オグさんです。
今回はスコッティ・キャメロンの2020年モデル、「スペシャル・セレクト」シリーズのパターを試打させてもらいましたのでレポートしたいと思います。
スコッティ・キャメロンの「スペシャル・セレクト」シリーズ
「スコッティ・キャメロン」は、ゴルファーなら誰もが聞いたことがあるであろうパターブランド。
ブランド名は人名そのもの。キャメロン氏はアメリカのツアー会場に足しげく通って、ツアープロが望むパターの形状や性能をリサーチし、彼らの要望に合わせたハンドメイドのパターを提供しました。ほどなく彼のパターを手にした選手が大きな大会で立て続けに勝利を収め、スコッティ・キャメロンの名は一躍有名になりました。現在はタイトリスト傘下でパターを販売しています。
スコッティ・キャメロンが人気を博す理由はいくつかあります。
ひとつはやはり、トッププロの多くが愛用しているという信頼性でしょう。代表的な使い手といえば、やはりタイガー・ウッズ。数々のビッグタイトルのほとんどはスコッティ・キャメロンのパターで勝ち取っています。
ほかにも、ブルックス・ケプカ、ジャスティン・トーマスにジョーダン・スピース、松山英樹など、愛用者には世界のトッププレイヤーたちの名前があがります。ほかのメーカーとクラブ使用契約していても、パターだけはスコッティ・キャメロンを使う選手が少なくありません。
理由の2つ目は、仕上げが美しくカッコいいということ。ていねいな仕上げで、派手すぎず(ワンオフモデルにはなかなかのデザインのものもありますが……)、それでいて遠目からも「おっ、キャメロンだな!」とわかるデザインや雰囲気を纏っています。
多くのツアープロからのフィードバックを元に製作された数々のパターは、プロアマ問わず多くのゴルファーに愛され、支持されており、今回の「スペシャル・セレクト」シリーズも、ブランドの長い経験から生まれた高品質のパターに仕上がっています。
今作のスタジオ・セレクトシリーズは「303ステンレス」という素材の削り出しフェースを採用。澄んだソリッドな打感と、しっかりと聞こえる打音がフィーリングを作りやすくしてくれます
ちなみに前作の「セレクトシリーズ」は、モデルによってステンレス、アルミといったインサートを使用していました。こういった素材の違いは、ツアープロをはじめとしたゴルファーのニーズやボールの進化に合わせて変えたものなのでしょう
細部まで非常にていねいに手が入っています。フランジの曲線部分も美しい仕上げ
ネックの角もきれいに面取りされています。こういった仕上げの美しさが、キャメロンの人気を支えているのは間違いないでしょう
グリップもしっかりと専用品を開発しています。太すぎず握りやすい形状で、いろいろな握り方をしても違和感がなかったです。グリップ単体として販売しても売れると思います
それでは、このスペシャル・セレクトシリーズをヘッドタイプ別に試打しましたので、モデル解説とレビューをお届けします。
<ブレード型>
“ザ・定番パター“と言っても過言ではない、クランクネック+トゥ&ヒール形状のヘッドを組み合わせたモデル。輪郭の角にやわらかい丸みを持たせているのが特徴です。
スコッティ・キャメロン スペシャル・セレクト ニューポート
ボールを適度につかまえてくれ、どんなタイプのストロークでも使いやすいブレードタイプ(ヘッドの奥行きが短い形状)のヘッド。ヘッドローテーションがしやすく、打ち手を選びません。ソリッドな打感がしっかりとしたインパクトを作りやすく、どんなグリーンでも対応できる懐の深さがありますね。
ニューポートとの主な違いは形状です。輪郭にやや角を作った直線的なデザインからは、ニューポートよりもシャープな印象を受けます。
スコッティ・キャメロン スペシャル・セレクト ニューポート2
上記ニューポートと人気を二分する、スコッティ・キャメロンの代表的なモデル。タイガー・ウッズもこのタイプのヘッドを長年愛用しています。
振り心地や打感にニューポートとの差はほとんど感じませんでした。形状の違いによる影響は構えたときに感じましたね。個人的にはこちらのほうが構えやすかったですが、ニューポートのやわらかな形状が好みという方もいるはずです。
ニューポートもそうですが、芯で打ったときと外したときの差は、感触と音ではっきりと伝わってきます。適切な言い方ではないのかもしれませんが、芯ではないところで打ったときの転がりが素直で、芯から離れたポイントで打つほど、ボールの転がりの勢いがちゃんと落ちるんです。こういった素直さと情報量の多さが、多くのツアープロに支持されているのだと思います。
