オグさんです。
今回は、キャロウェイの2020年モデルの新製品発表会に参加しましたので、その様子をレポートしたいと思います。
発表されたブランドは「MAVRIK(マーベリック)」。イメージカラーはオレンジです
2019年シーズン、キャロウェイはゴルフクラブ販売において全米でナンバーワンのシェアを獲得しました。また、プロツアーのメジャートーナメントにおけるドライバー使用率もナンバーワン。日本国内に限っては、男子ツアー25戦中23戦で、また女子ツアーでは39週連続でドライバー使用率首位をキープしました(国内女子についてはフェアウェイウッド含むウッドクラブにて)。
その躍進を支えたのがご存じ「EPIC FLASH」(エピックフラッシュ)シリーズです。ゴルフクラブの開発において世界で始めてAI(人工知能)を活用したことが大きな話題になりました。そんなAIによって、ミスヒットに強くやさしく飛ばせるフェース設計が進化したのが、今回発表された「MAVRIK」です。
マーベリックとは「型破りな」という意味。今回、かなり多くの種類のクラブが発表されたため、ひとまず全ラインアップをご紹介しましょう。
シリーズの中心となる「MAVRIK」シリーズは“スタンダード”と呼ばれ、全MAVRIKシリーズのちょうど真ん中というか、アベレージゴルファーが求める寛容性などのやさしさと、アスリートゴルファーが求めるつかまり具合などのバランスを両立させたポジションに位置します。ラインアップはドライバー、フェアウェイウッド(以下、FW)、ユーティリティー(以下、UT)、そしてアイアンです
「MAVRIK Sub Zero」(サブゼロ、以下サブゼロと表記)シリーズは、コントロール性を高めた上級者向けシリーズ。操作性を高めつつ、今回の新しいテクノロジーを搭載することで、ミスに強いモデルとして仕上がったようです。ラインアップはスタンダード同様、ドライバー、FW、UT、アイアン(名称は(MAVRIK PRO)となります
「MAVRIK MAX」シリーズは寛容性に重点を置いたシリーズ。他社にもMAXシリーズはありますが、ミスに強いシリーズをMAXと名付けるのが流行中なんですかね? 打点のミスへの強さ、直進性などやさしさに繋がる性能を重視して設計されているシリーズです。ラインアップはドライバー、FW、UT、アイアン。つまり3シリーズすべてフルラインアップということになります。非常に手間がかかっていますね!この点はちょっとびっくりしました!
今回発表されたMAVRIK。スライド式のウェイトなど、わかりやすい技術アピールは外見的にはあまり感じませんが、どのへんが進化したのか。どんな新しいテクノロジーが使われているのかが気になるところ。発表会では米キャロウェイ社のアラン・ホックネル氏が登壇して説明してくれました。
MAVRIKのカギとなるテクノロジーは、前作のエピックフラッシュで登場したAI技術。そのAI技術をさらに進化させるため、スーパーコンピューターに投資し、処理能力を高めたそうです。その高い処理能力を使用し、高初速エリアを最適、最大化させるだけでなく、耐久性なども含めて機械学習を繰り返し行うことで生まれたのが、今回採用される「FLASHフェース SS20」。このフェースは設計だけでなく素材も進化しています。従来より強く軽量な「FS2Sチタン」を使用し、設計を合わせることでエネルギーロスを減少させ、効率よくボールスピードにつなげることができるようになったそうです!
この新技術で、前述した各シリーズの各モデルはもちろん、アイアンの1番手ずつまで専用に設計しているそう。非常に手が込んでいます。細部までしっかりこだわることで、各シリーズがターゲットとするゴルファーが求める性能を高いバランスで実現させようとしている熱意を感じました。
スライドにある3要素を両立させるために、AIをフル活用し、設計されたのがFLASH FACE SS20
MAVRIKでは、ヘッドのタイプ別、また番手別にそれぞれ異なったフェースをAIがデザインすることでシリーズに合わせた性能を高い次元で実現させているそうです。う〜ん手が込んでる!
「サイクロン ヘッドシェイプ」と名付けられたヘッド形状は空気抵抗を削減し、ヘッドスピードを高めるために設計されたもの。緑の線で示されたEPIC FLASHの形状と比べ、クラウンがかなり水平にデザインされ、後方が高い、いわゆる「ハイバック形状」になっています。これが顕著なのはスタンダードモデルのみで、サブゼロやMAXは従来のシャローバックに近い形状になっていました。(下記の写真参照)。ターゲットに合わせた設計で最善の形状をAIが導き出した結果なのでしょう
空力は飛距離を追求するのに無視できない部分。空気抵抗を削減できればそれだけヘッドスピードを高めやすくなり、最大飛距離の可能性を高めてくれます
また、AIは打音もデザインしたとのことで、かなり心地よい打球音が期待できます。早く打ってみたいですね!
