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「操作性を犠牲にしても飛ばしたい」プロゴルファー藤田寛之が「RMX」18年モデルを語る

こんにちは、オグさんです。今回は、2012年の日本ツアー賞金王、藤田寛之プロに「ヤマハ」とそのモノ作りについて熱く語っていただきました! 前半では藤田プロが長年契約を続けるヤマハとの関係やクラブへのこだわりなどを伺い、後半では藤田プロ愛用モデルなどを私が実際に打ってみて、ヤマハのクラブが持つ性能や魅力を肌で感じてみたいと思います。

ヤマハは使い手のことをよく考えて作っていると思う

藤田寛之(ふじた・ひろゆき)1969年生まれ。少年時代は野球に熱中するも父の影響でゴルフを始め、高校時代に頭角を現す。92年にプロ転向し、97年に初優勝。年齢を重ねるごとに成績を上げ、2012年は年間4勝を挙げて初の賞金王に輝いた。40代に入って勝ち星を重ねていることから「中年の星」と呼ばれる人気プレイヤー

小倉:藤田プロは一途にヤマハと契約を続けていらっしゃいますが、契約に至った経緯、藤田プロから見るヤマハというメーカーの印象というのをお聞かせいただけますでしょうか。

藤田:プロになった当初、所属していたゴルフ場が静岡県にある葛城ゴルフ倶楽部でした。今も所属し、練習やトレーニングに使わせてもらっているのですが、その葛城がヤマハの持ち物ということでギアを使うことになりました。上級者向けのクラブが当時のヤマハにはなく、工夫をしないとプロは使えないという時代が長くありましたね。そこから「パワーマジック」「インプレス」「RMX(リミックス)」とクラブブランドが育つにつれて上級者向けの思考も育ち、それに並行してアベレージゴルファーも使えるクラブも熟成していった印象があります。会社としての印象は、「真面目」「正直」といったイメージです。ピアノとか楽器を繊細に作ってきているんで、品質に関して「いいものを作ろう」というこだわりを持っているのだと思います。音楽とつながるかはわかりませんが、ゴルフクラブも楽器も“人が使う道具”としてていねいに作っている。「使い手を深く考えているメーカー」だと感じますね。

小倉:藤田プロとヤマハというメーカーの関係は、ほかのプロとメーカーとの関係より近いというか、より綿密なつながりがあると見受けられるのですが、いかがでしょう。特にクラブの開発に関しては、藤田プロの意見が色濃くクラブに反映されているように思えます。

藤田:ちょうどインプレスブランドが立ち上がるころですかね、「プロの意見に耳を傾けよう」といった流れがヤマハに生まれました。もともといろいろなプロから意見を聞こうという感じではなくて、自分たちの中(葛城ゴルフ倶楽部)から生まれたプロの意見を聞こうという流れから始まったもので、それが長く続いていつしか対話するような感じになりました。今ヤマハのフラッグシップと呼ばれるシリーズは私が使うクラブとして販売されていますが、さまざまなクラブを打ってその感想をいっているだけですから、そんな大それたことはしてないんですよ(笑)。

今までより飛ぶなら、多少の操作性は捨ててもいい

小倉:今お使いのRMX118ドライバー、RMX018アイアンがまさにそうですが、どのへんに藤田プロの感想、ご意見が反映されているのでしょうか?

藤田:今までヤマハの上級者向けモデルのイメージは、やや小さめのヘッドを採用してボールコントロールに重きを置いた設計で、それを使いやすくしてアベレージモデルに落とし込んでいく流れだったと思うんですけど、僕が長くツアーを戦っている中で、プロの使うクラブの中にも道具の進化、変化というのを感じ取っていました。直進性だったり、芯の広さだったり、マニュアル(クラブの操作性を重視し、弾道を緻密にコントロールしていく考え方)からオートマチック(少々弾道がズレても気にせず、直線的な弾道で飛距離を重視していく考え方)への流れっていうのかな。その流れに我々もシフトしていかないといけないじゃないかなというのを感じて、ヤマハとしてもその流れに乗るということを多少は考えてはどうか? と。私自身トラックマン(弾道測定器)を使っていますので、データや傾向も分析したうえで提案しました。そして出来上がったのが今回のRMX118ドライバー、RMX018アイアンです。RMX118ドライバーは、従来のヤマハのクラブと比べてガラッとシフトチェンジしていて直進安定性や芯の広さは大きく進歩しています。もちろん自分の意見が100%通ったとは思わないですし、ヤマハの中でも議論を交わし、方向性を決めて開発されていると思うんですけど、自分の提案というのがかなり響いたのかなと思っています。その表れが「藤田を超えろ」というキャッチコピーになっていると思います。

小倉:藤田プロはボールを操作して攻めるといった印象があるのですが、正直違和感はなかったですか?

