レビュー

手ごろな価格の折りたためるミニベロe-Bike! BESVのアシスト制御を備えたVOTANI「F3」に試乗

電動アシスト自転車の専門メーカー「BESV(ベスビー)」が展開するエントリー向けモデルのブランド「VOTANI(ヴォターニ)」に、新モデル「F3」が登場。折りたたみ機構を備えた街乗り向けモデルの実力をチェックしてみた。

人気のデザインを継承しながら折りたたみ機構をプラス

高いデザイン性と快適な走行性を備えるe-Bikeをリリースすることで定評のあるBESVのノウハウを取り入れながら、価格を抑えたVOTANIブランドには、現在、「H3」「F3」「Q3」「Q5」の4モデルがラインアップされている(2023年9月22日時点)。今回紹介する「F3」は、2020年に発売されたミニベロタイプ「H3」のイメージを継承しつつ、折りたたみ機構を追加したモデル。ミニベロタイプのe-Bikeの中にはスポーツ性を重視したモデルもあるが、「F3」は「H3」同様に、バスケットや前後のフェンダー(泥よけ)、バッテリーから給電されるタイプのライトを標準装備するなど、街乗りでの実用性に重きを置いた作りを採用している。

折りたたみ機構の有無だけでなく細かい装備が異なるが、フレームの中央にバスケットを備えた特徴的なデザインは共通。フェンダーが付いているので、雨が降った後に走っても服などへの泥はねが防げる。価格は「H3」が168,000円(税込)で、「F3」が208,000円(税込)

折りたたみ機構の有無だけでなく細かい装備が異なるが、フレームの中央にバスケットを備えた特徴的なデザインは共通。フェンダーが付いているので、雨が降った後に走っても服などへの泥はねが防げる。価格は「H3」が168,000円(税込)で、「F3」が208,000円(税込)

車体サイズは「H3」と同じ1,530(全長)×595(全高)×1,110(全幅)mmだが、折りたたみ機構を装備している分、「F3」のほうが重量は1.1kg重い20.8kg。「F3」にはライトグレーとライトオリーブの2色が用意されている

車体サイズは「H3」と同じ1,530(全長)×595(全高)×1,110(全幅)mmだが、折りたたみ機構を装備している分、「F3」のほうが重量は1.1kg重い20.8kg。「F3」にはライトグレーとライトオリーブの2色が用意されている

特徴のひとつであるセンタータイプのバスケットは、折りたたんでコンパクトにまとめられるように「H3」と比べると若干小さくなった。大きめのバッグは入らないが、ちょっとした荷物を入れられるのは便利だ

特徴のひとつであるセンタータイプのバスケットは、折りたたんでコンパクトにまとめられるように「H3」と比べると若干小さくなった。大きめのバッグは入らないが、ちょっとした荷物を入れられるのは便利だ

ズボンやスカートの裾をチェーンに巻き込まないように、チェーンにカバーが装備されているのもありがたい

ズボンやスカートの裾をチェーンに巻き込まないように、チェーンにカバーが装備されているのもありがたい

街乗り向けのモデルなので、スタンドも標準装備

街乗り向けのモデルなので、スタンドも標準装備

フロントライトは、電動アシスト機能の電源をオンにすると周囲の明るさを感知して自動で点灯する。手動でオン/オフするモードに切り替えも可能

フロントライトは、電動アシスト機能の電源をオンにすると周囲の明るさを感知して自動で点灯する。手動でオン/オフするモードに切り替えも可能

フロントライトにも給電されるバッテリーは「VOTANI」のロゴが入っている部分に搭載。付属のキーで開けて取り出し、充電する仕様だ。バッテリー容量は36V/7.0Ah(252Wh)で、残量ゼロの状態から満充電まで約3.5時間かかる

フロントライトにも給電されるバッテリーは「VOTANI」のロゴが入っている部分に搭載。付属のキーで開けて取り出し、充電する仕様だ。バッテリー容量は36V/7.0Ah(252Wh)で、残量ゼロの状態から満充電まで約3.5時間かかる

ハンドルはシンプルな一文字タイプ。手のひらを受け止めるエルゴノミック形状のグリップを採用している

ハンドルはシンプルな一文字タイプ。手のひらを受け止めるエルゴノミック形状のグリップを採用している

ホイールは前後20インチで、フロントホイールの車軸部にドライブユニット(モーター)を搭載している。内装3速の変速機構は停止中でも変速ができるので街乗りで使いやすく、外装タイプよりもメンテナンス頻度が少なくて済む。