前述しましたが、ドライバー3モデルはそれぞれヘッドシェイプが異なります。各モデルが目標とする性能を追求した結果、ヘッドシェイプが変わるのは当たり前と言えば当たり前。強い弾道と操作性を追求する「サブゼロ」、ミスへの寛容性や直進性を追求する「MAX」などは、空力を最大限追求するよりほかに追求すべき点を突き詰めることで、目標の性能を実現できたのでしょう
ということで、前作よりも飛距離は「5ヤード」伸びるとのことです。前作も限定モデルを含めると3モデルありましたが、今回の3モデルはよりターゲットがハッキリ分かれた3モデルなので、自分のスイングに合わせてモデルを選べば、かなり満足いく結果が得られそうな気がします
石川遼選手が打点を変えてMAVRIKドライバーを試打したそうですが、打点を左右にハズしても飛距離が落ちないという検証の動画を見せてくれました
結果はこのとおり。どこで打っても前作を上回るという結果になっていました。ボール初速で1m/s以上違うと飛距離的には結構大きい数値になります。実際の数値も10ヤード以上伸びているケースもあったみたいです。これは自分でも試してみたいですね!
では、ドライバーを見ていきましょう。今回のMAVRIKシリーズはオレンジと黒を基調にしたシンプルなコスメでなかなか精悍に仕上がっています。しかし3シリーズあるモデルのコスメにほとんど差がありません。よく見れば、「サブゼロ」や「MAX」には記載がありますので判断はできますが、ぱっと見ではどのモデルかほとんどわかりません。
そんなときに便利なのがウェイトで見分ける方法。スタンダードはソール後方にウェイトがひとつ。サブゼロはソール後方と前方にひとつずつ。そしてMAXはソール後方とヒール寄りにひとつずつ。モデルによってウェイト位置と搭載数が違うので、そこを覚えておくと判断しやすいでしょう。
「MAVRIKドライバー」。各モデルとはウェイトの位置で識別できます。スタンダードは1か所のみ
「サブゼロ」。ウェイトはソールの真ん中に2つ
「MAX」。ウェイトはソール後方とヒールに2つ
MAVRIKドライバーのヘッドシェイプ。「サイクロン形状」と呼ばれる、空力を考えた形状になっています。ソール後方が高くなっていてクラウンがフラットになっているのが特徴
サブゼロのヘッドシェイプ。やや小ぶりで、こちらは後方がやや低い位置に収まっています
MAXのヘッドシェイプ。こちらはかなりシャローな設計で後方も低い形状を採用。重心を深く低くすることで寛容性を高めるためなのでしょう
クラウンとソールを2本のバーでつなぎインパクト時のエネルギーロスを軽減する「ジェイルブレイクテクノロジー」は継続で、MAVRIKの全ウッドモデルに採用されています
スタンダード(左)とMAX(右)。キャロウェイらしい丸みを帯びた形状は変わらず。3タイプとも顔は特徴はありますが、詳しくは後日細かくレポートします!
続いてFW。前作はドライバーのみフラッシュフェースが採用されていましたが、今回は全クラブにAIが計算して作成されたフェースが採用されています。当然FWにも採用されており、番手ごとに異なったフェースが設計され、それぞれに求められる性能を追求しています
デザインはドライバーと共通。ウェイトの搭載位置はドライバーと同じなので見分け方もドライバーと同じくウェイト位置で判別できます
FWの役割はもちろん、寛容性を高めるためにAIを用いてフェースを設計
モデルと番手で、それぞれ異なるフェースをAIがデザイン。非常に凝った設計ですね
UTは3モデルともヘッドの形状を変えて設計しています。アイアンに近い形状を採用したスタンダードに対して小ぶりでウッドに近い形状を採用したサブゼロシリーズの「PRO」。MAXはアイアンに近い形状を採用し、慣性モーメントを最も高めたモデルになっているそう。早く打ち比べてみたいですね。
UT3種。こちらはデザインがほぼ同じなので、モデル名の記載を見るのが一番わかりやすい判別部分ですね
アイアン3モデル。限定となる「PRO」はシルバーのライン、「スタンダード」と「MAX」はオレンジのラインがあしらわれ、統一されたデザインを採用しています。なかなかカッコいい!
AI設計をアイアンで世界初採用しつつ、キャロウェイ得意のカップフェース構造となっています
MAVRIKプロアイアン(左)。非常にきれいなアスリート向けの形状に仕上がっていますが、ロフトは7番で30.5°と割と立っている設計になっています。MAVRIKアイアン(中央)はブレードが厚く安心感抜群。ロフトは7番で27°と3モデルの中では一番立った設定。MAVRIK MAXアイアン(右)。さらにブレードが厚く、やさしそうな形状。ロフトは7番で30°(写真は8番)
2020年に入ってすでに、テーラーメイドとキャロウェイが新製品を発表しましたが、どちらも直進性と寛容性を高めたモデルを作り込んできた印象を受けました。果たしてその印象が正しいのか、早めにお借りして実際に試打し、追ってレポートしたいと思います。楽しみにしていてくださいね!