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《2024年版》「タイトリスト」アイアン7モデルの違いと選び方を解説

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オグさんです。今回は2024年版、タイトリストのアイアンの選び方をお届けします。

現在のタイトリストのアイアンは、5モデルからなる「Tシリーズ」と、2モデルからなる「620」シリーズの、計7モデルがラインアップされています。各モデルの想定ゴルファーがしっかり見えるわかりやすい性能に定評のあるタイトリストが、これだけのモデル数を抱えるようになったのは、ゴルファーのアイアンに対するニーズが多様化している証拠と言えます。

それぞれがどんな性能を持ち、どんなゴルファーに向けたモデルなのか、じっくり解説していきます。

2024年1月現在、タイトリストのアイアンは7種類。初心者からツアープロまで、すべてのゴルファーと向き合っていなければ、これだけのモデルはラインアップしないでしょう!

2024年1月現在、タイトリストのアイアンは7種類。初心者からツアープロまで、すべてのゴルファーと向き合っていなければ、これだけのモデルはラインアップしないでしょう!

大別すると「T」と「620」の2シリーズ

タイトリストのアイアンは、昔からツアープロやアスリートゴルファーに愛されてきました。初心者が憧れるようなプロや上級者がたくさん使用しているわけですから、「いつかは私も使いこなせるようになりたい!」という上達志向のあるゴルファーにとって憧れのクラブなのです。

タイトリストのクラブがアスリートゴルファーに愛される理由は、コントロール性能にすぐれ、打感などのフィーリング面がすばらしいモデルが多いから。それでいて「MB」「CB」というモデルは、名前を少し変えて定期的にモデルチェンジしながらも、急激な変更はあえてしていないので旧モデルからの移行がしやすい点も、タイトリストのアイアンをずっと使い続ける上級者が多い理由のひとつです。

最近のタイトリストのアイアンは、上級者に好まれる性能を維持しながら、歴の浅いゴルファーにも対応したモデルも用意しています。

2024年1月現在のタイトリストのアイアンのラインアップは大きくわけて2つ。ひとつはユーザーのニーズに合わせて、求められる結果に応じたやさしさをモデルごとに搭載した「Tシリーズ」です。もうひとつは伝統的な形状や製法を生かしつつ、最新のトレンドを組み込んだ「620」シリーズ。

2018年までは、「718」シリーズとして、伝統を重んじた「MB」「CB」、複合素材を使った「AP」シリーズが3モデル、中空構造の「T-MB」と日本専用の「VG3」というブランドが2モデル存在していました。それが整理されて今の「Tシリーズ」と「620シリーズ」に集約され、とてもわかりやすくなりました。

今回はこの7モデルをまとめてご紹介し、それぞれの違いやどんなゴルファーに向いているのかなどを解説します。試打はすべて7番です。比較しやすいように、ドライバーで42m/sぐらいのヘッドスピードを目安に試打しました。

「T400」

安定した高い飛距離性能を追求

肉厚でアイアン型UTのような形状で、いかにもやさしそう

肉厚でアイアン型UTのような形状で、いかにもやさしそう

やや厚めのブレードとやや面長なフェースは、視覚的にも曲がらなそうな印象

やや厚めのブレードとやや面長なフェースは、視覚的にも曲がらなそうな印象

「T400」は、薄肉に仕上げたフェースにより高い反発と余剰重量を生み出しているほか、タングステンウェイトによる深く低い重量配分設計が特徴。ロフトを立てても高い打ち出し角を実現する、シリーズで最も飛距離を追求したモデルです。

アイアンの形状をしていますが、性能としてはもはやユーティリティーに近く、高弾道低スピンの弾道が自然と打てます。打ち出し角は番手相当の高さを出しつつ、通常のアイアンに比べて約2番手分の飛距離アップが期待できます。

さすがにここまで飛ぶと、グリーンに直接落としたときに若干のランは出ますが、クラブ長を長く設計していないので非常にミートしやすく、それでいて打点のミスにも強い仕上がり。アイアンの飛距離が出ないとお悩みの人が使うとやさしさを実感できるモデルだと思います。

「Tシリーズ」の中では最もやさしいポジションに位置する「T400」。アイアンの基本性能を残しつつ、より楽に飛距離を得られる仕様で、最もオートマチックにプレーできるモデルです。打点のミスにも強く打感もやわらかいので、ボールを飛ばすということに関して言えば、ストレスを感じにくいアイアンです。

半面、少しでも弾道にこだわりがある人、球筋を自分で操作したいと考える人は、ほかの「Tシリーズ」がよいでしょう。アイアンでも飛距離に強くこだわるが、長いのは嫌という人にはドンピシャのモデルです!

