「もう使う機会がないテレホンカードや外貨がタンスに眠っている」
「売りに行くのも面倒な少額の商品券や旅行券があるけど、どうしよう」
こうした経験をお持ちの方、いらっしゃいませんか。
日本資金決済業協会の調べによると、商品券やQUOカードなどのプリペイドカードの未使用残高は2兆900億円(2017年度調査)。また、観光ビジネス専門誌「トラベルジャーナル」の調査では、海外旅行で使い残した現地通貨の総額は1兆3000億円(2012年調査)にのぼるとのこと。2つを合わせると全国で3兆円を超える「休眠資産」が眠ったままになっていることになります。
もちろん、これらの金券や外貨は使うことができますし、金券ショップや銀行などに行けば換金できますが、少額などの場合「わざわざ足を運ぶのも面倒」と思う方も少なくないでしょう。そんな方向けに、Pollet株式会社が最近、同社のVisaプリペイドカード「Polletカード」を持っていれば、自宅にいながら金券や外貨をチャージできるサービスを始めました。そこで、「使われないままの少額の資産をひとつにまとめて有効活用する」というこのサービスについて同社に取材。サービスの仕組みやお得な使い方を紹介します。
今やほとんど使われなくなったテレホンカードも買い取ってチャージしてくれる
金券・外貨チャージのサービスについて説明する前に、Visaプリペイドカード「Polletカード」の特徴を紹介します。
「Polletカード」は用途に応じて、「Pollet Million」(リアルカード)と「Polletバーチャル」の2種類から選ぶことができます。三井住友フィナンシャルグループのクレジットカード会社「セディナ」と提携して、2017年3月に発行開始した「Pollet Million」はプラスチック製のカードです。これに対し、後発の「Pollet バーチャル」(2019年4月発行開始)はPolletのアプリ内で発行される文字どおり「バーチャル」なカードです。
一番の大きな違いは、「Pollet Million」はVisa加盟店ならば実店舗とネットショップの両方で使えますが、「Pollet バーチャル」はネットショップでしか使えない点。また「Pollet Million」は発行手数料に500円かかりますが、「Pollet バーチャル」は無料発行できます。発行までの時間やチャージの方法・上限額などにも異なる点がありますので、詳しくは、下記の表をご覧ください。
いずれもプリペイドカードなので、クレジットカードのように入会に当たって与信審査はありません。「Pollet Million」は16歳以上なら誰でも、「Pollet バーチャル」は年齢制限もなく誰でも発行することができます。チャージ金額以上は利用することができない(使いすぎの心配が少ない)点も、クレジットカードとの大きな違いになります。
リアルカードで、Visa加盟店の実店舗でも使える「Pollet Million」
アプリ内で発行される「Pollet バーチャル」は、ネットショッピング専用のカード
Pollet株式会社は、ポイントモール「ハピタス」を運営するオズビジョンが100%出資する企業です。そのため「Polletカード」はもともと、「ハピタス」で集めたポイントをチャージするところから始まったプリペイドカードです。2017年3月の発行開始以来、提携先を増やし、LINE Payや仮想通貨のビットコイン(円建て)からもチャージできます(チャージは「Polletカード」のアプリから可能)。
リアルカードの「Pollet Million」では、クレジットカードからチャージすることもできます(セディナ発行以外のクレジットカードでは、1回のチャージにつき305円の手数料が必要)。また、インターネットバンキングのペイジーチャージも可能です(305円の手数料が必要)。チャージができる主なポイントや電子マネーなどは以下のとおりです。仮想通貨・電子マネー以外では、0.5%分が増量されてチャージされます。
〈ポイントサイトのポイント〉
・ハピタス、ちょびリッチ、ワラウ、ポイントインカム、ドットマネー、PeX
〈仮想通貨・電子マネー〉
・ビットコイン
・LINE Pay
〈クレジットカード〉
・各種クレジットカード
※セディナ発行のカードは無料でチャージできるが、それ以外は1回のチャージにつき300円の手数料が必要
上記で説明したポイントや電子マネーなどに加え、2019年7月から「Polletカード」に金券や外貨からチャージできるサービスを始めました。なぜ金券や外貨に目を付けたのか。Pollet株式会社のプロダクト責任者の中尾洋平さんはこう説明します。
「使われずに眠っている金券と外貨は推計で3兆円以上あるとされています。しかし、地方などの場合、近隣に金券ショップがなかったり、少額で持ち込むのをためらってしまっていたり、そもそも売ろうとも使おうともせず、結果として眠らせてしまっている人がいます。でも『Polletカード』にチャージすれば価値あるものに生まれ変わり、買い物に使えるようになる。そのようなサービスを始めたいと考えました」
サービスの概要や狙いについて話すプロダクト責任者の中尾洋平さん
サービスを設計するうえで、こだわったのは利便性だと言います。
「金券や外貨を『休眠』させている人たちは、そもそも『持っている』意識すら希薄な人たちが少なくありません。こういう人たちに行動に移してもらうために、交換にあたって面倒な作業は徹底的に省きました」(中尾さん)。
その言葉が示すとおり、交換の手順はとてもシンプルで、自宅ですべての作業が完結します。具体的には以下のとおりですが、ユーザーはまずアプリ上で申し込み、届いた返送用封筒に金券・外貨を入れて投函すれば、通常1週間以内には自分の「Polletカード」に買い取り金額がチャージされます。
〈金券・外貨のチャージの手順〉
(1)Polletのアプリで自分が持っている金券・外貨の種類と数量を選択
