DJIと言えば、民生用ドローンや小型カメラが世界で数百万人のプロユーザーに支持されているメーカー、というのはご存じの方も多いはず。実は、このドローンの性能を支えているのが同社独自のバッテリー技術なんです。この10年ほどで、スマートバッテリーに関する特許を700以上も取得しており、同社製ドローンのバッテリーだけで累計数十億回もの充電サイクルを達成しているのだとか。
そんな技術を生かして作られたのが、ポータブル電源「DJI Power」シリーズ。高性能ドローン用としても使われているバッテリーの技術を基にしているから、その性能はすでに折り紙付きと言えそう!
DJIはドローンやアクションカメラのイメージが強いメーカーですが、実はポタ電もスゴいんです!
そのシリーズの中でも、最新の「DJI Power 1000 V2」は従来版から大幅なパワーアップを果たしたということで注目すべきモデル。はたしてその性能はどれほどなんでしょうか? 活用方法まで含め、解説します。
DJIが初のバッテリー製品を発売したのは2012年のこと。以降、数多くの関連特許を取得していることは先述しましたが……、要するに、バッテリーやポータブル電源でメジャーな他メーカーと比較しても別に新参者ではないぞ! というのは最初にアピールしておきたいところ。
実際、今回紹介する「DJI Power 1000 V2」は、1,024Whの大容量バッテリーと定格2,600Wという高出力を誇り、家庭用電化製品の99%をサポート。たとえば、電子レンジ(家庭用600W)の消費電力が900〜1,000Wですから、それを2台同時で使用してもまだ余裕というわけです。
ドローンの高いバッテリー技術が生かされているハイパワーなポータブル電源「DJI Power 1000 V2」
アウトドアシーンで使う機会もある電気ケトルやIHクッキングヒーターといった調理家電は全般的に1,000W超えのものが多いので、そういった用途を考えているなら、やはり2,600Wという出力は非常に魅力的でしょう。
そんな出力の高さに合わせ、出力ポートも以下のものが搭載されています。
・AC出力ポート×4
・USB Type-C×2
・USB Type-A×2
・SDC×1
・SDC Lite×1
複数人でスマホを充電したり、家電をいくつか同時に使ったりする場合には、このポートの多さは効いてきそう。
出力ポートは計10口。中央下部のUSB Type-Cポートはそれぞれ140W出力で、ノートPCの高速充電などにも対応します
入力(充電)についても触れておきましょう。
家庭用コンセントに接続すれば、ゼロから80%までたったの37分! フル充電でも約56分と、この充電時間の速さにはちょっと驚きました。また、専用のソーラーパネルを使えば、天候によってはフル充電まで約40分。自動車の車内電源でも約78分で充電が可能です。
コンセントにつなげば、1時間かからずフル充電完了。早すぎる!
キャンプ中でも、別売りのDJI「Zignes 120W ソーラーパネル」で充電すれば、より長時間の電源運用が可能です
安全性に関しては、そもそもドローン用スマートバッテリーで数十億回の充電実績があるという点で、その安心感はかなり高いでしょう。
実際、「DJI Power 1000 V2」が搭載する新世代の「リン酸鉄リチウムイオン (LiFePO4) バッテリーセル」は、従来のリチウムイオンバッテリーと比較して安全性が高い(=高温環境下での発火・熱暴走のリスクがとても低い)うえに、4,000回の充放電後でも80%以上の容量を維持できるという長寿命もメリット。4,000回と言ってもピンとこないかもしれませんが、充電100%→0%を毎日繰り返しても単純計算で10年以上。しかも、万が一のトラブルがあっても、保証期間が5年付いているので安心です。
ちなみに、DJIは日本国内にアフターサービスチームを有しているため、365日、素早く対応できるサポート体制を持っています。これもユーザーとしては安心材料。アフターサービスの詳細は、こちらで確認できます。
難燃性ハウジングに、安全性の高い「リン酸鉄リチウムイオンセル」を搭載
本体の難燃性ハウジングも非常に高強度で、静的荷重で最大1トンを支えられます。落下や衝撃による発火の心配もなし。また内部は、雨や結露、塩水噴霧といった環境下でもインバーターを保護する構造なので、海辺のキャンプや高地でのドライブでも安心して使えます。アウトドアシーンで使う機会も多いポータブル電源ですから、こういった頑丈さも大事なポイントなわけです。