「T350」

ミスには強いが余計なことはしない

やや厚めのボディを持つ中空構造のアイアンですが、鈍重に見えないデザインはさすがです

やや厚めのボディを持つ中空構造のアイアンですが、鈍重に見えないデザインはさすがです

ヘッドサイズは比較的大きく、ブレードもやや厚め。それでも、プロモデルを思わせる美しいフォルムによって、構えやすいきれいな顔に仕上げられています

ヘッドサイズは比較的大きく、ブレードもやや厚め。それでも、プロモデルを思わせる美しいフォルムによって、構えやすいきれいな顔に仕上げられています

「T350」は中空構造を採用し、ミスへの寛容性と飛距離性能を高めながら、ある程度狙う性能を持たせたモデル。ヘッド内部にタングステンウェイトを搭載し、「マックスインパクトテクノロジー」と呼ばれる打感向上や初速アップに効果があるタイトリスト独自の技術が搭載されています。

構えると、適度なサイズと美しい形状が構えやすさと安心感を両立させており、“アマチュアの理想”と呼べる仕上がり。7番のロフト設定は29度とやや立っています。打ち出し角は7番らしい高さで飛び出し、直進性の高い弾道が自然と打てます。

ミスへの寛容性も高く、芯を外しても曲がりは少なく飛距離ロスも少なめです。飛距離性能は、「T400」よりは劣りますが、その分グリーンをキャッチする能力が高まっており、やや飛距離性能に振った性能ながら、狙う性能も持ち合わせています。

「T350」は、飛距離性能やミスへの寛容性を高めながら、グリーンを狙う性能を最低限持たせたアイアンに仕上がっています。特徴的なのが、つかまり具合の設定。飛距離やミスへの寛容性を高めたこういったモデルは、適度なつかまりを持たせていることが多いのですが、この「T350」はほぼニュートラルな設定になっており、過度な補正能力を搭載しないことによって、初・中級者はもちろん、上級者にも扱いやすいモデルに仕上がっています。

右へのミスを嫌がるゴルファーは少し難しいと感じてしまうかもしれませんが、飛距離性能、ミスへの寛容性、そして直進性の高さなど、安定感は非常に高いアイアンです。つかまりを抑えた飛距離性能の高いモデル、ミスに強いモデルをお探しなら「T350」はピッタリです。

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「T200」

“飛ばす”と“狙う”性能を高い次元で両立

中空構造でありながら、マッスルバックのような美しいフォルム

中空構造でありながら、マッスルバックのような美しいフォルム

ヘッドサイズは小ぶりで、後述する「T100」「T150」と同じサイズ。ブレードにだけ少しだけ厚みを持たせてあり、視覚的にやさしく見えます

ヘッドサイズは小ぶりで、後述する「T100」「T150」と同じサイズ。ブレードにだけ少しだけ厚みを持たせてあり、視覚的にやさしく見えます

「T200」は、「T400」や「T350」と同じ中空構造を採用したモデルですが、ヘッドサイズがコンパクト化され、狙う性能をより重視した設計です。ヘッド内部にタングステンウェイトを内蔵するほか、「マックスインパクトテクノロジー」も搭載。構造は「T350」と似ていますが、よりアスリートに好まれる性能です。

構えると、コンパクトで美しいフォルムがその気にさせてくれます。それでいてわずかに厚めなブレードが、適度に視覚的なやさしさを演出。小ぶりなヘッドにプレッシャーを感じるゴルファーはちょっと難しく感じるかもしれませんが、打ってみるとそんなイメージは払しょくされるでしょう。

