ナイキの「ダンク」は、1985年、アメリカでNBAと並んで高い人気を誇る「カレッジバスケットボールトーナメント」のチームカラーをまとって登場したモデル。1990年代の日本では、ミシガン大学のカラーである「紺×黄」のツートーンカラーが通称「コンキダンク」とも呼ばれ、大ブレイク。35周年を迎えた2020年には、「コンキダンク」が復刻されたのをきっかけに、再び注目が集まりました。現在でも、90年代を知るオジサンスニーカーフリークから、現代のスニーカーヘッズまで、幅広い層から熱い支持を獲得しています。
そんな「ナイキ ダンク」に今季、また新たにエポックメイキングな1足が加わりました。それが「ナイキ ダンク ハイ PRM」です。
「ナイキ ダンク ハイ PRM」(品番:DR8753-077)。「アンディフィーテッド」での販売価格は、15,400円(税込)
パッと見の第1印象で目に留まるのが、アッパーのエレファント柄。こちらは、ナウマンゾウがモチーフの素材使いです。「何ゆえにナウマンゾウ!?」と疑問に思いますが、しっかりと理由があります。
今作は、スニーカーカルチャーが繁栄する東京の上野、渋谷、原宿の3つのエリアにまつわる動物をデザインに取り入れた「カルチャーデーパック」シリーズからの1足。同シリーズからは、「上野動物園」のジャイアントパンダをモチーフにした「ナイキ エア フォース 1 ミッド」、渋谷駅前に設置されているシンボル「忠犬ハチ公」をモチーフにした「ナイキ ブレーザー ロー」、そして原宿にある明治神宮前駅のトンネル工事の際に発見されたナウマンゾウの化石をモチーフにした「ナイキ ダンク ハイ」がラインアップされています。それにしても、明治神宮前駅の地底にナウマンゾウの化石が眠っていたとは、これを機に初めて知りました!
アッパーは、エレファント柄の型押しレザーをメインに、スエードのオーバーレイを重ね、シックで落ち着きのあるテイストに仕上げています
もうひとつ注目すべきなのは、アウトソール。「ナイキ ダンク」がリリースされた80年代を彷彿とさせる、レトロな広告のグラフィックデザインをアウトソールに配しています。まるでネオンが輝く夜景のような、きらびやかでノスタルジックな雰囲気がたまりません。
ちなみに、インソールにも同様のグラフィックが描かれているほか、ミッドソールには若干退色したようなセイルカラーが採用されており、ヴィンテージライクに味付けされています。
アウトソールには80年代の広告グラフィックをオン。その表面は、クリアラバーを設けてしっかりと保護しています
インソールにも、レトロな広告のグラフィックデザインを配しています
ホワイトではなくセイルカラーのミッドソールが、まるでデッドストックのような雰囲気へと導きます
原宿や渋谷、新宿など、東京の街をモチーフにしたデザインのスニーカーは、これまでにいくつかのブランドからリリースされてきましたが、いずれも街の風景をオマージュしたものでした。ところが、今作ではナウマンゾウをモチーフにするという、斜め上を行くナイキのセンスには、驚かされました。しかも、地下鉄のトンネル工事の際に、ナウマンゾウの化石が発見されていたとは、この1足のおかげでその歴史を初めて知ることができました。
シューズのウンチクに渋谷の歴史が含まれているなんて、ほかのモデルではなかなか見当たりません!
●取材協力/「アンディフィーテッド」
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ファッションを中心にさまざまな雑誌やWeb媒体で執筆を行っているエディター/ライター。なかでもスニーカーに特化し、年間400本近くのスニーカーレビュー記事を制作している。