防災製品としても、防災・消防・医療・製品技術などの専門家による厳しい審査をクリア済み
「DJI Power 1000 V2」は、防災用品としても申し分ありません。「一般社団法人 防災安全協会」の規定する審査に合格した「防災製品等推奨品マーク」を取得しているので、いざというときの機能性も保証済み。
あと、同モデルの仕様には「最大で5,000mの高度でも使用可能」とありますが、これはもう日本国内では発揮しようのないほどの耐久性の高さですね。
続いては、「DJI Power 1000 V2」が実際にどういった場面で活躍できそうなのかをチェックしていきましょう。
使用回数・時間は、25度のラボ環境下で「DJI Power 1000 V2」を使用し、特定のブランド製品を充電した際の測定データ。データはあくまでも参考用で、実際の値は状況により異なる場合があります
まず想定できるのが、キャンプなどのアウトドアシーン。たとえば、冬期はキャンプのオフシーズンと思われがちですが、その分、キャンプサイトは空いているし、空気も澄んでいて景色はきれい。そして不愉快な虫が少ない……と、意外とアリな時期だったりもします(ただし雪が降らない限り)。
もちろん、防寒対策は必須ということでおすすめなのが、車中泊・テント泊ともに便利な電気毛布。消費電力もだいたい50〜60Wと少なめなので、1,024Whあればひと晩ずっと暖かいままで眠れます。何より、「DJI Power 1000 V2」は使用時の駆動音が約26dBと、大体「シーンと静まりかえったオフィス」ぐらい静かさなので、睡眠のジャマになることはまずないはず。
電気式のポータブル冷蔵庫(クーラーボックス)は釣りのお供として最適
逆に夏場のキャンプやバーベキューで絶対に欲しいのが、車載用のポータブル冷蔵庫。肉などの食材を保存しておくほか、冷たいビールなどのドリンク類をひんやりキープするには、やはりマストで使いたい。一般的なポータブル冷蔵庫はバッテリー搭載のものも多いですが、待機時間を考えると、やはり「DJI Power 1000 V2」のようなポータブル電源はあったほうが助かります。
加えて、電気式の虫除けや扇風機など、真夏の必須家電から、コーヒーメーカーやプロジェクターといった“アウトドアシーンにあるとうれしいギア”まで、大容量かつ出力系統の多い(AC電源用のコンセントだけでも4口!)「DJI Power 1000 V2」があれば、安心して使えそう。
ポートが多いので、出力の範囲内なら同時にいくつもの電化製品が使えて、車中泊の快適性も大幅アップ!
もうひとつ大きな使い道として考えられるのが、災害時停電用の非常電源としてです。
まず、情報収集や緊急連絡のためにスマホのバッテリー確保は最優先となりますが、ひとまず約57回の充電が可能なら心強いはず。Wi-Fiルーターなら約76.8時間使えます。
停電時には照明器具も必要ですが、キャンプ用ランプなら約92時間使用でき、とても安心。季節によっては冷蔵庫への電源供給も考えたいところで、こちらは約20時間稼働させられます。こういった大型家電の電源としても安心して使えるのは、大容量な「DJI Power 1000 V2」のメリットの1つと言えます。
いざという場合は、2,048Whの拡張バッテリー(別売り)を5台接続すれば、最大11,264Whもの電源供給が可能なのも頼もしいポイントです。
災害時にまず重要なのが電源の確保。別売りの拡張バッテリーを接続すれば、より長時間の使用が可能です
また、電動工具を使うDIY作業にも意外と便利。自宅の庭など、コンセントが使える場所ならまだしも、それ以外の屋外作業だと電源に困るシーンもしばしばありがち。
「DJI Power 1000 V2」なら、レシプロソーなどの切断工具なら稼働時間は40分ぐらいで、もっと大きなチェーンソーでも約29分。コンクリートなどを砕く電動ジャッキハンマーなら約1.2時間使えます。
なお、本体重量は約14.2kg。
コードレスタイプよりもハイパワーな有線式チェーンソーだって、「DJI Power 1000 V2」があれば場所やコンセントの有無を気にせず使えます
いかにもドローンメーカーならではといった感じですが、「DJI Power 1000 V2」はDJI製ドローンへの急速充電に対応した SDCポートを搭載しており、約12回の充電が可能。