7番のロフト設定は30.5度と、一般的なアベレージゴルファー向けのモデルとほぼ同等。飛距離性能は“ちょい飛び”といった具合で、高さをしっかりと出してくれます。ミスへの寛容性は、小ぶりなヘッドとしては非常に強く、安定性も高い。操作性に関しては、過不足がない適度なもの。つかまりはニュートラルで扱いやすい仕上がりです。

「T200」は、上級者やアスリートが求める操作性や狙う性能と、アベレージゴルファーが求める飛距離やミスへの寛容性を両立したアイアンです。今作の「Tシリーズ」は、モデル間をミックスさせたセッティングを視野に入れた開発がされており、シリーズの異なるモデルと組み合わせても性能のギャップが小さくなるよう設計されています。そんな「Tシリーズ」のど真ん中に位置するのがこの「T200」。上級者が求める性能と初・中級者が求める性能を持ち合わせ、さらにそれらをうまく両立しているバランスのよさが光ります。

上達思考のあるゴルファーなら初心者からでもおすすめできますし、高い操作性を必要としない上級者にはミスに強いモデルとしておすすめできるアイアンです。タイトリストのアイアンの中では、最も幅広いゴルファーにおすすめできるモデルです。

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「T150」

操作性を重視して少しだけ飛距離をプラス

バックフェースを削ったキャビティ構造を採用。見た目はシンプルで、兄弟モデルの「T100」と非常によく似た外観をしています

バックフェースを削ったキャビティ構造を採用。見た目はシンプルで、兄弟モデルの「T100」と非常によく似た外観をしています

コンパクトなボディにほどよい厚みのブレード、そして美しい形状によって多くのツアープロに選ばれています

コンパクトなボディにほどよい厚みのブレード、そして美しい形状によって多くのツアープロに選ばれています

「T150」は、ツアープロに必要な“狙う性能”をしっかり持たせ、それを維持しながら、ちょっとだけ飛距離とミスへの寛容性を持たせたモデル。ほかのモデル同様、ヘッド内部にタングステンウェイトを搭載しつつ、フェースすぐ裏にマッスルチャンネルと呼ばれるテクノロジーを搭載することで、操作性を維持しながら、適度な飛距離と打感の向上を実現しています。

構えると、コンパクトサイズなシャープで美しい形状が目に入り、スムーズにアドレスに入らせてくれます。ロフト構成は7番で32度と、アスリートモデルとしては少しだけ立った設定。あくまで狙う性能をメインに据え、飛距離性能はそれをじゃましない程度しかありません。

打ってみると、ベースとなった「T100」と比べると5ヤードぐらい飛びますね。操作性は必要十分で、技術があるゴルファーが打てば過不足なくボールをコントロールできるでしょう。ミスへの寛容性は、適度なもの。これ以上強くすると操作性に影響するのだと思います。

「T150」は、操作性やフィーリングを維持したまま、少しでも飛距離性能が欲しいというゴルファーのニーズから生まれたモデル。ツアーでも年々トーナメントコースの距離が伸びていますし、アマチュアの間でも飛距離が出るアイアンの人気が高まっています。飛距離性能を高めるとどうしてもスピン性能、つまり操作性や狙う性能が落ちてしまうトレードオフの関係にあるため、操作性と飛距離性能を完全に両立するのは非常に難しいのです。「T150」は、操作性を基本とし、それを損なわない範囲で飛距離性能を高めたモデルです。

積極的にボールコントロールを行う中・上級者向けモデルですが、そのなかで少しでも飛距離が欲しいというゴルファー向けのアイアンと言ってよいでしょう。タイトリストは、グリーンでボールが止まるかどうかのひとつの指標となる「降下角度」を重視しており、そのゴルファーの降下角度によって「T100」をすすめるか「T150」をすすめるかが変わってくるそうです。

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「T100」

操作性最優先! ミスには適度に強い

デザインは「T150」とほぼ同じ。シンプルなデザインです

デザインは「T150」とほぼ同じ。シンプルなデザインです

形状やサイズも「T150」とほぼ同じ。シャープで美しい!

形状やサイズも「T150」とほぼ同じ。シャープで美しい!

