こんにちは、オグさんです。
今回は、1月に発表されたばかりのキャロウェイEPIC FLASH(エピック フラッシュ)シリーズから、ドライバーを中心に試打レポートをお届けします。
発表会の会場は、コンピューターをイメージした演出で彩られていました
このシリーズは、ゴルフクラブの歴史上、初めてAI=人工知能が設計に関わったモデルだそうです。膨大なデータをAIによって解析し、デザインされた「フラッシュフェース」を採用。これによってボール初速の最大化と耐久性を確保できたとか。従来のオリジナルテクノロジーである「ジェイルブレイク」も継続して採用し、相乗効果によって「人間の常識と想像を超えた、かつてない飛びを生み出す!」のだそう。こんなこと書かれたら誰だって試してみたくなるじゃないですかっ!
初代EPIC(2017年)から数えて今作は3代目
キャロウェイ契約プロの石川遼、上田桃子両選手も登壇。「1〜1.5m/s初速が違う」(石川)「男子のような、打ち出し角の高い球が打てる」(上田)と上々の手ごたえ。右端はサイエンス作家の竹内薫氏。「AIは人間の脳神経をまねて作られたものですが、意思を持ちません。クリエイティブなエンジニアが指示したことを高速で演算するのがAIの仕事です」(竹内氏)
初代のエピックから搭載されているソールとクラウンをつなぐ2本の棒「ジェイルブレイクテクノロジー」も引き続き採用していて、強弾道の特性は変わっていないはず。「フラッシュフェース」と相まってどんな進化を遂げているのか、楽しみです!!
壮大なキャッチコピーにワクワクしながらのインプレッション!
このシリーズにはドライバーが3種類ラインアップされています。まずは3モデル共通のテクノロジーを詳しく紹介していきましょう。
新しいテクノロジーである「フラッシュフェース」は前述のとおりAIが設計したクラブフェース。一般的なフェースとは異なり、フェースの裏側が非対称な形状をしています。この設計により、前作よりさらに反発を高めることに成功しているそう。
AIが設計したフェースは、周辺部以外にも肉厚部分があり今までになかった形状をしています。15,000通りのバーチャルプロトタイプを作り、ボールスピードの向上、耐久性、反発係数のルール遵守を同時になし得る形としてAIが導き出したのがこの形状だそう
トランポリンになぞらえたフェース反発力のイメージ図。左が初代EPIC(エピック)、中央がROGUE(ローグ)、右端がEPIC FLASH。今作で反発が高まったようですが、もちろんルールの範囲内での話です
バックフェースには可変式のウェート「ペリメーター・ウェイティング」が再登場。初代のEPICに搭載されていましたが、ROGUEでは採用されませんでしたね。この機構により、細かい弾道調整が可能になっています
専用のレンチでねじを緩め、好みの方向に動かします
最もFADE側に振り切ったところ
こちらはDRAW側に寄せたところ。それぞれ打ってみましたが、ヘッドの挙動はかなり変わります。私は3モデルそれぞれで、振りやすいと感じるポジションが違いましたね
次に3モデルの違いについて説明したいと思います。
ややヒール寄りにボリュームがあるつかまりそうな輪郭をしていて、安心感があります。フェースには照準器のようなマークが見えます
これがEPIC FLASHシリーズのドライバーのメインというべきモデル(以下スターと表記)。ヘッド重量をやや軽めにして、シャフト次第で幅広いゴルファーに対応できるようになっています。ネックの弾道調整機能をあえて採用せず接着方式を採っているのは、ヘッドを軽く仕上げるため。
ヘッドの基本性能は、強めのつかまり性能を持ち、ミスに強い仕上がりといったところ。フェースには照準器のターゲットサイトのような模様が刻まれていて、ボールを捉えるイメージが湧きやすく、構えやすくなる工夫がされています。好みはあると思いますが、私はボールを打ちぬくイメージが持ちやすかったです。ヘッドの輪郭には少しだけヒール寄りにボリュームを持たせ、ヘッドが返りやすそうな形状を採用しています。投影面積は大きめですが、適度なシャープさもある絶妙なシェイプですね。
ヘッドの形状はSTARとほぼ同じ。試打クラブは、こちらのほうがフェース角がスクエアでした。最大の違いはネックの調整機能の有無です
