こんにちは! 株主優待大好きブロガー、かすみです。「かすみちゃんの株主優待日記」というブログを19年続けています。
優待投資家にとって、ここ数年寂しい状況が続いていました。2020年ごろにはコロナ禍による業績悪化を受けて、21年から22年にかけては増配や自社株買いを優先する傾向が強まり、株主優待廃止を表明する企業が目立っていたからです。優待銘柄として人気のあったJTやオリックスが優待廃止を発表したのもこの時期です(両銘柄ともすでに廃止済みです)。
しかし、2023年に入ると潮目が少し変わってきました。優待を廃止する企業は依然として少なくないものの、サービス業や小売業を中心に、優待新設を発表する企業もじわりと増加してきたのです。これには、2024年から始まった新NISAを見込んで、個人投資家のすそ野を広げたい企業の狙いがあると見られています。
私もブログで優待新設のニュースは追っかけており、中にはかなり魅力的な銘柄も少なくありません。そこで今回は、2023年1月以降に新設や再開が発表された優待銘柄のうち、私がおすすめする10銘柄を紹介していきたいと思います。
(記事で紹介した各銘柄の株価は2024年6月13日の終値です)
2023年4月に優待新設が発表されると、優待ファンの間でも大きな話題となったのが良品計画です。同社は「無印良品」の企画開発や製造、国内外への出店を行っています。
優待内容ですが、8月末と2月末の年2回、100株を保有していると優待カードが贈られます。優待カードは新設当初、無印良品での買い物が5%オフになるというものでしたが、2024年8月優待から割引率が7%にアップすることが発表されています。
衣料品や生活雑貨、食品などを扱う無印良品は、シンプルなデザインで手ごろな価格の商品が多く、ファンも多いお店。優待カードは利用回数や金額に上限がなく、無印ファンにとってはメリットの大きい優待品と言えそうです。
良品計画の株価は6月13日時点で2,729円なので、100株なら272,900円で優待が受けられます。仮に無印良品で年間3万円の買い物をするなら、2,100円相当の割引が受けられます。このケースでいうと優待利回りは0.77%。予想配当利回り(1.47%)を合わせた総合利回りは2.24%になります。
優待カードの割引率は2024年8月優待から7%にアップします
良品計画(100株)
・無印良品で、7%オフで買い物できる優待カード(8月末、2月末)
セブン&アイ・ホールディングスも2024年4月に優待新設を発表し、話題を集めました。同社は傘下にセブン-イレブン、イトーヨーカドーなどを抱える総合小売企業です。
同社の優待は初年度にあたる今年は2024年8月末時点の株主、2025年以降は毎年2月末時点の株主が対象となります。その内容ですが、100株保有しているとセブン&アイ共通商品券2000円分が贈呈されます。
共通商品券はイトーヨーカドーやセブン-イレブンはもちろんのこと、ファミレスのデニーズやベビー用品のアカチャンホンポなど幅広いお店で利用可能です。優待利回りは1%前後とさほど高くはありませんが、この商品券はお釣りも出て利便性が高いので、今後人気を集める優待となりそうです。
なお、同社は2024年3月1日を効力発生日とする「1株→3株」の株式分割を実施。より少ない資金で優待を受けられるようになったのは、個人投資家にはメリットと言えそうです。
セブン&アイ・ホールディングスの株価は6月13日時点で2,026.5円なので、100株なら202,650円で優待が受けられます。優待利回り(0.99%)と予想配当利回り(1.97%)を合わせた総合利回りは2.96%になります。
贈呈されるセブン&アイ共通商品券は、セブン‐イレブンなど使える店舗が多いのがメリット
セブン&アイ・ホールディングスの株主優待(100株)
・セブン&アイ共通商品券2000円分(2024年のみ8月末、25年以降は2月末)
高級アイスがもらえる、ちょっとうれしい優待を新設したのがアイスコ。同社は関東や東海地方を中心に、食品スーパーやドラッグストア向けにアイスクリームや冷凍食品の卸売りを行っています。
優待内容ですが、9月末と3月末の年2回、100株を保有しているとハーゲンダッツギフト券4枚が贈られます。ハーゲンダッツギフト券は全国のコンビニやスーパーで、1枚につきミニカップ・クリスピーサンド・バーのいずれか2個と交換可能です。ハーゲンダッツギフト券を贈る優待は少なく貴重な存在です。
なお、同社は優待新設と同時に、2024年10月1日を効力発生日とする「1株→2株」の株式分割を行うことも発表。2分割後もギフト券の贈呈枚数は変わらないので、2025年3月優待からは実質的に内容が拡充されることになります。
アイスコの株価は6月13日時点で2,392円なので、100株なら239,200円で優待が受けられます。ハーゲンダッツギフト券の希望小売価格は1枚814円。これを基に優待利回りを計算すると2.72%。予想配当利回り(1.19%)を合わせた総合利回りは3.91%になります。