タイヤサイズは前後とも20×1.95インチと、太め。「H3」はフロントフォークにサスペンション機構を装備していたが、「F3」は付いていない

タイヤサイズは前後とも20×1.95インチと、太め。「H3」はフロントフォークにサスペンション機構を装備していたが、「F3」は付いていない

前輪の軸部(ハブ)と一体化したハブモーターを採用。前から引っぱるタイプのアシストだが、リアは人力で駆動するので前後の2輪駆動だ

前輪の軸部(ハブ)と一体化したハブモーターを採用。前から引っぱるタイプのアシストだが、リアは人力で駆動するので前後の2輪駆動だ

内装タイプの変速機構はシマノ製「Nexus」。変速段数は3段だ

内装タイプの変速機構はシマノ製「Nexus」。変速段数は3段だ

変速はグリップの内側を回して切り替える

変速はグリップの内側を回して切り替える

前後ともリムを挟み込むタイプのテクトロ製のVブレーキを採用

前後ともリムを挟み込むタイプのテクトロ製のVブレーキを採用

BESV譲りのスムースなアシストで快適走行

さっそく、「F3」で走ってみよう。アシストモードは「エコ」「ノーマル」「パワー」に加えて、多くのBESV製e-Bikeに採用されている「オート」を搭載。ペダルを強く踏み込めばアシストが強くなり、やさしく踏めば控えめのアシストになるオートモードを選んでおけば、乗る人のペダリングに合わせて最適なアシストを提供してくれる。

「エコ」「ノーマル」「パワー」の3モードは「1」「2」「3」、オートモードは「A」と表示される。最大72kmのアシスト走行が可能だ(エコモード時)

「エコ」「ノーマル」「パワー」の3モードは「1」「2」「3」、オートモードは「A」と表示される。最大72kmのアシスト走行が可能だ(エコモード時)

ペダルを踏み込んだ際のアシストの立ち上がりは、非常にスムース。ハブモータータイプのドライブユニットの中には、立ち上がり時のアシストが唐突なものもあるが、「F3」はそうした違和感がほとんどない。そのため、フロントから引っ張られる仕様ながら、走行が不安定になることはなかった。

モードを切り替えながら走行してみたが、やはりオートモードの出来がいい。平坦な道をゆっくり走っているときはアシスト力が控えめになるのでバッテリーの消費が抑えられ、加速しようと強めにペダルを踏み込めばアシストが強くなる。その際の、アシストの切り替えもスムースで、急にアシストが強くなることもない。

購入しやすい価格のモデルだが、アシスト制御は上質で、フィーリングは価格以上と言える

購入しやすい価格のモデルだが、アシスト制御は上質で、フィーリングは価格以上と言える

登り坂ではアシストが最も強い「パワー」に切り替えてもいいが、激坂というくらい傾斜のきつい坂でなければ、オートモードで走破できる。ブレーキはVブレーキだが、下り坂でも制動力に不安を感じることはなく、コントロール性も良好だ。

街中にあるちょっとした登り坂ならオートモードで十分。いちいちモードを切り替えなくていいので、街中はオートモードにしておけばいいだろう

街中にあるちょっとした登り坂ならオートモードで十分。いちいちモードを切り替えなくていいので、街中はオートモードにしておけばいいだろう

狭い場所での収納に役立つ折りたたみ機構

「F3」の特徴である折りたたみ機能は、フレームとハンドルに搭載されている。工具なしで折りたたみでき、手数もそれほど多くないので難しくはない。ただし、輪行(電車などに自転車を持ち込むこと)向けの専用の収納バッグはオプションにもないので、どちらかというと収納場所を取らないための機能だろう。

フレーム中央のストッパーを解除すれば、フレーム中央部を折りたためる。力はほとんど必要ない

フレーム中央のストッパーを解除すれば、フレーム中央部を折りたためる。力はほとんど必要ない

フレームの前後にあるマグネットをくっつけると、折りたたんだフレームが連結・固定される。手を離してもフレームが開かないので、その後の作業が楽

フレームの前後にあるマグネットをくっつけると、折りたたんだフレームが連結・固定される。手を離してもフレームが開かないので、その後の作業が楽

次に、ハンドルを折りたたむ。ハンドルの根元にあるロック機構を解除して下側にたたむだけでいい。後は、サドルを下げたら折りたたみ完了だ

次に、ハンドルを折りたたむ。ハンドルの根元にあるロック機構を解除して下側にたたむだけでいい。後は、サドルを下げたら折りたたみ完了だ

折りたたんだサイズは990(全長)×465(全高)×735(全幅)mm。ペダルにも折りたたみ機構が装備されているので、出っ張りを少なくできる。自立するようにフレームに足が付いているのもいいところ

折りたたんだサイズは990(全長)×465(全高)×735(全幅)mm。ペダルにも折りたたみ機構が装備されているので、出っ張りを少なくできる。自立するようにフレームに足が付いているのもいいところ

まとめ

近年は、集合住宅で1世帯辺りの自転車置場の割り当てが限られるほか、盗難を心配して室内に自転車を入れたい人も多い。そうしたユーザーにとっては、折りたたみ機構を備えた「F3」は格好の選択肢となるだろう。VOTANIは、手ごろな価格に抑えつつ、BESVゆずりの上質なアシスト制御を備えていることで支持を集めているブランドなので、折りたたみできる点だけでなく、走行性能も満足できるはずだ。専用の輪行バッグはないが、クルマに積んで旅先に持っていく相棒としては最適。気軽に乗れるミニベロe-Bikeを探している人は、ぜひ、チェックしてみてほしい。

●メインカット、走行シーン撮影:松川忍

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

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