オグさんです。
今回はスリクソンのフェアウェイウッド(以下、FW)「Z F85」を試打させてもらいましたので、レポートしたいと思います。
ヘッド素材:ボディ-マレージング鋼 フェース- HT1770鋼
ロフト:#3 15°/#5 18°/#7 21°
ダンロップスポーツのアスリートに向けた世界共通ブランド「スリクソン」。同社はゴルフだけでなくテニスでも同ブランドを使用しており、世界的に知られています。同社契約の松山英樹プロがクラブやボール、キャディバッグなどを使用しており、ゴルフやテニスをやらない方でもCMなどで“SRIXON”のロゴは見たことがあるのではないでしょうか。
今回試打させて頂いたスリクソン「Z F85」は、現代のアスリートゴルファーが求める性能を真っ直ぐ突き詰めたモデルと言えます。飛距離が求められる#3は、クラウンに比重の軽いカーボンを使用し、より低スピンの強い弾道を狙った設計に。#5と#7はグリーンを狙いやすいよう高弾道を打ちやすい設計になっています。
SRIXONブランドに共通の、黒い仕上げに赤を使ったスポーティーなデザイン。スリットやくぼみがありますが大きな凹凸はなく、滑りのよさそうな形状。最近のFWに多く見られるウェイトなどはなく、シンプルに仕上げられています
写真は3W。カーボンの模様がわざと見えるようにデザインされていますね。フェース側のクラウンはブレードっぽく一段高くなっており、目標に対してスクエアが取りやすい形状になっています。全体の形状としてはトゥ側と後方にやや角を持たせたやわらかい三角形をしています
フェース素材は「HT1770鋼」という金属を使用し、適度にやわらかい打感と高い初速を両立しています。船底の形状でヌケがよさそうですね
ヘッド後方が低いシャローバック形状を採用していますが、アスリート向けらしく適度な低さになっています。最後方でソールが少しだけ高くなっているのが特徴的ですね
やや角を持たせた形状とトップブレードのようなクラウンの処理、そしてスクエアなフェース形状が相まって目標に対して非常に構えやすいです。形状がほぼ均等なので形からくる弾道のイメージはストレート。余計なイメージを嫌う方が多いアスリート向けに合わせた形状と言えます。これは全番手共通ですね。
#3を打ってみると、「カシュ」という乾いた音と軽いはじき感をともなった打感で、とてもよい弾道が打てました。低スピンで非常に強い弾道、いわゆる“棒球”で、かなりの飛距離が期待できると思います。操作性はまずまずといったところ。インテンショナルにフックもスライスも打てましたが、どちらかと言えば直進性を重視した性能で、いざというときにそこそこ曲げられるといった印象を受けました。ミスへの強さもそれなりに持っています。打点を大きく左右に外すと多少は曲がりますが、飛距離ロスは思いのほか少なめでした。
手ごたえはしっかりありますが、打音は割と小さめに抑えられています。打感もズシっとした重い感触ではなく、軽いはじき感をともなう軽やかなもの
シャフトは標準で2タイプ用意されており、このほかにもカスタムシャフトがいくつか用意されています。今回は標準シャフト2種「Miyazaki Mahanaカーボン」と「Miyazaki Mizu 6カーボン」、そしてカスタムで用意されているフジクラの「スピーダーエボリューションV FW」の、計3本を比較させてもらいました。
上から、「Miyazaki Mahanaカーボン」「Miyazaki Mizu 6カーボン」「スピーダーエボリューションV FW」
「Miyazaki」ブランドのシャフトはダンロップ製で、「インターフレックスコード」という数字が記載されています。簡単に説明すると、シャフトを4分割し、各部分のしなる量を数値で表したもの。数値が大きいほどしなり量が少ない、つまり硬いということを表しています。
Miyazaki Mahanaは、いわゆる純正シャフト的なやさしさを持ったシャフト。今回の3本はすべて同じSフレックスで打ち比べましたが、一番しなり量が大きく、少々タイミングを変えて打ってもミートしやすかったです。
Miyazaki MIZUはインターフレックスコードを見るとMahanaよりも数値が大きく(6655)、かなりシャキッとした振り味。ヘッドの挙動も抑えられ、テクニックを持っているゴルファーが使いやすいと感じる仕上がりです。Mahanaより重い重量帯が用意されていることもあり、それなりにパワーのあるゴルファー向けと言えますね。
スピーダーエボリューションV FWは、ドライバー用のスピーダーエボリューションVを文字どおりFW用に再設計したモデル。ドライバー用と比べると先端の動きは穏やかになってはいますが、スピーダーシリーズならではの走り感はちゃんと残されており、ミート率と飛距離を両立した仕上がりになっています。
Miyazaki Mahana #3:適度なつかまりでミートはしやすかったです。しなり量が大きいぶんスピンがやや多く出てしまって飛距離にはつながらなかったのですが、安定感は3本の中では一番高かったです
Miyazaki Mizu #3: 3本の中では一番しっかりしていてつかまりも抑えたシャフト。やや右に打ち出しほぼそのままのストレートボール。ボールをつかまえきれずスピンがやや増えてしまっていますが、それでも飛距離につながっているのはシャフト性能のたまものでしょう。左のミスを嫌がる方にはおすすめのシャフトです
スピーダーエボリューション V FW #3:しっかりとつかまり、スピン少なめの非常に飛ぶ弾道が出ました。もう少しつかまりを抑えられると高さも出ると思うので、飛距離はまだ伸びたはずです。右のミスを抑えつつ、飛距離が欲しいならこのシャフトですね
ニュートラルなつかまり性能なので、シャフトしだいで自分の好みに仕上げやすいヘッドと言えます。やさしく使いたいなら間違いなくMiyazaki Mahanaがいいですね
SRIXON Z F85は、現代のアスリートが非常に使いやすいモデルとして仕上がっていると思います。ニュートラルなつかまりでゴルファーの意図する弾道を打ちやすくし、シャフトを選ぶことで使いやすさを追求できます。番手によって作り込みを変えているところもメーカーの本気度を感じますね。しっかり自分に合わせたスペックを選ぶことができれば、長いパートナーになってくれるでしょう。
FWにやさしさを求める方でも、スイングがある程度安定しているのであればニュートラルな性能が再現性の高い弾道を打たせてくれます。シャフトを選べばパワーヒッターでなくても問題なく使えるので、結果や球筋にこだわるゴルファーであれば、比較的誰でも使いやすいと感じるクラブだと思いました。