藤田:正直僕は、球筋を操作したり、いろいろやりたいほうなんですよ。そんな自分がマニュアルタイプの操作性を捨ててオートマチックに乗り換える場合「ある程度の飛距離アップが欲しい」というやり取りはしました。ツアープロの世界でもティーショットはガンと飛ばしていくといった流れはありますし、自分ももうすぐシニアという年齢まで来ていますので。とにかくクラブに助けてもらいたいという思いが若い頃よりも強くあります。今までのクラブより飛距離が出るなら多少の操作性を捨ててでも使いたい。今回のクラブはそんな思いに応えてくれるクラブに仕上がっています。

”飛ぶアスリートアイアン”があってもいいんじゃないか

小倉:ヤマハには、RMXのほかに、ぶっ飛びアイアン「インプレス UD+2」などのモデルも存在し、とてもよく売れています。こういったモデルを藤田プロはどう捉えていらっしゃいますか?

藤田:UD+2は飛距離に特化したクラブじゃないですか。昔はここまで飛んだのに飛ばなくなってきたとか、飛距離が出ない方に対して夢を与えるクラブだと思っています。我々プロはアイアンに対して飛距離性能をあまり必要としていません。飛んでしまうとスコアメイクのじゃまをするところがあるから。ただ、ドライバーやユーティリティーなどの長いクラブがどんどん飛距離アップしていますよね、するとアイアンだけ従来どおりだと飛距離の隙間ができてしまいますよ。その隙間を別のクラブで埋めるのもいいですが、アイアンもほかのクラブに合わせて飛距離を伸ばすべきじゃないのかという思いが、自分の中にあります。実は「飛ぶアスリートアイアン」なんていうクラブもあっていいんじゃないかと思っています。

小倉:それ、すごく興味あります!!

予定の時間を過ぎても、ゴルフやクラブへの思い、考えを私たちに語ってくれた藤田プロ。もうすぐシニアも視野に入る年齢ですが、「あくまで自分はレギュラーツアーにこだわりたい」と力強くおっしゃっていました。藤田プロ、本日はありがとうございました。そして、ずっと応援しています!!

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RMXのドライバーとアイアンを試打

操作性よりも飛距離のメリットが大きいと藤田プロにいわしめた今回のRMXの18年モデル。ここからは、私が実際に打って試してみたいと思います。

今回も「スカイトラック」という計測器を用いてモデルの違いを見ていきます

今回も「スカイトラック」という計測器を用いてモデルの違いを見ていきます

まず2種類あるドライバーから打ってみる

RMXの18年モデルにはドライバーが「118」「218」の2種類あります。118は藤田プロをはじめ、上級者が使いやすいように設計されたモデル。218はアベレージゴルファーがいい結果を得られやすいように設計されています。

■試打1:RMX 118 ドライバー
上級者がミスを恐れずたたける

上級者向けのモデルには比較的少ないソール後方にウェイトを装着。重心を比較的深めにして打点のミスの幅を軽減させているのでしょう

スパッとナイフで切ったようなフェース面の見え方で、目標に構えやすく、小ぶりで引き締まった形状。左に行くイメージを沸かさない上級者好みの顔です

まずは118から。冒頭のインタビューにも出てきた藤田プロ使用モデル。藤田プロの意向が反映されているモデルで、上級者には定評のあるシリーズです。ヘッドサイズは445cc、大きすぎない引き締まったフォルムで上級者の嫌う左に行くイメージを感じさせません。不安なくたたけるヘッドです。藤田プロは直進性を強調していましたが、操作性がないわけではありません。大きく曲げようとすると思ったよりは曲がらないといった印象で、ドロー、フェードレベルであれば十分操ることができました。ミスをしたときに大きなケガにならなそうな、絶妙なところだと思います。芯を外したときの飛距離ロスも少なめで、上級者がミスを恐れずにガンガン振っていける、そんなクラブです。

