オグさんです。
今回はピン「G410」シリーズのフェアウェイウッド(以下、FW)のSTD(スタンダード)を試打させていただきました。
G410のFWにはこのSTDのほかに、SFTとLSTの計3タイプが用意されていて、それぞれボールのつかまりやスピン性能に違いがあります。今回は、メーカーが「最大初速で飛ばす」とうたうSTDをじっくり試打してみたいと思います。
ピンはどのクラブにも「やさしさ」を重視するメーカーで、FWにもその考え方は受け継がれています。ドライバーだけでなく、FWにもヘッドを3タイプ用意することからも、より自分にあったモデルを選んでほしいという思いがくみ取れます。
G410 STD FWはウェートをソールの最後方に配置し、重心を深くしてミスに強くしようとの意図が感じ取れます。これは3タイプに共通する設計。ミスへの許容度を高めたうえで、最適な重心位置に設計することでエネルギー効率を高め、フェースには高初速を実現するマレージングフェースを採用することで飛距離をも追求しています。
ネックには弾道調整機能を搭載しているのでロフト角やライ角の調整ができ、使い手や求める弾道に応じて細かなアジャストができるのも大きなメリットです。
ウェートをソールの一番深いところに配置することでミスに強く曲がりを少なくしようとする意図を感じます
ドライバー同様、空気の流れを整えて抵抗を減らす効果のある突起「タービュレーター」がクラウン上部に搭載されています。やわらかな三角形をしたヘッドは投影面積が大きめながら、シャープに見える形状
反発の高いマレージング素材を採用したフェース
後方が下がったシャローバックを採用し、ボールの上がりやすさを狙ったデザイン。フラットなソール形状は、滑りやすそうでダフリにも強そうですね
構えてみると、投影面積が大きく安心感がありますね。黒いカラーとやや角を持たせたヘッドシェイプによって適度に引き締まって見え、重な感じはありません。
打ってみると心地よい弾き感で強いライナー性の弾道が飛んでいきます。少々芯を外しても曲がりが少なく、直進性が高いですね。つかまり性能はニュートラルな印象で、スイングが素直に弾道に表れます。インテンショナルに曲げた球を打ってみると、素直に曲がってはくれますが曲がり幅は少なめです。
意外だったのが弾道の強さ。スピンが少ないいわゆる“棒球”がガンガン打てます。弾道がやや低めに感じましたが、ロフト調整機能もありますし、コースボールであれば問題なく上がるでしょう。
芯を少々外しても曲がりが少ないのはさすがと言うところ。ただ、やさしさよりも弾道の強さにびっくりしました
今回は3種類のシャフトを打ち比べさせていただきました。ピンは標準で選べるシャフトの種類が多く、純正シャフトにも力を入れて開発しています。ピンオリジナルで開発している純正シャフト「ALTA J CB RED」「TOUR173-65」の2本は、フレックスに応じてキックポイントを変えるという手の込んだ作りのシャフト。同社と契約しているプロもそのまま使うほどの高い完成度を誇ります。
そしてもうひとつ、三菱ケミカルの「TENSEI CK Pro Orange」は、タイガー・ウッズが使って優勝したことで耳目を集め、その完成度の高さから高い人気を誇るアスリート向けシャフトです。
今回試打したALTA J CB RED、TOUR173-65、TENSEI CK Pro Orangeの3本です。フレックスはすべてSで統一しました
ALTAはクセがなく適度なしなりと弾き感を持ちながら、しっかりヘッドを走らせてくれるシャフト。ミートもしやすくタイミングも取りやすいので使い手を選ばない特性で、とても振りやすかったです。
シャフトの特性でしっかりとボールをつかまりやや強めのドロー系のボールが出ました。スピンも適度でFWとしてはかなり飛ぶ弾道ですね。もう少しボールの高さが欲しかったですが、左に打ち出している分、上がらなかったですね
TOUR173は、ALTAをもう少しシャキッとさせた、弾き感の強いシャフト。つかまりも抑えてあり、どちらかと言えばインパクトで強くたたくゴルファーに合う特性です。メーカー純正シャフトとは思えないしっかり感があって思い切って強振できました。
剛性感が高い振り味で、右にしっかり打ち出したドローボールが打てました。つかまりもニュートラルでほぼ狙ったところに打てましたね。こちらももう少し高さが欲しかったですね。あと1°打ち出し角が高ければ飛距離はもう10ヤード伸びたはず。スピン量が増えすぎないのがいいですね
TENSEIはつかまりを抑えた特性に加え、重量の重いヘッドと相性のいい“カウンターバランス”になっています。ピンのヘッドは比較的重めに設定されているので、このシャフトとは好相性。振った感触は、しなり戻りのゆったりした粘るフィーリングで、左のミスを嫌がるゴルファーにピッタリです。
つかまりを抑えた特性なので、自分でしっかりとつかまえに行くことができました。言い換えると、つかまえる技術がある程度ないと性能を生かしきれないシャフトとも言えます。3Wはただでさえつかまりにくいクラブですから、左のミスを嫌がるゴルファー以外にはあまりおすすめできません。ただそういった方にはとても使いやすいシャフトです。データは高打ち出し、低スピンのドライバーのような弾道でちょっと飛びすぎなぐらいでした
最新のピンのFWは、もともと定評のあった打点のミスの強さにさらに磨きがかかり、曲がらないクラブでありながら、飛距離性能も進化した印象です。本当によく飛びました。曲がらないで飛ぶクラブであることは間違いないですが、「適正な打ち出し角が確保できるか」がスペック選びのポイントになると思います。
ヘッドも3タイプあるので自分のミスの傾向に合わせて選び、弾道調整機能を活用しつつ、合ったシャフトを選ぶことで、アマチュアゴルファーにとって「大ケガしない大いなる武器」になりえますね。ほかのヘッドタイプについては稿を改めてレポートします。