こんにちは、オグさんです。
今回は本間ゴルフのニューモデル「ツアーワールド TW747」シリーズを試打しました。
ドライバー2種(×シャフト3種)、FW、UT、アイアン2種を試打しました
本間ゴルフは歴史のあるゴルフギアメーカーです。ウッドクラブの素材が文字どおり木材だった頃より、アベレージゴルファーからトッププロまで幅広い層を満足させるていねいなクラブ作りを特長としてきました。今でこそさまざまなショップで販売されていますが、昔は全国に展開した自社ショップのみでの販売だったり、桐(きり)の箱に入った超高級グレードのクラブをラインアップしたりと、独特な魅力を持つメーカーでもあります。
今回試打させていただいたのはツアーワールドTW747シリーズですが、TWはTour Worldの略。ブランド名のイニシャルがクラブ名にもなっており、同社が力を入れているアスリート向けのシリーズです。2013年に「TW717」シリーズが発売され、TW727、同737と続いて今回で4代目。ツアープロや上級アスリートのニーズに応えるクラブがそろっています。同社はほかに、アベレージゴルファーに向けた「BeZEAL(ビジール)」、シニア層に向けた「BERES(ベレス)」というシリーズも展開しています。
まずはドライバーから試打していきましょう。ドライバーは今どきのモデルらしく2種類のヘッドが用意されています。適度なつかまり性能とロースピン性能を持つ「TW747 460(以下460)」と、つかまり性能は控えめでロースピン性能を持たせた「TW747 455(以下455)」です。モデルの数字はヘッド体積を表しています。体積だけでいえば、460はルール上限、455はちょっと小ぶりということ。共通項は、適度な弾き感が気持ちいい打感と、風に強いロースピンの弾道。今どきのアスリートモデルらしく、弾道をガンガン操作して攻めるというよりは、曲がりを抑えつつ強い弾道で飛ばしていくのが合っています。飛距離性能はどちらも高く仕上がっています!
クラウンのトゥ側、ヒール側に柔らかい角を付けた特徴のある形状をしていて、投影面積は広め。ヒール側に適度なボリューム感を持たせることで適度につかまりそうな視覚的やさしさがあります
460はスイング軌道に対してニュートラルな球筋が出やすく、ドローやフェードといった弾道が作りやすかったです。
455は460と比べてひと回り小ぶり。ややトゥ側にボリュームを持たせることで、ハードヒットしても左に飛ぶイメージが湧きにくい。アスリートが好む形状です
455はやや強めにボールをつかまえにいってもつかまり過ぎず、しっかりたたいていけるヘッド。左のミスを嫌がる上級者にはもってこいだと思います。弾道も460よりこちらのほうがより強い(さらに低スピンで中弾道)印象があります。
どちらのヘッドも、技術があるゴルファーが使うほど操作しやすく飛距離も出しやすい印象を持ちました。後述しますが、3種類あるオリジナルのシャフトを選ぶことでさまざまなスイングタイプに合わせられる、まさにアスリートのためのクラブといった仕上がりです。
本間ゴルフは自社でシャフトを作れる数少ないメーカーの1つ。TW747シリーズには3つのシャフトが用意されており、ヘッド×2、シャフト×3、計6つの組み合わせの中から自分に合ったドライバーを選ぶことができるのです。このあたりからも、同社の技術力やクラブに対しての思いが伝わってきます。
本間ゴルフのシャフトのブランドは「VIZARD(ヴィザード)」といい、TW747ドライバーに用意されるのは下記のシャフトです(写真上から順に)。
・VIZARD For TW―50g台 フレックスR,SR,S(中調子)
・FD―50,60,70,80g台 フレックスR,SR,S,X(中先調子 Rは50g台のみ、70、80g台はSとXのみ)
・FP―50,60,70,80g台 フレックスR,SR,S,X(手元調子 同上)
ある程度つかまり性能を持たせて平均飛距離が伸びそうなVIZARDを標準とし、スイングタイプや好みの弾道に合わせた2タイプがラインアップされています。後者のシャフト2タイプは重量帯をしっかり用意してきているのがすばらしいですね! それぞれのシャフトの印象は下記のとおり。
VIZARDはつかまりがよく、強振する人よりはスインガータイプに合いそう。インパクト付近で球を押し込む動きを感じます。強い球が自然と出やすい印象で、しなりが比較的大きいのですが、スピンが増え過ぎることはありませんでした。
VIZARDは適度なつかまり性能を持っていて、パワーがそれほどなくてもシャフトが仕事してくれる印象
FDはたたきに行きたい人、ハードヒッター向けという印象。手元側が硬めで先端がしなる感触ですが、たたいてもつかまり過ぎず、安心して振っていけるシャフトです。
FDはしっかりヘッドを走らせてくれつつ、ハードヒットしても付いてきてくれる頼りがいがあります
FPは手元側にしなりのピークを作ることでつかまりを抑えてある印象。フック系の弾道を好まないゴルファーにおすすめの特性で、ライナー性の強弾道が打ちやすかったです。
FPは余計なことをしないシャフトで、コントロールしやすい印象。ヘッドを操作しやすかったです
では、それぞれのヘッドとシャフトの組み合わせを打ったインプレッションをお伝えしていきます。
460と標準シャフトであるVIZARDの組み合わせから。この組み合わせは、今回のシリーズでは一番ボールがつかまる仕様です。ニュートラルなスイングでストレートもしくは軽いドローになるつかまり具合で、振り遅れのミスが多い方におすすめですね。
455とVIZARDの組み合わせ。大きめのしなりでヘッドを走らせてくれるシャフトと、つかまりを抑えたヘッド性能で、あまりパワーがないけれど左のミスを軽減させたいという方にいいと思います。