ドロー、フェードは問題なく打てますが、大きく曲げようとしても直進性が高いのであまり曲げられません。強く前に飛ぶ低スピン弾道で、かなりの飛距離が出ました

■試打2:RMX 218 ドライバー
投影面積が大きくやさしいモデル

ウェイトをソール後方ややヒールよりに装着し、打点ミスへの強さとボールのつかまりを演出しています

ウェイトをソール後方ややヒールよりに装着し、打点ミスへの強さとボールのつかまりを演出しています

投影面積が大きく安心できる形状。こちらのモデルも118同様にフェースのマスキングがシャープで、どこを向いているかわかりやすい仕上げになっています

続いて218。こちらはアベレージゴルファーに向けたいわゆる「やさしい」モデル。投影面積の大きい460ccヘッドにヘッド後方を低くしたシャローバック形状を採用。ロフト以上にボールが上がりやすく、さらに打点のミスに強く仕上がっています。ボールのつかまりもよく、ややスライス傾向にあるゴルファーでも強い弾道が打ちやすいクラブです。弾道データはやや引っかけてしまったので打ち出し角がちょっと低めですが、低スピンの強い弾道で飛んでいます。打点を少々外しても打ち出す方向が変わりにくく、結果の出しやすいドライバーといえますね。

ストレートボールを意識してスイングすると、しっかりつかまった弾道が出ました。118同様、低スピンで前に飛ぶ弾道です。これだけ左に打ち出せば強いフックになりやすいのですが、結果は軽いドローに。218も直進性の高い仕上がりです

2つのドライバー、比べてみると形状やウェイト位置がそのまま性質に表れています。ヘッドが小ぶりで後方を高めに設計し、いたずらに低重心を追求せず強弾道を打ちやすくしている118に対して、ヘッドを大きく後方を低く設計した218はできるだけ重心を深く低くし、ミスへの強さと高弾道低スピンの弾道が打ちやすいようになっています。

118(上)は上級者がたたいても強弾道が打ちやすいハイバック、218はボールが上がりやすいシャローバックになっています

ウェイト位置は、そのクラブの性能を見極めるいいポイント。小ぶりなヘッドの後方正面の位置は、ニュートラルなつかまり性能を持ち、適度なミスへの強さを生むポジション(118・左)。大きなヘッドの後方ヒール側にある場合は、つかまりとボールの上がりやすさ、ミスへの強さにつながるポジションです(218・右)

続いて3種類のアイアンをテスト

RMX18年モデル、アイアンは3モデルがラインアップ。「018ツアーモデル」は”藤田スペシャル”といってもいい数量限定のツアーモデル。「118」はやさしさと操作性を兼ね備えたアスリートモデル。「218」はアスリートが求める性能を持ちながら、ミスへの許容度を高め、飛距離も追求した欲張りなモデルです。

■試打3:RMX 018 ツアーモデル アイアン
フィーリングを重視した作り

2000セット限定の藤田プロ使用モデル。藤田プロが打ちたい場所と芯が一致したといわしめた逸品。飛距離も5ヤードほど伸びたという

まずは藤田プロの思いや要望ががっつり詰まった018ツアーモデルから。小ぶりでシャープな形状に、クラシカルなロフト設定。ソール幅も狭く、ヌケを重視した設計になっています。軟鉄鍛造ヘッドに焼きなまし製法という手間のかかった作りで、ツアーモデルらしくフィーリングを重視した作りになっています。しっかりとダウンブローにボールを捉えたときは、気持ちいい打感を味わわせてくれ、スイングを正確にボールに反映させてくれます。半面、ミスをしたときは、打感と弾道でどんなミスをしたかすぐに教えてくれる。このアイアンで練習したら上達スピードがとても上がりそう。藤田プロ曰く、「自分が打ちたいと思う場所に芯があるアイアン。前モデルより距離が5ヤードぐらい伸びた」とのこと。このアイアンで、毎回芯で打てるようになれば藤田プロと同じ感覚? が味わえる珠玉のアイアンです。限定発売なので欲しい方はお早めに!!

