オグさんです! 今回はタイトリスト「TSi4 ドライバー」の試打レポートをお届けします!
タイトリスト「TSi4 ドライバー」
「TSi」は、タイトリストのメインとなるシリーズ。同社は、ツアープロやアスリート、上級者が結果を出すために使用する最良の道具としてクラブを開発しており、TSiも、そのコンセプトにふさわしい製品群になっています。
TSiシリーズのドライバーは、今回ご紹介する「TSi4」のほかに「TSi1」「TSi2」「TSi3」と、計4モデルがラインアップされています。なかでも基本となるのは、直進性を重視したTSi2、操作性を持たせたTSi3の2つであり、TSi1とTSi4はタイトリストセレクトストア限定モデルとなっています。なぜかというとTSi1とTSi4は、対象となるゴルファーをある程度限定して開発された、ややとがった特性を持っているからです。
TSi2、TSi3の記事はこちらから
■ギアフリークも納得の仕上がり! タイトリスト「TSi2」「TSi3」ドライバー
ではTSi4はどんなゴルファーに向けたどんなクラブなのか、さっそく見ていきたいと思います!
黒を基調としたデザインは、TSiシリーズのほかのモデルと共通。フェースのすぐうしろに鎮座するウェートがTSi4のデザイン上の特徴です
TSiシリーズのドライバーはヘッド容量が460ccですが、このTSi4だけは430ccと小ぶりになっています。ヘッド形状は、少しだけトゥ側にボリュームがある微妙な洋ナシ型
かなりのディープフェースと適度にシャローバックとなった形状が、かなりの強弾道を生んでくれそう
TSi4カスタムモデルなので、これといったメーカー純正シャフトは設定されていません。ほかのTSiシリーズの純正シャフトや、シャフトメーカーのモデルから好みのシャフトを選んで注文する形になります。グラファイトデザインの「DI」シリーズは、社外モデルでありながらTSiシリーズと相性がよく、プレミアム純正シャフトとしてラインアップされている1本です
現在、世界で戦うツアープロの間では、打点のミスに強く直進性の高いドライバーが人気。ですが、そういったドライバーは、どうしても操作性が低下してしまいます。操作性とは、文字どおりボールを操る、つまりボールを意図的に曲げることなので、直進性を追求すればするほど、反比例的にボールを操作することが難しくなるのです。
しかし、ツアープロ全員が直進性の高いモデルを好んでいるわけではありません。なかには操作性の高いモデルを好む選手もいます。それはプロに限ったことではなく、操作性のよいモデルを使うことでティーショットが安定するアマチュアもたくさんいるのです。TSi4は、そういったゴルファーのために作られたモデルというわけです。
ヘッドサイズを430ccと小ぶりに設定し、重心を浅く設計することでフェースローテ―ションを容易にし、操作性を向上。重心を浅くすることでより低重心にしやすく、ミスヒットしても余計なスピンが入りづらいため、安定してライナー性の強弾道が打てるようになっています。
ヘッドサイズは430ccとかなり小ぶりな印象を受けますが、構えてみるとそんなに小ささは感じません。わずかにトゥ側が大きく見えますが、ヒール側にもしっかりとボリュームがあり、当たり負けしそうな頼りなさは皆無。
お借りしたスペックは、グラファイトデザインの「ツアーAD DI-5」のSフレックスが装着されており、ロフトはなんと8°……なかなかハードです。
まずは、ヘッドスピード40m/sぐらいから打っていきます。まあ当然ですが、ボールが上がりません。スピンもかなり少なめで、ボールはドロップしてしまいました。ロフトの問題もありますが、これぐらいのヘッドスピードだと、設定で最もロフトの多い10°でもあまり変わらないでしょう。そういった方には、軽量でヘッドスピードが高めやすい「TSi1」がおすすめです。
ヘッドがコンパクトだとフェースローテ―ションがさせやすいため、振り抜きがよくなりますね。操作性がよく、ニュートラルなつかまり性能なので自分のスイングどおりの動きが弾道に現れます。シャフトがビシっと決まれば、スイング以外の不安がほとんど取り除け、信頼できるドライバーになってくれそう
改めて自分のヘッドスピード43m/sで打ってみると、低スピンのいわゆる”棒球”を安定して打つことができました。コンパクトなヘッドですが打点のズレにも結構強く、ちょっと意外でしたね。
肝心の操作性ですが、めちゃくちゃ敏感でびっくりするってことはなく、必要な操作性を適度に持たせ、その操作性をじゃましない程度にミスへの寛容性を持たせている感じ。不必要に曲げたくなる私としましては、とっても使いやすいモデルに感じ、左右どちらにも安定して曲げることができました。
つかまり性能はニュートラルなので、ドロー、フェード、どちらの持ち球の方でも使いやすいでしょう。
打感は、フェースに乗るような感触があるソフトなフィーリング。打感にこだわるゴルファーであっても、十分に満足できるものだと思います
ロフト角8°だけにボールが上がりきっていませんが、かなり効率がよい弾道です。操作性も良好ですが、個人的には「狙ったところに打ち出しやすいモデル」と言ったほうがしっくりきますね。スイング中、フェースがどこを向いているかを常に感じながら振れる印象があります
TSi4ドライバーは、ある意味で時代に逆らっているのかもしれませんが、ゴルフ本来の楽しさを味わえる高性能なモデルだと思います。飛距離性能はもちろん、現在では不必要と思われがちな、“ボールを操る”という、ゴルフの楽しさのひとつを体感させてくれる数少ないモデルだと私は感じました。
TSi4のライバルモデルは、大手メーカーのモデルでは基本的に存在しません。強いて言えばブリヂストンゴルフの「TOUR B Xドライバー」ぐらいでしょうか。真のライバル的なモデルは、いわゆる“地クラブ”と呼ばれるパーツメーカーのモデルになるでしょう。それくらい個性が際立ったモデルです。
一般的なアスリートであれば、TSi2、TSi3で十分満足できるはず。弾道を操る技術を身に着けたいと考えるゴルファーや、いわゆるデカヘッドドライバーで狙ったところに打ち出せないと悩むゴルファーなら試す価値があるモデルです!
写真:野村知也