次はFDの60g台、Sフレックスと460。適度なつかまりを持たせつつ、ハードヒットしていきたい方向けの組み合わせですね。パワーがあって飛距離を重視するなら、この組み合わせが一番結果につながるのではないでしょうか。
自分のスイングでドローを打っていきたいが、つかまり過ぎは嫌だという方にいい組み合わせ。理想はドローだが、ミスしたときは右に逃がしたいイメージを持つゴルファーに合いそうですね。
自分のスイングでしっかり振っても左には飛ばしたくないプレイヤーにおすすめの組み合わせ。自分でフック系の弾道を打てる方が使っても、左には飛びづらい仕様です。
今回の6本の中で一番つかまりを抑えた組み合わせ。とにかく左が嫌だという方は試す価値があります。低いフェードを打ってみましたが、スピンが増え過ぎない通好みの弾道になりました。
本間ゴルフのドライバーは独特の弾道調整機構を備えています。「ノン・ローテーティング・システム」といい、無段階でライ角を最大±2度、ロフト角を最大±1度調整できる画期的なシステムです。これにより、細かくフェースの向きを調整できるので、かなり微細な弾道調整が可能になっています。
ほかのメーカーのカチャカチャと違い、無段階でヘッドの向きが調整できる「ノン・ローテーティング・システム」。シャフトの向きを回転させずに済むのでバックラインがあるグリップも使え、細かい弾道調整ができるすぐれものです
今回、メーカーが用意するすべての組み合わせを試させていただきましたが、アスリートが自分のスイングに合わせて理想の弾道を作りやすいクラブというのが私の印象。アスリートモデルらしく、過度なつかまりやお助け機能がないので上級者ほど扱いやすいと感じると思います。自分の求める弾道が打てるドライバーを探している方は、ぜひ試打していただきたいモデルですね!
弾道が作れるクラブがこのTW747。アスリートが求める性能が詰まっているドライバーでした
460に準じたヘッド形状。小ぶりであるためどちらのドライバーと組み合わせても違和感がないですね
同シリーズのFWは、ドライバーからの流れに沿った仕上がりになっています。ドライバーと同じシャフトをチョイスできるので、合わせてセッティングすれば違和感は皆無でしょう。つかまり加減はニュートラル、適度なスピンが入るので、テクニック次第で自由にボールを操ることができ、ターゲットを“狙える”性能を持っています。
ほかのウッド類と流れを合わせた輪郭ですが、UTはより丸みを帯びた形状。FP値(出っ歯具合)が控えめでアイアンとの流れもきちんと考えられています
UT(ユーティリティー)にありがちな”つかまり過ぎ”を抑えてあり、安心して振っていけます。高さは出しやすく、いたずらに低スピンを求めていないので、ちゃんと狙えるクラブに仕上がっていますね。シャフトは剛性感があってしっかりした振り心地。非常にミートしやすく操作もしやすいUTです。
今どきのアイアンとしては、トップブレードが薄めでシャープ。直線的なラインが多く、アライメントが取りやすい形状をしています
TW747シリーズにアイアンは2タイプ用意されています。フォージドタイプの「Vxアイアン」と、ポケットキャビティタイプの「Pアイアン」です。
Vxアイアン(以下Vx)は、上級者の好むフォージドタイプでありながらロフトが比較的立った設定になっていて、飛距離が出ます。打感はフォージドタイプに多い柔らかめで、多くの人が気持ちいいと感じるもの。打っていて飽きないですね。
高さも十分出るので、アイアンにも飛距離が欲しいと考えるアスリートにはとてもよいモデルだと思います。上達志向の強い中級者にもおすすめできますね。操作性は適度といったところで、球の左右高低をガンガン操るのでなく、自分の球筋で攻めながらいざというときに球筋を操作する使い方がマッチします。ちなみに本間ゴルフでは、ほかのメーカーではPW(ピッチングウェッジ)に該当するクラブを10番アイアンと表記、呼称するんですよ。
<Vxの番手とロフト(度)>
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Vxよりは大きいヘッドとやや厚めのトップブレードが、構えたときの安心感を演出しています
Pアイアン(以下P)は、ポケットキャビティ構造を採用し、Vxと比べてより曲がりの度合いを小さくし、ミスへの強さを向上させたモデル。少々芯を外しても飛距離差が少なく、曲がりも少ないですね。安定して距離を出していけます。ロフトや長さはVxとほぼ同じ設定ですが、Pのほうが若干飛距離は出ました。とにかく曲がりを抑えたアイアンショットを打ちたい方にはこちらがおすすめです。
<Pの番手とロフト(度)>
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本シリーズのアイアンは、やさしさよりも使いやすさを追求しているように感じます。モデルごとに想定ユーザーをきちんと絞り欲張っていない印象。それだけに求める性能が一致したモデルを使えばとても満足すると思います
今回は、ドライバー、FW、UT、アイアンとお借りし、しっかりと試打させていただきましたが、どれも現代のアスリートゴルファーが求めるニーズをしっかり研究し、それを色濃く反映させている印象を受けました。
アスリートの嫌がるミスをしっかり対策し、求める性能によって選べるドライバーのラインアップ。ドライバーが決まったら、その流れに合わせて選べるFW、つかまり過ぎないUT、そして飛距離が出るが操作もできるアイアンと、どれも現代のアスリートゴルファーのニーズに当てはまります。
海外ブランドのセンセーショナルなモデルも魅力的ですが、細部までこだわってていねいに作られたTW747シリーズにはそれらとは違う魅力を感じました。結果はもちろん、球筋にこだわる方にはぜひ試打してもらいたいですね!
写真:野村知也