ブレードタイプの形状をした、奥行きのあるミッドマレット。打点のズレによる寛容性を高めつつ、構えやすさを両立したモデルです。
スコッティ・キャメロン スペシャル・セレクト スクエアバック2
ブレードタイプの後方を伸ばしたような形状のモデルで、芯を外したときの寛容性が高まっている印象。ニューポート類と比べると投影面積が大きくなってはいますが、基本的にはシャープな形状で、重たさを感じないデザインになっているのがいいですね。
操作性も持ち合わせてはいますが、ニューポートなどのブレードタイプと比べると、ややオートマチックな印象はあります。
<ハーフマレット型>
いわゆるL型マレット。フランジがあるので構えやすく、それでいていろいろな打ち方ができるモデル。ウェッジのように、アプローチ感覚で転がせるのが特徴です。
スコッティ・キャメロン スペシャル・セレクト デルマー
ややトゥ側にボリュームを持たせたデザインは、アークが大きめ(フェースを開いて閉じる度合いが大きい)のストロークのイメージがしやすく、アイアンやウェッジと同じようなフィーリングで打てます。また、ヒールでヒットしたときとトゥ側でヒットしたときの差が大きいので、あえて芯を外して打つことで転がりを変えるといったテクニックも使えるモデルです。
ヒール寄りに付いた、短いスラントネックでアイアンっぽい操作感を演出しながら、深めの重心位置で打点のミスを軽減させたモデルです。
スコッティ・キャメロン スペシャル・セレクト ファストバック1.5
投影面積が大きめで打点のミスにも強いのですが、意外と操作もできます。
このネック形状が実は効いていて、スクエアバック2よりも、L字っぽい、アークの大きい動きにマッチしますね。ヘッドの開閉を積極的に使うストロークタイプで、安定した転がりを望む方におすすめのモデルです。
ネックのないベントネックでありながら、適度な重心角が付いていて、適度なヘッドターンをうながしてくれる大型マレットです。
スコッティ・キャメロン スペシャル・セレクト フローバック5
重心が深めで、打点のミスに非常に強いですね。適度な重心角がオートマチックにヘッドを動かしてくれる印象。自然とヘッドが適度にターンしてくれるので、ゆるやかに握ってヘッドに任せてストロークすると非常に安定したパッティングができました。
ショートスラントネックを採用した、重心の比較的深いマレットモデル。打点のミスに強く、アークが大きいストロークとマッチします。
スコッティ・キャメロン スペシャル・セレクト フローバック5.5
ヘッドの性能としては打点のミスに強いマレットですが、アークの大きいショートスラントネックとの組み合わせにより、操作性が付加されています。ゆったりとした動きで、フェースを開閉させながらストロークすると非常に安定した転がりの球が打てました。
今回のスタジオ・セレクトシリーズも、性能はもちろん、美しい仕上げでどんなゴルファーも満足するパターに仕上がっていました。もはやパターの定番と呼べるニューポートの2モデルはどんなゴルファーにもおすすめできますし、個性がしっかりしたモデルが揃っているので、自分の打ち方をきちんと持っている方にとっては大変選びやすくなっています。
かく言う私も、正直個性的なパッティングスタイルを持っているゴルファーと自負しておりますが、そんな私が個人的に気にったモデルはニューポートとファストバック1.5。ニューポートはバランスのよさが素晴らしく、どんなグリーンにも対応できそうな印象を持ちました。
普段、状況によって複数のパターを使い分けているのですが、1本に絞れと言われるとニューポートは有力候補になりますね。
もう1本のファストバック1.5は、適度な操作性とミスへの強さが魅力の1本。ややL字っぽさもあるためアイアンのイメージで打つこともできるので、ショットが調子いいときにこれを使うといい結果が得られそう!
まだまだキャメロンの人気が続きそうだなと感じた試打でございました。
今回のキャメロンも、購入時にどのモデルにするか悩みそうですね! 少しでもこの記事が参考になればうれしいです! ファストバック1.5はアイアンが得意、好きな方にいいと思いますよ!
写真:野村知也
■■■2018年モデル「セレクトシリーズ」の記事■■■
スコッティ・キャメロン「セレクトシリーズ」選び方と8モデル打ち比べ
ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。