ミニカップなどと交換可能なハーゲンダッツギフト券が贈呈されます
アイスコの株主優待(100株)
・ハーゲンダッツギフト券(9月末、3月末)
ソフトバンクも、高い優待利回りが見込めることから注目を集める新設優待。同社はSoftBank、Y!mobileなどのブランドで携帯事業を展開しています。
優待内容ですが、3月末時点で100株を「1年以上」継続保有していると、PayPayポイント1,000Pが贈呈されます。PayPayポイントはPayPayでの決済時に「1P=1円」で利用可能です。2026年3月末が優待の初回となり、2025年3月末から26年3月末まで100株以上の継続保有が条件となります。
また、同社は優待導入と同時に、2024年10月1日を効力発生日とする「1株→10株」の株式分割を行うことも発表。つまり分割前に、単元未満株取り引きで10株購入し、そのまま26年3月末まで保有を続けていれば優待の対象になります(ただし、分割前に購入すると、2年弱の長期保有となる点には留意しておきましょう)。
2024年6月13日時点の株価(終値1,959円)で計算すると、優待利回りは5%超と高水準。ソフトバンクは配当利回りが4%超ある点も魅力のひとつとなっています。
ソフトバンクの株価は6月13日時点で1,959円で、10分割後の株価を195.9円と仮定すると、19,590円で優待が受けられます。優待利回り(5.10%)と配当利回り(4.39%)を合わせた総合利回りは9.49%になります。
PayPayポイント1,000Pが贈呈されるソフトバンクの優待
ソフトバンクの株主優待(100株)
・PayPayポイント1,000P(3月末)
※2026年3月末が優待の初回で、1年以上の継続保有が条件
2024年5月に導入が発表されたオカムラ食品工業の優待は、魅力的な特産品。同社はサーモンの養殖事業や、イクラや筋子などの水産加工品を製造、販売しています。
優待内容ですが、6月末に100株保有していると、自社で養殖・加工した約5,000円相当の食品が贈呈されます。今年は青森県産サーモンのお刺身(2柵)と焼き魚用切り身(2切れ)、筋子の一夜漬けの3点セット。同社のサーモンはブランド品としてネット通販で好評で、優待品としても人気を集めそうです。
オカムラ食品工業の株価は6月13日時点で3,365円なので、100株なら336,500円で優待が受けられます。優待利回り(1.49%)と予想配当利回り(1.01%)を合わせた総合利回りは2.50%になります。
脂ののったサーモンのお刺身などが贈呈されます(写真は同社公式サイトより)
オカムラ食品工業の株主優待(100株)
・5,000円相当の自社の養殖品や加工品(6月末)
高級料理とされているうな丼やうな重を、手ごろな価格で提供するファストフード店が今、ちょっとしたブームになっています。そんなうなぎチェーン店で使える食事券を贈呈するのがG‐FACTORYの優待。同社は2022年に優待(QUOカード)を廃止しており、内容を新しくして再開する形となります。
同社は飲食店の出店支援のほか、うなぎチェーン店「名代 宇奈とと」を各地に展開しています。同店は「うな丼」が590円、「うな重」は960円などと格安でうなぎを食べられるのが特徴。店舗数は拡大しており、現在、国内外で約100店舗を展開しています。
2024年4月に発表された優待内容ですが、12月末時点で100株保有していると、「宇奈とと」などの同社グループ店舗(国内直営店舗および国内ライセンス店舗)で使える食事券3,000円相当が贈呈されます。
「宇奈とと」は東京都内にも約20店舗あり、SNSでもコスパの高さを評価する声が多いので、優待を取得して足を運んでみたいと思っています。現状の株価だと5万円前後の資金で優待を受けられるので、初心者の方にもおすすめできる銘柄です。
G‐FACTORYの株価は6月13日時点で471円なので、100株なら47,100円で優待が受けられます。優待利回りは6.37%で、2024年12月期は無配の予想です。
贈呈される食事券は「名代 宇奈とと」などで利用可能です(画像は「宇奈とと」公式サイトより)
G‐FACTORYの株主優待(100株)
・「名代 宇奈とと」などで使える食事券3,000円分(12月末)
2023年12月から開始したピーエイの優待は人気のQUOカードが贈呈され、優待利回りが高いのが魅力。同社は無料の求人情報誌や人材派遣業などを行っている企業です。
優待内容ですが、12月末に300株保有しているとQUOカード3,000円分と、同社が運営するカフェや居酒屋などの複合施設「Craft Village NISHIKOYAMA」(東京都目黒区)で使えるドリンク券2,000円分が贈られます。
QUOカード優待は500〜1,000円分贈呈が多い中、3,000円分贈呈されるのはうれしい点です。さらに、2024年12月優待からは「1年以上」の継続保有で5,000円分にアップするので、長期保有を検討する価値もありそうです。
