オグさんです。
今回は、PRGR(プロギア)から「RS RED」シリーズが発表されましたので、その試打レポートをお届けします。
プロギアの中での「RED」シリーズは、バリバリのアスリートモデルと言うよりは、やさしさと飛距離を追求するシリーズ。お助け機能をがっつり搭載するのではなく、フィーリングも大事にしたバランスのいいクラブとして多くのファンを持っているのが特徴です。
今回のREDは、先だって発売され“飛ぶ”と高い評価を得ている「RS」シリーズのテクノロジーを使い、さらなる飛距離を追求。ブランドも「RS RED」となりました。そこに打点ミスに強くなる深重心のシャローなヘッドを合わせ、さらにはシャフトメーカーのフジクラと共同開発した軽量で振り切りやすいシャフトを装着することで、付いたキャッチコピーは「スピードで飛ばす」。さて、どんな仕上がりかとても楽しみです。
ではドライバーから見ていきましょう。
デザインはレッドと言う割に、赤くありません(笑)。ヘッドは、投影面積は大きいですが輪郭がきれいでシャープなイメージさえ感じさせます。スマートで構えやすい顔です
標準スペックは46インチとやや長めの設定に271g(R)と軽量に仕上げてあります。パワーがないゴルファーでも飛距離が稼ぎやすい仕様になっていますね。専用で設計されたシャフトの仕上がりも気になります。
ちなみに、「RS RED」と同時に「RS E」と言うドライバーも登場しました。こちらは、つかまり性能を高めてスライスを軽減し、飛距離ロスをなくして飛ばすコンセプトのクラブです。
RS REDと比べてこちらはヒール側にボリュームのある形状。フェースアングルもそれほどフックに設定されておらず、見た目よりかなりつかまる仕様になっています
もともとRSシリーズには、つかまりを抑えた“フェードで飛ばす”「RS-F」、適度なつかまり性能を持たせた“ドローで飛ばす”「RS」がラインアップされていて、この「RS E」は“カンタンに飛ばす”と言う性格付けがなされています。ドローで飛ばす「RS」よりもさらにつかまり性能を高めたことで、スライスに悩む方向けのモデルだということですね。
両者の違いは「重心角」によく現れています。重心角とはボールのつかまり度合いを表すひとつの指標で、シャフトを支えてヘッドを空中に垂らしたときのフェースの傾き度合いを指します。この傾きが大きいほど(フェース面が上を向くほど)つかまり度合いが高いということになります。
「RS RED」と「RS E」を比較すると「RS E」のほうがフェースが上を向いていて、つかまり性能がより高いことがわかりますね。
こうやって比較して並べると左側の「RS E」のほうが、重心角が大きいことがわかります
市販のゴルフクラブの中には「つかまりのいいクラブ」と呼ばれるモデルが数多く存在しますが、つかまりには大きく分けて2種類あります。重心角が大きくてつかまりがいいクラブは、切り返しからヘッドがターンしてくるエネルギーが大きいことを指しています。みずからターンする力を持っているヘッドとも言えるので、“勝手にボールをつかまえに行ってくれる”と言うこともできます。
ちなみに、つかまりがいいもうひとつのモデルは、小さな力でヘッドがターンしやすい“つかまえに行きやすいモデル”と表現することができます。
REDはRS Eより重心角が小さい、つまりみずからターンする力が小さいので、つかまり性能があまり高くありません。この性能差は、それぞれのターゲット層の差に起因するでしょう。RS Eはスライスで悩むゴルファーをターゲットに、RS REDはある程度ゴルフ経験のあるシニア層をターゲットにしているからだと思います。
それでは、打ってみたいと思います!
先にRS Eを打ってみました。こちらは長めで軽量なRS REDとは違い、ほかのRSシリーズと同様“標準45.5インチ”の設定。重さもRで298gと、一般的なアベレージゴルファーに合わせたスペックです。ただシャフトはRS E専用に設計されたものが装着されています。
ヘッドスピードは特に意識せず、いつもどおりの自分のスイングでテストしましたが、さすがによくつかまります。目標に向かって少しフェードするイメージだったのですが、目標に飛び出た強いフックボール。何球か打ちましたが、全部フックでした。ややスライスを意識して振っても、右方向に飛ぶことはまずありませんね。かなりつかまります。パワーがまずまずあってスライスに悩んでいる方は、かなりの飛距離をロスしていることが多いので、このクラブに持ち替えるだけで劇的に飛距離が伸びる可能性があります。
打感は、弾き感と同時にボールがフェースでつぶれているような、やわらかい重厚感のあるもの。打っていて気持ちいいですね。打音は乾いた金属音で、擬音にすると「カキン」でしょうか。音量はやや大きめですが、飛んだ気にさせてくれる心地いい音です。
続いてRS REDのドライバーを試します。こちらは前述のとおり、46インチで軽量に仕上げられているので、ヘッドスピード40m/sを目安に振ってみました。データではちょっと打ち方が悪くて引っかけていますがそれでも過度なつかまりはなく、軽いドローがかかる程度に抑えられています。シャフトがいい仕事をしていて、軽く振ってもヘッドを自然と走らせてくれ、46インチですが振り遅れる感じがありません。
芯を外しても極端にスピンは増えず曲がりは少なめ、ライナー性の強い弾道が自然に打てます。とてもバランスがいいですね。打感はRS Eよりもやや軽めで、軽やかにボールをはじいてくれる感触でした。音も少し高めの金属音で、こちらも打っていて気持ちよかったですね。爽快感があります。ゴルフを長く楽しんでいて、もう一度飛距離にこだわる! なんて方にいいと思います。顔や形状がスクエアできれいに仕上げてありますから、すぐに気に入ると思いますよ。
RS REDのFW(フェアウェイウッド)とアイアンも打ってみました
ドライバーと比べて、やや角のある形状をしていますが、系統は同じで違和感はありません。フェースアングルもスクエアで構えやすいですね
同じシリーズだけに仕上がりはドライバーと近いですね。スクエアで構えやすく、過度なつかまりを抑えてあります。しっかりと高さも出て、安定して飛ばせました。打点のミスに強く、飛距離ロスや曲がりも少なかったです。
トゥ側にボリュームを持たせた形状と厚めのトップブレードで、当たり負けしなそうな顔です。強そう(笑)
アイアンも飛距離を追求してはいますが、ミスへの強さやフィーリング面もしっかり作り込んである印象。飛距離も私には飛び過ぎくらい飛びましたが、この手のモデルにして打感は硬くなく、軽やかな弾き感がとても気に入りました。アイアンもほかのREDモデルと同様つかまり過ぎないので、ライン出しやあえてのスライスなども打てました。見た目以上に使い勝手がいいアイアンです。
ポケットキャビティ構造にチタンフェースを使った飛距離&ミスに強い仕様ですが、ちゃんとフィーリングも出せるところがこのアイアンの美点ですね
RS REDシリーズは、主にシニア層に向けた仕上がりになってはいますが、その層の求めるやさしさや飛距離だけでなく、使い勝手やフィーリング面まで重視して作られている印象。その層の方々は長くゴルフを楽しんでいる方が多いので、そういった面に強くこだわる傾向がありますから。
もっとも同社は、「EGG」という飛距離性能に特化したシリーズもラインアップしており、飛距離だけが欲しい方はそちらでカバーできているから、こういったモデルが作れるのかもしれません。ただやさしい、ただ飛ぶだけのクラブに飽きてきた方は、ぜひRS REDをチェックしてみてください。