「T100」は、多くのツアープロが使用し、高い評価を得ているモデル。「T150」と同様にヘッド内部にタングステンウェイトを内蔵して重心をコントロールすることで、操作性を最優先にしながら、それを妨げない範囲でミスへの寛容性を高めた設計です。

「T150」と同じサイズと形状で作られたヘッドは非常に構えやすく、文句なし。ロフト構成は7番で34度と、「T150」と比べて2度寝ています。そのため、わずかながら「T100」のほうが上がりやすく、スピンも若干ですが多く感じます。スピンが多いだけあり、操作性はしっかりあります。

両者の差はわずかですが、やはり「T100」のほうが操作しやすく、コントロール性能は高い印象。ミスへの強さに差は感じませんでした。ボールを操るゴルファーほど、「T100」のほうが扱いやすいと感じるはずです。

「T100」は、ツアープロが勝つために進化してきたモデルと言っても過言ではないアイアンです。シビアな環境から緻密なボールコントロールを可能にし、ミスショット時でも予想外の打球にならないよう設計された、きわめて実戦的なモデルと言えます。フィーリング面もしっかりと磨かれており、このあたりもツアープロが求める性能なのでしょう。

競技を楽しむゴルファーやシビアな環境でプレーするゴルファーには、ピッタリのモデルですが、スコアだけでなく技術的にも上達思考を持つゴルファーにもおすすめしたいですね。

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「620 CB」

昔ながらの製法で仕上げたフォージドキャビティ

軟鉄のみ(3・4番にはウェイトを内蔵)を使用したフォージドモデル。キャビティのくぼみは浅めで、いわゆるハーフキャビティです

軟鉄のみ(3・4番にはウェイトを内蔵)を使用したフォージドモデル。キャビティのくぼみは浅めで、いわゆるハーフキャビティです

「620 CB」は、最新の設計思想を古きよき時代の製法で仕上げたモデル。ロングアイアンである3番、4番にはタングステンウェイトを使用しているものの、5番以下は軟鉄のみを使用したいわゆる“一枚モノ”のフォージドキャビティアイアンです。

構えると、「T100」よりさらにコンパクトなヘッドで、さすがに若干のプレッシャーは感じます。形状自体は非常に美しく、ボールを操作するためだけに設計されたような仕上がり。打ってみると、7番で34度と飛距離性能をほとんど考えていないロフト設定によりボールがよく上がり、スピンをしっかりともなった弾道がゆっくりと飛んでいきます。

操作性は非常に高く、スピンが少なめの最近のボールでも操作できます。飛距離性能は最低限といったところ。ミスへの寛容性は、キャビティとはいえ申し訳程度で、芯を外すと飛距離ロスがそれなりに生じます。ただ、ミスをしたときに飛ばないのは個人的にはある程度必要な性能だと思っていますので、そういった考えを持つゴルファーには、あまりマイナスにはならないでしょう。

「620 CB」など、昔ながらの製法で仕上げられたアイアンは現代でもいくつか存在します。理由は、そういったモデルを欲するゴルファーがまだ一定数いるからです。こういうアイアンの美点は、芯を食ったときの打感のよさはもちろん、ウェイトなどを搭載しないことによる素直なヘッド挙動や、ミスしたときの弾道の計算しやすさなど。飛距離やミスへの寛容性よりも操作性やフィーリング面を重視するゴルファーはこういったモデルを好みます。

打感のよさや、素直な操作性を重視する中で、少しでもミスに強いモデルをと考えるなら「620 CB」をぜひ試してもらいたいですね。デザインもシンプルなので、長く使えるアイアンです。

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「620 MB」

何も足さない鋭い切れ味のマッスルバック

日本刀のようなシンプルで美しいデザインです

日本刀のようなシンプルで美しいデザインです

市販されているアイアンで1、2を争う小ぶりなヘッド、そしてシャープな形状。大きなサイズのアイアンを打ちなれているゴルファーは構えただけで力んでしまいそうです

市販されているアイアンで1、2を争う小ぶりなヘッド、そしてシャープな形状。大きなサイズのアイアンを打ちなれているゴルファーは構えただけで力んでしまいそうです

「620 MB」は、軟鉄のみを使用して鍛造製法で仕上げたマッスルバックモデル。操作性のみを追求したアイアンと言っても過言ではなく、ミスへの寛容性などはほとんど期待できません。スイングが弾道にそのまま反映される、非常にピュアなアイアンです。

