデン鋼を採用。9番、PWは軟鉄鍛造です。フェース裏には肉厚を変化させる「新コアテックフェース」を採用し、ミズノの鍛造アイアンとして史上最高反発を達成しています

4〜7番までは、バックフェースの低い位置にタングステンを内蔵。前作と比べて内蔵量を1.6倍に増やし、ボールがより上がりやすくなりました

4〜7番までは、バックフェースの低い位置にタングステンを内蔵。前作と比べて内蔵量を1.6倍に増やし、ボールがより上がりやすくなりました

標準シャフトは90g台のスチール「ダイナミックゴールド 95」。ゆったりとしなる中元調子で、比較的軽量ながらダウンブローに打ちやすいモデルです。ちなみに、ミズノではカスタムオーダーを受け付けていますので、市販されている大半のシャフトはカスタムでオーダーできます。

軽量ながら本家「ダイナミックゴールド」のよさをしっかり受け継いだ「95」。粘り感のあるゆったりとしたしなり戻りが特徴

軽量ながら本家「ダイナミックゴールド」のよさをしっかり受け継いだ「95」。粘り感のあるゆったりとしたしなり戻りが特徴

前作から進化した打感!

構えてみると、普通サイズのアスリートモデルという印象を受けました。ミズノらしいシャープで美しい形状はそのままに、プレッシャーを感じさせない程度のサイズ感と、長い番手だけブレードを厚く見えるような工夫を施しているなど、見た目にもしっかりと気を遣っているのが感じられます。

お借りしたスペックは「ダイナミックゴールド95」のS200装着モデル。ドライバーでのヘッドスピード38m/sぐらいをイメージして試打してみました。まず、前作から進化を感じたのが打感です。前作の「225」は、ミズノがこだわるソリッドでクリアな打感の中に、強いはじき感がありました。今作は、ソリッドでクリアな打感の中に、フェースにのっかるやわらかさを感じます。余計な振動が、さらになくなった印象です。打感の判断については好みでよし悪しが別れると思いますが、個人的には今作のほうが好きです!

球質は、中空らしい直進性の高い弾道。これが、少々芯を外しても安定して打てます。打点のミスにめちゃくちゃ強い感じではありませんが、曲がりも飛距離ロスも少なめで、計算がしやすいですね。

打ち出し角は高く、このぐらいのヘッドスピードでもしっかりグリーンで止まってくれそうです。操作性は、気持ちある程度ですね。頑張って曲げようとしてもちょっときつめのドロー程度しか曲がりません。直線的にコースを攻略したいゴルファーには、とてもよいアイアンに仕上がっています。

余計な振動が少なく、さらにクリアで気持ちよい打感になりました。軟鉄ではない素材をフェースに使ったモデルの中では、かなりのやわらかさを感じる仕上がりです

余計な振動が少なく、さらにクリアで気持ちよい打感になりました。軟鉄ではない素材をフェースに使ったモデルの中では、かなりのやわらかさを感じる仕上がりです

コントロールできる中空モデル

ヘッドスピードを上げていくと弾道はさらに高くなり、グリーンをキャッチする力が高まる印象です。直進性の高さやミスへの寛容性は変わりません。中空モデルにありがちな、すっぽ抜け感と言うか、インパクト直後から打ち手の意思を無視したような弾道ではなく、ある程度のスピンをともなってコントロール下に置いた弾道が打てます。

そういう意味では、中空モデルっぽくない仕上がりです。ゴルフ歴の長いアスリートや、細かなボールコントロールを必要としない中・上級者にはドンピシャなアイアンだと思います。

左が中空の「245」、右がマッスルバックの「241」です。サイズは違えどデザインはほぼ同じ。こういった見た目のカッコよさも「245」の魅力です!

左が中空の「245」、右がマッスルバックの「241」です。サイズは違えどデザインはほぼ同じ。こういった見た目のカッコよさも「245」の魅力です!

7番の打球データです。高さとスピン量がしっかりと確保できているにもかかわらず、まずまずの飛距離が出ていて、バランスがすばらしいですね。直進性の高さを重視するゴルファーには、ぜひ打ってみてほしいモデル

7番の打球データです。高さとスピン量がしっかりと確保できているにもかかわらず、まずまずの飛距離が出ていて、バランスがすばらしいですね。直進性の高さを重視するゴルファーには、ぜひ打ってみてほしいモデル

言うならば「シークレットブーツ」

「Mizuno Pro 245」アイアンは、中空構造で、フェースに異素材を使ったハイテクモデルでありながら、中空のデメリットをうまく軽減し、アスリートが好む打感や弾道をやさしく打てるモデルに仕上がっていました。特に打感は、前作よりも大幅によくなりましたね。

今作の発表会では佐藤信人プロがこのアイアンを「シークレットブーツ」と表現していました。マッスルバックのように見えますが、所有感があるのにやさしく飛ばせる「245」の特徴をうまく言い得ていますね。

ライバルモデルは、テーラーメイド「P790」。両者は構造や性能で真っ向勝負する格好です! ほかには、グローブライド「オノフ KURO」があげられます。中空アイアンは、どちらかと言うとアベレージゴルファーに向けたモデルが多かったのですが、最近はアスリート向けのモデルも増えてきました。

ヘッド構造だけで判断して食わず嫌いになるのは、よいモデルに巡り合える機会を激減させてしまいます。機会があれば、先入観なくいろいろなモデルを試打してみてください。

写真:野村知也

小倉勇人

小倉勇人

ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。

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