続いて、“限定モデル”として販売される「EPIC FLASHドライバー」(以下フラッシュと表記)。スターと何が違うかというと、ネックの調整機能−アジャスタブルホーゼルが付いている点です。これにより、ソール後方のペリメーター・ウェイティングの重心位置に加え、ヘッドの向きを変えることができ、より細かな弾道調整をすることができます。
アジャスタブルホーゼルは従来のキャロウェイのシステムを踏襲
カチャカチャが付いているとヘッドの向きが調整できるので、弾道の微調整ができます。半面、ソケットの重量があるため、重心がヒール寄りにそして上方に寄ってしまうデメリットがあるのです。この仕様が限定なのは、つかまりがよく芯を外すことが前提になっていてミスに強いヘッドを求めるゴルファーに、弾道調整機能を求めるゴルファーはそれほどいないという判断なのでしょう。
そういった方はSTARを使ったほうがよりよい結果を生みやすいですよというメーカーさんからのメッセージなのかもしれませんね。しかし、こういった仕様を求めるゴルファーは少なからずいるため、ないがしろにせずちゃんと対応しているのはすばらしいと素直に思います。
スターなどと違い、ヘッドの奥行きがやや狭められ、均等に近いシェイプをしています。ほかのモデルと同じようにフェース面に模様が刻まれているのですが、構えたときに気にならないよう色を濃くするなど、細かい部分までアスリートが求める仕様になっています
3本目は、EPIC FLASH SUB ZEROドライバーです(以下サブゼロと表記)。前作ローグから登場したサブゼロは、さらなる低スピン設計でヘッドスピードの速いアスリート志向の強いゴルファーに向けたモデルになっています。
同じサイズながらやや小ぶりに見える工夫に加え、構えたときにヘッド後方の輪郭の頂点を芯の真後ろにそろえて見せるようなデザインや、フェースの模様をそれほど目立たなくするなど、ターゲットゴルファーのニーズを研究し、製品にしっかり反映させていますね。
つかまりすぎの印象を持たせない絶妙なヘッドシェイプです
それでは、それぞれのモデルをシャフト違いで打ち比べたインプレッションにまいりましょう!
スターと、メーカー純正シャフトスピーダーエボリューション for CW(以下純正スピーダー)の組み合わせ。できるだけニュートラルなスイングプレーンを意識して振ってみましたが、目標方向に飛び出し、やや強めのドローの弾道が楽に打てました。球の高さはロフトなりですが、従来のモデルと比べると高さは出しやすかったですね。ボール初速も間違いなく速くなっています。
スピン性能はというと、ヘッドスピードに合わせて適正なスピン量をクラブが勝手に合わせてくれるという感じ。ヘッドスピード遅めで振ろうが、強振しようが、強い弾道が簡単に打てました。個人的には、初代EPICやローグとは比べ物にならないぐらいクラブとしての完成度は高いと思います。カスタムシャフトを検討している人も、まずは一度この組み合わせを試してみることをおすすめします。
つかまるヘッドと、ややつかまりを抑えたしっかり感のあるシャフトの組み合わせです。しなり戻りがゆっくりで粘るシャフト特性なので、ロフトが立って当たりやすく、中弾道の強い球が打てます。つかまり度合いはやや抑えられますが、強い弾道をやさしく打ちたい方にはおすすめのコンビです。
シャキッとした振り心地ながら先端がよく走り、振り抜きがいいシャフト。ヘッドスピードがそれほどなくても、一発の期待が持てる組み合わせですね。球の高さも出しやすくつかまり性能も高いので、ヘッドとの相性も良好です。上達志向のあるスライサーにおすすめできると思います。
基本性能はスターとの差をそれほど感じませんでしたが、フェース角がストレートに近かったこともあり、ニュートラルなスイングで打つとほぼストレートの軽いドローボールが出ました。操作性はこちらのほうが高い印象で、ストレートなフェース角も相まって、フェードボールも打ちやすかったです。アジャスタブルホーゼルとペリメーター・ウェイティング、そしてカスタムシャフトを駆使すれば、幅広いゴルファーに対応できる組み合わせです。
サブゼロとSZの組み合わせ。純正シャフトではありますが、アスリート向けモデルだけあって、性能を生かすにはある程度のパワーが必要です。スターなどと比べてヘッドが重く、それに負けないようにシャフトもかなり芯のあるしっかりした振り心地。ヘッドスピードは42m/s程度はないと振り切ることが難しいでしょう。
