ニューバランスの「574」と言えば、1980年代なかばに誕生し、今や同ブランドを象徴するアイコニックモデルのひとつ。ニューバランスらしいシンプルでオーセンティックなデザインが特徴で、大人のカジュアルスタイルをアカ抜けさせるアイテムとして絶大な支持を獲得しています。
現在販売中の「ML574 EGG」
いっぽう1994年、ライトウェイト・クロストレーニングシューズとして「650」という名品がデビューしました。こちらは、1990年代ならではの時代を感じさせる、ボリューミーでウェービーなディテールデザインが特徴です。
そんな名品2足の特徴を、巧みにひとつにまとめ上げたフュージョンモデル「M5740(フィフティセブン フォーティ)」が2020年春に誕生しました。
ニューバランス「M5740 LB」。公式サイト価格は16,500円(税込)
「M5740」のアッパーは、反射材を使った機能的なディテールや、メッシュ素材のインレイヤーにおいて、「574」のデザインを踏襲。そのいっぽうで、細かく重なり合うレイヤードパーツやウェービーなパターンを取り入れて、モダナイズに成功しています。
ベースの「ブラック」とビビッドな挿し色のバランスが絶妙!
また、2020年に登場して人気を博す「327」から続くオーバーサイズの「Nロゴ」が、クラシックモデルから現代モデルへのシフトを表現しています。
オーバーサイズの「Nロゴ」を採用。リフレクターで縁取られており、夜間での視認性も高めています
そしてソールは、「574」 のものをベースに現代的にリデザインした2層のミッドソールを搭載しており、 「650」を彷彿とさせるボリューミーなルックスへとアレンジしています。
ソールは、「574」をベースとした2層のミッドソールを採用。下層部は、「574」にインスパイアされたシンプルなデザインを採用し、上層部は1990年代の「650」から抽出したウェービーなデザインを重ねて、ボリューミーなルックスに仕上げています
このボリューム感あふれるフォルムは今っぽく、旬なワイド系パンツとも好相性ですし、スポーツミックススタイルともバッチリ合います。それでいて、シックで落ち着きのある雰囲気も「574」からしっかりと継承しているので、大人っぽい着こなしにもおすすめ。ロングコートやビッグシルエットのアウターに合わせれば、モダンな中にシックでクールな雰囲気をプラスできます。
デカめソールで、ワイド系パンツとも好相性
アッパーは、プレミアムなスエードやヌバック、メッシュを採用しており、「574」ならではのシックで上品な雰囲気をしっかりと継承
アウトソールは、全面にラグパターンを配しており、不整地でも高いグリップ力を発揮
以上のように、「M5740」は、「327」から続くデカ「Nロゴ」がイイ感じにきいた、ニューバランスデザインの“今”を象徴する一品。1980年代のシックなフォルムと、1990年代ならではの大胆なディテール使いが、絶妙なバランスで融合しています。しかも、1990年代を思わせる派手なデコレーションが施されていても上品さを失わない、「574」の完成度の高さにも改めて感心させられる1足です。
ファッションを中心にさまざまな雑誌やWeb媒体で執筆を行っているエディター/ライター。なかでもスニーカーに特化し、年間400本近くのスニーカーレビュー記事を制作している。