(2)名前や住所などを記入し申込完了
(3)申し込みの数日後に、自宅に郵送キットが届く
(4)返送用封筒に金券・外貨を入れて投函
(5)投函後、2日〜1週間程度で「Polletカード」に買い取り金額のチャージが完了
交換するアイテムの種類や数量を選んだうえで、アプリ内で申し込む
金券・外貨によるチャージは、通常だと郵送手数料が180円かかりますが、2020年1月31日までは無料。1回の買取金額は1,000円〜9,819円としています。上限を1万円未満にしたのには理由があるそうです。それは、古物営業法で1万円以上の取り引きの際に必要と定められた身分証明書の提出を不要とするためです。ただ今後、身分証明書を簡単に提出できる方法を考え、この上限額を引き上げるとともに、より少額のチャージにも対応できるよう、下限額の引き下げも検討していくとのことです。
金券ショップなどと同様、買い取れる金券は未使用であることや有効期限内のものであることが条件になっています。返送用封筒を投函すると、Polletと提携する金券ショップ運営会社に送られるようになっており、そこでアプリでの申込内容と相違がないかや、未使用であるかなどのチェックが行われます。
アプリで申し込んだ後は、送られてくる返送用封筒に買取希望のアイテムを入れて投函すればOK
気になるのは、どのようなアイテムからチャージできるのかという点と、その買取価格でしょう。対象の金券・外貨などは450種類以上。「QUOカード」や「図書カード」などのメジャーなものはもちろん、「テレホンカード」や「年賀状」、すでに発売を終了した「オレンジカード」「イオカード」、遊園地の1日パスポートなどにも対応しています。
外貨については以下の11通貨に対応。USドルとユーロのみ、硬貨も買取可能です。
「USドル」「ユーロ」「人民元」「韓国ウォン」「タイバーツ」「香港ドル」「台湾ドル」「イギリスポンド」「カナダドル」「オーストラリアドル」「シンガポールドル」
中尾さんは「外国の硬貨については手間もかかりますし、ほとんど会社の利益にはなりませんが、できるだけたくさんの種類、そして少額で使い勝手の悪いものを有効活用できるサービスを目指しているので、対応しています」と説明します。
主な買取可能なアイテムと買取金額(2019年10月5日時点)は以下のとおりです。各アイテムの買取金額は相場の変動などに応じて変更しています。
〈カード類〉
・QUOカード(500円):451円
・テレホンカード(50度):333円
〈商品券〉
・全国百貨店共通商品券(1000円):902円
・JCBギフトカード(1000円):902円
〈株主優待券〉
・JAL株主優待券:2,755円
・ANA株主優待券:2,290円
〈食品系ギフト券〉
・ビール券(457円):332円
・ジェフグルメカード(500円):432円
〈切手・はがき〉
・年賀はがき・はがき(62円):41円
・切手(100円):56円
〈レジャー・テーマパーク〉
・よみうりランド(パスポート):1,660円
・としまえん(パスポート):1,016円
※有効期限が3か月以上のパスポートに限る
〈外貨〉
・USドル(1ドル紙幣):96円
・USドル(25セント):7円
・ユーロ(5ユーロ紙幣):521円
・ユーロ(20セント):6円
・人民元(1元):12円
・イギリスポンド(5ポンド):549円
・オーストラリアドル(5ドル):284円
・韓国ウォン(1,000ウォン):65円
買い取り金額はあらかじめ、アプリ内で確認できる
サービス開始から2か月がたち、買い取り希望が多いアイテムの傾向も見えてきたそうです。中尾さんは「圧倒的に多いのは、テレホンカード、外貨、年賀状。この3つは今後使う予定がない(使える見込みがない)、という意味で共通しています」と説明。このほか、地方に住んでいる人が、自分の近所にはない百貨店の商品券の買い取りを希望するケースも多いということです。今後も交換できるアイテムは増やしていく予定で、中尾さんは「若者に人気のギフトカードなども取り扱っていきたいです」と話していました。
「Polletカード」をユーザーはどのように使っているのでしょうか?
「プリペイドカードは世の中に数多くありますが、『Polletカード』はイベントや身近な人へのプレゼントなど、いわゆる『ハレ消費』に多く使われているのが特徴的です。ちなみに、ディズニーランドでの利用も非常に多いです。日々の財布とは異なり、眠っていた資産からチャージしている『第2の財布』として、ちょっとしたぜいたくな体験にも抵抗なく利用できるのだと思います。
金券・外貨をチャージ対象のアイテムに加えましたが、そのほかのモノや眠らせている資産を『Polletカード』にチャージできるようにしていきたいと考えています。こうした世の中に散らばった資産を効活用することで、私たちは『Polletカード』をいわばヘソクリのように、生活費とは違う日常の楽しみに使ってくれればうれしいです」(中尾さん)
以上、「Polletカード」の仕組みや使い方について紹介してきました。使う見込みがなく、少額のため換金するのも面倒な金券・外貨を自宅にいながら換金・両替できるサービスは利便性が高いでしょう。さらに、キャッシュレス化が一層進むことが予想される中、チャージできるのが国内外で幅広く使えるVisaプリペイドカードなのもうれしいところ。
ただ、チャージ可能なアイテムの買い取り金額を上記で紹介しましたが、アイテムがたくさんあったり、金券ショップや銀行で換金・両替したほうがレートが高かったりするケースもあるでしょう。そうした意味で、これら既存のサービスと「Polletカード」のサービスを上手に使い分けるのが、消費者として賢い選択と言えるかもしれません。
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