弾道は聞きしに勝る低スピン性能で、“最高到達点がかなり手前”。到達点を過ぎるとゆっくりとした棒球で前に前に飛んでいきます。それだけにしっかりと高さを出す必要がありますね。操作性に関しては、個人的には限定のFLASHのほうが少しだけ高い印象。サブゼロはヘッド挙動を穏やかにして、直進性を高めているのだと思います。それだけにボールをある程度つかまえる技術を持っていないとヘッドを返しきれずスライスが出てしまうかもしれません。フックに悩んでいる方には、ぜひ試してもらいたいですね。
今回の組み合わせの中では、パワーヒッターにおすすめしたい最強のコンビ。正直私ではボールの高さを出しきれませんでした。ヘッドスピード44m/s以上は欲しいところです。
球がとにかく強い! 前に前に飛んでいき、自分が目いっぱい強振してもスピンが増える傾向は見られませんでした。芯を外せばそれなりにスピンは増えますが、それでも吹き上がることはなかったです。フェード気味の弾道でもスピンが増えにくいので、フェードボールを打って飛ばしたい方にいいですね。
つかまりを抑えた直進性の高いヘッドと、ややつかまって走るシャフトの組み合わせ。ヘッドが重めなので、私のパワーではシャープに振り切れませんでしたが、シャフトがボールをつかまえてくれるので、狙ったところに出しやすかったです。低スピンで左のミスはなくしたいけど、少しはつかまり性能が欲しいという方はこの組み合わせがおすすめ。
フェアウェイウッド(FW)も打ってみました。ドライバーのラインアップに合わせ、スターとサブゼロの2タイプが用意されています。シャフトはそれぞれ純正です。では行ってみましょう。
EPIC STAR フェアウェイウッド #3
EPIC STAR フェアウェイウッド #5
まずスターのほうから。これ、バランスがいいです! キャロウェイはもともとFWを作るのが得意なメーカーではありましたが、このFWはとても芯で捉えやすい! 弾き感もよく、気持ちよく打てました。スターのドライバーと同じようにつかまり度合いがよく、スライス傾向の方でも#3をチャレンジする価値があると思いますね。
個人的に気に入ったのが、スイートエリア下に2本刻まれた溝。これがボールを拾うイメージを出してくれて、この2本溝でボールを捉えようと振ると、うまく芯で打つことができるんです。
EPIC FLASH SUB ZERO フェアウェイウッド #3
ヘッド形状がやや小ぶりになっている程度で、スターとの違いはそれほどありませんが、フェースの溝が全面に掘られていて、つかまりもニュートラルになっている印象。基本は低スピンの飛ぶ仕様ですが、技術のあるゴルファーが使えばスピンを入れてグリーンを狙うこともできると思います。アジャスタブルホーゼルも搭載しているので弾道の微調整もできる幅広い性能を持っているモデルです。
スイートエリア下の2本のラインでボールを打ちぬくイメージでスイングするとミート率が高まりました
ジェイルブレイクテクノロジーを搭載し、センセーショナルにデビューしたEPICシリーズから3代目となる今作。個人的な感想としては「完成の域に達した!」といえる出来栄えじゃないかと思います。スターは、打点のミスに強くつかまりを持たせ、限定のフラッシュは、適度なつかまりを持たせつつアジャスト能力を追加、そしてサブゼロは、アスリートが好む左のミスを怖がらずたたける仕様、と、三者三様の性能。そして、どれもが低スピンの強弾道が出る飛ばしやすいクラブになっています。発売されてからのゴルファーの反応がとても楽しみですね。
最後にドライバー選びの参考に、個人的にですが「こんな人に合いそう」な組み合わせを選んでみました。よかったら参考にしてみてください。
■ヘッドスピード36〜39m/sで球が上がりにくい人
・スター×純正スピーダー
・スター×スピーダーエボリューションV
■ヘッドスピード40〜43m/sでスライスする人
・スター×純正スピーダー
・スター×スピーダーエボリューションV
・フラッシュ×純正スピーダー
・スター×ツアーAD VR
■ヘッドスピード40〜43m/sでフックする人
・フラッシュ×ツアーAD VR
■ヘッドスピード45m/s以上でスライスする人
・サブゼロ×スピーダーエボリューションV
■ヘッドスピード45m/s以上でフックする人
・サブゼロ×ツアーAD VR
・サブゼロ×純正SZ
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ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。