オグさんです。
今回は、ガーミンの新製品ゴルフウォッチ「Approach S62」(以下、S62)をコースで試用してみたので細かくレポートしたいと思います。
Approach S62 時計モード
ガーミンは、もとは軍事技術であったGPSに関する技術を持つメーカー。高い精度を誇るその技術を使って、航空、船舶、自動車に加え、スポーツやアウトドアの電子機器を開発しています。
その精度の高い製品はさまざまな分野で高く評価されており、ゴルフウォッチも愛用者を着々と増やしています。本作「Approach S62」は「Approach S60」の後継モデルですが、本体のサイズ、重量はほとんど変わらないにもかかわらず、画面サイズが1.2インチから1.3インチに大型化、画面解像度が240×240ピクセルから260×260ピクセルへ、稼働時間がゴルフモードで最大10時間から20時間へ延長されるなど、非常に大きな進化を遂げています。特にバッテリーは、S60のユーザーさんが待ち望んでいた改善と言えるのではないでしょうか。
使用する衛星システムは、アメリカの「GPS」、日本の「みちびき」に加え、ロシアの「GLONASS」が新たに加わり、より正確な位置情報を得られるようになっています。全世界のおよそ41,000コースのデータを収録しているため、海外でのプレー時にも活躍します。
さらには光学式心拍計を搭載し、ゴルフだけでなく、GPSスマートウォッチとして普段使いもできます。
カラーバリエーションはホワイト(左)とブラック(右)があります
S62は、ゴルフウォッチとしても新たな機能を複数搭載しています。どれも実用的で楽しめそうなものばかりです。順にご説明していきますね。
バーチャルキャディは、ユーザー自身の各クラブの過去の飛距離データと、後述する風向、風速機能を元に次のショットで使う推奨クラブを表示するという機能です。
複数回プレーしたコースだと、ホールごとの使用クラブの組み合わせによる平均ストローク数を計算して表示する機能もあります。たとえば、短いPAR4でドライバーでティーショットした場合と、3Wやユーティリティーで刻んだ場合のスコアの比較や、PAR5の第2打はフェアウェイウッドでできるだけグリーンに近づけたほうが得策か、それともアイアンで刻むほうがスコア向上に寄与する……といった分析を自動でやってくれます。自分のゴルフを客観的に見るのにとても便利な機能です
ここからグリーンセンターまで181ヤード。5ラウンド以上したショットデータや風の情報(下記参照)を元に、4H(4番ユーティリティー)を推奨してくれました
グリーンセンターまで125ヤード、推奨クラブはPWと表示されました
現在地からハザードまでの距離、越えるための距離を確認できる機能です。コースレイアウトのマップを見ながら確認できるので、実際には隠れて見えない、ブラインドのハザードの存在を正確に知ることができます。
Approach S62 ハザードビュー
ペアリングしたスマートフォン経由での天気情報から取得したデータを元に、ピン位置を基準とした画面に風向きと風速を表記してくれる機能です。ホールによって進行する方角が変わるゴルフ場は、全体的な風の向きや強さによって、持つクラブはもちろん、コースマネジメントも大きく変わってきます。風の情報をワンタッチで、狙うピンを基準に表記してくれるのはとても助かりますね。
ゴルフモードの機能選択画面から風向き/風速情報を得られます
Approach S62で風向き/風向を表示
では実際にラウンドで使ってみましたので、その使用感をお伝えしていきましょう。コースは栃木県の鶴カントリークラブです。
コースに着いたら、まずゴルフモードに切り替えます。
「ゴルフ」と表記されためにゅーをタッチすると、自動で現在地を確認し、今いるゴルフ場を検索してくれます。検索が終わると、近くにあるコース名とスタートホール、そして使用グリーンが表記されますので、自分がプレイするコースをタッチします。最初にプレーするホールが表示されれば準備OK! 早速プレーしていきます。
右上の赤いボタンでゴルフモードに
GPSにて位置確認
出ました!
鶴カントリークラブ東コース1番のティーイングエリアより
当該ホールのヤーデージ
コース設定が完了し、ティーオフ!
ティーショットは右ラフへ。そんなに悪いライではありませんでしたが、S62で確認するとグリーンがとても小さいため2オンを狙ってもメリットがあまりないのを確認し、レイアップを選択。必要な情報が迅速に把握できるので、ストレスなくコースマネジメントに集中できますね
3打目位置からの表記です。グリーンセンターまで55ヤード。一番上の数値は2打目の飛距離です。155ヤードでした
ピンはちょっと奥のポジションでしたが、無理をせず表記どおりのセンター狙いで。ちょうどいいブレ具合で3mほどにオンし、何とか1パット。幸先よくバーディースタートです!
左上から時計回りに、スコア、パット数、フェアウェイキープの状況、そしてペナルティの有無の入力画面です。インパクトの衝撃をセンサーで拾っているので、ショット数は素振りでダフったりしなければ、ほぼ修正しなくてもOK。パット数を入力すればスコア入力完了です。フェアウェイキープのデータはフェアウェイを外した場合、左右どちらに外したかまで記録することができます
ゴルフナビが活躍するのはこういったブラインドホール! コーナーまでは?突き抜けるまでは?隠れたハザードはないか?などを迅速に確認できます。これはGPS系電子ガジェット最大の強みです。
個人的に気に入ったのが「ピンポインター」。これは崖下や山越えショットなどでグリーンやピンが全く見えない場合にグリーンセンターの方向とグリーンセンターまでの距離をシンプルに表記してくれるモード。ブラインドポジションからのショットは情報が多くなりすぎるとかえって力んでしまうことが多いです。
最低限、レイアウト画面でハザード位置を確認してクラブを決めたら、あとはグリーンまでの方向さえわかれば、ほかに情報はいらないですからね。いちいちピンの見える位置まで歩かなくていいし、リカバリーショットに集中できるよい機能だと思います。
ピンポインターモード。たとえ林に入れても、当該ホールのピンの方向を瞬時に示してくれます
前モデルでも評価の高かったガーミンのゴルフウォッチ「Approach」ですが、S62になってさらに使い勝手が向上しました。個人的には、ゴルフモードでの稼働時間が延長されたので1.5ラウンドでも余裕になったのは大きいですね。もちろん機能も大きく向上しています。使えば使うほどゴルファーとしての自分のいろいろなことが見えてきそうです。
スコアをよくするためのガジェットにとどまらず、ゴルフを楽しむためのツールとして大きな可能性を持つアイテムですね。普段私はレーザー距離計派なのですが、本気で欲しくなりました。
光学式心拍計を搭載した本機は、日常生活時の心拍数を計測し、消費カロリーやストレス値の変化を数値化して見ることもできます。
「ランニング」「ウォーキング」「屋内ラン/ウォーク」「サイクリング」「プール」「スキー」「筋トレ」など、実に多くの種目に対応し、アクティビティー中の心拍数を記録及びデータの蓄積をすることで自分の変化が如実に分かり、意欲も増すはずです!
光学心拍計
ウォーキングモードをテスト。♡マークが心拍数「143」です
スマホアプリ「Garminコネクト」と連動することで、アクティビティーの詳細をスマートフォンに転送し、詳しく分析することができます
また、本機は「Suica」にも対応。専用のページから Google Payのアカウントを作成し、普段使っているクレジットカードを登録すれば、希望の金額をチャージするだけで利用可能になります。
ジョギング中にドリンクを自販機で購入、という使い方もできそうです
取材協力:鶴カントリークラブ
写真:野村知也
ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。