■試打4:RMX 118 アイアン
やさしいアスリートアイアン

軟鉄鍛造で打感のいいヘッドに、適度なつかまりと飛距離を併せ持つ。現代のドライバーから流れにうまくマッチするアイアン

次に118をチェック。軟鉄鍛造ヘッドに、アスリートモデルとしては比較的大きめなヘッドにセミグースネックを採用した安心感と適度なつかまりを持っています。操作性はアスリートモデルとして必要十分でありながら、ミスへのやさしさを感じるモデルです。私が打った印象では、ストレートボールを打てばわずかにドローするぐらいのつかまりで、フェードやスライスといった逃がしのボールも容易に打てます。ロフトもアスリートモデルとしては立っているほうなので飛距離も出しやすい。インタビューでお話していた藤田プロの意見が、こちらも色濃く反映されている仕上がりです。

直進性能が高く、打点のミスに強いアイアン。飛距離も出しやすく、シンプルに攻めていきたい方向け

直進性能が高く、打点のミスに強いアイアン。飛距離も出しやすく、シンプルに攻めていきたい方向け

■試打5:RMX 218 アイアン
直進性の高い球でシンプルに攻める

直進性能が高く、打点のミスに強いアイアン。飛距離も出しやすく、シンプルに攻めていきたい方向け。グースは118よりも少し強めになり、よりボールがつかまるようになってはいるが、過度ではなく、決してスライス防止のお助けアイアンではありません

最後に218。このモデルはアスリートが使える最もオートマチックなアイアンといった印象。インテンショナルに操作しようとすると多少は受け付けてくれますが、せいぜい気持ち程度。直進性の高い球で目標に向かってシンプルに攻める、そんな使い方がしっくりくる仕上がりです。飛距離も018と比べてはなんですが、1番手以上飛びますね。ただアスリートブランドであるRMXの名がついているだけあって、つかまることはつかまりますがスライサーが使うような強めのつかまりはありません。ほかのアスリートモデルと比べて少しだけつかまるといった感じ。打点のミスに強いアイアンが欲しいけど左のミスは避けたい、なんてゴルファーにピッタリだと思います。

ぶっ飛びアイアン「UD+2」

上記のRMXシリーズのほかに、ヤマハにはエンジョイゴルファー向けのブランドとして「インプレス」があります。その代表モデルが「インプレスUD+2」。こちらは飛距離を追い求めたアイアンとして大人気。本連載でもこのモデルの飛距離について紹介しました。

とにかく飛距離を出せるアイアン。市場でも大きな人気を呼んでいます

とにかく飛距離を出せるアイアン。市場でも大きな人気を呼んでいます

打ち方の違いでアイアンを選ぶ

RMXのアイアンは、藤田プロが使う018ツアーモデルと、118、218ではそれぞれターゲットが微妙に違います。RMXシリーズですから当然アスリートゴルファー向けではあるのですが、018はしっかり上からダウンブローにボールを捉えられるゴルファーに向けた設計に、118、218はそこまで技術や打ち方がシビアでなくても結果が得られやすいように設計されています。その根拠として挙げられるのがソールの形状。018はソール幅が狭く、ダウンブローはもちろん、払うように打ってもバンスがじゃまをしないようになっているのでさまざまなテクニックが使えるようにできています。それに対して118、218は、ややソール幅が広く、多少ダフっても滑るように設計されています。誤解を恐れずに書けば、018は100%打ち手のテクニックを発揮できるように設計されていて、118、218は、テクニックも使えるようにしつつ、ミスの補正能力も持たせてあると感じました。

018はしっかりとボールを上から捉えていく前提の設計(上)、118,218は多少の操作性を持たせつつ、ミスへの補正能力も併せ持つ設計になっています(下)。118と218はレベルブローに打ってもボールが上がりやすく少々のダフりはソールが滑って許容してくれる。腕前に合わせて選ぶとよい結果が得られるようになっているのです

ダウンブローにボールを捉える打ち方は、ボールを細かくコントロールするには有効な技術です。しかしインパクトのタイミングが非常に狭く、ミスしたときのケガの度合いが大きくなりやすい打ち方です。安定してダウンブローに打てるゴルファーはそれなりの技術を持った上級者といえます。対して払うようにレベルブローで捉える打ち方は、操作性よりも直進性や飛距離を重視した現代の低重心アイアンにマッチした打ち方。細かなコントロールは効きづらくなりますが、大きなミスになりにくい。018はまさにダウンブローでボールを操るように設計されていて、118、218はダウンブローに打つこともできるし、レベルブローに打つと結果が出やすいように設計されている印象を受けました。

今回のまとめ

今回藤田プロにお話を聞くことができ、藤田プロがツアーで結果が出せた理由がわかった気がしました。真面目でゴルフに対して真摯に向き合う姿勢、そしてその藤田プロと向かい合って、真面目にモノづくりをするヤマハというメーカーが作るクラブがあってこその結果なんだなと感じました。

小倉勇人

小倉勇人

ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。

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