ヘッドサイズは「620 CB」とほぼ同じで、「T100」よりもさらにコンパクト。トップブレードも薄く、非常にシャープな形状で、生半可な集中力ではビビッてしまいそうなプレッシャーを感じるでしょう。

ロフトは7番で35度と、おそらく現在市販されているモデルの中で最も寝ている設定。飛距離性能はまったく考えられておらず、操作性やグリーンをキャッチするための高さとスピン量に性能を極振りしています。操作性は“過度”と言ってもよいくらい、ボールをしっかり曲げられます。その半面、ミスヒットするとしっかりとミスショットになりますね。

「620 MB」は、操作性を特に重視するゴルファーや、シビアな環境でもしっかりとグリーンでボールを止めたいゴルファーのためのクラブ。ミスへの寛容性や飛距離性能はほぼ持ち合わせていません。基本的に、ボールをしっかりとフェースでとらえられるゴルファーに向けたモデルと言えますが、操作する技術を身に付けたいと考えるゴルファーにもおすすめです。

ただ、結果を少しでも求めるなら、ボールをとらえる技術をある程度身につけない限り、コースでの使用は控えたほうがよいでしょう。使い手を選ぶが、非常に偏った高い性能を持つアイアンがこの「620 MB」です。

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自分に合うのはどれ? モデル選びQ&A

2019年のラインアップの見直しにより、非常にわかりやすくなったタイトリストのアイアン。そこに2020年新たに2モデルが追加され、さらに盤石のラインアップとなりました。

「Tシリーズ」は、飛距離性能を最大限に磨き、ミスにも強い「T400」、飛距離性能とミスへの許容性の両立を狙った「T350」、操作性と飛距離性能、ミスへの寛容性を両立させた「T200」、操作性を重視しながらそれをじゃましないミスへの強さを手に入れた「T100」と、「T100」の性能に飛距離性能を加えた「T150」で、性能の狙いがハッキリと見えます。

「620」シリーズは、高い操作性と最低限のミスへの強さを持つ「CB」、操作性のみを追求した「MB」と、プロツアーを含む競技などの厳しい環境で戦うために必要なゴルファーの技量を、ボールにしっかり反映させるための性能を有しています。

飛距離性能はロフト設定を見れば明確で、「Tシリーズ」で言えば、「T400」が最も飛距離を重視した設計になっており、「T350」「T200」「T150」「T100」と飛距離が落ちる分、安定した距離が打てるように設計されています。「CB」と「MB」は、ほとんど飛距離は変わりませんが、ミスしたときの飛距離ロスは「MB」のほうが大きい印象があります。

各モデルのロフト角一覧(数字は度)。モデルによってかなり異なることがわかります。同じアイアンでロフトが1度違うと、飛距離は1〜2ヤード変わってきます(モデルが異なるとクラブ長やヘッド構造が異なるので実際にはもっと変わることもある)

各モデルのロフト角一覧(数字は度)。モデルによってかなり異なることがわかります。同じアイアンでロフトが1度違うと、飛距離は1〜2ヤード変わってきます(モデルが異なるとクラブ長やヘッド構造が異なるので実際にはもっと変わることもある)

このロフト角はクラブの特性を物語っており、ロフトが立っているものほどミスに強く、直進性を重視した設計です。タイトリストのアイアンに飛距離を求めるならば「T400」がよいでしょうし、フィーリングや操作性を重視するなら「620」シリーズが推奨です。

また、直進性の高いモデルほど打感がソリッドで球離れが早い印象があります。打感をどこまで重視するかによっても、手に取るモデルが変わってくると思います。

タイトリストのアイアンはどれも結果を重視していますので、とにかく飛んでミスに強いモデルが欲しいというのであれば、他社のモデルがいいかもしれません。それぞれのモデルに特性がありますので、自分の求める性能とそのモデルの特性が合っているのであれば、使い手の期待にしっかり応えてくれると思います。