ピーエイの株価は6月13日時点で326円なので、300株なら97,800円で優待が受けられます。優待利回りはドリンク券2,000円分を含めると、1年未満の保有(QUOカード3,000円分贈呈)で5.11%、1年以上長期保有(QUOカード5,000円分贈呈)した場合は7.16%になります。なお、2024年12月期は無配の予想となっています。
使えるお店が多いQUOカードが3,000円分も贈られるのは、かなり魅力的です
ピーエイの株主優待(100株)
・QUOカード3,000円分(12月末)
西華産業も2023年11月にQUOカード優待の新設を発表、こちらは高配当株としても人気のある銘柄です。同社は三菱系の機械商社で、電力会社向けに発電設備などを提供しています。
優待内容ですが、3月末に100株保有していると、QUOカード1,000円分が贈呈されます。QUOカードはコンビニや大手書店など幅広いお店で使えて、利用期限がないのもメリット。この銘柄は、配当利回りが4%台半ばと高水準なので、インカムゲインも期待できる銘柄だと思っています。
西華産業の株価は6月13日時点で4,210円なので、100株なら421,000円で優待が受けられます。優待利回り(0.24%)と予想配当利回り(4.28%)を合わせた総合利回りは4.52%になります。
西華産業の優待はQUOカード1,000円分。この銘柄は配当利回りの高さも魅力です
西華産業の株主優待(100株)
・QUOカード1,000円分(3月末)
サイバーエージェントが2023年9月から始めた優待は、動画配信サービスを楽しみたい方にはピッタリの内容。同社はネット広告事業のほか、テレビ朝日と共同でインターネットTV「ABEMA」を運営しています。
優待内容ですが、9月末に100株保有していると、「ABEMA」プレミアム3か月無料クーポンが贈られます。「ABEMA」は無料会員のままでも、一部の番組を視聴することはできますが、月額960円のプレミアム会員になると、基本的にすべての番組が見放題(一部追加で購入が必要なコンテンツがあります)。広告なしで再生可能となり、事前にダウンロードして、外出先で動画を楽しむこともできます。
ABEMAはスポーツ中継や独自のバラエティ番組、将棋など多彩なテーマの動画を配信しており、私は主に麻雀のコンテンツを見たくて、こちらの銘柄を取得しました。
サイバーエージェントの株価は6月13日時点で949.9円なので、100株なら94,990円で優待が受けられます。優待利回り(3.03%)と予想配当利回り(1.58%)を合わせた総合利回りは4.61%になります。
「ABEMA」でお気に入りの番組があったため、私は12か月分無料のクーポンが贈呈される500株購入しました
サイバーエージェントの株主優待(100株)
・「ABEMA」プレミアム利用料3か月無料クーポン(9月末)
ワキタは2023年10月にホテル優待の新設を発表、1万円分の宿泊利用券が贈呈されるとあって注目を集めています。同社は建築機械の販売・レンタルのほか、不動産事業やホテル経営も行っています。
優待内容ですが、2月末に100株保有していると大阪府内に2つある「ホテルコルディア」の宿泊優待券1万円分(1,000円券×10枚)が贈呈されます。新型コロナウイルスが5類に移行されて以降、私は旅行をひんぱんにするようになったので購入を決めた銘柄です。
使えるホテルが大阪に限定されるのは難点ですが、最近は宿泊料金が上がっているので高額の利用券が贈呈されるのはうれしいところ。関西方面に住んでいたり、関西旅行をしたりする際には重宝しそうです。
ワキタの株価は6月13日時点で1,685円なので、100株なら168,500円で優待が受けられます。優待利回り(5.93%)と予想配当利回り(4.15%)を合わせた総合利回りは10.08%になります。
優待で送られてきた「ホテルコルディア」の宿泊優待券。関西旅行の際に使う予定です
ワキタの株主優待(100株)
・大阪に2か所ある「ホテルコルディア」で使える宿泊優待券1万円分(2月末)
以上、私が注目する2023年以降に新設された優待10銘柄を紹介してきました。
無印良品の買い物カード(7%オフ)やセブン&アイ共通商品券2000円分、ハーゲンダッツギフト券などが代表例と言えそうですが、ここに来て、私たちの生活に身近なアイテムを提供する優待がぐっと増えてきた印象です。魅力的な新設優待が発表された際には、毎月の優待記事でも取り上げていきたいと思っています。
株主優待を受けるためには、証券口座を通じて株を買い、権利付き最終売買日に保有している必要があります。ネット証券であれば基本的にネット上の手続きで証券口座の開設が完了できます。
売却益や配当金などが非課税になる新NISAも、投資家にとってかなり使いやすくなって2024年1月からスタートしています。ぜひ下にある人気のネット証券やキャンペーン情報などを参考にして、証券口座の開設を検討してみてください。
※本記事は、執筆者個人の見解です。特定の銘柄を推奨するものではありません。