SDCポート経由なら、DJI製ドローンへの充電は30分ほどで完了。バッテリーが3つあれば1日中ずっと飛行・撮影が可能です
ほかにも、デジカメは約59回、ノートPCは9回充電でき、撮影用の照明機材なら約1.2時間使えます。ひとまず電源として「DJI Power 1000 V2」が1台あれば、動画撮影などの屋外でのコンテンツ作成も本格的に対応できるでしょう。
また、専用アプリを経由すれば、その場で電力状況をリアルタイムに確認したり、AC出力のオン/オフを切り替えられたりするのも、そういった屋外作業で使いやすいポイントと言えそうです。
前章では、「『DJI Power 1000 V2』は何に使うにせよ、電源容量は余裕っす!」という説明しましたが、ポータブル電源の容量はいくらあってもいいものですからね。そこで念のため、さらに大容量の上位モデル「DJI Power 2000」も紹介しておきましょう。
こちらは2,048Whと「DJI Power 1000 V2」の2倍の容量で、とにかくパワフル。それでいて、サイズは1.4倍ぐらいのコンパクト設計を採用しています。なお、本体重量は約8kg重い約22kg。
容量が「DJI Power 1000 V2」の倍だから、より長時間使える「DJI Power 2000」
定格出力は2,700Wと、「DJI Power 1000 V2」の2,600Wからは少しアップしたぐらいですが、むしろこれだけ出力があれば、普通に使う分にはまず困りません。
実際、2,600Wの「DJI Power 1000 V2」ですら家庭内にあるほとんどの電化製品に対応しているわけですから、複数の出力系統を使ったとしても足りないと感じることはないはずです。
ちなみに出力ポートは 以下のとおり。
・AC出力ポート×4
・USB Type-C×4
・USB Type-A×4
・SDC×2
USBのポートが倍増しているのはうれしいポイントです。
「DJI Power 2000」は、そのほかの特徴として、難燃性ハウジングやインバーターを保護する構造、約1トンの耐荷重性能といった耐久性も「DJI Power 1000 V2」と同じ。「リン酸鉄リチウムイオンバッテリーセル」の高性能さも共通なので、基本的には予算と容量の差で選べばよさそうです。
「DJI Power 2000」は別売りの拡張バッテリーがあれば、災害時ライフラインの備えはより万全に!
「DJI Power 2000」も容量の拡張が可能。別売りの拡張バッテリーを最大10台まで接続でき、トータルで22,528Whまで拡張可能です。
一般的な戸建て4人世帯の家庭内電力消費が約14,500Wh/日とされているので、MAXまで拡張すれば1日分の電力が余裕で賄えてしまうというわけ。これは非常用電力として考えても安心感が半端ないです。
そう考えると、災害などへの万全の備えをしておくなら「DJI Power 2000」がベター。いっぽうで、重量は約8kg軽く、アウトドアや屋外作業に気軽に使えて、もちろん災害時停電にも……とマルチな用途を想定しているなら「DJI Power 1000 V2」を選ぶという考え方もできそうです。
「DJI Power 1000 V2」は、定格2,600Wという出力の高さと出力ポートの多さが魅力なので、電化製品を色々と使ってアウトドアを快適にしたい人にはがっちりハマりそう。また、ドローンの急速充電に対応した専用出力ポートを搭載していることを考慮すると、ドローン撮影を多用する動画クリエイターにとっては「これしかないでしょ!」と思えるほどのポータブル電源だと思います。
「DJI Power 1000 V2」は、安全、ハイパワー、長寿命、高速スピードと、ポータブル電源に欲しい機能と性能が全部盛り!
加えて、「DJI Power 1000 V2」はハイパワーだけではなく、フル充電まで56分という軽快さで運用しやすいのも大きなポイント。屋外であれこれ使い倒していても、帰宅してその場で充電すれば、いざ災害が発生しても備えとしてすぐに使えて安心です。
もちろん、そういった備えとして考えるなら信頼性も重要ですが、そこはもうドローン用バッテリーとして数十億回分というとんでもない量の実績がDJIにはあるわけで……。安心・安全に十分な電源を確保したい! というなら、「DJI Power 1000 V2」は選んじゃって間違いなさそうです。