以下、本記事に登場した7モデルについて、購入を検討するゴルファーからこのような質問があったと仮定して……私がお答えしていきます。

アイアンでも飛距離が欲しい

Q.
飛距離が欲しいのですが、「T400」か「T350」で迷っています。(HC20・HS36)

A.
飛距離に関しては、「T400」がすぐれています。単純に飛距離性能で決めるなら「T400」ですが、つかまり性能が高いので、左のミスを嫌がるならニュートラルなつかまりの「T350」のほうが使い勝手はよいでしょう。またスコアを追求するなら、少々飛距離が落ちてもグリーンで止まりやすい「T350」のほうがスコアメイクはしやすいはずです。

そのうち競技にも挑戦したい

Q.
そのうちクラブの競技などにも挑戦したい。「T100」でよいか?(HC12・HS43)

A.
はい、「T100」がよいと思います。「T100」は米ツアーなどでも多く使用されているモデルです。ミスへの寛容性をある程度備えていますが操作性が高いので、継続使用することによってボールコントロール技術も身に付くでしょう。ちょっとでも飛距離が欲しいなら「T150」がおすすめです。

かっこいい「MB」、僕も使えますか?

Q.
プロが使っていてカッコいい「620 MB」、僕にも使えますか?(HC18・HS40)

A.
ミスへの許容度はほぼありませんが、重量を含めてシャフトをきちんと選定すれば問題なく使用できます。芯を外したときに飛距離ロスと曲がりが大きいですが、上達思考があるならば、ぜひ手に入れてじっくり使用してみてください。楽しくプレーしたいと考えるのであれば、「T150」や「T200」あたりがよいでしょう。

「CB」と「MB」、ホントに違う?

Q.
「620 CB」と「620 MB」を練習場で打ち比べても、違いがあまりわからなかったのですが……。(HC8・HS45)

A.
どちらもシビアな環境で結果を出すために操作性を重視したモデルですので、苦手意識やデメリットを感じなければ「620 MB」を選ぶといいと思います。いざというときの操作性はやはり「MB」のほうが高いですから。ある程度コントロールした弾道を打ちたいが、ミスしたときに少しでも曲がりを抑えたいと考えるなら「620 CB」がよいでしょう。そうなると、「T100」も選択肢に入ってきます。じっくり比較して選んでください。

「T100」と「620 CB」で悩んでいます

Q.
アスリートモデルを検討していて、両方試打したのですがどちらもよく思えてしまい……。(HC10・HS43)

A.
どちらも、スイングスキルの高いゴルファーが結果を出すために設計されたモデル。違いは、ミスへの寛容性と操作性です。「T100」は操作性を重視しながら、適度なミスへの寛容性を持っています。対する「620 CB」は「T100」と比べると操作性がより高く、ミスへの寛容性は低め。方向性は同じですが、操作性と寛容性の比率が異なります。アイアンに対して何を重視するかで選ぶとよいでしょう。操作性が第一なら「620 CB」。操作性とミスへの寛容性とのバランスなら「T100」がおすすめです。

うまくなるのにぴったりなのは?

Q.
ゴルフを初めたときに買った中古クラブを卒業してタイトリストでうまくなりたい! どれがおすすめ?(HC15・HS42)

A.
目指すレベルによりますが、シングルプレイヤーまで満足させるのは「T100」です。「T150」も十分使えますが、操作や技術が身に付くモデルとして考えるならば、やはり「T100」がいいですね。「620」シリーズは弾道のよし悪しがはっきり出るため早く技術が身に付くと思いますが、コースで結果が出るまでは練習量や少しの我慢が必要です。

写真:野村知也

小倉勇人
Writer
小倉勇人
ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。
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芝崎 瞬(編集部)
Editor
芝崎 瞬(編集部)
自動車専門媒体からゴルフ専門メディアを経由し、価格.comマガジンへ。クルマは左ハンドルMTに限る! と思って乗り継いでいたが翻意して今は右AT。得意クラブは、強いて言えばミドルアイアン。
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